iOS14.5リリース後、ゲームのマーケティングはどう変わったか?【データで紐解く、グローバルのゲームアプリマーケティング動向 ~ ATT、プライバシー、ロックダウンの影響は?~】 | GameBusiness.jp

iOS14.5リリース後、ゲームのマーケティングはどう変わったか?【データで紐解く、グローバルのゲームアプリマーケティング動向 ~ ATT、プライバシー、ロックダウンの影響は?~】

iOS14.5+以降、ゲームマーケットはどう変わったのか。本稿では具体的なリサーチによるデータと、その分析によりグローバルの全体像を探っていきます。

市場 マーケティング
iOS14.5リリース後、ゲームのマーケティングはどう変わったか?【データで紐解く、グローバルのゲームアプリマーケティング動向 ~ ATT、プライバシー、ロックダウンの影響は?~】
  • iOS14.5リリース後、ゲームのマーケティングはどう変わったか?【データで紐解く、グローバルのゲームアプリマーケティング動向 ~ ATT、プライバシー、ロックダウンの影響は?~】
  • iOS14.5リリース後、ゲームのマーケティングはどう変わったか?【データで紐解く、グローバルのゲームアプリマーケティング動向 ~ ATT、プライバシー、ロックダウンの影響は?~】
  • iOS14.5リリース後、ゲームのマーケティングはどう変わったか?【データで紐解く、グローバルのゲームアプリマーケティング動向 ~ ATT、プライバシー、ロックダウンの影響は?~】
  • iOS14.5リリース後、ゲームのマーケティングはどう変わったか?【データで紐解く、グローバルのゲームアプリマーケティング動向 ~ ATT、プライバシー、ロックダウンの影響は?~】
  • iOS14.5リリース後、ゲームのマーケティングはどう変わったか?【データで紐解く、グローバルのゲームアプリマーケティング動向 ~ ATT、プライバシー、ロックダウンの影響は?~】
  • iOS14.5リリース後、ゲームのマーケティングはどう変わったか?【データで紐解く、グローバルのゲームアプリマーケティング動向 ~ ATT、プライバシー、ロックダウンの影響は?~】
  • iOS14.5リリース後、ゲームのマーケティングはどう変わったか?【データで紐解く、グローバルのゲームアプリマーケティング動向 ~ ATT、プライバシー、ロックダウンの影響は?~】

2021年春に実装されたAppleのATT(App Tracking Transparency)フレームワークの展開により、アプリの個人情報に関わるトラッキングは透明性が高まった一方で、アプリの非オーガニックインストール(NOI)数は全世界で30%も減少したことが分かっています。一方で、AppleのSKAdNetwork(SKAN)が急速に普及し、NOI数はiOS14.5+以前に近い水準まで回復しているのも事実です。iOS14.5+以降、ゲームマーケットはどう変わったのか。本稿では具体的なリサーチによるデータと、その分析によりグローバルの全体像を探っていきます。

iOS14.5リリース後、ゲームのマーケティングはどう変わったか?

iOS14.5のリリースによって明らかになったのは、ゲームアプリ業界がユーザーレベルデータに依存してきたということです。データ計測に傾倒するあまり、アプリの売上はプラットフォームの動向に左右される事態に陥りました。3回連載の第1回目では、iOS14.5のリリースによって非オーガニックユーザーのインストール数がどう変わったのか、そして各ゲームアプリがこの状況にどう対応したのでしょうか。インストール数や有効コスト、収益等、2021年に明らかになった各種データをもとにゲームアプリの動向を分析していきます。

ユーザーレベルデータ依存のゲーム業界

競争の激しいモバイルゲーム業界では、売上拡大を狙うあまり、最も購入に至りそうなユーザーに狙いを定めたマーケティング依存になりがちです。これは「木を見て森を見ず」という状態です。ユーザーレベルデータを取得すればこれが実現可能になるため、ゲームアプリのマーケターは非売上を作るためのマーケティングの一環として、ユーザーレベルデータの利用を非常に大事な戦術として考えてきました。

一方で、ユーザーレベルデータへの依存は採用した手法によって結果の変動が大きいという弊害も招きます。2020年から2021年にかけて、iOSではATTフレームワークの施行にともない、ユーザーレベルデータの取得に制限が掛かった結果、ゲーム業界のインストール数は減少傾向となりました。具体的な数字を見てみると、Android版ゲームアプリのインストール数は22%増加しているにもかかわらず、iOS版ゲームアプリのインストール数は6%減に転じています。まさにiOS14.5以降、マーケティングドリブンなインストール数が不振に陥ったことが大きな原因です。

ゲーム以外のアプリのインストール数に目を向けてみると、Androidでは21%、iOSでは25%上昇しています。これらの数値を踏まえれば、ゲームアプリがいかにユーザーレベルデータに依存しているかよくわかるでしょう。

急落した非オーガニックインストール数を回復させたゲームアプリの対応

iOS14.5のリリース後、モバイルアプリの非オーガニックインストール(NOI)数の測定やSKAdNetwork(SKAN)、そして従来のアトリビューションなど、複数のソースから取得したデータの重複排除が困難になりました。この問題は、今後も深刻化する一方です。

例えば大半のユーザーがトラッキングを拒否した2021年4月から9月にかけて、従来のアトリビューションで取得したNOIは30%も急落しています。しかしその後、各社がプライバシー保護に準拠した新たな測定手法の開発に大幅なリソースを投入した結果、NOIは28%上昇する結果となりました。

一方、SKANを採用したゲームアプリのNOIは9カ月で5倍以上に急増しました。2021年末の時点で、SKANと組み合わせた改良版アトリビューションの実力はおおむねiOS14.5登場前と同水準に戻ったと言って差し支えないでしょう。また、iOSのNOI数はSKANによるインストールがゲームアプリでは67%、それ以外では30%という結果となりました。

8月以降反転したiOSのユーザー獲得予算トレンド

iOS14.5のリリース後、モバイルゲームのユーザー獲得支出総額に占めるiOSアプリのシェアは大幅に減少しています。iOSは前年比で13%下落しましたが、Androidは35%増となり2021年全体では18%の上昇となりました。Androidが好調だったのは、ひとえにiOSの広告予算配分がAndroidに対する広告予算に流れてきたことに起因します。

ところが予想に反し8月から年末にかけてiOSのシェアは盛り返し、一方でCPIは上昇トレンドに転じています。

ではなぜほんの数カ月でiOSの予算シェアが上昇したのでしょうか。ATTリリース後、Androidのメディアコストがほぼ変わらなかったのに対し、iOSの有効コストは20%も上昇しました。そしてその後、iOSのメディアコストは約50%を維持し続けています。

つまりCPIが減った結果、各社がメディアコストを増やしたことでユーザー獲得率も反転したということがいえます。

こうした傾向が生まれた背景として、2つの要因が考えられます。

  1. 需給の力学

  2. ATT移行期に適切なオーディエンスをターゲティングし、その影響を適切に予測するためのメディアソースが不足していたこと

国別の傾向を見てみると、iOS14.5以降もモバイルゲーム市場では世界の投資額の半分がアメリカとなっています。それは言わずもがな、そもそもメディア価格がグローバルでも突出して高額で、ダウンロード数も非常に多いからです。

一方で、Androidが優勢な新興国市場にも変化が生まれつつあります。スマートフォンが手頃な価格で手に入るようになったことにより、NOIも大きな伸びを示しているのです。一方、アメリカに比べるとメディアコストが少ないため、総支出額はあまり振るわないのが特徴です。新興国ではいまだAndroidが優位だというのは変わらない傾向です。

プライバシー保護が叫ばれる中、ゲームのマネタイズは受難の時代へ

iOS14.5のリリース以降、iOSのアプリ内課金(IAP)収益は35%の減益となり、Androidは10%の増益となりました。とくにiOS14.5の普及が本格化した2021年6月以降、IAP収益は大幅に減少しています。対照的なのはAndroidのインストール数です。Androidのインストール数は安定し、2021年末にかけては上昇傾向を辿っています。

アプリ内広告(IAA)については、Androidが55%増だった一方で、iOSはATTリリース後2%の減少に転じました。昨年のIAA収益は、Androidは倍増近くの画期的な成長を遂げたにもかかわらず、iOSは成長に転じることができませんでした。ゲームアプリにおけるユーザー獲得は、大きく明暗が分かれたといえるでしょう。

プラットフォームの動向に左右されがちなモバイルゲームアプリ市場ですが、テクノロジーの進歩、スピーディな開発、ユーザー理解ができればプラットフォームの変化にキャッチアップしていくことができるはずです。連載の第2回目では、新興国を中心にしたゲームマーケットのトレンドを紹介していきます。


AppsFlyerについて

AppsFlyer(https://www.appsflyer.com/ja)は、革新的なプライバシー保護の計測、分析、エンゲージメント技術で、マーケティング担当者が自社ビジネスや顧客にとって的確な判断を下せる環境を構築する。ブランドが優れた体験を顧客に提供しながらプライバシー保護の向上を実現するという方針のもと、12,000以上のブランドと10,000以上のパートナーが、より良く、より有意義な顧客関係を構築できるようサポートしている。

《大谷 龍弘》

大谷 龍弘

大手商社にて南米エリアでの事業投資業務を経て、2019年にアプリ業界へ転身。同年にAppsFlyerに入社。AppsFlyerでは、ゲーム業界、金融業界など、多様なニーズが混在するマーケットを担当、顧客のアプリグロースをデータで影ひなたと支える日々に喜びを見出している。また、商社時代のタフな交渉で得た経験を活かし、顧客の課題に果敢に挑むスタイルでカスタマーファーストを貫いている。

+ 続きを読む

この記事の感想は?

  • いいね
  • 大好き
  • 驚いた
  • つまらない
  • かなしい
【注目の記事】[PR]

関連ニュース

特集

人気ニュースランキングや特集をお届け…メルマガ会員はこちら