5Gの高速大容量・低遅延・多接続はゲームを変えるのか? 「5Gインパクト」基調講演レポ【TGS 2019】 | GameBusiness.jp

5Gの高速大容量・低遅延・多接続はゲームを変えるのか? 「5Gインパクト」基調講演レポ【TGS 2019】

TGS2019で開催された第5世代通信規格(5G)に関する「5Gインパクト~5Gによって“ゲームチェンジ”は起こるか?」基調講演の模様をレポートします。高速大容量・低遅延・多接続が特徴の5Gは、ゲームの表現をどこまで広げることができるのでしょうか?

ゲーム開発 その他
5Gの高速大容量・低遅延・多接続はゲームを変えるのか? 「5Gインパクト」基調講演レポ【TGS 2019】
  • 5Gの高速大容量・低遅延・多接続はゲームを変えるのか? 「5Gインパクト」基調講演レポ【TGS 2019】
  • 5Gの高速大容量・低遅延・多接続はゲームを変えるのか? 「5Gインパクト」基調講演レポ【TGS 2019】
  • 5Gの高速大容量・低遅延・多接続はゲームを変えるのか? 「5Gインパクト」基調講演レポ【TGS 2019】
  • 5Gの高速大容量・低遅延・多接続はゲームを変えるのか? 「5Gインパクト」基調講演レポ【TGS 2019】
  • 5Gの高速大容量・低遅延・多接続はゲームを変えるのか? 「5Gインパクト」基調講演レポ【TGS 2019】
  • 5Gの高速大容量・低遅延・多接続はゲームを変えるのか? 「5Gインパクト」基調講演レポ【TGS 2019】
  • 5Gの高速大容量・低遅延・多接続はゲームを変えるのか? 「5Gインパクト」基調講演レポ【TGS 2019】
  • 5Gの高速大容量・低遅延・多接続はゲームを変えるのか? 「5Gインパクト」基調講演レポ【TGS 2019】

9月12日から9月15日の4日間千葉幕張メッセで開催された東京ゲームショウ2019。ビジネスデイ1日目では基調講演として「5Gインパクト~5Gによって“ゲームチェンジ”は起こるか?」のパネルディスカッションが実施されました。通信や端末、ゲームメーカー、海外など様々な立場から5G導入によって予想される変化と実情が語られたセッションのレポートをお届けします。

今回のセッションにはNTTドコモ執行役員5Gイノベーション推進室長 中村武宏氏と、ガンホー・オンライン・エンターテイメント代表取締役社長 森下一喜氏、シャープ通信事業本部パーソナル通信事業部長 小林繁氏、スクウェア・エニックス執行役員/ジェネラル・マネージャー情報システム部 佐藤英昭氏、そしてNetEase Vice PresidentのEthan Wang氏が登壇しました。またモデレーターとして日経xTECH副編集長である山田剛良氏が務めました。

ゲームチェンジャーと言われる5Gはどんな通信規格なのか?



初めにNTTドコモの中村武志氏が自己紹介を兼ねて5Gの説明を始めました。通信の新システム世代は10年ごとに更新しており、第4世代は2010年頃に導入しているため、第5世代も2020年頃にサービスを開始する予定です。


2020年は東京オリンピック・パラリンピックが開催されるため、日本にとっては非常に良いタイミングとなったと説明します。一方で、世界各国で最新技術の導入や技術革新に対しアグレッシブに進んでいっているので日本としてもうかうかしていられないとも語ります。

また国内で2019年9月20日よりラグビーワールドカップを契機にプレサービスを実施。試験的とはいえ、プレ5Gではラグビーワールドカップが開催される8箇所のスタジアムに施設を設置し、スポーツと組み合わせて色々なサービスを提供していくといいます。


また、NTTドコモでは様々な業界と連携しサービスを効率良く作るための5Gのオープンパートナープログラムを2017年から実施。2018年6月末の時点で2,800社を数え、その内訳をみると24%を情報サービス・コンテンツ業界が、19%を卸売・小売と飲食が、17%を製造業が占めています。


5Gのゲーム産業への活用事例としては、『ソードアート・オンライン』とのコラボや、「EVO Japan 2019」に特別協賛し5Gによる8KVR配信やVR空間でのレクチャーを提供したことが挙げられました。5Gの特徴である低遅延性は、オープンイノベーションクラウドにも活用され、社会的課題解決に結びつけていくとしています。


ここで5G標準化のための要求条件を紹介しました。要求仕様に関しては、高速大容量(eMBB)ダウンロードが20Gbpsでアップロードが10Gbpsと高速性が強調されるとともに、超高信頼低遅延(URLLC)に関しては片道0.5msで程度の遅延しか許容されません。そして超多数端末(mMTC)に関しては、1平方キロメートルに100万デバイスを想定。しかしながら、これらは要求条件であるために「常にこの状態で通信できるわけではない」と中村氏は釘を刺します。



5G対応のサービスエリアは数年掛けてエリアを拡大し、4Gネットワークを高度化するとともに併用を重要視しているということです。通信に関してはピーク時が数Gbps程度で、遅延はネットワーク構成や基地局とサーバーの距離に応じての数msから数十msほどになると予想しています。設備の普及も急がれますが、具体的な活用事例はビジネスモデルの構築が先と締めくくりました。


続いてシャープの小林繁氏の紹介へ移ります。シャープのAQUOUSブランドは国内のAndroidスマートフォンにおいてシェア2位を誇っており、ゲームユースでのユーザーも増えているそうです。

昨年からゲーム向けにも力を入れた製品をリリースしており、新製品「AQUOUS zero」は風船で浮かぶほどの軽さと高いスペックをアピール。また動作/充電時の放熱設計にこだわっており、ゲームなど高負荷がかかった際の熱分散に気を付けていると語ります。そこから5G端末を開発するにあたって「ただ動く」から「どう動く」かをイメージしており、放熱、端末自体の低遅延、長い時間安心して使える電池持ち、持ちやすさの4つを挙げます。



続いてスクウェア・エニックスの佐藤英昭氏が同社の5Gへの取り組みについて解説しました。従来はデジタル販売強化とマルチプラットフォーム展開、地域展開、Game as a Service, Game as Media、eコマースに注力してきましたが、中期的取り組みでは3DモデリングとAI、ブロックチェーン、XR(VR/MR/ARなど)、そして5G関連が注力分野となると語ります。


特に5Gについては2015年ぐらいから存在を意識していたものの、ラウンドトリップタイム(データを送信してから応答が帰ってくるまでの時間)を考えるとインパクトはそこそこだと考えていたそうです。しかし、ここ直近の盛り上がりを見ていると、5Gの次世代通信となる6Gも含めて考えなければと思っているようです。

ここで図として5Gの特徴を改めて説明。5Gは、先の説明であった通り4Gより大容量超高速性、低遅延性、多接続性を高めていますが、これらの特性は同時に全て発揮できるというわけではありません。なお、電波はフェイズドアレイアンテナのような複数アンテナを束ねたMIMO方式を活用し、28GHz帯/最大200MHz幅で指向性のある電波を飛ばすビームフォーミングなどの技術を使います。



また基地局からのバックボーンが改良され、遅延を小さくしネットワークスライシング(ネットワークを仮想的に分割し、用途に応じて最適なネットワークを提供する技術)で効率化します。先の低遅延化技術により、e-Sportsにおいては試合をVRやディスプレイから高画質でリアルタイムに観戦することなどの活用例が挙げらました。日本における5Gのサービス提供は、冒頭でも述べられたように19年9月にプレサービスが開始し、本格開始は東京オリンピックより前の2020年春が予定されています。





《G.Suzuki@Game*Spark》

この記事の感想は?

  • いいね
  • 大好き
  • 驚いた
  • つまらない
  • かなしい
【注目の記事】[PR]

関連ニュース

特集

人気ニュースランキングや特集をお届け…メルマガ会員はこちら