6月1日から2日まで京都で開催されたインディーゲームの祭典「BitSummit 7 Spirits」にて、高橋慶太氏(以下、高橋氏)の新作『Wattam』が出展され、日本初公開。今回、同イベント会場では生みの親である高橋氏にインタビューする機会を得ました。本作はPlayStationブースに展示されており、プレイした来場者から暖かな笑い声が起きていたのが印象的なタイトル。『Wattam』というタイトルの由来も気になりますが、実は本作開発のヒントになった出来事というものがあったそうな。それは一体どのようなものなのでしょうか。――今日はよろしくお願いします。まず、『Wattam』というタイトルの由来を教えてください高橋氏:よろしくお願いします。『Wattam』のプロトタイプを作っていたエンジニアがインド人で、母語はタミル語なんですね。タミル語で輪やサークルを意味する単語が「vattam」で先頭の"v"を日本語の「わ」(輪)に置き換えて、『Wattam』という造語なんです。そのエンジニアはグーグルを辞めて『Wattam』の開発に携わってくれました。一度チーム解散をしたときにグーグルに戻りましたが、今もつながりがありますね。――タミル語と日本語の造語だったんですね。だからPAX SOUTHに登壇された際にインド国旗が表示されたのですね。続いて『Wattam』制作のきっかけについて教えてください高橋氏:PAX SOUTH2015の時も触れましたが、2歳の子とおもちゃで遊んでいたときにヒントを得ました。――他にもゲーム作りのアイデアがあったと思うのですが、なぜ子供のおもちゃで遊んだ経験でゲームを作ったのでしょう高橋氏:子供と積み木遊びをして、僕が積み木を積んで、子供がそれを壊して喜んでいる中で、何かを壊しちゃうというのは楽しいのかなと感じたんですね。そこから、積み木が生きていて勝手にタワーを作ったらどうだろうと考えたり、積み木じゃなくて花とか市長(プレイヤー)がタワーになっていけばそのままゲームになるじゃないかと思いました。――ゲーム内でも市長が爆弾を爆発させると、吹き飛んだ花や石などのキャラが大喜びして「もう一回!」「もう一回!」とせがむのも子供みたいですね高橋氏:世界が何もない状態になっていて、突然現れた娯楽にみんなが過剰反応しているような感じですね。『Wattam』では爆弾が爆発する描写は、何かを壊すのではなく爆発力で飛んでいく描写でゲームのストーリーとも絡んでいます。――『Wattam』にはトイレやうんちも登場しますが、子供向けのゲームというわけでもないですよね高橋氏:子供をターゲットにしているゲームでないですね。実は、僕は世の中にあるものはなんでもゲームにできると思っているんですよ。世の中にあるものは、敵を倒したりや魔法を使うばかりではないですよね。ゲームの表現はいまだに偏っているように思うけど、もっと対象を広げることできると思います。今までゲームでは拾ってこなかったテーマ、たとえば食べ物を食べてうんちが出たり、肥料になって木に果物が実ったりというのはみんなが当たり前だと思っていることですよね。それをゲームで再現したら「すごいですね」と言われる事が多いですが、それはみんなが日常で当たり前にやっていることなんですよ。――ゲームを通して日常の当たり前に気づくのは難しいのかもしれないですね高橋氏:「当たり前のことは当たり前じゃないんですよ」というのも『Wattam』の一つのメッセージですね。当たり前のことが当たり前でなくなって、失ってはじめて大切だったと気づいても手遅れですよね。――テーマに触れながら遊びたいですね。今日はありがとうございました
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