カプコン、ソフトウェア制作室室長が語る「Panta Rhei」と「MT Framework」の使い分けとは | GameBusiness.jp

カプコン、ソフトウェア制作室室長が語る「Panta Rhei」と「MT Framework」の使い分けとは

カプコンは、開発者インタビュー2013 Vol03.を公開し、伊集院勝氏へのインタビューを公式サイトに記載しました。

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カプコンは、開発者インタビュー2013 Vol03.を公開し、伊集院勝氏へのインタビューを公式サイトに記載しました。
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カプコンは、開発者インタビュー2013 Vol03.を公開し、伊集院勝氏へのインタビューを公式サイトに記載しました。

これまで、『MHP 2nd』以降のプロデューサーを務めた辻本良三氏や、制作部プロデュース室長の小野健太郎氏などへのインタビューを通じ、ゲーム制作などの姿勢を明らかとしてきたインタビューシリーズの第三弾となる今回は、伊集院勝氏が登場となりました。

伊集院氏は、『鬼武者2』でメインプログラマーを務めた経歴も持ち、その後ソフトウェア制作室室長に就任。ゲームエンジン「MT Framework」や「Panta Rhei(パンタ レイ)」の第一人者として、同社の技術力向上に貢献してきました。

同社のゲームソフト開発は、「MT Framework」という独自の開発エンジンを使用することで、効率化やクオリティアップを実現してきました。ですが、これまで運用を続けてきた経験則から、いくつかの問題点や限界なども浮き彫りとなり、次世代機での開発を見据えた際により複雑化するハードの性能に対応するための開発環境を根本的に見直す必要があると判断。そうした経緯から取り組んだ新たなエンジンが、「Panta Rhei」となります。

伊集院氏曰く、「MT Frameworkは高い表現力を持ったエンジンという自負がありますが、当然ゲームのクオリティに比例して作業工数も増加します。この開発工程を次世代機にあてはめた場合、現行機の8〜10倍の作業量になってしまうんです」と述べており、「Panta Rhei」の登場が半ば必然であったことを語ります。

「MT Framework」をバージョンアップすることで改善できるという道もありましたが、「安易な道には安易な結果しか残りません」と語り、1時間の作業を30分にするよりも、労力をかけてでも1時間を10分にする道を選択した結果が、「Panta Rhei」の着手であると説明します。

「Panta Rhei」を導入するにあたり、クリエイターは再度学び直す必要が生まれますが、「次世代据え置き機では、表現する内容そのものが大きく変わるので、従来のセオリーは通用しません」と、今年から本格化を始める次世代機での流れを厳しく見つめ、エンジン開発でも見せた挑戦する姿勢を伺わせており、それは「Panta Rhei」を推進するカプコン全体の意思の表れとも言えるでしょう。

また伊集院氏は、「Panta Rhei」の特徴として、イテレーション(反復作業)の短縮化を高めていると告げました。ゲームバランスにおいて重要な、パラメータの調整や遊び方の検討などの試行錯誤が、例えば今まで一度の反復に10分要していたものが1分でできるようになると具体例を述べ、単純計算で10倍の作業が可能になると語っています。

こういった改善点は、現場の開発チームに細かくヒアリングした結果によるものであり、現場で求められているエンジンが「Panta Rhei」であるとも言えるのです。もちろんイテレーションだけでなく、作業の並列化や流体表現、グローバルイルミネーションなどの注目点を、短いインタビューの中だけでも様々に明かしています。

もっとも、今後全てのエンジンが「Panta Rhei」に切り替わるということはなく、むしろ「Panta Rhei」自体は次世代機を中心とした開発に主眼を置き、PS3/Xbox 360/Wii Uやパソコン、3DSやPS Vitaにスマホといった、現在の主流路線ではこれまで通り「MT Framework」による開発体制が継続されます。その意味でも、「Panta Rhei」は新しい時代のために用意されたエンジンであり、チャレンジの象徴といっても過言ではないかもしれません。

伊集院氏の導きにより磨き上げられる「Panta Rhei」は、現在 『deep down』のチームと共同で開発を進めています。「スパーリングパートナー」と伊集院氏に称された『deep down』チームとの協力により、更なる完成度へ向けて二人三脚でその歩みを進める「Panta Rhei」。新たなエンジンがもたらす次世代ゲーム体験の足音が感じられる、開発者インタビュー第三弾となりました。

こちらで紹介した内容以外にも、「Panta Rhei」が秘める可能性や開発秘話などが綴られているので、興味がある方は開発者インタビューを直接ご覧ください。
《臥待弦》

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