開発費最大50%を助成、ドイツ企業17社が日本へ―『トロピコ』『EVERSPACE』企業も参加した日独ゲーム産業交流 | GameBusiness.jp

開発費最大50%を助成、ドイツ企業17社が日本へ―『トロピコ』『EVERSPACE』企業も参加した日独ゲーム産業交流

TGS2026にあわせて来日したドイツ企業17社による日独ゲーム産業交流を取材。『トロピコ』のKalypso Media Groupや『EVERSPACE』のROCKFISH Gamesなど、日本市場との連携を目指す企業の取り組みを紹介します。

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開発費最大50%を助成、ドイツ企業17社が日本へ―『トロピコ』『EVERSPACE』企業も参加した日独ゲーム産業交流
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TGS2026にあわせて来日したドイツ企業代表団による「ドイツ企業代表団 カンパニーピッチ・ネットワーキングレセプション」 が開催されました。

今回の代表団は、ドイツ連邦経済・エネルギー省(BMWE)の支援による日本市場開拓事業の一環として来日したゲーム分野のドイツ企業17社で構成されています。日本企業との連携や新たな市場機会の開拓、戦略的パートナーシップの構築などを目的としており、東京ゲームショウ2026にも参加しました。

本稿では、秋葉原UDXで行われた同イベントをベースに、ドイツ政府によるゲーム産業支援の取り組みと日本市場との連携を目指すドイツ企業を紹介します。

日本とドイツ、ゲームにて長期的な関係構築を目指す

ドイツ連邦研究・技術・宇宙省から登壇した担当者は、ゲームを単なるエンターテインメントではなく、イノベーションや将来の技術を生み、他産業とのシナジーも期待できる分野だと説明。開発助成や世界最大級のゲーム見本市「Gamescom」への政府出展など、ゲーム産業を支援する取り組みを紹介しました。

ドイツではゲーム産業への支援策として、開発費の最大50%を助成する制度を展開しています。1プロジェクトあたりの上限は800万ユーロで、2019年以降700件以上のプロジェクトを支援してきたといいます。このほか、ドイツ・コンピューターゲーム賞や連邦ゲーム戦略など、複数の施策を通じて産業振興を進めています。

また、「Gamescom」にも連邦省庁としてブースを出展したことを語ります。「ドイツでゲームを作る」というビジョンのもと、投資家やパブリッシャーだけでなく、ドイツへの進出を検討する海外企業にも門戸を開いています。条件を満たせば、こうした企業も助成制度を利用できるとしました。

実例として、カナダのスタジオがミュンヘンにオフィスを構える際、320万ユーロを助成したケースも紹介。日本企業についても、今後ドイツでの事業展開やGamescomへの参加を通じて支援制度を活用する可能性があると呼びかけました。支援金の存在は「海外進出の際にどの国を選ぶか」にも大いに関わる事例でしょう。

日本側からは、経済産業省 商務・サービスグループ文化創造産業課より、コンテンツ産業が政府の掲げる戦略17分野のひとつに位置づけられ、2033年までに海外売上高20兆円を目指していることが紹介されました。そのなかでもゲーム産業は、コンテンツ産業全体の海外売上高の約6割を占める中核的な分野だと説明されます。

国際展開のうえで、ドイツを欧州有数のゲーム産業の集積地として重要視していると説明。日本のデベロッパーとドイツのパブリッシャー、あるいはドイツのデベロッパーと日本のパブリッシャーといった相互連携に加え、広報やマーケティングを担う企業との協力にも期待を示しました。

今回の訪日プログラムには、ゲーム開発やパブリッシングだけでなく、マーケティング、XR、コンサルティングなど幅広い領域のドイツ企業が参加しています。 会場では参加企業によるカンパニーピッチも実施され、それぞれの事業や日本市場との接点、今後の協業に向けた展望などが紹介されました。ここからは、訪日プログラムに参加した企業を一部ピッチ情報などを加え紹介していきます。

日本との新たな接点を探るドイツ企業たち

今回の代表団に参加した企業は以下の通り。

  • Anderie Management

  • BBG Entertainment

  • Bigpoint

  • Blue Backpack

  • Crexpro

  • Gameinfluencer

  • Headup

  • HighPassionStudios

  • Kalypso Media Group

  • Benjamin Lochmann New Media

  • ROCKFISH Games

  • Studio Merkas

  • Soulven

  • Second Stage

ここからは、訪日プログラムに参加した企業の一部を、会場でのピッチ内容や提供資料を交えながら紹介します。

Kalypso Media Group

代表団には、『トロピコ』シリーズなどで知られるKalypso Media Groupも参加。同社はドイツ、イギリス、日本、アメリカ、フランスの5カ国・10拠点に200名以上のスタッフを擁するパブリッシャー兼デベロッパーです。2006年から2026年までに60タイトル以上をリリースしており、ストラテジーやシミュレーションを中心に複数のフランチャイズを展開してきました。

今後の予定としては、『トロピコ 7』や『Warhammer 40,000: Mechanicus 2』などのリリースも控えています。日本にも拠点を設け、日本カントリーマネージャーを配置。今回は日本をアメリカ、中国、ドイツ、イギリスなどと並ぶ重要市場のひとつとし、デジタルとリテール双方で販売を拡大するための流通パートナーを求めたとのこと。

BBG Entertainment

BBG Entertainmentは、ミュンヘンを拠点とするゲームパブリッシャー兼デベロッパーです。同社のルーツは2002年に設立されたモバイルゲームパブリッシャーLiving Mobileにあり、ハドソンをはじめとする日本企業と協業。Living Mobileは2005年にウォルト・ディズニーに買収され、「Disney Mobile」となりました。その後、2008年に現在のBBG Entertainmentが設立されています。

現在はクラシックIPの再活性化に注力しており、『Boulder Dash』『ASTROSMASH』『SHARK! SHARK!』などを展開。ピッチでは、セガ関連IPを用いた作品や新たな『ワンダーボーイ』の開発についても紹介されました。日本のゲームIPを取得し、欧米市場へ展開する取り組みにも力を入れる狙いがあるそうです。

ROCKFISH Games

ハンブルクを拠点とするROCKFISH Gamesは、スペースアクションRPG『EVERSPACE』シリーズを手がけるインディーゲームスタジオです。同社は約30名のゲーム開発者やコミュニティ担当者からなるチームで、『EVERSPACE』シリーズやUnreal Engine 5を活用した開発を強みとしています。

『EVERSPACE』シリーズはPC、Xbox、PlayStation、Switch向けに240万本以上を販売。2023年にリリースされた『EVERSPACE 2』は、2024年のドイツ・コンピューターゲーム賞で最優秀ドイツゲーム賞を受賞。注目したいのは、次期プロジェクトに向けてドイツ政府から800万ユーロの助成を受けている点です。ドイツ政府によるゲーム開発支援が、実際のスタジオにどのように活用されているのかを示す事例でもあります。

代表団向け資料では、アーティスト、開発スタジオ、制作会社、マーケティング企業、パブリッシャーなどを協業先として挙げており、今回の訪日を通じて新たなパートナーとの接点を探りました。

日本とドイツ、双方に広がるビジネスチャンス―次なる交流にも期待

こうした企業の来日は、日本企業にとっても欧州市場との新たな接点になりそうです。今回参加した企業の多くは、日本でのパブリッシングや流通、共同開発、マーケティングなどのパートナーを求めており、すでに日本拠点を持つKalypso Media Groupのような企業も含まれています。一方で、ドイツ側も海外企業の進出を受け入れる姿勢を明確にしており、日独ゲーム産業の連携は今後さらに密接なものになっていくでしょう。

2027年にはドイツ・ケルンで再びGamescomが開催されます。日本企業にとっては、単に欧州へゲームを販売するだけでなく、現地企業との共同開発やパブリッシング、流通網の構築、さらにはドイツを拠点とした欧州市場への展開まで視野に入れられる機会となりそうです。

今回の代表団による訪日は、ドイツ企業が日本市場への足掛かりを探るだけでなく、日本企業にとってもドイツ、そして欧州市場との新たな関係を築く場となりました。

こうした交流は、海外展開を考える日本のゲーム企業や開発者にとっても貴重な機会です。今後も同様の機会が設けられるのであれば、欧州市場への展開や新たな協業先を探す業界関係者は、ぜひ参加を検討してみてはいかがでしょうか。

《高村 響》

ゲームライター(難易度カジュアル) 高村 響

最近、ゲームをしながら「なんか近頃ゲームしてないな」と思うようになってきた。文学研究で博士課程まで進んだものの諸事情(ゲームのしすぎなど)でドロップアウト。中島らもとか安部公房を調べていた。近頃は「かしこそうな記事書かせてください!」と知性ない発言をよくしている。しかしアホであることは賢いことの次に良い状態かもしれない……。

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