『昭和米国物語』は“わざと変なゲーム”を作っているわけではない!約4年半かけて作る「信じられる世界」―日本の実在楽曲も本編に「たくさん」登場【開発者インタビュー】 | GameBusiness.jp

『昭和米国物語』は“わざと変なゲーム”を作っているわけではない!約4年半かけて作る「信じられる世界」―日本の実在楽曲も本編に「たくさん」登場【開発者インタビュー】

開発期間は約4年半、現在は最終磨き込み段階。「それが大事」「もしも明日が…。」など楽曲選定の意外な裏側も訊いた

ゲーム開発 インディー
『昭和米国物語』は“わざと変なゲーム”を作っているわけではない!約4年半かけて作る「信じられる世界」―日本の実在楽曲も本編に「たくさん」登場【開発者インタビュー】
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日本とアメリカの文化が奇妙に融合した「昭和アメリカ」を舞台に、死から蘇った少女・千草蝶子の旅を描くアクションRPG『昭和米国物語』。

昭和66年、日本が強大な経済力によってアメリカの大部分を買収したという大胆な世界設定に加え、日本の80~90年代を思わせるポップカルチャー、ゾンビ、派手なアクションなどが入り乱れる独特な作風で、発表当初から大きな注目を集めてきました。

本作を開発するのはNEKCOM Entertainment。Steamでは2026年発売予定とされており、PC版のウィッシュリスト登録を受け付けています。

Game*Sparkでは「gamescom 2026」にて本作を試遊するとともに、NEKCOMの羅翔宇(Xiangyu Luo)氏へインタビューを実施しました。羅氏はNEKCOMの創設者・CEOで、エグゼクティブプロデューサー、クリエイティブディレクターも務めています。

約4年半の開発期間。「大型ゲーム」と「インディーゲーム」の長所を両立したい

――『昭和米国物語』は最初の発表からかなり長い開発期間になっています。この数年間で、ゲームの方向性が最も大きく変わった部分はどこでしょうか?

羅翔宇氏: 実は、ゲームの方向性自体はほとんど変わっていません。 

また、純粋な開発期間についても、外で言われているほど長いわけではなく、現時点でおよそ4年半です。それ以前は前期の設計にかなり時間を使っていました。本作はゲーム全体の規模が大きいので、特にデザイン部分には多くの時間がかかっています。

もうひとつ補足すると、私たちがずっと挑戦しているのは、高いプロダクション品質を持ちながら、同時に非常に強い作家性も残したゲームを作ることです。大型ゲームとインディーゲーム、それぞれの長所を兼ね備えた作品にしたいと思っています。

そのため、ゲーム内の大部分の内容について、私自身がデザインに関わっています。ビジュアルのスタイル、音楽のスタイル、シナリオに対する姿勢から、大きなところではゲームのシーン、小さなところでは一つひとつのアイテムのデザインや見せ方までです。

こういう作り方をするための開発パイプライン自体も、かなり試行錯誤しました。何度もイテレーションを繰り返してきたので、そこにも多くの時間を使っています。

――今回の試遊を触ると、単に“変な世界観を見るゲーム”ではなく、その奇妙な世界を実際に歩き回り、戦い、寄り道しながら楽しめるRPGとして作られている印象を受けました。開発チームとしても、『昭和米国物語』は“変な世界観そのもの”より、“変な世界を楽しめるRPG”として受け取ってほしいのでしょうか?

羅翔宇氏: そうですね。私たちがこのゲームをデザインするうえで最も重視していることのひとつが、RPGとしての雰囲気と、その世界をきちんと構築することです。私は、わざと奇妙なものを作ったり、わざと笑わせたりするようなゲームにはしたくありません。

ゲームに入っているものについては、実はどれも非常に真面目に考えています。この世界で暮らしている人たちは何をするのか、何を考えるのか、何が好きなのか。そして、それぞれのキャラクターにはどんな物語が起こるのか。そういうことをひとつずつ真剣に考えて作っています。

私が目指しているのは、プレイヤーにとって信じられる世界です。そして、その世界へ自然に入り込めるようにしたい。見た目は奇妙かもしれませんが、「意味のわからない世界」にはしたくありません。この世界なら、本当にこういうことが起こり得るのではないかと思ってもらいたいんです。

……見ての通り、私自身もすごく真面目な人間ですから(笑)。

ウ◯トラマン的なポーズを取ってくれた羅氏

寄り道は必須ではない。でも遊ぶほど「昭和アメリカ」の世界が見えてくる

――メインクエストだけでなく、サイドクエストや街のアクティビティもあります。寄り道をすることでしか見えない“昭和アメリカ”の文化や人物も多いのでしょうか?

羅翔宇氏: はい。こうした追加コンテンツやサイドクエストは、ゲームの世界を豊かにするための非常に重要な方法です。プレイヤーがそれらを遊ぶことで、世界の細かな部分についてもっと知ることができますし、キャラクター自身の能力を成長させることにもつながります。

もちろん、サイドクエストを一切やらなかったとしても、ゲームをクリアできなくなるわけではありません。メインストーリーだけを進めて、最後まで到達することもできます。

ただ、時間をかけて探索すればするほど、この世界についてより深く理解できますし、蝶子自身もより強くなっていきます。

――最新映像では、かなりクセの強いNPCやギャグが次々に登場します。こうした“悪ふざけ”と、主人公・蝶子のシリアスな物語のバランスはどのように取っていますか?

羅翔宇氏: 私としては、実はゲームに登場するキャラクターたちは、みんなかなり真面目なんです。

プレイヤーから見ると面白い人物に見えるかもしれませんが、本人たちはふざけているわけではありません。ただ、性格の組み合わせによって、プレイヤーには少しコミカルに見えることがあります。

例えば、いつも誰かにツッコミを入れるような人物がいて、その一方で、非常に頑固で一本気な熱血タイプの人物もいます。そういう性格の違うキャラクターたちを一緒にすると、自然と化学反応が起きます。

その結果として、プレイヤーから見れば彼らの旅がとても楽しいものに映ると思います。でも、物語の中では一人ひとりが自分の目的を持っていますし、本人たちはその目的に対して非常に真剣です。笑わせるためにふざけているのではなく、真面目な人たちが一緒にいるから自然と面白いやり取りが生まれる、という考え方ですね。

日本の実在楽曲はゲーム本編にも「たくさん」。選曲の原点は自身のプレイリスト

――『それが大事』『もしも明日が…。』といった実在曲がテーマソングに使われています。ゲーム本編でも、こうした日本のライセンス楽曲を聴ける機会はありますか?

羅翔宇氏: はい。たくさんあると思います。

――ライセンス曲の選定は、まず“有名な昭和の曲”から選ぶのでしょうか。それとも、歌詞や時代背景が本作の物語に合うかを最優先していますか?

羅翔宇氏: 実は、最初からそのどちらかを基準にして選んでいるわけではありません。こうした曲は、私が子供のころから聴いて育ったものなんです。もともと自分のプレイリストに入っていましたし、学生時代から何度も聴いていて、私自身がとても好きな曲です。

だから『昭和米国物語』の物語を作っていると、自然と頭の中にそういう曲が浮かんできます。あるシーンを作っているときに、「あ、この場面でこの曲を使ったらすごく合いそうだ」と突然思いつくんです。

もちろん、その後で歌詞も確認します。そうすると、「あれ、歌詞までかなり合っているな」と思うこともあります(笑)。ただ、最初から歌詞や時代背景を条件にして曲を探しているわけではありません。まず私自身の記憶や好みの中から、自然に出てくるんです。

――戦闘中のBGMも、昭和の日本の楽曲を思わせる雰囲気がとても印象的でした。戦闘音楽では、どのような時代感や音楽性を表現しようとしているのでしょうか? 特にこだわっている部分があれば教えてください。

羅翔宇氏: 戦闘BGMについては、大きく3つのポイントを重視しています。ひとつ目は、その音楽が敵や勢力の雰囲気に合っているかどうかです。例えば、ヤクザのような敵と、また別のタイプの敵では、それぞれまったく違う特徴を持っています。ですから、敵のタイプごとに異なるBGMを用意しています。

2つ目は、1980年代の日本の音楽らしい特徴を持っているかどうかです。そして3つ目は、メロディですね。私はメロディがとても重要だと考えています。耳に残る、キャッチーなものになっているかどうかです。そうした強いメロディは、80~90年代の日本のポップミュージックにおける非常に大きな特徴のひとつだと考えています。

ですから、敵や勢力のキャラクターに合っていること、80年代の日本音楽らしさ、そして耳に残るメロディ。この3点を特に大切にしています。

――過去のインタビューでは、版元から「こんなに奇抜でセクシーでゴアなゲームに使って大丈夫なのか」と心配されたという話もありました。今では『昭和米国物語』の企画自体を日本の権利元に説明しやすくなりましたか?

羅翔宇氏: 今は以前より説明しやすくなっているのではないかと思います。『昭和米国物語』自体も以前より知られるようになってきましたから、これからも引き続き、いろいろと挑戦していきたいと思っています。

具体的な発売日はまだ秘密。現在は「最終磨き上げ」の段階

――発売年はいまも2026年とされています。現時点で、発売日を発表できる段階にはどこまで近づいていますか?

羅翔宇氏: 具体的な発売日については、残念ながら現時点ではまだお伝えすることができません。

ただ、お話しできるのは、現在は最終的な磨き上げの段階に入っているということです。

今回遊んでいただいたデモを見てもらってもわかると思いますが、今も細かな修正や調整を続けています。製品版として完成させるため、最後の仕上げを進めているところです。

――本作は中国の開発チームが日本文化を愛情たっぷりに再解釈している点でも注目されています。日本のプレイヤーから「そこを見るのか!」という反応をもらった要素で、開発チームが特に嬉しかったものはありますか?

羅翔宇氏: もちろん、そういう反応をいただけることは、チームとして本当に嬉しいです。

gamescomの期間中は私たちも非常に忙しいのですが、それでも時間を見つけて、インターネット上でどんな反応があるのかを確認していますし、会場で実際に遊んでくださった方々の反応も見ています。

そうしたフィードバックを見ることができるのは、私にとってもチームにとっても、とても嬉しいことです。


発表当初から、そのあまりにも強烈なビジュアルと設定によって「なんだこれは」と人々を振り向かせてきた『昭和米国物語』。しかし、今回のインタビューで繰り返し語られていたのは、意外なほどの「真面目さ」でした。

奇妙なものを置いて笑わせるのではなく、その世界で本当に人が暮らしているとしたらどうなるのかを考える。キャラクターもふざけているのではなく、本人たちは大真面目。そして日本の楽曲も、単に「昭和っぽい曲」を探してきたのではなく、開発者自身が幼いころから聴いてきた音楽の記憶から自然に選ばれています。

一見すると荒唐無稽なのに、妙に一本の筋が通って見える『昭和米国物語』。その理由の一端は、開発者が語った「信じられる世界を作りたい」という姿勢にありそうです。

『昭和米国物語』は、PS5/Windows(Steam)向けに2026年発売予定です。

《みお@Game*Spark》

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