スマホ新法対応の決済代行からデータ分析基盤まで―「GTMF 2025」で見つけたゲームビジネスを加速させるソリューション5選

2025年11月20日に大阪・梅田にて、同25日には東京・新宿にてゲーム開発向けの総合イベント「Game Tools & Middleware Forum（GTMF） 2025」が開催されました。

今回が20回目の開催となった「GTMF」は、ツールやミドルウェア、クラウドサービスなどゲーム制作を支える最新技術やサービスを紹介する国内最大級の専門イベント。本稿では出展ブースの中から、ビジネスソリューション関連企業のブースをレポートします。

Global-e Japan

2025年12月18日付の「スマートフォンソフトウェア競争促進法（スマホ新法）」施行に伴い、スマホゲームではゲーム外Webサイトで有償通貨（いわゆる課金石）などを購入できるようにするアプリ外課金の動きが加速しています。

「アプリ外課金×MoR（Merchant of Record）」を掲げるGlobal-e Japanは、そうした潮流のなかで海外ユーザーがゲームに課金する際のハードル（決済／不正対策／各国の法規制や税務規制に対応した当局への納税など）にワンストップで対応するソリューションです。

100以上の通貨、150以上の決済方法のみならず、デジタル・物販の両方に対応したハイブリッド方式なのが特徴で、ポケモンセンターやアニメイトも海外ファンへの物販で本ソリューションを導入。また、海外へのゲームのダウンロード販売という用途にも対応しています。

ブースで話を聞くと、前述のスマホ新法を受けて最近は導入の問い合わせが増え続けているとのこと。「今は「アプリ外課金を始めよう」というフェースだと思いますが、将来的にはグッズの販売なども一緒に行えますので、ぜひご相談ください」とのことでした。

SBペイメントサービス

SBペイメントサービスは、スマホ新法の施行に伴い注目を集める「アプリ外課金（Webストア）」に向けた決済ソリューションを提供しています。

同社の特長は、「大規模決済システム」と「集客力」です。 決済面では、年間約25億件以上（2024年実績）という業界トップクラスの処理能力で安定稼働を実現しています。 導入時には、API型やリンク型など企業の開発環境にあわせた最適な接続方法が選択可能です。 さらに、PCI DSSなど認証規格の取得に加え、EMV 3-Dセキュアなどの不正利用対策サービスにて不正利用を未然に防ぐ仕組みを整備しています。

集客面では、ソフトバンクのグループシナジーを活用し、ソフトバンク・ワイモバイルユーザーに向けたメールプロモーションの展開や、 リアルイベントでのユーザーとの接点創出など、オンラインと対面の両軸でゲームタイトルの認知向上や新規ユーザーの獲得を後押ししています。 ゲーム企業への決済導入実績も豊富で、ゲームビジネスの収益拡大をトータルでサポートする姿勢が印象的でした。

シンキングデータ

ゲームタイトルの長期運営や収益最大化に欠かせないデータ分析基盤を展示していたのが、ThinkingData（シンキングデータ）のブースです。

同社は、自社プロダクトであるゲーム業界に特化した分析・運営プラットフォーム「ThinkingEngine」を提供しており、データの収集から分析、施策実行までを一気通貫で支援する点を強みとしています。上海、シンガポール、東京、ソウル、サンフランシスコへとグローバルに展開しており、現在1500社・8000タイトルの導入実績を持つとのことです。

中核となるデータ分析基盤「ThinkingEngine」は、アプリ・PC・コンソール・Webといったマルチプラットフォームのゲーム内外データを安全に統合し、ノーコードで可視化・分析できるのが特徴。従来のようにSQLやデータアナリストによる処理を必要とせず、プランナーや運営担当者自身が、継続率・離脱・課金・イベント効果などの指標を即座に確認できます。

ブースで強調されていたのは、単なる「細かいログ取得」にとどまらない点です。ThinkingEngineでは、ユーザーの行動ログを秒単位で扱いながらも、それらを業界知見に基づく分析モデルやテンプレートに落とし込み、「なぜその行動が起きたのか」を解釈できる形で提供しています。これにより、「どのユーザー層が、どのタイミングで、どの行動につまずいているのか」「施策が実際にどのKPIに影響したのか」といった運営判断に直結する洞察を得ることが可能です。

また、分析だけでなく、セグメント作成からリアルタイム施策配信までを同一基盤で行える点も注目ポイントです。ユーザー行動に応じた自動トリガー配信や、アップデート不要のLiveOps施策など、運営スピードを重視した設計が随所に見られました。

すでに国内外で規模を問わず多数のゲームタイトルに導入されており、ブースでは実際の運用画面を想定したデモも展示されていました。来場者は、自社タイトルのフェーズや課題に応じて、「どのデータを、どのように活用できるのか」「既存の開発・運営フローにどう組み込めるのか」といった具体的な相談を行っていました。

データ分析を“専門部署だけのもの”から“現場が日常的に使う運営インフラ”へと引き上げる—ThinkingDataのブースは、そんな同社の思想とプロダクトの方向性を体感できる内容となっていました。

マーケティングアソシエーション/HATME

マーケティングアソシエーションは、ゲームのカスタマーサポートサービスを提供しています。メール、チャット、LINE、必要であれば電話にも対応したユーザーサポート、口コミやレビューを調査してのレポート作成、ゲームの稼働監視・障害検知などを提供しています。

数々の社内研修を終えた正社員100％の運営体制で10年以上のサポート代行実績を持ち、スマホゲーム、PCオンラインゲーム、コンソールゲーム、カジュアルゲームなどさまざまなプラットフォームに対応しているとのことです。

HATMEはマーケティングアソシエーションの完全子会社で、ゲームの集客支援サービスを提供しています。Instagram、Facebook、LINE、Tiktokなど主要SNSへの集客支援、ゲームの公式アカウント運用などを行うほか、フォロワーのニーズや傾向を分析したイベントの提案などにも対応します。

ブースでは「ゲーム・アプリ専門カスタマーサポート代行」と銘打たれていましたが、これは「ゲーム会社への相談・導入には、ゲームへの豊富な知見を持つゲーム専門チームが対応する」という意味で、ゲーム以外にもアパレル、サプリメント、化粧品など幅広い分野・業界にサービスを提供しているとのことです。

Xsolla（ロゴパートナー）

最後に、GTMF2025のロゴパートナーを務めたXsollaを紹介します。

Xsollaは、ゲーム開発者やパブリッシャー向けに、課金決済システムや収益化ツールをグローバルに提供するビデオゲームコマース企業です。「スマホ新法」の施行やアプリ外課金の潮流において、世界的に豊富な実績を持つリーディングカンパニーとして知られています。

同社のソリューションは200以上の地域、700以上の決済方法に対応しており、各国の複雑な税務処理や不正対策を代行する「MoR（Merchant of Record）」としての機能も強力です。特に「Webショップ」構築ソリューションは、モバイルゲームの収益性を高める手段として多くの有力タイトルに採用されています。

2005年の設立以来、長きにわたりゲーム業界の収益化を支えてきた同社の知見は、国内市場での収益最大化だけでなく、海外展開を視野に入れる開発者にとっても強力な武器となるでしょう。