斉藤大地氏には“筋”を通してほしい…『NEEDY GIRL OVERDOSE』で何が起こったのかを今、「とりい氏」と「にゃるら氏」ら中核人物に語ってもらった【インタビュー】 | GameBusiness.jp

斉藤大地氏には“筋”を通してほしい…『NEEDY GIRL OVERDOSE』で何が起こったのかを今、「とりい氏」と「にゃるら氏」ら中核人物に語ってもらった【インタビュー】

断続的に告発ツイートのポストと削除を繰り返すにゃるら氏に、沈黙を続ける斉藤大地氏。そして、何事もなかったかのようにXの更新を続ける「超てんちゃん」。TVアニメ化も発表された『ニディガ』の裏側で、何が起こっているのでしょうか。なお、本インタビューは、すべての…

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斉藤大地氏には“筋”を通してほしい…『NEEDY GIRL OVERDOSE』で何が起こったのかを今、「とりい氏」と「にゃるら氏」ら中核人物に語ってもらった【インタビュー】
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最強のインターネットエンジェル、もとい配信者を目指す承認欲求高めの女の子・あめちゃんを、プレイヤーは彼女の「ピ(恋人)」という立場から導いていく病み系配信者育成ADV『NEEDY GIRL OVERDOSE』。

累計売上は300万本に上り、国産インディーゲームのなかでも指折りの成功を収めた本作のTVアニメ化が発表された際、必ずしも歓喜の声ばかりで迎えられなかった理由については、多くのゲームファンが知ることでしょう。

『NEEDY GIRL OVERDOSE(以下、ニディガ)』を巡るトラブルが表面化したのは2025年4月のこと。原作者であるにゃるら氏のXがきっかけでした。スピンオフ作品『NEEDY GIRL OVERDOSE タイピング オブ ザ ネット』制作体制の変更に合わせて同氏は、プロデューサーであり、パブリッシングを手掛けるWhy so serious(以下、WSS社)の代表・斉藤大地氏との確執を示唆するツイートを複数回に渡って投稿。同氏のnoteには当時の心境について綴られた日記が残っています。

それに留まらず、2025年8月にはディレクター・プログラミングを担当したとりいめぐみ氏より、同じく斉藤大地氏との間で起こったトラブルについての告発がされるなど、開発サイドとプロデューサーの間で深刻な軋轢が生じていることは明らかでした。斉藤氏個人からのリアクションは見られないまま、とりい氏はその3ヶ月後に、自身が代表を務めるXemono社の公式サイトにて、より詳細を記した公式声明を公開しています。



その後も断続的に告発ツイートのポストを繰り返すにゃるら氏に、依然として沈黙を続ける斉藤氏。そして、何事もなかったかのようにXの更新を続ける「超てんちゃん*1」。上述した一部始終を知る誰もが、直近における本作の展開に対して、どこか疑心暗鬼になっていたことでしょう。そんななか11月10日に発表されたTVアニメ化においても、にゃるら氏と斉藤氏の間で不和が生じていることが判明します。

*1 超絶最かわてんしちゃんの略。『ニディガ』に登場するあめちゃんが配信時に仮装する姿であり、インターネットエンジェルを自称する。実際にXアカウントが存在している。



さて本誌が初めて、にゃるら氏ととりいめぐみ氏、斉藤大地氏へそれぞれ本件に関する取材を申し込んだ際は全員からタイミングの都合で断られてしまったものの、それから約3ヶ月を経て“告発側”のふたりへ話を伺う機会を得られました。

日に日に泥沼化が進んでいるようにも見える『ニディガ』……その裏側では、一体何が起こっているのでしょうか。とりい氏に起こったことを中心に伺いつつ、その補足として、にゃるら氏にも加わってもらったインタビューの模様をお届けします。

――この度はインタビューのご協力をいただきありがとうございます。まずは、このタイミング(実施日:2025年11月中旬)でお話をいただけるに至った理由と現状について教えてください。

にゃるら:TVアニメ化の発表がされる前では話せることが少なかったんです。それが済んだので、僕が今まで何をしていたのか、なぜこんなに苦しんでいたのかが言いやすくなりました。いまは斉藤大地さんと弁護士を介して係争中ですが、あまり誠実な対応をしていただけていません。

とりい:依頼をいただいた3ヶ月前は、まだ本件についてあまり発信していなかったですし、私にとってはもう終わったことで、これから大きく何かを取り返せるわけでもない。つまり喋っても得するような話ではありませんでした。実際に、にゃるらさんが声を上げるまで私は黙っていて、全部を忘れようとしていましたし、連絡も取らないまま他のことをやろうとしていました。

では、なぜ今になってこの場へ来たのかといえば、にゃるらさんの力になれるタイミングだと思ったからです。彼が新たなゲーム制作に誘ってくれなければ、二度と『ニディガ』を直視することはなかったなかで、かつての仲間たちと再会できたのが嬉しかったんですよ。仲間の力になれるならインタビューにも答えよう。そういう気持ちでいます。

◆収益分配が“無料働かせ放題チケット”に

――では先にとりいさんから、実際に斉藤氏との間で起きたことについて改めて説明いただけますか?

とりい:おかしいと思い始めたのは『ニディガ』がリリースされて1年ほどが経ってからですね。他の仕事を始めだした頃だったのですが、「PS版を出すぞ」「言語を追加するぞ」とゲームのアップデートに関する仕事をどんどん振られまして。その対価については、斉藤大地さんから「売上の分配があるのだし、宣伝になるのだからやるべき」と言われていました。最初はそういうものなのかと取り組んでいたんですが、続けているうちに「もしかして、人のことを無限に働かせてもいいと思っているのでは?」と頭によぎるようになったんです。

せめて「言語追加分の稼働費は出してくれないか?」と斉藤大地さんへ相談したところ、「翻訳の組み込み作業費をレベニューシェアを受け取っているところから請求されたことはない」というような返答をされました。言語を追加して売上を増やしたいのはWSS社であって、同社からの依頼をもとに弊社が実作業をする以上、それは追加発注ですよね。対価を要求するのは別におかしいことではありません。最終的には「金が欲しいなら別で考える」と言われたのですが、あまりに話が伝わらないので返事はできずにいました。

後で見返した契約書には、収益分配はゲームの完成に対する対価であって、完成後も無限に奉仕する必要があるとはどこにも書いていませんでしたが、それを“無料働かせ放題チケット”のように扱われるのが嫌になって、他の仲間に黙ってすべての連絡用Discordから抜けたんです。

にゃるら:本当にかわいそうですよ。言葉にすると笑い話に聞こえるかもしれませんが、どれだけ辛かったのかは僕にも分かります。自分で作った作品を直視できないのは非常に苦しく、決して許せることではありません。

とりい:作業自体をやりたくないわけではなかったので、感謝やリスペクトだけでも示してほしかった。せめてちゃんと話してから離脱しようとは思っていましたし、最後まで作り上げたゲームだったからこそ、こんな形になったのはキツかったですね。Discordから抜けた月から分配の入金が止まり、この頃から弁護士へ相談し始めました。

――それが2023年5月のことで、以降は弁護士を通して収益分配に関する問い合わせを行ったのですね。

とりい:相談した弁護士はすごくいい人で、その方を介して、入金が止まっていることに関する内容証明をWSS社へ送りました。ですが、それに対する返事が本当にヤバかった。

ざっくり言うと「プログラミングはWSS社が雇用したデザイナーがやったので、Xemono社に分配を受け取る権利はない」「それに際して、WSS社から支払った金額も誤っているので返金の義務がある」「Xemono社が作業を拒否したことでWSS社に2000万円の損害が出ているため賠償義務がある」「契約の延長はしないため、2025年7月1日をもって契約終了とする」というもので、泣きそうになりましたね。特に一番目が本当に辛かった。そのデザイナーは、中心メンバーだったねんないさんを指しているんですが、彼はドットを書いてくれたんだよ……。あの実直な、仕事ができる、かっこいい職人のねんないさんを、私にお金を支払いたくないがための嘘に使わないでほしかった。こんなことを言われるなら最初からゲームなんて作らないほうがよかったのでは?とすら思いましたね。

ねんないさんは確かに、ゲームへ組み込みやすいようにUnityにアニメーションを入れてくれましたが、コードを書いたのは私ですし、言わばチームで協力して作り上げたんですよ。幸いにもGitHub*2にすべての作業ログが残っていたので、そのスクリーンショットを送り返したほか、今まで弊社へ支払ったとする金額も実際の内容と合わなかったので、その算出根拠について併せて訊きました。

*2 ソフトウェア開発者向けのプラットフォーム。ソースコードをWeb上で管理・共有できる。

――Xemono社の公式声明では、合意を経て支払われた金額についても、不審な経費が引かれたものだったと記されていました。

とりい:そもそも契約書には「ゲームの販売に要した経費を差し引いた金額から%を分配する」と書かれていました。その“販売に要した経費”を開示してもらったところ、にゃるらさんやリュウズオフィスへの分配が含まれていたんです。タクシー代として月10万円が差し引かれていたりもしたのですが、まずはそこに驚きました。そういうものって他の関係者への%を含めていいものなの?って。ゲームを作る前に交わした契約書なので、つまりは最初から、他の方々への分配分を含めたすべてを差し引いた上での分配額を支払おうとしていたわけです。

斉藤大地さんは「それは筋じゃないから。最初に決めた筋を曲げると全部曲がるから駄目だ」という風に、よく“筋”という言葉を使うんですけど、要するに最初から曲がっていたものを「曲げられない」と守ろうとしていたということですよね。その部分が曖昧なまま契約書を交わした私も悪いんですけど。

――最終的にXemono社とWSS社の間で起こったトラブルはどのような決着を迎えたのでしょうか?

とりい:弁護士の尽力によって2024年7月に合意へと至りまして、「それまでの未払い分は、%を少し減らした分配金額をWSS社が支払う」「2025年7月1日をもって契約終了とする」「その月から2025年7月1日までは、%を少し減らした分配金額をWSS社が支払う」「WWS社が求める賠償金については無効」となりました。

――詳しく教えていただきありがとうございます。契約内容についてはさておき、斉藤氏との折り合いが直接的に悪くなったのは『ニディガ』リリースからしばらく経ってからとのことでした。それ以前は良好な関係を築けていたのでしょうか?

とりい:そこまで変に思うことはなかったです。『ニディガ』が出る前はちゃんとサポートを受けられていたので、ゲームが売れてからすべてがおかしくなったという気がします。

Steamから2ヶ月遅れで売上が入金され、その分配が弊社にも届いた頃でしょうか。リリース時に見つかったバグも大体対応ができて少し落ち着いた時期に、Discordで「次のアプデはいつになるの?」という会話をしていたなかで、それまでは「再来週を予定しています」と返していたところ、斉藤大地さんから突然「これ、明後日の予定なんだけど?」と一度も聞いたことのなかった期限を言われたんです。「それはどこかに書いていましたっけ?」と送ったところ「やれよ!」みたいな返事がきまして。そういう態度をされたことがなかったので、ひどく驚いた記憶があります。その時は「やりますけど、寿司を奢ってくださいね」という流れで和解しまして。それが通じるくらいの関係性ではありましたね。

――それらを踏まえて、とりいさん視点で「こうしておけばよかった」という反省はありますか?

とりい:やっぱり、最初の契約時点で弁護士へ相談しておけばよかったなと思います。作るものが影も形もない状態から相談するというのも簡単ではないですけどね。その場のノリで全部やれ状態になってしまったのは、WSS社が用意した契約書にゲームの完成後について何も記されていなかったからなわけで。

――とりいさんと斉藤氏と間に起こったトラブルを、当時のにゃるらさんはどう見ていたのでしょうか?

にゃるら:とりいさんがグループチャットを抜けたときは、斉藤さんが「とりいがおかしくなった」などと堂々と言うこともあって、(どちらに原因があるのか)まだ判断がつきませんでした。僕は斉藤さんがとりいさんへ仕事を振るだけ、報酬を支払っていると思っていたんですよ。実際に、それについて尋ねれば「いや、お金は払ったよ」と絶対に答えますし、一緒にゲームを作っているプロデューサーであるわけだから、その時はその言葉を鵜呑みにするほかなかったです。

僕も似たような態度で臨まれましたが、斉藤大地さんのような人から突然、恫喝的に詰められたら、返す言葉が激しくなってしまうものなんです。それを部分的に切り取って「とりいはおかしくなった」と言われれば信じざるを得ません。この後にインタビューを受ける他メディアのライターさんも、斉藤さんが「にゃるらが不義理をした」と吹聴しているのを見て、声をかけてくれたんです。

◆にゃるらがゲームとアニメで直面した“契約反故”と“パワハラ疑惑”

――にゃるらさんは現在係争中にあるとのことですが、どのような訴えを斉藤氏へ行っているのでしょうか?

にゃるら:過度な業務量に対して対価がないという点では、僕もとりいさんと同じようなことをされています。そして、TVアニメに対する報酬も向こうの都合で急に減額され、最終的には収益分配できないと主張されています。基本的には、契約とパワーハラスメントの問題を解決するために弁護士を通して話しています。

――つまり争点は未払い金とハラスメントに関する疑惑ですね。前者に関してはアニメ以外でも起こっていることなのでしょうか?

にゃるら:ゲーム関係では『NEEDY GIRL OVERDOSE タイピング オブ ザ ネット』の制作が進んでいた際に、そのクオリティが酷いということで僕が怒ったことがあったんですよ。リュウズオフィスからパブリッシングサポートを受けていたのですが、あまりに斉藤さんが何も進めようとしないので、結果として同社が色々と巻き取ることになりました。それを斉藤さんは“裏切り”と解釈したのか、「リュウズオフィスに収益を抜かれる分、お前の分の振り込みも減るから」と言ってきたことには納得がいっていません。リュウズオフィス代表の小沼さんも「これはにゃるらが言っていることが正しいよ」と注意するくらいには、本当に酷かったんですよ。



――お話に出たタイピングゲームは、主にボリューム面などで内容に賛否両論があります。こちらの企画は斉藤氏によるものだったと伺っていますが、にゃるらさんがゲーム開発の進捗について強く指摘するに至ったのは、IPに対しての責任感によるものだったのでしょうか?

にゃるら:そうですね。ボリュームだけでなく、ネットスラングを扱うにしてはインターネットに対する認識が甘すぎる内容になっていました。僕は『ニディガ』において文化を尊重しないようなアプローチをしたくなかったんですよ。しかし斉藤さんにとってネットスラングやミームは、「流行っているし使えばウケるというものでしかない」という認識で話していました。

一例として僕はまったく関わっていない企画なのですが、今年7月の超てんちゃんの誕生日に、彼女のグッズをQVC風に紹介するという動画がアップされました。あれはネットでミーム化しているQVC福島さんをパロディしているんですけど、とりあえず面白くて流行っている人を持ってくれば整合性はつかなくてもいいということをしているんです。「これをやれば面白いんでしょ?」をなんとなくやるっていうのは、杜撰な仕事だと思います。

――関連して伺いたいのは、今後の『ニディガ』の展開について。そのような企画がにゃるらさん主導かWWS社主導かユーザー側が判断しづらく、発表ごとに身構えてしまっている状況にあります。

にゃるら:基本的に、今年3月までに仕込んだ企画は僕主導で進めていました。今月に発表されたDesktop Mateも僕がやりたいと思ってお願いしたものです。これからもそれ以前に仕込んでいたものが発表されることはあります。フィギュアなどは制作に1~2年かかることもあるので。ちなみに過去、フィギュアメーカーとの打ち合わせに斉藤さんが来たことはないです。

――いまは相手側に非があると考えているからこそ、こうやっておふたりはインタビューの場にいるかと思うのですが、それが確信へと変わった瞬間はいつ頃だったのでしょうか?

にゃるら:僕を含めた関係者も、とりいさんと同じようなトラブルの影響で適応障害になりましたし、さすがに看過できないと思ってツイートしたら、とりいさんに声をかけてもらったんです。それから2年ぶりに再会をして全部を話して「やっぱりそうだよね」と認識しました。

とりい:Discordを抜けてから気まずさもあって、にゃるらさんともずっと連絡を絶っていたんです。Xで大変そうにしているのを見て、なんとなく話す気になって連絡をしました。

――つまりにゃるらさん視点では、とりいさんと当時の状況を話し合うことで“答え合わせ”をしたと。

にゃるら:僕も報酬周りに関して「これって話していた内容と違っていますよね」と指摘したところ、斉藤さんの態度がものすごく悪くなったことがあるのですが、「とりいさんもこうだったんだ……」と納得がいきました。とりいさんが話していたように「それは筋が違う」だとか、「お金のことに口出すな」「何も教える義務はない」と声を荒げられまして。

とりい:私はにゃるらさんの近況について分かっていなかったんですが、斉藤大地さんとは戦う気でいるし、新しいことにもチャレンジしようとしているなど、困っていながらも前向きに見えました。想像していた10倍はシャキッとしていたんですよね。だからこそ今回のインタビューを含めて、今後色々やってもいいかなと思えるようになったんです。

にゃるら:どんなに揉めてもアニメがいいものになれば、自身のクリエイターとしてのプライドはどうにかなるから、最大限アニメに注力しようと考えていました。そういう理由でシャキッとしているように見えたのかもしれませんね。

とりい:にゃるらさんが「ちゃんといいものを作る」という意思でいたのが嬉しかったんですよね。

◆WSS社の反論は「あらゆる説明責任を果たしていない」

――そういう意味では、にゃるらさんは今回のハラスメント疑惑などに加えて、あめちゃん・超てんちゃんといったキャラクターを中心とする“『ニディガ』というIPとの向き合い方”に対しても、多々苦言を発信されていますよね。

にゃるら:やっぱり僕が抜けると、真の意味でキャラクターを愛している人は内部にいなくなります。それが『ニディガ』の展開や、超てんちゃんのツイートに現れているのが悔しいです。愛がなくても回るようなものではないんですよ。グッズ会社やアニメ制作会社も僕やお久しぶりさん*3の復帰を望んでくれていて、アニプレックスの法務部はWSS社に対して問い合わせをするなど、僕を戻そうと動いてくださっています。

*3 日本のイラストレーター。ゲーム『NEEDY GIRL OVERDOSE』のキービジュアルとキャラクターデザインを手掛ける。

――アニメ化発表に際してにゃるらさんが発信された声明に対しては、WSS社から反論が出ていますよね。事実関係において多数の誤りがあるとのことですが、その主張についてはいかがでしょうか?

にゃるら:そちらに関しては不明瞭な点が多すぎるんですよね。契約に基づいてゲームおよびIP関連収入の対価は支払っているとのことですが「アニメ関連の報酬はどうなっているの?」だったり、仮に僕から離脱の申し入れをしたことが事実であれば、「中核人物が抜けたことをなぜその時に発表しないの?」だったりと、ツッコミどころばかりなんですよ。とりいさんやJiniさん*3に対する言及もなかったですし、あらゆる説明責任を果たしていません。

*3 日本のゲームジャーナリスト。有料ゲームメディア「ゲームゼミ」主宰。斉藤大地氏との共同出資でゲームメディア「I.N.T.」を立ち上げるも、2025年9月のサイト公開と同時に編集長の立場を辞任。その理由については、斉藤大地氏とにゃるら氏、とりいめぐみ氏の間で起こったトラブルに起因すると明らかにしている。

――にゃるらさんはアニメ制作において、WSS社の管理下で参加されていたのですよね。

にゃるら:アニメ制作に関して斉藤大地さんは現場で一切何もしていませんが、一応WSS社からの業務委託であり、アニプレックスからの報酬はWSS社を経由して分配されるはずでした。その辺りについては、アニプレックスの法務部がWSS社の弁護士と話し合っていますが、さすがにそんな無法は通らないだろうと信じています。

――もう一点、“記事の建付け”として質問させてください。にゃるらさんが今回、アニメのプロモーションから外れることになったのは、人物像や過去の発言に起因するものではないですよね?

にゃるら:はい。アニプレックス側もYostar Pictures側も心配をしてくれているくらいで、一緒に頑張りましょうと言ってくださっています。とはいえ、僕が悪い人間だという指摘に対しては、一切否定するつもりはありません。

◆最後に残った疑問…「これは誰だったら避けられたのか」

――現時点で斉藤大地氏らWSS社側へ望む対応などはありますか?

とりい:貴方が言う都合のいい筋ではなく、社会人としての筋を通してほしいなと思います。私もやっぱり仕事したら仕事した分のお金は欲しいよ。やった分は対価として。にゃるらさんにもちゃんと払えよって。

にゃるら:僕が一番ショックだったのは、インディーゲーム業界を含めて、斉藤さんがコミュニティを好きでいる様子が見られなかったことですね。そう関係者から言われて悔しいと思うのであれば、インディーゲームを愛している証拠を見せてほしいです。

――最後に「今後は『NEEDY GIRL OVERDOSE』という作品とどう向き合っていきますか?」という質問を用意していたのですが、とりいさんには適したものではありませんでしたね。とりいさんにとって、同作は“黒歴史”のようなものになってしまったのでしょうか?

とりい:いいえ、いまはそんなことありません。にゃるらさんが誘ってくれて、ねんないさんを含めて新しくゲームを作ることになったんですが、その始まりの夜に、プログラミングを担当してくれる方へ、ごく自然に「参考になるかもしれないし、『ニディガ』のプログラムをどう作ったのか解説しましょうか?」と口から出たんです。そして、もう2年近く見ていなかったコードを改めて直視しました。よくできていて、「あとからどんな演出が必要になっても大丈夫な形にしよう」と苦労して設計したこと。完成したときに「自分はこのゲームを何度も何度も何度もテストして、もう飽きるくらい触ったけど、でもいま最初からやっても面白いから、このゲームは面白いんだろうな。もう冷静には判断できないけど」と思ったこと。それらを昨日のことのように思い出せたんです。

それまでは『ニディガ』のことを“自分ではない誰かが作った、どうやら売れているらしいゲーム”と思うように距離を置いていたのですが、私と私を支えてくれた人、そしてチームみんなの仕事であったことは間違いありません。

――ありがとうございます。最後に、にゃるらさんは本作とどう向き合ってくのでしょうか?

にゃるら:僕がどれだけこの作品を愛しているのかというのがアニメの1クールで証明されると思うので、あまり多くを語る必要はないかなと。

とりい:そこまで言うんだったらリアルタイムで絶対に見るよ(笑)

にゃるら:最後に斉藤さんへ言いたいのは、「これ以上アニメに迷惑かけないでほしい」ということ。それと本件について改めて思うのは……まぁ基本的には難しいですよね。人がお金や立場によって変化することは、こと経営者相手であれば顕著に起こることで、僕は今回のようなトラブルを事前に準備さえしていれば回避できたのかと言われれば、できなかったのではと思います。世の中には、契約がどうこうではなく筋がどうこうという観点で、むりやり働かされることもいっぱいありますから。「これは誰だったら避けられたのか」とずっと疑問を抱えています。

――それは係争相手が誰であるかに関わらず、ですか?

にゃるら:はい。経営者はこういう風になる可能性をみんな秘めていると思います。例えばJiniさんは「契約締結はちゃんとしよう」と多くの人へ周知をしたわけですが、そんな彼ですらWSS社とは揉めてしまっているわけで。常識で測れないことはどうしてもあります。

ものすごいワガママを言われた側の多くは、どうしても無理をしちゃうんですよね。だからこそ諦めが肝心だなと思いました。そういう状況に陥ったプロジェクトは諦めるしかないのかなって。

――そう言われると非常に難しいですね……。しかし、新会社を立ち上げたにゃるらさんは今後、経営者としてクリエイターと関わっていくことになりますよね。つまり心変わりしやすい立場になる上で、今後そのような懸念とどう向き合っていくのでしょうか?



にゃるら:信頼できる大人たちとの出会いを通して、どうしてこのような問題が起こるのかを考えた結果、僕は作品とクリエイターを愛しているかどうかだと結論づけました。こう言うのもなんですけど、僕は愛している側にいる自信がありますし、それがブレないように心がければいいかと。

それと“人の話はちゃんと聞く”ですかね。僕もとりいさんも一番困ったのは話を聞いてくれないことでした。人間はコミュニケーションができます。今回のことで、同じようにならないようにかなり学習をしたつもりです。


なお、本インタビューはあくまで立場を同じくするにゃるら氏・とりい氏視点に限った内容となっており、すべての状況を客観視したものではないことをご留意ください。弊誌では引き続き、斉藤大地氏へも取材打診を行っています。

いまや中華圏を中心にグローバルな支持を集める『NEEDY GIRL OVERDOSE』。あめちゃん・超てんちゃんを愛する世界中の「ピ」にとって、少しでもポジティブな進展へと向かうことを筆者も願うばかりです。

《矢尾 新之介@Game*Spark》

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