学生からインディーゲームクリエイターになった人々は、どのように自らの行く道を決めたのか?『ElecHead』の生高橋氏らが鼎談【IDC2023】 | GameBusiness.jp

学生からインディーゲームクリエイターになった人々は、どのように自らの行く道を決めたのか?『ElecHead』の生高橋氏らが鼎談【IDC2023】

『ElecHead』、『シューフォーズ』、そして『モチ上ガール』。学生時代から人気のインディーゲームを開発していたクリエイターは、どのように就職せずにフリーとして生きる道を選んだのでしょうか。

ゲーム開発 インディー
学生からインディーゲームクリエイターになった人々は、どのように自らの行く道を決めたのか?『ElecHead』の生高橋氏らが鼎談【IDC2023】
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現在、大学生や専門学生がゲーム業界で自分のゲームを作りたい場合、大手メーカーへの就職する以外の道も開かれています。まだまだ数は多くはないものの、学生からそのままインディーゲームクリエイターの道を選んだ人々もいます。

2023年12月17日に開催されたインディーゲーム開発者向けイベント「Indie Developers Conference 2023」のパネルディスカッション「若手ゲーム開発者対談 学生開発者から独立開発者への道」では、学生からインディーゲームクリエイターとなった3人のクリエイターの鼎談を開催。

ElecHead』の生高橋氏、『シューフォーズ』のますだたろう氏、そして『モチ上ガール』、『ハグサバイバー』のmumimumi氏らが、どのようにインディーゲームクリエイターになったのかについてが語られました。

なぜ就職せずインディーゲームクリエイターの道を選んだのか

生高橋氏の代表作『ElecHead』

最初のトークテーマは「3人の主な経歴」についてです。ここでは三者三様にインディーゲームクリエイターになった経緯が語られました。

生高橋氏は専門学校に通っていたところ、4年目にはインディーゲームクリエイターを志しており、就職は考えていなかったそうです。代表作の『ElecHead』も在学中に開発が始まっていたタイトルでした。卒業後も開発を続け、Xに開発の進捗の動画をアップし続けていると、3、4年目にはパブリッシャーから声がかかります。

生高橋氏はパブリッシャーから開発資金を得ることで、正式にクリエイターとして独立しました。『ElecHead』はほぼ一人で開発していましたが、現在とりかかっている次作はチームでの開発に挑戦しています。

続いてますだ氏は、大学在籍中に仲間うちでチーム「ブイブイラボ」を結成し、開発したゲームをイベントに出展していました。代表作『シューフォーズ』もそのチームによって開発が始まったタイトルです。しかし大学卒業後、仲間はみんな就職し、ゲーム開発への参加が少なくなります。リーダーのますだ氏のみ、休学と留年をしながら開発を進めるかたちになります。

苦労したのちに『シューフォーズ』は無事完成しますが、本イベント時点ではその収益だけで暮らせるまでには至っていないとのこと。その代わり、現在はさまざまなクライアントから依頼されて、ゲームを開発する案件で収入を得ているそうです。

mumimumi氏はもともと小学生からゲーム開発を始めており、ずっと「小さなゲームの収益で食べていけないか」を考えていたそうです。それから開発を続け、高校時代に『モチ上ガール』がUnityインターハイ2018で優勝。業界から注目を集め、メディアスケープがパブリッシャーに付くことが決まります。mumimumi氏はこれを機に、当時住んでいた徳島県から上京。それから『モチ上ガール』を完成させ、Switchでリリースしています

なぜ就職を考えなかったか

ますだたろう氏の代表作『シューフォーズ』

このように全員が学生時代から活発に自作を開発し、イベントへの出展やコンテスト参加などを経て現在に至っています。しかし、やはりフリーの開発者は不安定でもあります。安定を求めて就職を考えなかったのでしょうか? これが次のトークテーマに挙げられました。

生高橋氏は「むしろ、専門学校の目的は企業への就職しかない」と指摘。生高橋氏も学校で企業で要求されるようなスキルも学んでいました。しかし、生高橋氏は「全部の授業が面白かった。これを全部ひとりでやりたい」と心に決めます。

ちょうど「もっぴん」氏が開発した『Downwell』を知ったことも、就職せずにインディーゲームクリエイターになる理由になったとのこと。もっぴん氏もまた、学生からインディーゲームクリエイターになったため、「そういう生き方もあるんだ」と影響を受けたそうです。

一方のますだ氏は「中学、高校とボロボロでした。ぼんやり社会生活は無理だと思いました」と、就職が難しいと考えていたようです。実際、就職活動やインターンも経験しますが、「やっていて体調が悪くなったりした」と拒否反応が出たそう。現在、さまざまなクライアントから仕事を依頼されているのも「運で流れ着いたようなものです」と説明します。

mumimumi氏の代表作『モチ上ガール』

mumimumi氏は、『東方Project』で有名なZUN氏を知ったことで、「こういう生き方がある」と知ったことが大きいとのこと。ZUN氏の影響は大きく、「勉学や社会とか考えなくなりました」と、ゲーム開発に一層邁進していき、現在に至っています。

まとめとして、ますだ氏はフリーランスのゲーム開発であるTANAKA U氏の「フリーランスとは流れ着く場所」という言葉を引用。「社会生活が難しくても、ゲーム開発なら続けられる」ことが現在につながったとのこと。

生高橋氏は「自分のやりたいことが会社で実現できるものなら、就職したほうがいい。精神衛生的にいい」と忠告します。mumimumi氏も「とりあえず就職してみて、『ここで行けそうだな』と思ったら会社にいたほうがいい」と慎重な意見を述べました。

学生からインディーゲームクリエイターのキャリアを選ぶ理由は様々ですが、全員に共通しているのは在学中からすでに代表作を開発しており、パブリッシャーに出会っていることです。もしいま学生であり、インディーゲームクリエイターとして生きたいならば、なによりもう開発をすべきということでしょう。学生時代から自作をイベントやコンテストに出し、評価を受けてきたクリエイターがその後も独立して開発を続けていっている……とも言えると思います。

《葛西 祝》

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