Josh氏は多くのゲーム企業が「グローバル」と言った時に、その対象がいわゆる欧米(北米、欧州、豪州)に留まっていると指摘し、非英語圏、特にアジア太平洋地域が世界最大のゲーム市場に成長していて、ここを攻略することは非常に重要だと解きました。依然として欧米企業から見ると、アジアは分からない事だらけという認識であり、Josh氏のプレゼンテーションではアジアの中でも重要な日本、韓国、中国という3つの市場を数字から解説しました。
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世界は広い |
■日本
日本の最大の特徴は現地のデベロッパーの強さで、ランキング上位の大半が日本企業によって占められています。一方で、iOSは世界2位、Google Playは世界最大という非常に大きな市場規模を誇っていて、スマホゲーム市場は60億ドルと推定されています。独特のプラットフォームとしてJosh氏は現地キャリアによって運営されているクローズドな「auスマートパス」を紹介。また、「LINE」対応のゲームも非常に強い位置を占めているものの、そのタイトル数は約30〜40作品とクローズドなものであるとしました。
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市場規模は米国を超えて世界一 |
■韓国
続いて韓国市場は、93%がAndroidというAndroidの国。しかし売上の33%はiPhoneで、iPhoneユーザーの方が金払いが良いというのは韓国にも通用する話です。モバイルコンテンツ市場は30億ドルで日本の約半分です。韓国でもメッセンジャーの「Kakao」と連携したゲームが人気を集めていて、こちらはLINEと異なり実に520タイトルものゲームが存在します。ただし、市場に占める割合は前年を下回っていて、多様なスタイルが伸びてきているようです。
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Androidの市場は米国に肉薄 |
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Kakaoの影響が強い市場 |
■中国
中国はスマホ販売台数が世界最大となり、iPhoneの販売台数も世界一。モバイルゲーム市場も42.5億ドルと、かなりの規模となりました。通信環境が悪いせいか、毎月のデータ使用量が世界平均の800MBに対して200MBに留まっています。中国でも「WeChat」との連携ゲームが存在感を持ちます。また、サードパーティのAndroidマーケットが興隆を誇っているのも中国の特徴。その規模はモバイルゲーム市場の70-80%にも上るとのこと。
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巨大市場となっている中国 |
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中国ではWeChatが強い |
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サードパーティのアプリストアが主流 |
■どうやって参入するか
では具体的に欧米のデベロッパーがアジア市場に参入すれば良いのでしょうか? Josh氏はまず自分のゲームをよく見つめる必要があると言いました。アジアと欧米では求められるゲームのテイストがビジュアルを始めとして大きく異なります。しかもアジアと一括りにできず、国によって異なります。また、単にApp StoreやGoogle Playに出すだけではなく、現地で支配的なプラットフォームとどう付き合うかも問題になっていきます。
そこでJosh氏は2つの戦略を述べました。まず一つ目はスモールステップから始めるということです。以下の8つの項目を段階的に進めていくというものです。
1. App Storeのページをローカライズ
2. ゲーム中のテキストローカライズする
3. 現地でのユーザーサポート
4. 現地に適したマーケティング活動
5. ゲーム中のコンテンツを現地に合わせて提供する
6. 現地のプラットフォームに提供する
7. 現地の決済手段を導入する
8. 現地マーケットに適したバージョンのゲームを提供する
これらに加えて、現地のパートナーとの協業も大事であるとしました。現地に適したマーケティング活動の実施やローカルなプラットフォームへのアクセスを確保するには、その市場に精通したパートナーの力が欠かせません。中国市場では欧米のゲームも受け入れられていますが、その大半が現地パートナーを通じてパブリッシングされたものになっています。こうした事は各市場で必要となっているとJosh氏は話しました。
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段階的な取り組みを現地パートナーとの関係で強化する |
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特に中国ではパートナーが必須 |
ちなみに現地パートナーを探す方法としては展示会やウェブサイトなどが挙げられました。「何が提供できるか? は大切だけど、とにかく評判が良い会社を選ぶこと」とJosh氏はアドバイスしていました。