【CEDEC 2012】ユーザーとのインタラクションで進化を続ける『Infinity Blade』のメイキング | GameBusiness.jp

【CEDEC 2012】ユーザーとのインタラクションで進化を続ける『Infinity Blade』のメイキング

数多くの賞に輝き、シリーズ累計3000万ドルを超える売上を記録しているスマートフォン向けゲーム『Infinity Blade』。CEDEC 2012の2日目には、その『Infinity Blade』を生み出したChair Entertainment Groupのリードアニメーター、スコット・ストッダード氏が本作につい

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数多くの賞に輝き、シリーズ累計3000万ドルを超える売上を記録しているスマートフォン向けゲーム『Infinity Blade』。CEDEC 2012の2日目には、その『Infinity Blade』を生み出したChair Entertainment Groupのリードアニメーター、スコット・ストッダード氏が本作につい
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数多くの賞に輝き、シリーズ累計3000万ドルを超える売上を記録しているスマートフォン向けゲーム『Infinity Blade』。CEDEC 2012の2日目には、その『Infinity Blade』を生み出したChair Entertainment Groupのリードアニメーター、スコット・ストッダード氏が本作について「Infinity Blade コンソールからモバイルへの飛躍」と題してセッションを行いました。

Chair Entertainment Groupは2005年に設立されたデベロッパー。現在はEpic Gamesの子会社であり、Epic Gamesが擁する「Unreal Engine」を利用した小規模な開発を行なうゲームスタジオです。今回のセッションではリードアニメーターという立場ながらストッダード氏はプロジェクトの全貌を俯瞰した説明を行いました。

スコット・ストッダード氏は、Chairでリードアニメーターやモーションキャプチャーパフォーマーとして三年間働いているクリエイター。以前はDisney Interactive Studiosでリードアニメーターをこなしつつ、インディーゲームの制作を行なっていたそうです。

『Infinity Blade』は、ストッダード氏がChairで関わった最初のゲーム。『Infinity Blade』を発表する時点では、Chairのスタッフは10年以上ゲーム業界で働いてきた12人のチームであったそうです。『Infinity Blade』はこれらの少数精鋭部隊によって、わずか5ヶ月という開発期間で生まれたそうです。キャラクターモデリングや背景、サウンドデザインについてはアウトソーシングを行ない、Epicとの連携のもと、使い慣れた「Unreal Engine 3」を利用したとはいえ、ゲームのクオリティからは恐るべき開発力と言えるでしょう。

『Infinity Blade』の開発のきっかけは、主にEpicがモバイル端末における「Unreal Engine」の実績を作りたいという要請に応えるものではあったという。だが、現在のスマートフォンの爆発的な普及から、モバイルデバイスにも「AAAタイトル」の市場がありうると考えたことも重要な要因でした。

そこでChairが掲げた初のモバイルゲームの目標は以下の3つです。

1.Unreal Engineを使った最新鋭のビジュアル
2.タッチスクリーンに対応した革新的なゲームプレイ
3.5ヶ月という短期間での開発

Chairは、このような厳しい目標を設定しながらも、「Unreal Engine」に精通しているという強みを大いに生かして開発を行います。また、スマートフォンプラットフォームには、巨大なビジネス市場としての魅力があり、アプリのリリースとアップデートが迅速に行えるというメリットも同時に存在していました。さらに、アップルがiOSデバイスの宣伝のために、グラフィックの魅力が高い『Infinity Blade』に関心を示したことも、Chairの開発に有利に働いたと言います。

続いてストッダード氏は、『Infinity Blade』の実際の開発プロセスについて順に追って説明した。まずゲームデザインについて、タッチスクリーンに対応していることを重視したということです。画面上のバーチャルパッドはモバイルゲームにはふさわしくないと考え、一本の指だけで操作を行ない、なるべく魅力的なグラフィックとキャラクターをプレイヤーに見させるデザインを行ったといいます。

さらにモバイルゲームという市場の特性から、よりカジュアルで短時間で遊べるゲームデザインを採用したそうです。モバイルとコンソールではゲームの仕方や体験は違い、モバイルでは一回のプレイが細かく区切られます。そのため、2、3分でも楽しめ、なおかつ、長期間にわたって遊んでもらえるゲームデザインを試行錯誤したとのこと。

その結果、『Infinity Blade』に採用されたゲームシステムは、短期間で楽しめる直感的なバトルと長期間じっくりと楽しむ武器やアイテムのレベル上げという二段階構成となりました。通常のRPGとは異なり、『Infinity Blade』にはすべてのアイテムに経験値を設けることで、戦闘だけではなく、レベル上げの楽しさをデザインしたそうです。

ゲームデザインにおいては、Chairでは、常に新しいアイデアを準備していて、それをアイデア集の形でまとめているそうです。そのため、チャンスがあればすぐさまモバイルゲームを開発できる環境にあるとのこと。

制作の過程はコンソールゲームの開発と比べると、モバイルゲームの開発は「クレイジーな」ものに見えるといいます。ストッダード氏が曰く、スケジュールは常に短く、かつルーズでワイルド。そのため、常に柔軟な対応が求められ、なるべく大きな決断を早い段階で求められることが強調されました。

そのため、『Infinity Blade』では当初、実装予定であったマルチプレイモードは一度、諦めたそうです。他の品質を落としてまで、マルチプレイを採用することはせず、その後のアップデートで実装するという柔軟な制作プロセスを取ったのです。

さらにゲームの楽しさのコアを早く見極めるために、コンソール用の「Unreal Engine」のアセットを利用して1週間でプレイアブルなデモを制作、わずか3週間でゲームの基礎部分を制作したといいます。このように早い段階でプレイが可能な環境を作ることは、プロジェクト全体のタイムスケジュールにとっても重要な点であり、それを可能にするのが「Unreal Engine」だと、ストッダード氏は強調します。

また、マネジメントにおいては、スクラムと呼ばれるチーム全員での15分のミィーティングを毎日行なうことで、各メンバーが作業の進展を把握、常にプロジェクトの遅延を先回りして回避。そして、そのような開発プロセスが可能であるためには、リードと呼ばれるベテランスタッフを中心に小規模なチームが信頼関係を持っていることが重要だと、ストッダード氏は述べました。

制作の過程では、日本のものを含む多くの格闘ゲームを参考にしたそうです。過去の遺産に学びつつ、独自性を入れたゲームデザインをプロジェクトの進展に合わせて取り入れたといいます。例えば、バトルでの攻撃方向は当初4つしかなかったのが、スケジュールに余裕がでたため、増やしたそうです。こういった決定も制作の期間の間で柔軟に行なっていたようです。


キャラクター・メイキングに関しては、できるだけ大きなキャラクターを扱いたかったといいます。コンソールと同様に高解像度モデリングから始め、スムーズなプレイを実現させるため、徐々に解像度やボーンの数を減らしていったそうです。逆に大量のメモリを使えるというモバイルデバイスの特徴を生かし、大きなテクスチャを利用することでリッチなグラフィックを実現しています。

アニメーションに関しては、モーションキャプチャーを採用。ストッダード氏自身が忍者やトロールの演技を行ったことを明かし、ゲームに出現する敵モンスターに負けた場合、「それは演技をしている私に負けたということです」というジョークを飛ばしていました。彼にとって、モーションキャプチャーの作業はゲーム開発においてとても楽しいものだといいます。

背景グラフィックでは、モバイルデバイスの特徴を理解した上で、様々な工夫を行ったといいます。基本的にコンソールよりもポリゴン数やドローコールを減らし、前にあるものだけビルドする方針を立てました。また印象的なオープニングシーンでは、草木といったオブジェクトを大胆に省略して、キャラクターと岩以外は2D描画を行なうことでリッチかつ軽量なグラフィックを実現しています。このオープニングシーンは、テクモの1988年の『忍者龍剣伝』からインスピレーションを得たそうです。つまり、印象的なグラフィックを限られたリソースで達成するためには、「昔流に考える」ことは非常に重要だということです。

サウンド面では、モバイル端末ではユーザーが音を聞かないという点を考慮して、音が無くてもプレイに支障が出ないように、パーティクルなどの特殊効果を利用したそうです。とはいってもコンソールに比べると可能な表現は限られており、バトルにおける刀による閃光なども細いものになっているといいます。

さらに品質管理面では、モバイル端末の多様性ゆえに、コンソール以上に労力がかさむことを強調し、それを個別の解析ツールを作り、解決したといいます。またデバッグ作業も「クレイジー」なものになり、多くの端末とOSのバージョンに対応することに追われたとのこと。

またコンソールとモバイル市場では、マーケティングの手法も異なることも指摘。バナーといった通常の広告はあまり効果がなく、App Storeのランキング、各メディアによるレビューが非常に重要であることを強調しました。特に『Infinity Blade』では、ゲーム以外のメディアが取り上げたことが結果としてプロモーションにつながったそうです。さらに広告費に使われる予算を、有名なファンタジー作家、ブランドン・サンダースンによるノベライズの費用に当てて、その結果、この小説自体からの収益を挙げるとともに、『Infinity Blade』のシリーズの間のストーリーを補完し、コンテンツのブランディングを行なうことができたとのこと。

そして、これまでのコンソールゲームとの大きな違いとして、モバイルゲームでのアップデートの容易さをストッダード氏は強調しました。彼が言うにはモバイルゲームにとってアップデートほど「クール」なものはないといいます。アップデートを通して、『Infinity Blade』は実質、ゲームのコンテンツとしては二倍以上のボリュームまで成長したそうです。さらに、モバイルゲームではこのアップデートを通して、収益が長期間に渡って発生します。いわゆる「ロングテール」の部分が、コンソールゲームに比べると圧倒的に大きいのです。実際に収益の50%がリリースした3ヶ月以降に得られたものだそうです。

さらにモバイルゲームにおけるログ解析の重要性も強調。アップデートの容易さも手伝って、動的なゲームシステムの変更が可能だといいます。例えば、ユーザーのログからアイテムの中でも武器の購入が多いことを把握し、アップデートに反映させたそうです。またテストプレイ時には、楽しいと思っていた「パリィ」のシステムが実際にはほとんどユーザーに使われていないことが分かり、システムを修正してより「パリィ」の発生率を高くしたそうです。

ストッダード氏個人にとっては、この解析とアップデートの作業を通して、自分がゲームに込めた意図がプレイヤーに伝わったことが確認できたといいます。このようなユーザーとのインタラクションは、今までになかったゲーム開発の喜びであり、まさに「クール」なものだと強調しました。

このような開発の結果、『Infinity Blade』 はモバイルゲームにおいて「Unreal Engine」が高い能力を持っていることを実証したと、ストッダード氏は述べました。実際にEpicのゲームの中では、『Infinity Blade』は開発者一人当たりの利益が最も高く、『ギアーズ・オブ・ウォー』といったコンソールのAAAタイトルにも匹敵するそうです。そして、モバイル市場においてもAAAタイトルの需要があることを『Infinity Blade』は実証したとストッダード氏は述べ、「Unreal Engine」を利用することで、小規模で短期間で高品質なゲーム開発が可能であったと振り返り、セッションを締めくくりました。

海外スピーカーということもあり、会場はほぼ満員で立ち見がでるほどの盛況ぶりででした。質疑応答も盛り上がりを見せました。特に今後の『Infinity Blade』シリーズの展開において、日本のソーシャルゲームに見られるような非同期型の協力プレイを実装する可能性を匂わせるなど、大変興味深いセッションでした。

またスコット・ストッダード氏は、セッションの冒頭部を日本語で行なったり、ところどころで日本のゲームに言及したり、サービス精神を発揮しましたが、何でも「最長プレイタイム」、「最も公正なプレイヤー」、「最も熟練したプレイヤー」といった点で日本のプレイヤーが世界でナンバーワンであるといいます。実際にセッション参加者のほぼ全員が『Infinity Blade』をプレイした経験があり、その人気のほどがうかがえるセッションでもありました。
《土本学》

メディア大好き人間です 土本学

1984年5月、山口県生まれ。幼稚園からプログラムを書きはじめ、楽しさに没頭。フリーソフトを何本か制作。その後、インターネットにどっぷりハマり、幾つかのサイトを立ち上げる。高校時代に立ち上げたゲーム情報サイト「インサイド」を株式会社IRIコマース&テクノロジー(現イード)に売却し、入社する。ゲームやアニメ等のメディア運営、クロスワードアプリ開発、サイト立ち上げ、サイト買収等に携わり、現在はメディア事業の統括。

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