【CEDEC 2010】バンダイナムコ&サイバーコネクトツー、『NARUTO−ナルト− 疾風伝 ナルティメットストーム』開発秘話 | GameBusiness.jp

【CEDEC 2010】バンダイナムコ&サイバーコネクトツー、『NARUTO−ナルト− 疾風伝 ナルティメットストーム』開発秘話

CEDEC 2010、「NUライブラリが結ぶ“絆”〜NARUTO ナルト〜 ナルティメットストーム開発秘話〜」と題したセッションが行われました。

その他 その他
CEDEC 2010、「NUライブラリが結ぶ“絆”〜NARUTO ナルト〜 ナルティメットストーム開発秘話〜」と題したセッションが行われました。
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バンダイナムコ 冨澤茂樹氏サイバーコネクトツー 松山洋氏サイバーコネクトツー 宇佐美公介氏


タイトルにもある『NARUTO−ナルト− 疾風伝 ナルティメットストーム』の発売元である株式会社バンダイナムコゲームスから冨澤茂樹氏、開発元である株式会社サイバーコネクトツーから松山洋氏、宇佐美公介氏が登壇しました。企業間での異なる文化を共有し、信頼を経ていく過程を説明したセッションでした。



セッションタイトルの冒頭にある「NUライブラリ」は、旧ナムコで開発されたゲーム開発用ライブラリです。当時のプレイステーション2は、プラットフォームベンダーからのライブラリサポートがほとんどない状態だったため、ゲーム制作が困難になっていました。各開発会社のプログラマがハードウェアに近いところをプログラムしなければならず、酷い場合はポリゴン1枚すら出ない、テクスチャを張るのも困難というハードだったため、旧ナムコでは、3Dモデルくらいは簡単に表示させようという目的で2001年5月頃から開発されたライブラリになります。

NUライブラリは特徴として、Autodesk Mayaのアトリビュートエディタを利用することで、指定どおりにプレイステーション2上で表示されるというものです。時代を経て現在ではプレイステーション3、Xbox360の登場によって、次世代機版NUライブラリとしてスケールアップし、NUNG(New Generation)ライブラリとして開発されています。

松山氏によると、サイバーコネクトツーでの『NARUTO−ナルト− 疾風伝 ナルティメットストーム』は2006年頃に開発がスタート。担当プログラマーは2名、うち1名はネットワーク担当兼任、サイバーコネクトツーはプログラマーが慢性的に足らず、福岡本社には160人開発が在籍していますが、プログラマが30人アーティスト人数が120人、サウンド4人といった状況となっており、そんな中、登壇者である宇佐美氏がコツコツとプレイステーション3の開発機材を触っていたそうです。

そんな折、2006年3月31日にバンダイナムコゲームスが設立されました。旧ナムコスタッフには、アミューズメント関連も含め1000人以上の開発者がいるという話を聞いた松山氏は、「これはいい相談相手ができた」ということで、旧ナムコ開発スタッフとの交流も深めていく中、NUライブラリの存在を知ったそうです。

また同ライブラリを知ったことがきっかけで『NARUTO−ナルト− 疾風伝 ナルティメットストーム』のプロジェクト発足のきっかけにもなったと語っています。

冨澤氏によると、当時のバンダイナムコゲームスでは、複数のプロジェクトと協業していくというのは社内だけに限っても高い壁が存在しており、それぞれのプロジェクトには当然のことながら、歴史や培った設計思想、ワークフローが異って存在していたそうです。

NUライブラリというのは、そういった社内の壁を越えられるように、お手軽に3Dモデルが表示されるというゲーム制作の労力を軽減させるという部分はぶれないように設計されていたはずが、プロジェクトごとにソースコードのカスタマイズ行うといったことや、派生開発を行った結果、複数ライブラリの中の1つしか動かない、特定の機種に特化したレンダリングを使用したために移植が困難になったりといった問題も発生したそうです。

結果的にはライブラリ開発チームと、各プロジェクトチームのコミュニケーション不足が原因だったために起きた問題とはいえ、社外となればそのハードルは相当高いのではないかと予想されました。NUライブラリを社外(サイバーコネクトツー)に出すことになった時、ソースを出さないかわりにサポートを重視したり、コニュニケーション不足の失敗から、やりたいことの実現方法を共に考えたり、他と共有することで、それらのノウハウが社内でも流用できるという観点から協業はスタートしたそうです。

サイバーコネクトツーでは、他社のライブラリを実装するにあたって、何から何までが初めてだったことの不安や、実際にNUライブラリを触り、感触としてどのように使っていくのかという不確定要素、両社のワークフローの違いやプログラムの設計思想なども違っていたための不安などがあったそうです。

また、東京(旧バンダイナムコゲームス社屋)と横浜(旧ナムコ開発)ですらコミュニケーション不足だったのに、東京と博多とさらに遠距離にあたるサイバーコネクトツーではコミュニケーション不足にならなかったのかというところで、両社が行った手順が公開されていきました。

まず、両社の開発スタッフメーリングリストを作成。次にサイバーコネクトツーがメーリングリストに質問、バンダイナムコゲームスの回答も同じくメーリングリストにといった手法が取られました。

しかし、これだけでは、ライブラリチームの担当者の負担が大きく、回答が遅れることも多かったことで、サイバーコネクトツー側は不安感を持っていたそうです。

そこで、毎週進捗報告を交換しあうことになります。この進捗報告に記載されている情報は、サイバーコネクトツー側からは社内のプロジェクトをいくつも抱えていることや、開発のスタッフが増えたなど、細かいことまでが報告されていましたが、各プロジェクトで案件を抱えるNUライブラリ開発側からは全体的な情報は出せたが、案件ごとの詳細を全体に公開ができなかったため、ライブラリチームの進捗が進んでないという不信感が生まれてしまうという弊害も発生してしまったと語られています。

そのため、NUライブラリ開発チームでは、内部にサポートチームを発足。当初1名から開始したスタッフを4名に増強したりと、メンバーの交代、追加を経てQueue(キュー)を実装。回答までの期間を、緊急案件であれば3営業日、高であれば5営業日、通常は10営業日とルール化し、それぞれのプロジェクトで抱える要望問題を解消していったそうです。

また、サイバーコネクトツー側とは、遠方ではあるものの、顔を合わせた定期的なミーティングを行っていくことで、要望を具体的に伝えることができ、それによって専用APIを用意できスムーズに進行が行えたといったことや、NUライブラリチームに福岡本社まで、来社してもらい、社内のワークフローや作業手順を公開したりといった努力を行ったそうです。結果的にこれらの経緯を経て、結果としてお互いをわかりあえるようになっていったと語られていました。

こうして生まれた『NARUTO−ナルト− 疾風伝 ナルティメットストーム』と、その信頼関係は続編である『NARUTO−ナルト− 疾風伝 ナルティメットストーム2』の開発でも活かされることとなり、ミーティングの総回数は『NARUTO−ナルト− 疾風伝 ナルティメットストーム』では計16回だったのが、『NARUTO−ナルト− 疾風伝 ナルティメットストーム2』では9回と約半分で済んだことや、ゲームの要素でも通信対戦機能の実装にあたり、格闘ゲームの実装経験のノウハウをバンダイナムコ側から教えていただいたどといったことが可能になりました。結果として、ゲームのプレイバリューも増えたそうです。

冨澤氏によると、協業においては最初からうまくいっていたわけではなく、文化や立場が違うので、必ず何らかの歪みがでてくる。お互いの立場を知って、自分が何をしなければならないのか、相手が何をしてくれるのかが理解していくことが大事。最初は大変だが、継続していくことで、信頼関係が生まれる手間は惜しまない。手間は帰ってくる。といったことが語られていました。

また、現在はNU3Gライブラリの制作が開始されており、モデルが表示されるだけでなく、シェーディング、レンダリングなど最近のトレンドやハイエンドな機能も実装されるように開発を進めているそうです。来年の春くらいには出てくるかもしれない。サイバーコネクトツーさんだけでなく、時期が来たら触ってみたいという会社さんはお声をかけてくださいとNU3Gライブラリをアピールました。
《鬼頭世浪》

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