【CEDEC 2010】日本のクリエイターが考えるゲームオーディオ | GameBusiness.jp

【CEDEC 2010】日本のクリエイターが考えるゲームオーディオ

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ゲーム開発者のなかでも全体的な人数が少なく、いわば特殊な存在ともいえる各メーカーサウンドクリエイターが一同に会し、議論を交わしました。
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ゲーム開発者のなかでも全体的な人数が少なく、いわば特殊な存在ともいえる各メーカーサウンドクリエイターが一同に会し、議論を交わしました。

このラウンドテーブルの司会を務めるのは、株式会社カプコンの瀧本和也氏と岸智也氏。参加者は、瀧本氏が用意したサウンドクリエイターにとっての「究極の選択」をもとに、ゲームオーディオのリファレンス(基準)レベルを考えます。

なお、本セッションには他のメディアの取材が入っていなかったため、当メディアだけのレポートとなります。


■Q1.基準にしたい信号レベルは…音楽CD? 映画DVD?

ゲームサウンドを作る際、音楽CDを基準にするのか映画DVDを基準にするのかという問いです。サウンドに携わる者でなければ違いはわかりにくいかも知れませんが、瀧本氏によると「音楽はリファレンス(基準)レベルが高い。映画はダイナミクスがあるので、幅の広いレンジを取っていく」とのこと。音楽CDでは聴く人は再生のボリュームを下げ、映画DVDでは再生のボリュームを上げるといいます。結果、映画DVDではもっとも大きい音が想像以上に大きくなる傾向にあります。
会場での挙手アンケートでは「映画DVD」派が多いように見受けられました。

A氏:「映画DVD」に手を挙げたが、本当はどちらも手を挙げたくなかった。どんな環境でプレイするのか一意に決められるわけではなく、アーケードと家庭用ゲーム機とでは目的が変わる。アーケードでは音楽CDかそれ以上のレベルで作らなければならないし、それを家庭用に移植したとき同じように作ればいいかといえば、違う。多様な背景があるので、いろんなスタイルがあるべき。

B氏:アーケードゲームを作る立場で「音楽CD」に手を挙げた。ダイナミックレンジや音量をそちらで合わせるほうが多いかなと。でも確かに、家庭用ゲーム機の立場でゲームを作るなら、「映画DVD」で手を挙げたかもしれない。

瀧本氏:弊社でも、サウンドを圧縮しなければならない場合があります。特に携帯ゲーム機ですと、「映画DVD」のほうがいいというだけですべてを解決するわけにいきません。

C氏:MA(マルチ・オーディオ)畑の人間なので、MAを基準として以前ドラマCDを作ったときの事例を。音楽とドラマ部分が並ぶと、ダイナミックスレンジの感覚が変わった。普段よりもレンジを狭くとらないと、音楽部分になったとき「うわっ、大きい!」となる。音声を基準に設定すると、いつにも増して音楽がデカい、SEがデカい。

D氏:自分が基準にしてきたのは、ゲーム機の起動音。あの起動音に負けていると、ユーザーさんがゲームを始めたときに「ショボい」と思うはず。PS2以前のハードの起動音は「音楽CD」に近い音圧だったが、PS3、Xbox360になってようやく「映画DVD」並みの起動音になった。そういう風にゲーム機の起動音を基準に考えるので、ハードが変わると基準も変わる。DSやPSPでは、知らず知らずのうちに「音楽CD」に近いものを作っていると思う。それはやはり、起動音がそういう音圧で作られているからではないか。

E氏:レースゲームではエンジン音など状況音を聞かさなければならない。そうなるとダイナミクスレンジが狭くなって当然だし、逆に『アンチャーデッド』のようなゲームはダイナミクスレンジがあることで活きる。ただ、ゲームの起動音と中身とでレベル差を落としたくはない。ユーザーさんがゲームを遊ぶなかでボリュームを操作させるようではダメ。「音楽CD」と「映画DVD」とは、ダイナミクスレンジというよりは音量の違いだと思う。
雑誌『PROSOUND』での調査によれば、ユーザーは3デシベル大きくなると音量を下げてしまうが、6デシベル小さくならないと大きくしない。つまり、1度下げるとなかなか上げなくなる。そこは気をつけなければならない。

F氏:どっち? と言われて困った。「汚い質問だなぁ」と(笑) どちらもやってきたことがあるし、どちらも良さがある。ゲームによっては両方使うことも。
それでも「映画DVD」に手を挙げた。セリフに焦点をおくと、それが基準となるので。ただ、「映画DVD」だとゲームのインタラクティブな部分でシオシオになる。メリハリという点では、「映画DVD」だけだと厳しい。

瀧本氏:ゲームは普通のメディアとして捉えられない部分があるので、業界全体としてしっかりとした考え方を作っていく必要があると思っています。それが明確であれば、ハードウェアメーカーさんに、アプローチすることもできるでしょうし。

G氏:ちなみに皆さん、もうひとつの選択肢として「TV番組に合わせてくれ」と言われたことは?

H氏:ずっと昔の話?

I氏:DVDが出回る…あのレベルの小ささが認知される前なら。

G氏:そうです。あれを言われたときは困りましたよね! TVといっても番組ごとに違うし…という思い出話でした(笑)


■Q2.最終調整で基準にするのは…TVスピーカーか? モニタースピーカー?

サウンドクリエイターがゲームサウンドを最終調整する際、TVスピーカーを使うのか、モニタースピーカーで行うのかという問いです。瀧本氏によれば、この問いは「ユーザーさんをどう捉えるかの問題でもある」といいます。
アンケートでは「TVスピーカー」派がやや優勢でした。

J氏:まさにいつも考えている問題だが、世界的に見るとTVスピーカー。「ざっくり設定したら、まずTVで聴け」と。TVで聴いたときに伝わらなければ、負けなんで。
音を小さくしてダイナミックスレンジがあれば表現の幅は広がると思うが、小さい部分が聞こえなくなったり、アナログで出力されると意図した音が鳴らなかったりする。ならば、最初からわりきってTVを基準にするのもひとつの手では。

K氏:ファミコンの頃から作っているが、全員に14インチのTVを用意し、そこで確認する。そこから出る音が基準なので、ちゃんと聞こえる音でないとダメ。それより小さい音にすると「小さいよ」と言われる。PS2あたりまではずっとそのやり方だった。

瀧本氏:僕も「TVスピーカー」での再生をすごく気にするんですが、基準を作るというのが難しい。いつもジレンマをかかえています。

L氏:最終的にどうするかは別として、「TVスピーカー」は参考にするべきだと思うが、スタジオ内TVで出して確認するとか、オフィスの自席にTVを置いて確認するとか、いろんな方法がある。スタジオ内のTVで聴くと暗騒音はないが、オフィスで聴くとPCからの暗騒音だらけ。家庭では家庭の暗騒音の上に「TVスピーカー」があることを意識しないと間違ったミックスをしてしまう。

瀧本氏:本当にその通りですね。オフィスのモニターTVで確認してて、いいなと思ってても、リビングでも同じかと言われるとこれまた難しい。影響する要因が多いですよね。

M氏:自分はちゃんとしたところで調整したい。クリエイターとして表現したい。映画のミックスとか音楽のミックスは、TVスピーカーではやってないはず。だから自分もちゃんとしたところでやりたい。うちの場合、大きいスタジオでも聴くし、防音ルームでも聴くし、フロアノイズ含めたところでも聴く。

N氏:人それぞれ基準になるものが違う。その人が一番信じられるものを選べばいい。いろんなもので聴く必要はあるんですけど、最後は自分が信じられるアイテムなりスピーカーでいいのかなと。

瀧本氏:結局は差を求めるしかできないのかも知れません。スタジオで聴くとこの音がする、個室で聞くとこの音が聴こえる。そうした差を自身のなかでどう設定し、埋めていくかしか解決方法はないのでは。結局は自分が聴いてきたものを信頼するしかないという境地にたどり着くんでしょうか。


■Q3.ハンドヘルドはどっちが大事…内蔵スピーカー? ヘッドフォン?

瀧本氏自身、「いま僕のなかで熱い問題」と語る問いかけです。ニンテンドーDSやPSP向けのゲームでサウンドを作る際、内臓スピーカーからの音を重視するか、ヘッドフォンでの音を重視するかというもの。携帯ゲーム機でサウンドをどう聞かせるか考えたとき、最終的な判断を内臓スピーカーでするのか、ヘッドフォンでするのか。サウンドクリエイターは苦渋の選択を迫られています。
なお、会場内でのアンケートでは若干「ヘッドフォン」派が多くいました。

O氏:自分のなかでは迷いはない。「ヘッドフォン」。なぜヘッドフォンをするかというと、より良い音を聴きたい没頭したいという意図があるから。その時をベストに考えたほうがいいのでは。内蔵スピーカーを無視することはないし、再現されなければいけない情報は再現されなければいけないが、「ヘッドフォン」で最終調整をしたほうがいい。

瀧本氏:最近はみなさんいいヘッドフォンをされていて、ヘッドフォンのリスニング環境がよくなっています。そういう人たちは、携帯ゲーム機にもそのヘッドフォンを差すでしょう。

P氏:以前からDSでは内蔵スピーカーで聴いたほうがいい考えている。アーケードゲームを作ってたとき、どこにスピーカーを配置するかまで含めて筐体からの出音だと思っていたが、DSにはそれに近いものがある。あのか細さもゲームの味なのかなと。それを狙って音づくりすることもある。一方PSPは、ヘッドフォンで大迫力というイメージ。

Q氏:自分は、お子さま向けやご老人向けゲームは「内蔵スピーカー」。ヘッドフォンを自分で選んで買える世代向けのものは「ヘッドフォン」。

瀧本氏:それ採用! いただきました。なるほど、わかりやすいですね。

R氏:私は両方聞こえないといけないというところまで追い込もうと考えている。ヘッドフォンが差さっているかどうかを判定し、ヘッドフォンでやってる人にはヘッドフォン用のミックスバランスのものが流れる。そういう取り組みをしている。ただ、自分がミックスを追い込む場合は最終的には「ヘッドフォン」。

S氏:自分は(作曲時に)楽器に制限を作ったことがある。「『内臓スピーカー』で鳴らない音は使うな」と。もちろん足かせにもなり得るが。

瀧本氏:男らしいのひとことですね。先ほど話に出た、PSPでヘッドフォンが差さっているか否かの判定、私は有効だと思っています。女性ボイスなどは、内蔵スピーカーとヘッドフォンとで大きく違うので。社内でも議論しているところです。


■Q4.本気でインタラクティブミックスをやったら…映画を越えられる? 超えられない?

これは瀧本氏の「個人的な興味」とのこと。いまゲーム業界の技術をもってインタラクティブミックスをすれば、映画を超えることができるのかという問いで、「超えられる」側に手を挙げたは全体の3分の1程度でした。

瀧本氏:インタラクティブミックスというのは、インゲーム中のミキシングバランス調整です。カットシーンのミックスもありますが、最近はインタラクティブのほうが面白いので、そちらのほうに注力しています。ここには大きな可能性が秘められていると思っていて、超えられるかどうかというよりも、僕は「超えたい」んです。

T氏:何をもってして「超える」と言うのか。

瀧本氏:僕のなかでは、インタラクティブミックスは映画に到達できていません。まだ発揮されていない部分がたくさんあると思っています。映画が持っている表現力を、インタラクティブが超えられるかどうかです。

U氏:ゲームはインタラクティブで、映画はおしつけの演出。自分からすると、「インタラクティブ」という言葉が出てきた時点で別物。出音だけで比べるなら、お客さんに「映画よりすごいな」と思わなければ勝ちもない。お客さんに「すごいね」と思わせるのはミックスか、音圧か。それとも演出なのか。

瀧本氏:短い言葉で書いたので、極端な表現になっています。でも、そう思っているんです、僕は。

V氏:ゲームと映画ではミックスで使えるものに差があり、音質的には圧倒的に不利。インタラクティブミックスすることによって、ミックスという観点から優位性があるとすれば、どんな点なのかなと。

瀧本氏:映画は脚本に基づいてミックスに演出が行われますよね。インタラクティブが難しいのは、その演出がどう行われるか確定できない。だからミックスも確定できない。
僕の課題でもあるんですが、インタラクティブであっても心理的なミックスができるのでしょうか? ゲームは繰り返し遊ばれるので、もし繰り返されることでミックスそのものも変わったら、何回やっても面白いと思うんですが、今はそこまでやれていません。

W氏:ではプレイヤーの心理状態をゲーム内で分析し、それにともなうものを作れないかと考えると、ボタン操作がある。
実際、それを取り入れたことがあって、プレイヤーがボタンを頻繁に押している=ゲームが盛り上がっていると判断し、ボリュームを上げる。そういうことをやった。これもインタラクティブに対するアプローチのひとつではないかなと。

岸氏:ボリュームやEQをいじったりというのは、トリガーさえあれば可能だと思っています、我々もそういうものを入れたことがあります。インパクトのとき、マルチサウンドになるとか。表現の幅が広がりますが、そういうことをやるときは、企画やプログラマと一緒にやっていかなければダメだなぁと思っています。

X氏:映画では、追いかけられるシーンではサラウンドで音が追っかけてくる演出をやる。映画を踏襲するのであれば、今の手法だけでは手に負えないのでは。

瀧本氏:ゲームがどうしても縛られるのは、サラウンドの仕組みそのものが「映画」なんです。僕らはそのフィールドで勝負しなければならない。ゲームで特別な演出をするにも、それは頭に置いておかなければなりません。

Y氏:CGのプリレンダとリアルタイムの話に重なる。エンターテインメントとして映画の歴史が長くて、若い世代が気持ちいいと感じる音楽が映画的メソッドにのっとったものに占められている。ゲームと映画はそれぞれ別のベクトルで進化していったほうが健全なのでは。

瀧本氏:「未来への提言」というセッションでも、没入感の話がでていましたが、それがそれらしく聞こえるためには、ユーザーさんの培ってきた文化、聴いてきた音があるので、どうしても逃げられない部分がありますね。

…というわけであっという間にお時間となりました。いろんなご意見がいただけてすごく楽しかったです。毎年、なんらかの形でサウンドのラウンドテーブルが開ければいいですね。
《土井大輔》

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