小島秀夫、稲船敬二、名越稔洋・・・大物クリエイターが語る「Project Natal」 | GameBusiness.jp

小島秀夫、稲船敬二、名越稔洋・・・大物クリエイターが語る「Project Natal」

6月のE3で電撃的に発表された、Xbox360の新しいマンマシン・インターフェース「Project Natal」。

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6月のE3で電撃的に発表された、Xbox360の新しいマンマシン・インターフェース「Project Natal」。
  • 6月のE3で電撃的に発表された、Xbox360の新しいマンマシン・インターフェース「Project Natal」。
  • 6月のE3で電撃的に発表された、Xbox360の新しいマンマシン・インターフェース「Project Natal」。
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  • 6月のE3で電撃的に発表された、Xbox360の新しいマンマシン・インターフェース「Project Natal」。
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6月のE3で電撃的に発表された、Xbox360の新しいマンマシン・インターフェース「Project Natal」。

ハンズフリーでゲームを遊ぶ、あまりに先進的なプレイスタイルは業界を震撼させました。そして同時に「コンセプトムービーでは?」「ホントに発売されるのか?」と疑問に思った人も多かったのではないでしょうか。実は筆者もその一人でした。「あれは一夜の幻、夏の夜の夢だった」と。

そんな疑問を解消するかのように、マイクロソフトは東京ゲームショウ初日の24日、「Xbox 360 クリエイター パネルディスカッション」を開催しました。実はこのイベント、日本のXbox360の「顔」である泉水敬氏がモデレートし、日本を代表する3名のトップクリエイターが集ってパネルトークを行うとしか、事前に知らされていませんでした。

ところが幕が開くと、パネリストは「メタルギアソリッド」の小島秀夫氏、「デッドライジング」の稲船敬二氏、そして「龍が如く」の名越稔洋氏。そしてテーマが「プロジェクト・ナタルが切り開くゲームの新しい可能性」という大サプライズ。会場に集まった世界中のプレスを前に、さまざまな熱いトークが繰り広げられ、「ナタル」の存在感と可能性が大いに印象づけられました。

パネルディスカッション全景


コナミデジタルエンタテインメント 小島秀夫氏カプコン 稲船敬二氏セガ 名越稔洋氏


最初のテーマは「Natalの第一印象」です。3人ともE3より前に「見せたいモノがある」と、シアトルのマイクロソフト本社まで呼びつけら、もとい招待され、「プロジェクトの忙しいときに」(稲船氏)、「1泊3日の弾丸ツアーで」(小島氏)視察したそうです。しかし、その時の驚きは想像以上で、小島氏曰く「2Dが3Dに進化した時と同じくらいのインパクト」と称したほど。3人とも、その場でさまざまなインスピレーションがわいてきたとのことでした。

稲船氏は「体を使って操作するデバイスは、ともすれば過去のコントローラー文化を捨ててしまうところがあったが、ナタルは過去を大事にしたまま、未来に向かえるところに可能性を感じた」とコメント。名越氏も「これまで完成したものを、もう一度生かす形で、スクラッチ&ビルドできる。特にマイクデバイスはおもしろい」と評価しました。小島氏はゲームを皮切りに、ライフスタイルが大きく変わるような印象すら受けたと賞賛。映画『マイナリティ・リポート』の世界のように、ATMや家電の操作、病院の手術など、あらゆる入力が置き換わっていく可能性がある、というわけです。

続いてのテーマは「Natalでゲームはどのように広がっていくか」です。稲船氏は単に体を使って遊ぶという狭い視野で捉えるのではなく、視野を広げることが重要だと指摘します。その一つがボディランゲージなどによる「感情表現」の入力でした。名越氏はナタルのゲームが流行ることで、パフォーマンスが大きくなり、日本人の感情表現が変わる可能性だってあると語ります。「あるゲームの説明をするとき、タイトルや内容ではなく、ナタルでの動作によって説明することも、あるかもしれない」(名越氏)。

小島氏はNatalでユーザーの個人認証が可能な点に着目していると語ります。「自分が部屋に入ったとき、気分や健康状態をコンピュータが理解してくれる。具合が悪そうなときは、話しかけたりしてくれるかもしれない。子供の頃に夢見たSF的な世界が、あと5年くらいで実現するというのが、すごく嬉しいところ」(小島氏)。ただし、まずは自分たちがしっかりとしたゲームを作って、ヒットさせることが大事だと語りました。「この発明を、僕らが台無しにしてはいけない」。

実際、稲船氏は作り手によって、すごく差が出るコントローラーだと言います。「ハードがチープだと表現物も差が出にくいが、ハードやデバイスが進化すると、クリエイターのレベルの差が開いていく。だから墜ちたくないですね」(稲船氏)。名越氏も「ナタルは手触り感を作るものかもしれない」とコメントし、「撫でる」というアクションを例に挙げました。「思わずキャラクターを愛おしく撫でるようなドラマを作り、その手触りが実現できるようなフィーチャーを作って、そのためにゲームを設計するとか」(名越氏)。そのためにはNatalで何を表現したいかハッキリしていて、強い気持ちを持っているクリエイターほど、良いゲームを作れるというわけです。

ただし、ここで3人が注意点として指摘したのが、いわゆる「経路依存」の問題でした。あまりに新しすぎて、これまでのユーザーを置いてけぼりにしてはいけない。一方でユーザーがNatalに抱くイメージは、きっちりゲームで表現する必要がある。そもそもユーザーが自分たちのゲームに求めている思いは、しっかり受け止めなければいけない。「Natalならではのゲームであることに加えて、これまでのユーザーも、ナタルで一緒に次の次元に飛べるようなもの。自動車ユーザーに対して、飛行機ではなく、空飛ぶ車を提供するようなイメージ」(小島氏)。さらに小島氏はナタルではカジュアルゲームが連想されやすいが、自分はNatalでも、コアゲーマーに向けて作品を作ると表明しました。

これに対して稲船氏も「Natalはコアユーザーでも、カジュアルユーザーでも楽しめるデバイス」とした上で、個々のクリエイターの強みを生かしつつ、会社全体でさまざまなユーザーに広げていきたいと語りました。また従来のコントローラでは手の不自由な人は楽しめなかったが、ナタルはユーザーのアクセシビリティを高めるデバイスだとして、健常者と障害者が同じフィールドで遊べるようなゲーム作り、という視点もおもしろいと補足しました。
 
ではNatalではゲームが扱うテーマは、どのように広がるのでしょうか。稲船氏は従来の指先の操作では、テーマの多様性をゲームが消化しきれなかったが、より自然なインタラクションが可能なナタルでは、それが可能になるかもしれないと語りました。小島氏は「これまでは暴力・セックス・ギャンブルが主流だったが、感情をテーマにしたようなゲームにも可能性がある」とコメント。名越氏も「ゲームの社会的な立ち位置を広げるチャンスが来ているかもしれない」としつつ、選択肢が広がりすぎて散漫にならないように、絞り込みが大事だと指摘しました。

最後のテーマは3名が抱くNatalについての夢でした。稲船氏は映画が優れた感情表現ができる一方で、「ゲームは映画に比べて『悩み』がなかった」と指摘」ナタルでゲームクリエイターの社会的地位を、映画監督と同じレベルまで高めていきたいと抱負を述べました。名越氏も「生命観や命みたいなものが画面から感じられるようなコンテンツを作りたい」とコメント。小島氏は「家族以上、同僚以上に、自分のことを一番理解してくれるようなゲームを作りたい」と語りました。

米マイクロソフト ドン・マトリック氏


なお、パネルの冒頭では米マイクロソフトでXbox360ビジネスを牽引するドン・マトリック氏もムービーで登場しました。マトリック氏はナタルはゲームの進化で重要な転換点になるが、それにはコンテンツの充実が重要で、日本のゲームクリエイターはその可能性を切り開く、産業を牽引する存在だとコメント。6月にアメリカでハードウェアが発表され、9月に日本でゲームアイディアが議論されるという、おもしろい流れとなりました。次は来春のGDCで、技術的な情報について期待でしょうか。

ちなみに気になる発売時期ですが、泉水氏曰く「ゲームソフトとの兼ね合いもあるが、そう遠くない将来」とのことで、期待して待ちたいところです。
《小野憲史》

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