主要各社が今後の戦略を語る〜「グローバル時代におけるトップメーカーの戦略と展望」・・・TGS2009 | GameBusiness.jp

主要各社が今後の戦略を語る〜「グローバル時代におけるトップメーカーの戦略と展望」・・・TGS2009

東京ゲームショウ基調講演の第2部では昨年に引き続き、「グローバル時代におけるトップメーカーの戦略と展望」と題して、各社経営トップによるパネルディスカッションが行われました。

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東京ゲームショウ基調講演の第2部では昨年に引き続き、「グローバル時代におけるトップメーカーの戦略と展望」と題して、各社経営トップによるパネルディスカッションが行われました。
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東京ゲームショウ基調講演の第2部では昨年に引き続き、「グローバル時代におけるトップメーカーの戦略と展望」と題して、各社経営トップによるパネルディスカッションが行われました。

パネリストは昨年度も登壇した▽カプコン代表取締役社長:辻本春弘氏▽スクウェア・エニックス代表取締役社長:和田洋一氏▽バンダイナムコゲームス代表取締役社長:鵜之澤伸氏に加えて、新たに▽ソニー・コンピュータエンタテインメント SCEワールドワイド・スタジオ プレジデント:吉田修平氏▽コナミデジタルエンタテインメント取締役副社長:北上一三氏の両名を加えた5名となりました。モデレータは昨年度と同じく、日経BP社 電子機械局局長:浅見直樹氏が務めました。

議論内容を要約すると、国内では携帯ゲーム機のポテンシャルがまだまだ大きいこと。海外の大作ゲーム開発に追随するだけでは、より優れたゲームは作り出せないこと。それよりも日本のモノ作りに対する精神や、玩具業界・業務用といった開発ノウハウを生かした、新しい遊びの提案で差別化を図ることが重要、というものでした。海外市場重視のかけ声が勇ましかった昨年度の論調と比べると、本年度は若干軌道修正が加わり、より現実路線になったように感じられました。

本レポートではディスカッションの中身を妙訳でお届けします。

パネルディスカッション全景


日経BP 浅見直樹氏カプコン 辻本春弘氏コナミデジタルエンタテインメント 北上一三氏
スクウェア・エニックス 和田洋一氏ソニー・コンピュータエンタテインメント 吉田修平氏バンダイナムコゲームス 鵜之澤伸氏


−−日本の家庭用ゲームの1年の総括

辻本:特にこの1年間で、日本市場でプレイスタイルが大きく変わった。戸外で携帯ゲーム機を遊ぶ姿は以前から見られたが、この1年で、複数人で遊ぶ姿を良く見かけるようになった。これは「モンハン」もさることながら、「ドラクエ9」の効果が大きい。携帯ゲーム機における特性が改めて認知された。

北上:景気の善し悪しはエンタテインメント産業には直接関係がない。「失われた10年」もゲーム産業は毎年成長していた。PS1が出たのも94年で、「失われた10年」の真っ只中だった。その中で今年はWiiの成功やハンドヘルドの特性で、コアゲーマーにもライトゲーマーにも、新しい遊びの提案ができた。ただし、来年はまた別の話。

和田:リーマンショックの意味は、「クレジット」が破壊されたということ。住宅や自動車産業は借金で買うので影響が大きかったが、エンタメはあまり関係がないし、借金してまでゲームを買う人もほとんどいない。ただし、ほとんどの小売店は信用取引なので、発注がより慎重になってきた。市場全体が足踏みしているように見えるのは、業界の「真ん中」の部分が金融不安の影響を受けたから。弊社は「ドラクエ9」の400万本を筆頭に今期は好調だが、これもたまたま今年タイトルが集中しただけ。おもしろいタイトルが出てくることが重要だ。

また、今年は携帯ゲーム機で、ワイヤレスやWi-Fiで遊ぶ習慣が定着した。結果として作り手側も、それを前提に考えるようになってきた。ただし向こう5年間は、ハードやゲームソフトのスペック面でのイノベーションではなく、課金システムや収益モデル、遊び方のイノベーションの方が重要だ。収益モデルがどう多様化して、どうお客さんに定着していくかで、次のブレークスルーがあると思う。そういう意味では我々は、それを超え切れておらず、問題を抱えている。

吉田:コンテンツを作る立場として、家庭用ゲーム産業の周辺で2つの大きな事件が起きた。1つは去年の夏にスタートしたiPhoneのApp Storeのサービス。欧米圏で非常にたくさんのミニアプリが配信されて、生活のすき間時間で遊ばれている。クオリティは多種多様だが、アイディアに優れたゲームもあり、人に見せたいという動機になっている。

2つめは今年から顕著になった、FacebookやMyspaceなどの、オープンSNSでのゲームアプリ配信。これも非常にカジュアルなゲームばかりだが、リアルな友人間で遊ばれている。共通点は「人と人とのつながり」がエンタテインメメントにしていること。これはプラットフォームホルダーのソフト部門として点で、大きなヒントになっている。

鵜之澤:世界経済の悪化はIR的な言い訳で使っているにすぎない。弊社も上半期は、あまりタイトルが出せなかったが、8月6日に出した「SDガンダム ジージェネレーション ウォーズ」は、PS2にもかかわらず好調だった。PS3向けの「ガンダム戦記」「テイルズ オブ ヴェスペリア」も好調だ。ユーザーの変化や景気の問題ではなく、結局は魅力的なソフトを出し切れていなかったのではないか。

辻本:エンタメ産業は景気がいいからヒットするのではない。遊びたいゲームがあって初めて買っていただける。映画業界や音楽業界でも前年比と比較する際に、ヒット作の有無が大きな要因になる。景気がまったく影響がないとは言い切れないが、しっかりしたゲームを作ることや、新しい遊びの提案が重要で、これが業界の拡大にもつながる。

−−中長期的な業界発展に対する捉え方

北上:ゲーム業界は20年以上続いてきたが、これは常に新しい提案がユーザーにできてきたということ。その結果プレイ人口が増え、全世界に広まってきた。今後も新しい進化や提案、新しい遊びをどう作り出していくかが重要だ。今まではハードの進化に伴ってソフトの表現力が増し、その過程で新しい提案も組み込でこれた。これからはハードメーカーに頼るだけではなく、ソフトメーカーもコンテンツ制作において、独自に進化していく必要がある。WiiやDSは新しい遊びの提案で成功したが、我々もソフトだけで、同じような新しい感覚を提案していく必要がある。ただ右往左往しているだけでは、業界を妨げる要因になってしまう。

和田:コンテンツが最も重要だが、マーケットとビジネスモデルという話をしたい。マーケット面ではゲームが子供だけのモノから、大人の娯楽としても十分に楽しめることを、きちんと認知してもらうことが重要だ。実は大人の市場を意識して作っているパブリッシャーはあまりない。エロ・グロ・バイオレンスという意味ではなく、大人がきちんと楽しめるエンタテインメントという意識改革が作り手側にも必要だ。そうすると対象マーケットが倍になる。ただ、我々もなかなか頭がきりかわらなくて、日本がいちばんゲームが子供っぽいと思われているかもしれない。これは業界側の取り組みも必要で、レーティング制度もその一環。大人向けのゲームを作ることと、青少年の健全な育成は別の話で、双方を分離して、両方を成立させたい。

ビジネスモデルでは、基本的に同じモノを作っていくと、値段は下がっていき、開発コストは上がっていく。特にメディアが変わると大きく変わる。過去にもマスクロムから光ディスクに変わったとき、利益配分が大きく変わった。これが今回ネットワークでいつ、どのように利益配分が適正になっていくか。仮にコンテンツに対する価格の下落圧力と開発費の向上が、今のまま10年続いたら業界が破壊する。ゲームの遊び方は収益モデルにもリンクしている。収益モデルにイノベーションが必要だ。

吉田:コンテンツを作る立場では、センサー群が日進月歩で、入力デバイスも進化している。3D立体テレビも、タッチパネルもネットワークある。ゲームに使える要素はたくさんあるし、アイディアもリソースが足りないくらい出てくる。ただし、ユーザーの生活スタイルや可処分所得、課金システムなどを広く考えていかないと、ニーズとシーズのミスマッチがおきやすい。選択肢が増えるほど、その見極めが重要だ。

鵜之澤:中期経営計画を立てる上で、パッケージのビジネスモデルから抜け出せていないと感じる。ダウンロード販売といっても、フルプライスのゲームをダウンロード購入することには、自分としても抵抗がある。一方でiPhoneではアプリの平均売価が1ドルたらずで、たとえ薄利多売でも会社は回せない。ただしビジネスモデルは間違いなく変わっていくし、それに対する恐怖心もある。ここ数年、ゲーム業界が活気があったのは任天堂によるパラダイムシフトのおかげだったが、そこにサードパーティがついていけなかった。以前のゲームの作り方やビジネスモデルから抜け出せず、斬新な発想ができなかった。

−−ネットワークは事業モデルとして回していけるか

辻本:まず課金システムが必須で、これにはプラットフォームホルダーにお願いするしかない。さらに一つのゲームだけでいいのかという問題もある。課金方法が多様化されると、それにもとづいてゲームが作れるし、ユーザーに新しい遊びを届けられる。しかし、それがない状況では、そこに投資もできない。いかにビジネスモデルを変えていけるか。日本では携帯ゲーム機で、ユーザーのプレイスタイルが変わってきた。さらに、そこにあった遊び方を提供できれば、ビジネスチャンスもできると思う。

吉田:ネットワークで事業が成り立つ例も増えてきている。規模としては大きくないが、PSNやXbox Live、Wiiウェアなどだ。中には小規模チームが作って、世界中で遊ばれているゲームもある。開発費は抑えて、最先端のプラットフォームで、学生から世界にヒットする例も出てきている。ディベロッパーの中にはネットワーク配信なら自社リスクで作れるし、失敗時のリスクも低いということで、自社配信に乗り出す例も増えている。 

鵜之澤:ネットワーク配信は大規模パッケージを回収できるモデルにはならない。たぶんゲームの作り方も変わっていくだろう。たとえば既存ゲームメーカーがオンラインやモバイルで大成功できていない。もっと若い、IT業界の方々がゲームを作って大きなビジネスを作りあげてきた。僕らはそれに乗り遅れたのだと思う。僕らもモバイル事業などをやってきたが、少なくともモバゲータウンやグリーなどの感覚はなかった。

和田:価格設定の自由度が増す点が重要だ。パッケージでは5時間遊ぼうが30時間遊ぼうが6800円だったものが、ネットワーク流通だと30分だけ遊びたいから500円払うとか、追加でカスタマイズできるなら5万円でも払えるなど、価格設定が滑らかにできる。同じコンテンツでも、いろんな収益モデルを設計する基盤ができる。ただし壁になるのはユーザーの習慣で、ゲームでは無理でも百科事典のディスクなら3万円くらい払うなどは一例だ。こうしたことを業界で、きちんと発信していかなければ、作り手の発想もなかなか変わらない。

北上:電子マネーの問題が障害になる。これをうまく解決したのが携帯電話で、日本でいち早くビジネスモデル的に成立した。ただしゲーム業界は、まだ電子マネーが一般化していない。ユーザーの立場では、ウェブマネーを買うよりはパッケージが欲しくなるし、中古で売買もできる。ネットワークビジネスを進めるなら、電子マネーをアメリカやヨーロッパでも普及していく必要がある。そこには法律上の問題もある。ネットワークビジネスが主軸になるためには、電子マネーが世界中で浸透することが必要だ。

−−「携帯」プラットフォームの可能性

北上:携帯ゲーム機は前から可能性がいちばんあると思っている。コンソールは一家に一台でも、携帯ゲーム機なら一人が一台持てる。さらに一人が一台であることで、自分視点でプレイしたり、自分視点で友達と一緒に遊べたりする。さらにネットに繋がれば、まだまだ可能性がある。

辻本:非常に有望。一人一台に加えて、持ち運べる点が大きい。携帯ゲーム機では実際に会って、友達にゲームを見せたり、遊び方を教えあうことができる。そこでユーザーコミュニティが生まれて、広がっていく。「モンハン」もそうしてヒットした。口コミほど安くて有望なモノはない。こういうことを考えてゲーム開発をすることで、携帯ゲーム機はビジネスチャンスが広がっていくと思う。さらにいえばコンソールとポータブルでは、ゲームの作り方も変えていかないといけない。

和田:携帯ゲーム機と携帯電話の議論は違う。そもそも電話機でゲームをする必然はあまりない。携帯電話でのコンテンツビジネスが普及した要因は、マイクロペイメントの整備と、課金のプラットフォームがシンプルだったこと。仮に1つのゲームで課金方法が何十種類も用意されていても、ユーザーは迷ってしまう。

携帯ゲーム機という意味では、ライフスタイルの違いが大きい。日本人は戸外にいることが多い。世界中で最も家にいる時間が少ない国民ではないか。夕方にすぐ家に帰ってきて、家族中がリビングで過ごすような社会では、メールなどいらない。その場で話せばいい。逆に日本は世界中で最もモバイルに向いた国で、携帯ゲーム機の市場はまだまだ広がっていく。

−−国内外のマーケットはどうなる?

鵜之澤:日本は少子化もあり、開発費が向上すると、海外に市場を求めざるを得ない。海外市場が良いからではなく、生き残るために意識せざるを得ないのが実情だ。アメリカでも開発を始めているが、かなり苦労している。内部で100人近くの開発者がいて、さらに外部のスタジオも使っているが、クオリティが上がらず、引き上げてきて内部で完成させることが2回あった。メイドインアメリカの仕組みだけでは、ゲームは作れなかった。ゲーム開発に長けた人間が中核に必要で、実際に現場に口を出すとクオリティがすごく変わる。ただ、まだ発売できておらず、結果が出せていない。

日本の強みは確実にある。アメリカと同じモノを作っても日本の意味がない。日本人の持っているモノ作りのこだわりや、こまやかさ、手触り感が大事。マリオやパックマンが輸出されて、海外でアレンジされて、今はハリウッド映画みたいなゲーム作りになった。逆に日本でハリウッド映画を作っても仕方がない。アジア圏では、今年チャイナジョイに久々に行ったが、中国ではまだ日本のモノを必要にしているようには見えなかった。ただし日本はコミックをはじめ数十年の歴史があり、強みがある。アジアはまだ産業が立ち上がったばかりで、元ネタが作れる人はまだ少ないという印象だ。

吉田:2000年から去年までSCEAの開発責任者で、今は全世界での開発責任者だ。ただし今でもSCEのワールドスタジオでは、8割以上がアメリカとヨーロッパでのスタジオ活動で、ここ10年近く海外メーカーの視点で日本市場を見てきた。アメリカで100万本売れても、日本で2万本という状況で、非常に厳しかった。一方で日本と欧米の嗜好も技術の向上に伴って大きく違いが出てきて、日本で受けるゲームは日本で作らないと無理だということも、ハッキリしてきた。少子化などといわれているが、日本の市場比率が世界で減ってきているのは事実。だから昔は気楽だったが、今は大変。

実際、ハリウッド映画のような映像表現でゲームを作るのなら、アメリカの方が得意。人材獲得で地の利もある。日本でもそういうチームはあるが、日本の強みはインタラクティブ性であり、遊んで楽しいかであったり、多彩なアイディアや、それをつきつめていく力で、そこには一日の長がある。欧米で売れているモノを追随してもダメで、自分たちの強みが何かを見きわめることが大事。そこでおもしろいモノさえ作れば、たとえアニメ的、ローポリ的な表現であっても、世界で売れるモノが作れると思う。

和田:あえてコンテンツでない話ばかりしているが、グローバルという市場はない。国や地域など、いろんなセグメントの積み上げで、結果的にグローバルになっているだけ。そのため、どれくらい多様な嗜好に作り手側が耐えられるか。そして、それをいかに割り切るかが重要だ。

北上:自分もアメリカに住んでいるが、日本人とアメリカ人では根本的に人種が違う。さらに日本は二千年以上の歴史があるが、アメリカは二百年ほどで、彼らには歴史がない。ヨーロッパはそれぞれ日本以上の歴史があるが、国によって教育過程や価値観が違う。日本人は日本も世界も共通だと思っているが、実際は日本は世界の中でちょっと違うのではないか。技術力では欧米の方が優秀だと思う。逆に日本メーカーの良いところはクリエイティブ性で、新しい遊びを提案するところ。それは玩具の発想で、ゲームも玩具から派生してきた。新しい遊びを提案する点では、日本が世界をリードできるかもと思っていて、これを前面に出していければいいのではないか。

ジャンル的にはハリウッド映画がヒントになるかもしれない。ハリウッドではアクション映画が人気だが、アメリカには英語が満足に話せない、理解できない人たちもたくさんいる。そういう人たちでも映画を楽しめるようにハリウッド映画は進化してきて、それが世界中でヒットする技術を身につける上で重要な要因になったのではないか。日本としては新しい遊びを提案することと、グローバルで成功するためには、スポーツやアクションといった普遍的なジャンルに、日本の新しい遊びを付け加えることが重要だろう。コナミでも「メタルギア」シリーズがあるが、これは本格アクションに、「かくれんぼ」の要素を組み込むことで、全世界の人たちに共感してもらえるものになっている。アメリカのメーカーと同じゲームを作っていては勝てない。我々の差別化をもっと前面に出していき、これがメイドインジャパンのアクションだ、スポーツゲームだ、という提案が必要だ。

辻本:コンソールゲームでは、Wiiから始まった体験型コントローラーが人気だが、日本ではアーケード出身のメーカーが多い。音楽ゲームも体感ゲームも日本から生まれてきた。なのでアーケードの技術でモノを作っていくというのは、僕はあると思う。アーケードで培った長年の智恵や技術をコンソールに持ってくるべき。携帯機では、日本は携帯電話の先進国。日常的にゲームユーザーが携帯ゲーム機を持って、どういうふうに慣れ親しんでいるか、良くわかっている。それを理解して、ゲームの企画開発に入れ込めば、欧米と違う形で勝負ができるし、日本のゲーム業界のポテンシャルは高い。

鵜之澤:弊社に限らず、業務用と家庭用では社内に大きな壁がある。たとえば「鉄拳」をダウンロードで無料で配信し、1プレイごとに百円ずつ課金すれば、成功するかもしれない。でも、その度胸がないのが正直なところ。Wiiが登場する前から、業務用の連中は、さまざまなインターフェースでゲーム作りをやっていた。今後登場するであろう3D立体ゲームも、旧ナムコでも「サンダーブレード」などのタイトルがあった。こうした社内のアイディアがいろいろ眠っているので、部門の壁を取り除いていきたい。

−−今後のゲーム開発はどうなる?

辻本:据え置き機から携帯機への流れのように、消費者のライフスタイルが変化している。ここを認識した上で、開発していかなければいけない。自分は開発ではなく経営サイドなので、ライフスタイルの変化に伴うゲーム開発に対して、いかにビジネスを合わせていくかが重要だと思っている。

北上:売れる物と売れない物の格差が拡大している。その中で成功するためには、メーカーサイドではなく、ユーザーサイドからの視点が必要だ。ユーザーから見て、何が新しいのか、どう楽しいのか。同じものではなく、どう差別化したのかに焦点を当てていくことが大事だ。

和田:ユーザーインターフェースが多様になって、さまざまなことが可能になってきた。逆に開発の選択肢がありすぎるので、ユーザーニーズに適切に応えるためには、プロデューサーの力量が重要だ。何をどう組み合わせて、どういったお客様に、どのタイミングで、どのような遊び方をしてもらうかを、いかに提案できるかということだ。作る側の手法としては、どれくらい共有できるか。社内外でネットワーク型の組織になれるかが重要。文化的な壁もあり、日本人は自分たちで隠したがるが、それではダメ。プロデュース力とネットワーク力の2つが世界で成功するためには必要だ。

吉田:コンテンツ開発を牽引する技術要素はたくさんある。また地域間での要素やライフスタイル、ニーズもさまざまに分かれていく。ビジネスで必要なことは、クリエイティブな要素と地域間のニーズをいかに近づけていくか。販売側・マーケット側・エンドユーザー側とクリエイターをいかに近づけていくかだと思っている。さらにプラットフォームフォルダーのソフト部門として、ゲーム制作をしやすいプラットフォームになるように、いろいろ意見を出していきたい。現在Motion Controllerの開発にも、ソフト側でいろいろな注文を出しているが、それ以外のネットワークや課金システムなどについても、いろいろソフト側から意見を出していきたい。

鵜之澤:うちはグループ内に玩具や映画など、さまざまな部門があり、ゲームも家庭用と業務用がある。ただし、部門間の壁が高い。メインのラインでは従来のパッケージの仕事をやりながら、この壁を壊すことで、新しいモノが生まれる仕組みを作っていきたい。
《小野憲史》

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