「EVEは死につつある。その過程を、我々は"生きる"と呼ぶ」―"AIにとってのラスボス"『EVE Online』開発元ヒルマーCEOに聞く、DeepMind提携と1億ドルの"フロンティア"【インタビュー】 4ページ目 | GameBusiness.jp

「EVEは死につつある。その過程を、我々は"生きる"と呼ぶ」―"AIにとってのラスボス"『EVE Online』開発元ヒルマーCEOに聞く、DeepMind提携と1億ドルの"フロンティア"【インタビュー】

社名変更の背景、DeepMindとの研究提携、『EVE Frontier』の狙い、そして"リフレッシュ"を掲げる日本市場への再注力まで。来日したヒルマーCEOにじっくりと話を聞きました。

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「EVEは死につつある。その過程を、我々は
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開発体制は「半分が『EVE Online』、半分がそれ以外」――『EVE Frontier』の開発費は約1億ドル

――いま、『EVE Online』と『EVE Frontier』の開発リソースはどれくらいの配分なんでしょう。さっきの話を聞いていると、『EVE Frontier』のほうが新しいことができる、というふうにも聞こえたので、この先はそちらにリソースを寄せていくのかも気になります。

ヒルマー:パブリッシング、カスタマーサポート、開発チームまで含めれば、大体会社の半分――全員数えるとおそらく200人ほど――が『EVE Online』に携わっています。残りの半分が『EVE Frontier』と『EVE Vanguard』、そして中国のチームです。中国チームは『EVE』の中国版と、『EVE Galaxy Conquest』というモバイルゲームを作っています。

『EVE Frontier』について重要なのは、専用に確保された外部資金によって開発が進められているという点です。Andreessen Horowitz(a16z)を中心に、Makers Fund、BITKRAFT、Kingsway、ネクソンなど、実にさまざまな投資家が出資してくれています。『EVE Frontier』の開発予算はおよそ1億ドル。作るのに非常にお金がかかるゲームですが、すべて外部調達です。EVE Frontierの開発資金は、EVE Onlineの収益を振り向けて賄っているわけではありません。

――この先の力のかけ方でいうと、たとえば5年間の計画みたいなスパンでは、やはり『EVE Frontier』に寄っていくんでしょうか。

ヒルマー:まったくわかりません。5年後?なんてこった。5年後には、月にホテルができているかもしれませんし、AGI(汎用人工知能)が実現しているかもしれません。私にも分かりません。もちろん計画はありますし、Excelだってありますよ。でも……いやはや、という感じです。

IVSで感じた「AIへの熱量」と、家族の目で見た日本

――そういえば、今回はIVS2026にも登壇されたんですよね。IVSの印象はどうでしたか?あと、日本には結構頻繁に来られているんですか?

ヒルマー:IVSでは2つのパネルに登壇しました。ひとつはAIについて、もうひとつはブロックチェーンゲームについてです。AIのパネルのほうが、はるかに多くの聴衆を集めていました。これがひとつの発見でしたね。ここでも皆、ブロックチェーンよりAIにずっと興奮している。もっとも、これは目新しい話ではなく、いま世界中どこでも同じですが。

IVSの後は、京都で家族と合流しました。うちの子どもは12歳、15歳、22歳の3人で、15歳の子の恋人も一緒です。京都、広島、大阪、下田、そして東京と回りました。子どもたちは皆、マンガとアニメとゲームにどっぷりの世代です。だから京都ではマンガミュージアムに行って、東京ではもちろん秋葉原に行きました。彼らの目を通して日本を体験するのは、これまでの来日とはまったく違う経験でしたね。何度も来ている国ですが、しばらく間が空いていたので。

もうひとつの発見は、観光客の多さです。日本でこんなに観光客を見たのは初めてですよ。京都なんて、まるでパリでした。

そして、日本とゲームの関係の深さには、いつも感銘を受けます。幸運なことに、京都にある任天堂の創業当時の社屋を訪ねる機会にも恵まれました。いまは創業家のファミリーオフィスの持ち物になっていて、アーティストたちが集まる、素敵な施設もあります。ああして積み重ねられてきた遺産を目にすると、ゲームがこの国の文化にどれほど深く根ざしているかを実感します。私が作っているのは、まだたった23歳の若いゲームです。ポケモンでもマリオでもない。それでも、ゲームの歴史がこれほど深く刻まれた国を見るのは、いつだって刺激になりますね。

――いまの話を聞いていると……任天堂のハードでゲームを出したいとは思わないですか?

ヒルマー:実は、『EVE Frontier』はコントローラーでの操作を前提に設計されています。そのため、操作体系という観点では、理論上はニンテンドースイッチ2のようなコンソールにも適している可能性があります。あ、もちろんスイッチ2版を作っているわけではありませんよ。ただ、実はSteam Deckでは動いてしまいました。我々はまったく注力していなかったのに、プレイヤーたちがサイドロードして動かしてしまったんです。現時点で具体的な予定はなく、いまはPC版と、コントローラー対応をきちんと仕上げることに集中しています。

「いまが最高のタイミング」――日本のプレイヤーへ

――ありがとうございます。では最後に、長年『EVE Online』を愛してきた日本のゲーマーと、『EVE Frontier』などこれからの挑戦に期待する読者に向けて、「もっと遊びたくなる」メッセージをお願いします。

ヒルマー:日本はゲームとの関わりがとても深い国で、私は個人的に、ここ日本でのプレゼンスを高めることにずっと関心を持ってきました。だから日本語ローカライズを作りましたし、いまはそのすべてを、もう一度リフレッシュしているところです。日本のコミュニティからは、我々の活動全般に多くのフィードバックをもらってきました。コミュニティチームには「どこを改善できるか」の情報が大量に蓄積されています。私がいまここで、あなたたちと話しているのもその一環です。マーケティングチームも開発チームも、日本に関わる取り組みを刷新している最中です。ずっとリフレッシュが必要だったんです。我々はいま、本気でそういうモードに入っています。

だから、『EVE Online』を遊んだことのある人も、遊んでみようかと思っている人も、いまが参加する絶好のタイミングです。そして、どうすればもっと良くできるか、どんどんフィードバックを寄せてください。本当に、もっと良くしたいんです。

『EVE Vanguard』に興味があれば――7月に「アヴァロン」というイベントをちょうど終えたところですが、11月にまた次の機会があります。そのときに試してみてください。『EVE Frontier』は、現在実施中のテストプログラムを通じて実際にプレイできます。evefrontier.comにアクセスすれば、実験段階のプレアルファに参加できます。開発チームはとてもオープンで、いつも配信でアップデートについて語っています。ゲームが作られていく様子に立ち会うのは、本当に楽しいものですよ。

それでも、いまいちばん大きなテーマは、おそらく、ここ日本において『EVE Online』をさらに盛り上げるべく再注力しているということです。『EVE Online』が気になっているなら、参加するのも、復帰するのも――いまがそのときです。


北欧神話と熱力学第二法則から始まったインタビュー。失われうるからこそ、イミガアル。難しいからこそ、AIの――そして人間の――能力を引き上げる。ハードコアであることは、ヒルマー氏にとって克服すべき欠点ではなく、23年間ひとつの宇宙を回し続けてきた原動力そのものなのでしょう。

『EVE Online』の運営を「東京の運営」に重ねてみせた男が、Google DeepMindという"超頭脳"を得て、この宇宙をどこへ導くのか。そして、日本市場への再挑戦に向けたFenrisの新たな取り組みを、日本のコアゲーマーたちはどのように受け止めるのでしょうか。狼の口に沈んだ太陽がやがて抜け出していくように、23歳のユニバースはいま、新しい章に入ろうとしています。

取材協力:Fenris Creations


Fenris Creations公式サイト

『EVE Online』公式サイト

『EVE Frontier』公式サイト

『EVE Vanguard』公式サイト
《宮崎 紘輔@Game*Spark》

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