ゲームイベントを歩いていると、様々なブースで思いもよらない作品と出会います。
名前も知らなかったゲームをなんとなく試遊してみて、気づけばそのゲームの虜になっていることも。しかし、イベントが終わってしまえば次にそういった出会いがあるのはいつかわかりません。
そんな、“イベントでの出会い”を長く続けられる場所にしたい。東京・有楽町にオープンした「UKIYO GAME BAR&CAFE」はそんな発想から生まれたインディーゲームバーです。
運営するのは、国内外のゲーム開発者やパブリッシャーを支援するUkiyo Studios。今回、TGS2026の開催期間中に店舗を訪れ、なぜゲーム会社がバーを作ったのか、どんな作品を置いていくのか、そして今後この場所をどう育てていきたいのかを、Ukiyo Studiosの高橋温氏に伺いました。
「展示会って一瞬で終わっちゃう」365日ゲームを見せられる場所へ
――まず、このお店がどういう場所なのか教えてください。
高橋:「Indie Game Bar in Tokyo」というのが、このお店のスローガンです。
我々Ukiyo Studiosは、これまで世界中を回りながら、イベント出展や海外展開の支援、海外の開発者・パブリッシャーの日本展開などに携わってきました。そうした活動を通じて、世界中のゲームをさまざまな場所で紹介しています。
そのなかで、「もう少し長い期間、ゲームを見せられる場所があってもいいよね」という思いがあって。展示会って、2日間だったり5日間だったり、どうしても一瞬で終わってしまうじゃないですか。それだけで終わってしまうのは、やっぱりもったいないなと。
だったら、リアルな場所で365日ゲームを遊べる場所を作ろう、と。Ukiyoならではのつながりを活かして、世界中の面白いタイトルを継続的に紹介していきたい。そんな思いで作ったのが、このUKIYO GAME BARです。
――インディーゲームを中心にしている理由はありますか?
高橋:仕事としてインディーゲームに関わることが多いというのもありますけど、やっぱり単純にインディーゲームが好きだからですね。インディーゲームって、クリエイターが自分の「好き」をそのまま作品に出しやすいと思うんです。
たとえば『Arctic Eggs』ってゲームをご存じですか? フライパンでひたすら目玉焼きを焼いたり、タバコを焼いたりするゲームなんですけど、一言で「どういうゲームなの?」と説明しようとすると、なかなか難しいじゃないですか。

そういう、「いったい何をやっているんだろう?」と思うようなことを、本気でやっている作品がすごく好きなんです。なので、そういうインディーゲームを集めて紹介していきたい、というのも理由の一つですね。店内には、イベント展示から生まれた「リアルBuckshot Roulette」も設置されています。

――これは、もともとイベント用だったんですか?
高橋:2024年の東京ゲームショウのときに作ったんです。そのとき、日本の配信者のk4senさんが遊びに来てくださって、すごく気に入っていただけて。そのまま「k4sen Con」にも出展させていただきました。
そこからイベントでも出すようになって、日本ではこの「リアルBuckshot」がかなり人気になったんです。それもあって、せっかくバーをやるなら、これをひとつの出し物として置いておけば、人を惹きつけるきっかけにもなるんじゃないかと考えました。
「リアルBuckshot Roulette」を設置している上階は、基本的にはイベントスペースとして運用していて、今後はセミナーやトークイベントなども行っていく予定です。
取材当日も、TGSで来日していた海外の開発者が夜に立ち寄る予定とのことで、そうした交流の場としても活用していきたいと話していました。
2週間後にはゲームが変わる。世界中で見つけた作品を有楽町へ
UKIYO GAME BARでは、設置されるゲームも固定ではありません。店内のPCには独自ランチャーが導入されており、一度に約20タイトルをプレイ可能。今後は、半月程度の周期でラインナップを入れ替えていく予定とのことです。
――しばらくして来店すると、置いてあるゲームも変わるということですね?
高橋:そうですね。UKIYO Studiosは世界中の開発者やパブリッシャーとつながっていますし、我々自身も年間20くらい、世界中のイベントに参加しているんです。
そうしたイベント先で、「これ面白いな」「このゲーム、日本にいる皆さんにも遊んでほしいな」と思う作品があれば、その場で開発者に声をかけられるんですよ。
「うちのバーでゲーム出さない?」って(笑)。
ふらっと来ていただいて、「また来月来よう」と思ったときには、前回とは少し違うゲームとの出会いがある。そういう場所にしたいですね。こうした仕組みは、海外のインディーゲームを日本のプレイヤーに紹介していくうえでも、大きな意味を持っているといいます。

高橋:東京ゲームショウやBitSummitに出展するのって、海外の開発者からするとすごく大変なことなんですよね。移動も含めてかなりお金がかかりますし。なので、日本の展示会で見られる海外タイトルって、実は本当に一部なんです。
でもバーだったら、向こうからゲームのデータを送ってもらえれば、比較的気軽に展示という形で日本の皆さんにお見せできます。
それこそ我々がGamescom Latamなどに行って、ブラジルやチリをはじめ、いろいろな地域のゲームを見つけてきて、「じゃあ、うちのバーで展示しましょう!」と声をかけることもできる。
そうやって、これまで日本ではなかなか触れる機会のなかったゲームを紹介できるのが、UKIYO GAME BARの強みのひとつだと思います。

さらに、ゲームとドリンクを組み合わせた展開も考えているとのこと。
たとえば台湾のゲームであれば、台湾ウイスキーの「KAVALAN」やタピオカミルクティーを。オーストラリアの作品であれば、現地のジンやウイスキーを合わせるといった形で、ゲームだけでなく、その作品が生まれた土地の文化まで一緒に味わえる企画も検討されていました。
高橋:オーストラリアのタイトルを見せながらオーストラリアのドリンクとペアリングする。そういうことも今後やっていきたいですね。
「UKIYOのことは、正直知らなくていい」
――最後に、まだUKIYOを知らない人に向けて一言お願いします。
高橋:UKIYOのことは、正直知らなくてもいいんですよ。我々は、インディーゲーム業界の「黒子」だと思っているので、むしろUKIYO自身が目立ちすぎちゃ駄目なんです。
常に、パートナーであるゲーム開発者さんやパブリッシャーさんの作品を「わっしょい」と持ち上げていく。それが我々の役割ですね。
たとえ直接お金のやり取りがない相手でも、「これ面白いな」「こういうゲームはもっと世の中に知られるべきだ」と思えば、どんどんバーで紹介していきたいと思っています。
もちろん、それは海外のゲームだけではありません。Tokyo Indiesや東京ゲームダンジョンのような場で出会う日本の作品もそうですし、僕自身、同人ゲームがすごく好きなので。そういうゲームもこのバーでどんどん紹介しながら、「日本のインディーゲームもめちゃくちゃ面白いですよ」と伝えていきたいですね。
草の根活動みたいな形で、国内外を問わず、世界中の面白いインディーゲームを見せていければと思っています。
なので、インディーゲームが好きな方はぜひ遊びに来てください。おいしいお酒と、面白いゲームが全部ありますので。

今後の展望としては、Fangamerや各パブリッシャーなどから提供されたゲームグッズの販売も予定しているとのことです。
「UKIYOのことは、正直知らなくていい」という言葉は、自分たちではなくゲームを主役にしたいという、この店のあり方を端的に表しているように感じました。
2週間後に訪れれば、前回とは違うゲームが並んでいるかもしれません。UKIYO GAME BARは、「遊びたいゲームを決めてから行く場所」というよりも、知らないゲームとの出会いを求めて足を運べる場所になっていきそうです。
UKIYO GAME BAR 店舗情報
住所:東京都千代田区有楽町1-3-8 3階・4階
アクセス:東京メトロ日比谷駅A4出口から徒歩約2分、銀座駅C1出口から徒歩約3分
営業時間:10:00~22:00
定休日:なし
公式サイト:UKIYO GAME BAR 公式サイト







