「ゲーム業界における夫婦共働き世帯の悩み」業界歴の長いベテランたちが、解決方法を探る【CEDEC 2026 セッションレポート】 | GameBusiness.jp

「ゲーム業界における夫婦共働き世帯の悩み」業界歴の長いベテランたちが、解決方法を探る【CEDEC 2026 セッションレポート】

ゲーム業界における夫婦共働き世帯の悩み。世間一般の共働き世帯と同じような悩みもあれば、ゲームを仕事にするゆえのキャリアの悩みが語られました。

ゲーム開発 その他
「ゲーム業界における夫婦共働き世帯の悩み」業界歴の長いベテランたちが、解決方法を探る【CEDEC 2026 セッションレポート】
  • 「ゲーム業界における夫婦共働き世帯の悩み」業界歴の長いベテランたちが、解決方法を探る【CEDEC 2026 セッションレポート】
  • 「ゲーム業界における夫婦共働き世帯の悩み」業界歴の長いベテランたちが、解決方法を探る【CEDEC 2026 セッションレポート】
  • 「ゲーム業界における夫婦共働き世帯の悩み」業界歴の長いベテランたちが、解決方法を探る【CEDEC 2026 セッションレポート】
  • 「ゲーム業界における夫婦共働き世帯の悩み」業界歴の長いベテランたちが、解決方法を探る【CEDEC 2026 セッションレポート】
  • 「ゲーム業界における夫婦共働き世帯の悩み」業界歴の長いベテランたちが、解決方法を探る【CEDEC 2026 セッションレポート】
  • 「ゲーム業界における夫婦共働き世帯の悩み」業界歴の長いベテランたちが、解決方法を探る【CEDEC 2026 セッションレポート】

夫婦が共働きする世帯は年々増加し続けており、すでに特別なケースではなくなっていると言えるでしょう。厚生労働省によるデータによれば、約1200万もの世帯が夫婦それぞれで仕事を続けているとのこと。多くの共働き世帯が抱える悩みに「仕事と生活をどう調整しながら人生を進めていくべきか」というものがあります。

もちろん、ゲーム業界でも共働き世帯は増えており、同じような悩みを抱えています。CEDEC 2026ではパネルディスカッション「ワーキングペアレントの働き方と悩み2026」を実施。もともと本テーマは過去のCEDECでも公募セッションとして継続的に取り上げられてきましたが、「共働き世帯を取り巻く課題はゲーム業界全体で継続的に考えていくべきテーマである」との考えにより、今回はパネルディスカッション形式で行われることとなりました。

本パネルディスカッションに登壇したのは、セガサミーホールディングス株式会社 総務本部の茂呂真由美氏、株式会社イリンクス代表取締役の田中宏幸氏、株式会社セガ JAStudios第2事業本部の鈴木こずえ氏、同社技術本部でツールエンジニアを務める菊川陽介氏の4名。全員がゲーム業界で長いキャリアを持ち、そして高校生や大学生の子供を持つ親として生活しています。そんな仕事と生活のなかでぶつかった悩みと解決方法が明かされました。

「会話が1文字で終わる」思春期の悩みから、「おかずアセット」を活用した弁当作りまで

パネルディスカッションはまず、事前アンケートの結果紹介から始まりました。茂呂氏によれば、事前アンケートには145名から回答が寄せられ、うちワーキングペアレント本人が8割強を占めたといいます。当事者の年代は40代がもっとも多く、職種はエンジニア、アーティスト、ゲームデザインの順に多かったとのことです。また、当事者が抱える悩みとしては、1位がリモートワーク制限、2位が残業、3位が家事分担という結果になったことが紹介されました。参加形式についても質問されており、会場参加とオンライン参加のどちらも一定数あったことが明かされています。

続いて登壇者による自己紹介で、各登壇者がどのような家庭を持っているかが明かされました。司会の茂呂氏は、セガサミーホールディングス総務本部に所属し、高校1年生と美術大学4年生の姉妹を育てているとのこと。普段の生活では娘たちの学校行事の調整に追われる日々を明かしつつ、「主人の方に今日も調整していただいて」と、夫婦で分担しながら対応している様子を語りました。

イリンクス代表取締役の田中氏は、もともとエンジニアとしてさまざまな会社で働いてきた経歴を経て、いま2人の息子を育てていることを明かしました。とくに思春期を迎えた息子との会話が減ったことについて、「1日の会話量の一文字で終わる日とかも結構ザラにありまして」と、難しい年ごろの子供を持つ苦労も語っています。田中氏は「子供の小さい頃、もう膝ぐらいの頃とかはね、あんなにお父さん、お父さんとか言ってくれたのに、本当に切ないというかね、寂しいというかね」と率直に語りました。

セガでデザインセクションに所属する鈴木氏は、高校1年生の娘を育てており、娘が美術好きが高じてビジネスコースのある高校に進学したことを紹介。多忙な朝の弁当作りについて、「週末にピクルスを中心とした3Dアセット的におかずアセットを作って、毎朝詰め込むという作業をしております」と、自身の仕事になぞらえたユーモアを交えて語りました。

ツールエンジニアの菊川氏は、中学1年生と小学5年生の2人の娘を育てており、長女が不登校気味であることを明かしました。ただし本人は深刻に捉えすぎず、「あえて大変なことは言わずに、自分としては楽しんでいるところがあります」と述べ、娘が好きな映画を一緒に見に行く予定を立てていることも紹介しました。

事前アンケート結果の上位に挙がった課題について、順に議論が行われました。リモートワークをめぐっては、制度そのものが縮小傾向にあることが話題に上り、「もし可能であれば、そういった制度を取り入れて、一緒に考えていければ」といった声が上がりました。

会場からも、「出社とリモートワークを柔軟に使い分けている」という反応もありました。さらに残業やチームワークについても議論が及び、「仕事も育児も大事と思っている人間でして、どっちも捨てられない」という率直な発言も挙がりました。その一方で、チームで働くうえでの助け合いの重要性についても意見が交わされました。

家事分担については、子どものお迎えの日を固定して集中的に対応する工夫や、学童保育・送迎付きのサービスを活用する例が紹介され、「子育てに正解とかはないと思うので」という前置きのもと、家庭ごとに合ったやり方を模索している様子がうかがえました。キャリアの両立については、育児をしながらマルチタスクで働く難しさとやりがいの両面が語られています。

「不登校になったら一緒にゲームをやっちゃう」親の焦りを捨てて見つける、家庭ごとの正解

話題は切実な問題として、菊川氏が挙げた自身の子供の不登校についても語られました。菊川氏の話を受け、鈴木氏も自身の家庭で同様の時期があったことを明かしました。「その時は本当に私も親の方が焦ってしまって」と当時を振り返りつつ、夏休みが1ヶ月近くあったことを幸いとし、「本当に子供を自由にさせた」というエピソードを共有。「不登校になった子は何もしなかったり、一日ゲームをしていたりする。そこでゲームはむしろこっちも遊ぶみたいな感じで、一緒にやっちゃう」と、関わり方を語りました。これを受け、茂呂氏は「下手に親は介入せずに任せるっていうのが大事らしいので、本当に抑えるしかない」とコメント。大事なのは子供の好きなことや得意なことを見つけてあげて、家庭内は不登校で傷ついた子が休める場にすることの大切さが指摘されました。

経営層必見の両立支援助成金。この課題を一過性で終わらせないための業界アップデート

セッション後半では、管理職・経営層向けの話題として、厚生労働省による両立支援助成金を紹介。育休を取得しやすい雇用環境整備を行った企業への「子育てパパ支援助成金」や、育休取得者の業務を代替する労働者に手当を支給するコースなど、複数の制度が説明されました。田中氏は中小企業の立場から実際にこれらの制度を活用してきた経験を共有し、事業主に向けて積極的な制度活用を呼びかけました。

クロージングでは、本セッションを一過性の取り組みに終わらせず、ゲーム業界やCEDECとして何ができるかを今後も継続的に検討していく方針が改めて共有されました。会場やチャットには多くの反応が寄せられ、育児だけでなく介護と育児が重なるケースについても言及されています。

ゲーム業界の仕事自体も決して簡単ではない中、夫婦で共働きをしながら家族も守っていくというのはさらに難易度の高いことがわかるパネルディスカッションとなりました。今後もさらに掘り下げていくべき問題なのは間違いありません。依然として社会で共働き世帯は増え続けていますし、ゲーム業界内でもそうした世帯は増えていくことは予測される中で、重要な知見が語られたのは確かです。

《葛西 祝》

ジャンル複合ライティング 葛西 祝

ビデオゲームを中核に、映画やアニメーション、現代美術や格闘技などなどを横断したテキストをさまざまなメディアで企画・執筆。Game*SparkやInsideでは、シリアスなインタビューからIQを捨てたようなバカ企画まで横断した記事を制作している。

+ 続きを読む

この記事の感想は?

  • いいね
  • 大好き
  • 驚いた
  • つまらない
  • かなしい
【注目の記事】[PR]

関連ニュース

特集

人気ニュースランキングや特集をお届け…メルマガ会員はこちら