アプリ外決済の「3年にわたる攻防」から何を学ぶかーAdyenと考える、「スマホ新法」後のゲーム市場とグローバル戦略の最適解 | GameBusiness.jp

アプリ外決済の「3年にわたる攻防」から何を学ぶかーAdyenと考える、「スマホ新法」後のゲーム市場とグローバル戦略の最適解

日本のスマホ新法施行により、アプリ外決済やローカル決済の重要性が高まる中、グローバル企業の事例や課題、未来展望についてAdyenが解説します。

市場 デジタル流通
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アプリ外決済の「3年にわたる攻防」から何を学ぶかーAdyenと考える、「スマホ新法」後のゲーム市場とグローバル戦略の最適解
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2025年12月18日、日本のモバイルゲーム業界にとって歴史的な転換点となるスマホソフトウェア競争促進法(スマホ新法)が施行されました。これまでAppleやGoogleによって厳しく制限されていたアプリ内から外部サイトへの誘導(アウトリンク)が解禁されたことで、国内の主要パブリッシャーは今、独自の「Webストア」を中心とした経済圏の構築へと舵を切っています。

その動きは、すでに顕著な数字となって表れています。例えば、MIXIは、運営する『モンスターストライク』で、公式Webショップの利用率(売上ベース)が約5割増したことを発表しました。またCygamesも独自の「Cygames WebStore」を展開し、プラットフォーム手数料の削減分をユーザーへのポイント還元や限定キャンペーンに充てることで、LTV(顧客生涯価値)を最大化させる戦略を鮮明に打ち出しています。

しかし、アプリ外決済の本格運用は、決済手段の多様化や不正対策、そして世界各地で異なる複雑な規制対応など、新たな課題も突きつけます。先行してアプリ外決済が開放されてきた欧米市場から、日本のゲーム企業は何を学び、どのような決済戦略を構築すべきなのでしょうか。

GameBusiness.jpは、世界的なフィンテック企業AdyenのHannes Michelke氏にインタビューを実施。グローバルにおける最新動向や、日本のゲーム企業の収益最大化を支えるAdyenのソリューションについて話を伺いました。

Hannes Michelke

Adyenのデジタルコンテンツ業界向け決済戦略責任者(Head of Digital Contents)。2016年にAdyen入社後、欧州やサンフランシスコ拠点で米国市場のアカウントマネジメントを歴任。現在は再び欧州を拠点に、ゲーム、ソフトウェア、ストリーミングサービスなどデジタル事業の決済戦略を牽引。

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EUの「3年にわたる攻防」から日本が学ぶべきこと

――まずは自己紹介と、AdyenにおけるHannesさんの役割について教えてください。

Hannes Michelke氏(以下、Hannes)私は約10年前にAdyenにジョインしました。モバイル広告業界での経験を経て、Adyenでは欧州拠点の後、4年間サンフランシスコで米国市場の開拓に携わりました。3年前に再びヨーロッパに戻り、現在はモバイルゲーム、ソフトウェア、ストリーミングなどの課金ビジネスを中心に、世界的な大手デジタルプレイヤーをサポートしています。

――さっそく本題に入ります。日本では2025年末に「スマホ新法」が施行されました。先行する欧米でのアプリ外決済の動向はどうなっていますか。

Hannesヨーロッパでは2022年にデジタル市場法(DMA)が成立し、AppleやGoogleのような「ゲートキーパー」のクローズドなエコシステムを開放する動きが始まりました。しかし、ゲートキーパー側も多角的な対策を練ったため、一筋縄ではいきませんでした。

例えば、当初Appleは外部決済を利用するアプリに対し、100万ダウンロードを超えるとダウンロードごとに50セントを課す「コアテクノロジー手数料(Core Technology Fee)」を導入しました。しかし、規制当局が「それは法の意図ではない」と明確に示したため、この余計なコストを排除させるまでに3年近い攻防が続いたのです。日本も今、法律ができたばかりで手探りの状態でしょうが、これからエコシステムの中でプレイヤー同士が境界線を探り合い、徐々にルールが明確化されていくという、欧米と同様のプロセスを辿ることになるでしょう。

27か国で27通りの「好み」がある。グローバル決済の難所

――海外展開において、各国の決済手法への対応が重要だと言われるのはなぜでしょうか。

HannesヨーロッパはEUという一つの法律の下にあっても、人々の決済の好みは国ごとに驚くほど異なります。スペインはカード決済が主流ですが、ドイツは請求書払いやPayPalが非常に強い。オランダには、「iDEAL(アイディール)」という独自の決済手段があります。

これをゲーム会社が自社で一国ずつ対応していくのは、膨大なリサーチと開発のリソースを要します。Adyenは世界中にオフィスを構え、現地の状況とライセンスを熟知しているため、一つのプラットフォームに接続するだけで、これら世界中のローカルな決済手段に即座に対応し、一括で管理できます。それが強みなのです。

――「承認率」の向上も、ゲームビジネスの収益に直結する課題ですよね。

Hannesその通りです。売れたものを確実に回収することは、すべてのゲーム会社にとって、共通の課題です。Adyenは2025年にグローバルで1兆3,943億ユーロ (※約257兆円)もの取引を取り扱っていますが、ネットワークへの接続からデータ保持までを自社で完結させる「エンドツーエンド」のプラットフォームであるため、決済が成功・失敗するパターンを詳細に把握しています。

※2025年12月30日の為替レート(1ユーロ=184.33円)

この膨大なデータを独自のAIで解析し、わずかな理由で拒否された決済を自動で承認されるように調整するなど、システム自体を常に最適化しています。この「データとAI」の組み合わせが、高い承認率を実現する鍵なのです。

――新作リリースや大型イベント時、決済システムがダウンしない「安定性」も不可欠です。去る2025年のブラックフライデーでは「1分間に199,000件(TPM)」の決済を処理し、Uptime(稼働率)99.9999+%を誇ると伺いました。

HannesAdyenには「常に10倍の負荷に備えよ(Always be ready for 10x)」という社内のマインドセットがあります。例えばブラックフライデーやサイバーマンデーでは、取引件数が通常の10倍にも跳ね上がりますが、売る側としてはその機会を確実に収益に変えたいはずです。私たちは常にこの「10倍のピーク」を想定して技術的な準備をしているため、極端な負荷がかかる瞬間でも、安定して決済を処理し続けることができます。

不正対策と「顧客データ」の活用

――承認率を上げる一方で、不正利用(チャージバック等)を防ぐバランスも重要です。

Hannes不正利用者もAIを使い進化していますが、私たちはデータで対抗します。メールアドレスや電話番号は偽装できても、デバイスID、IPアドレス、地理情報、カード情報のすべてを完全に一致させるのは困難です。私たちは約257兆円の決済データを活用し、疑わしいケースを加盟店に通知する仕組みを構築しています。

Adyenは、欧州のPSD2/PSD3(決済サービス指令)をはじめ、世界各地域で進む本人認証の必須化に確実に準拠し、決済の安全性を追求してきました。ただ私たちは、単に各国の規制を守るだけでなく、「承認率の最大化」と「不正の最小化」を両立させることをミッションとして取り組んでいます。

日本においても、2023年にEMV 3-Dセキュア必須化の発表以来、EC決済協議会や日本クレジット協会からの最新情報を元に、セキュリティガイドラインに準拠したプロダクトを開発しました。これは、単なる規制対応として加盟店様の3Dセキュア2.0の導入をサポートするに留まらず、日本市場特有の決済環境に最適化したプロダクトです。

その一つが「リスクベース認証」です。リスクベース認証とは、膨大な決済データからAIが取引ごとにリスクを瞬時に判定し、リスクが高いと判断した場合に(ルール上3DSの実施不要な取引でも)3DSを実施するなど、不正を抑えつつスムーズな決済体験を提供するものです。これにより、リスクベース認証を適用されている加盟店様が、全取引に3Dセキュアを適用した場合と比較し、承認率を平均5%以上向上させています。

日本クレジット協会が発表した2025年度(令和7年度)の統計では、国内の不正利用額が前年比8%減の510.5億円と報告(一般社団法人日本クレジット協会「クレジットカード不正利用被害の集計結果について」)されています。

Adyenのプロダクトを利用した加盟店様ではさらに高い効果が出ており、不正金額を87%も削減することができました。

――アプリ外決済によって、ゲーム会社が直接ユーザーのデータを取れるようになるメリットをどう考えますか。

Hannes最初はコスト削減やキャッシュフローに注目が集まりますが、実は「顧客情報の直接保有」こそが最大のメリットです。以前はAppleやGoogleがすべてを握っており、キャンセルが発生しても「なぜ」が分かりませんでした。

直接データを管理できれば、ユーザーの名前、メール、嗜好、プレイ動向がわかります。これに基づき、クロスセルやキャンペーン広告、さらには離脱しようとしているユーザーへの「引き止め(Win-back)」のオファーを出すことも可能になります。実際に、プラットフォーム手数料を回避しつつ、こうした顧客インサイトを武器にする「外部ゲームストア」の成功事例が欧米で増えています。

また、クライアントからは、Apple等では月次だった支払いが、Adyenでは「毎日支払い」になることでキャッシュフローが劇的に改善される点も高く評価されています。

未来のゲーム決済:ウェアラブルと「エージェンティック・コマース」

――ゲーム業界の決済の未来は、どのように進化していくとお考えですか。

HannesデバイスはPCからモバイルへ、そして来年以降はウェアラブルへと進化していくでしょう。眼鏡をかけているだけでゲームができる世界において、決済もよりシームレスである必要があります。

また、現在社内で最も注目しているのが「エージェンティック・コマース」です。人間がサイトを訪れるのではなく、AIやエージェントがユーザーの代わりに判断して直接決済を行う世界です。セキュリティやインフラの課題はありますが、今後この流れは間違いなく加速するでしょう。

――最後に、日本のゲーム企業の担当者へメッセージをお願いします。

Hannes近代的なゲーム産業は日本から始まり、今も世界中が日本のゲームを愛しています。海外展開における法規制や税務、決済の複雑な部分はすべて私たちにお任せいただき、皆さんは最高のゲームを作ることに集中してください。日本から生まれる新しいエンターテインメントを、世界へ広げるお手伝いができることを楽しみにしています。

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《多賀秀明》

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