
長年ベセスダ・ソフトワークスで『The Elder Scrolls(以下『TES』)』シリーズに携わり、背景世界設定に多く関わってきたことから「TES世界の語り部」とも呼ばれたカート・クールマン氏。
現在はベセスダを離れ、テンセント傘下の企業でゲームデザイナーとして働いている同氏が、海外メディアPCGamerのインタビューに答えました。
20年で大企業に成長したベセスダと開発スタイルの変化による戸惑い

カート・クールマン氏は1996年から1997年にかけてベセスダで『TES』シリーズ第2作・第3作などに携わり、その後2003年に再度ベセスダに参加。それ以降2023年に退職するまでベセスダの主要なゲームすべてに携わっており、『The Elder Scrolls V: Skyrim(以下『スカイリム』)』では共同リードデザイナーを、『Starfield』ではリードシステムデザイナーを手がけています。

カート・クールマン氏によると、20年でベセスダの企業規模は大きく変化し、開発スタイルや文化も大きく変化したといいます。当初は『TES』『Fallout』シリーズ製作総指揮を務めるトッド・ハワード氏を含む開発者たちが地下のオフィスで協力して意思決定を行い、食堂で一緒に食事を交わすような制作環境でしたが、2023年に『Starfield』が発売されたころには4つの遠隔地のスタジオが協力してゲームを作るような規模になっていたとのこと。
そうやってスタジオが大規模化するとともに仕事の分業化も進み、「プロジェクトの管理者はコンテンツ制作も兼任することはできない」という常識が出来上がっていたとクールマン氏は語ります。同氏はこの体制自体は必ずしも間違ってはいないとしているものの、氏自体はデザインをより手がけたかったといいます。
ゲームを作るのが好きで、実際に手を動かすのが好きなので、そういう働き方はしたくなかったんです。その環境で仕事をするのが本当に楽しいと思える範囲を超えてしまっていたんです。
かくして、クールマン氏はベセスダを去ることとなりました。なお、クールマン氏によれば『スカイリム』の開発直後に「『Fallout 4』の開発が終わったら『TES6』を手がけてもらう」という口約束をトッド・ハワード氏と交わしていたといいますが、その約束は果たされることはありませんでした。

クールマン氏の構想では、『TES6』は「スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲」のような、次作に望みを託して後味の悪い終わり方をするようなクリフハンガー作品を想定していたといいます。
しかしながらベセスダの開発規模が肥大化し、次回作まで10年も15年も間が空くようなことが珍しくなくなると(実際、2026年は『スカイリム』15周年である)、こうしたクリフハンガーを前提としたシリーズ作品は「もはや実現不可能」だとクールマン氏は語っています。また、ベセスダが「バッドエンド」で終わるような『TES』シリーズを許容するとは思えなかったそうです。
なお、現在ベセスダで開発中とされる『TES6』の舞台について、クールマン氏は「知らないし、スタジオに残っている友人たちに何が起こっているのかもわからない」とコメントしています。









