
Steamで、国や地域ごとに価格を変える「地域別価格設定」が大きな問題となっています。ポーランドでは、米ドルでの価格よりも20~30%も割高な価格が設定されており、その原因はValveが使用する為替レートが、3年間更新されていないことにあると指摘されています。
◆『MGSΔ』が100ドル超え、原因は3年前の古い為替レート
YouTuberのWater CS2氏は、自身が投稿した動画にてポーランドにおけるSteamの価格設定を指摘。
それによると、『METAL GEAR SOLID Δ: SNAKE EATER』は米国で約70ドルなのに対し、ポーランドでは為替レート換算で100ドルを超え、約30%も割高になっているとのこと。「全く同じデジタルファイルなのに不公平だ」と批判しています。
問題の根源は、Valveが2022年に価格設定ツールと推奨価格に関するアップデートを導入して以来、為替レートの基準を一度も更新していないことにあるとされています。特にポーランドの通貨が非常に弱かった時期のレートが今も使われ続けているため、現在のレートと大きな乖離が生まれているとのことです。
Valveが使用する古いレート: 1ドル = 約4.60ズウォティ (2022年10月当時)
現在の適正なレート: 1ドル = 約3.64ズウォティ (2025年9月時点)
特にポーランド通貨が非常に弱かった時期のレートが今も使われ続けているため、20%近くも割高な価格が推奨されるという異常事態となっているのです。
◆ユーザーは行動を開始、開発者への直訴も
この地域別価格設定は、本来、所得水準が低い地域でもゲームを買いやすくするために導入された制度でした。しかし、約束されていたとされるデータの定期更新が行われなかったことでデータは陳腐化し、逆に一部のユーザーに不利益をもたらすという皮肉な状況に陥っています。
この事態を受け、ポーランドのコミュニティは、「#PolishOurPrices」というハッシュタグを掲げたキャンペーンサイトを開設。
サイトでは「Valveの推奨価格は間違いです」「価格が高すぎれば、プレイヤーはグレーマーケットや海賊版に流れます」と訴え、開発者自身による手動での価格調整を強く求めています。

サイトでは、CD Projekt Redなど、既に対応済みの「良心的な開発者」をリストアップする一方で、価格が不公正なままのゲームも具体的に名指しし、改善を促しています。


さらに、このキャンペーンはSteamキュレーターとしても活動しており、価格がポーランド市場向けに公正かどうかだけを基準に、おすすめ/おすすめしないを判断するという徹底した姿勢を見せています。
Valveが約束したとされる年次の価格見直しが行われない中、ユーザーコミュニティが自ら行動を起こし、業界全体に公正な価格設定を求めるという異例の事態となっています。
¥10,980
(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)