コロナはゲームイベントを殺すのか? LJL運営責任者ライアットゲームズ仲尾氏インタビュー | GameBusiness.jp

コロナはゲームイベントを殺すのか? LJL運営責任者ライアットゲームズ仲尾氏インタビュー

『リーグ・オブ・レジェンド』国内大会「League of Legends Japan League」の運営責任者である、ライアットゲームズ仲尾周三郎氏へのインタビュー。開催中のWCSの見どころだけでなく、コロナ禍でのe-Sportsイベント運営やVRの可能性などについてお話を伺いました。

文化 eSports
コロナはゲームイベントを殺すのか? LJL運営責任者ライアットゲームズ仲尾氏インタビュー
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2020年9月25日より開幕した『リーグ・オブ・レジェンド(以下、LoL)』の世界大会「2020 World Championship(以下、WCS)」。新型コロナウイルスの影響で国際大会およびオフラインイベント開催の是非が問われる中、WCSでは各国の代表選手・チームが上海に集結、決勝は有観客での開催も検討しているとのことです。

今回お届けするのは、同作の国内大会「League of Legends Japan League(以下、LJL)」運営の責任者であるライアットゲームズ仲尾周三郎氏へのインタビュー。何かと注目のWCSの見どころだけでなく、コロナ禍でのe-Sportsイベント運営、VRの可能性などについてお話を伺いました。

◆何かと“攻め”た国際大会、決勝は有観客



――まずこの場を借りてお伝えさせて下さい。コロナ禍において、私たちメディアはe-Sportsを盛り上げられるような報道ができておりません。非常に申し訳なく思っております。

仲尾周三郎氏(以下、仲尾氏):実際、オンライン運営に切り替えたことでメディアさんとしても画になるものが撮りづらいですよね。運営上は、コロナ対策にかなり気を使っており出演者の方々にも感染者を出さず、今のところ問題無くできていますが…。

――今回のような有事のときこそ、メディアがe-Sportsを盛り上げられればと思っているのですが力不足でして…。

仲尾氏:多くのメディアさんに自宅でも楽しめるe-SportsというポイントでLJLにも注目して頂き私たちとしては感謝しかありません。一方で報道しやすい魅力的な画が作れてないという課題もあります。

今回のWCSで日本代表が活躍してくれることで、良いニュースが届けられると良いなと思っています。

――今回は、絶対的な王者DFMを下したV3 Esportsが世界に挑みます。以前、仲尾様もインタビューで世界に挑むためには「各チームの組織としての強さ」が必要とのことでした。以前よりも国内チームのレベルが上がっていると感じますか?

仲尾氏:そうですね。国内の競技レベルは確実に上がっていると思っています。どのチームも単純ににLJLに参加することだけが目的ではなく、世界で戦う為の努力をずっとされていますし、その片鱗は年々見えていました。V3 Esportsの場合、それが花開いたのが今年なのでしょう。

――今年のV3はどのような点が強さに繋がっているのでしょうか?

仲尾氏:DFMは強いチームですが、「そのDFMが世界で出した結果よりも上に行く!」というV3 Esportsの想いが結果に繋がったんだと思います。他のチームのレベルが上がってくると自分たちの戦い方をしていては勝てない、それが顕著に出たのかなと思います。これまでのように個人技だけでは勝ちきれないフェイズになったのかと思います。LJL全体の更なる競争に繋がると思います。


――V3の活躍は今回のWCSの見どころですね。

仲尾氏:そうですね。毎年のことですが、Worldsでの日本チームの結果はLJL全体の通知表になります。結果の予想はできませんが、毎回期待しながらチームをサポートしています。

また、決勝のオープニングショーには今年も力を入れているので、そこは期待して頂きたいです。私たちとしては、まずLoLが好きな方やプレイヤーの皆さんに楽しんでもらえることを第一に考えつつ、LoLを知らない方々にも自信を持っておすすめできるお祭りごととして楽しんでもらえるイベントになっていると思います。

――今回、コロナ禍で世界的にはまだまだ珍しい選手が国を越境しての国際大会です。さらに決勝は有観客での開催を検討されています。いろいろと話題になりそうなWCSです。

仲尾氏:チームは事前に2週間の隔離を行い、COVID-19に全力で配慮がされて実施されます。また、今のところ10月31日の決勝は観客を動員する方向で検討しています。

◆COVID-19とe-Sportsはどう共存していくのか



――国内の今後のイベント運営に関して教えて下さい。可能であればコロナ以前の状態に戻していきたいとお考えなのか、戻らないことを前提に新たなイベント様式を模索していきたいとお考えなのか、どちらでしょうか?

仲尾氏:今後については正直なところ、様子見ではあるのですが、現状は選手や出演者、ファン、スタッフなど関係者全員の安全を第一に考えて判断をしていきます。オフラインができないのであれば、先日の「LJL 2020 Summer Split」で実施した「cluster」さんとのVRイベントのような、新しい視聴体験をお届けしたいと考えています。また状況次第ではありますが、オフラインもチャンスがあれば実施したいと考えています。

――しばらくは国内外で運営方法が変わることになるのでしょうか?

仲尾氏:ある程度のガイドラインがある中で各国の基準に判断を任されているので、地域毎で地域の状況に合わせて判断していくことになりますね。

――ゲームユーザー数の増加など、コロナ禍においてゲーム業界全体は潤っているという見立てが多数ですが、イベント運営の観点では楽観視できないかと思います。オンライン主体になったことで配信の同時接続数は増えたものの、世間的なメディアにも取り上げられづらく、相対的に存在感が薄くなったようにも思えます。

仲尾氏:実際、私たちのゲームもプレイヤー数の上昇は見られます。コロナ禍では家から出られないので、そこでゲームというコンテンツの存在は大きなものだと思います。

ただ、やはりオフライン開催ができない点は若干マイナスなのかなと思います。元々LoLが好きな方はオンライン視聴でも事足りるのかもしれませんが、LoLに興味を持ち始めた方にとって、オフラインという場は重要かと思います。

例えば、何となく友達に会場に連れていかれて「これスゴイな!」という偶然な出会いってオフラインならではですし、こういうのはオンラインだと起きづらいと思うんですよね。

私も自分自身のアメフトとの出会いを振り返ってみて、大学生のときアメリカで観客8万9千人収容のスタジアムで歓声を聞いた時の鳥肌は凄いものでした。新しい人達にハマってもらう上でオフラインでの開催は必要だと考えます。

――「オンラインでも出来る」というゲームの良さが、オフライン開催を取り戻す上で足枷となってくる可能性はあるのでしょうか。フィジカルスポーツとは異なり、withコロナにおいてゲームイベントをわざわざオフライン実施することの必然性が問われることは考えられますか?

仲尾氏:フィジカルスポーツ観戦も細部まで観たい人はスタジアムよりもテレビで観た方が良いという話もありますし、試合の雰囲気を楽しむ場として、ゲームにもオフラインイベントの価値はあると思いますね。

◆VRはオフラインイベントの代わりになるか?



――オンラインでの新たな視聴体験としてVRの話は良く挙がります。先日実施されましたVRイベントについての所感は如何でしょうか?

仲尾氏:なかなか外出ができないなか、VRによる仮想空間での開催は、ファンの方々から好意的な意見が多く寄せられました。一方で、私個人的としては、思っていたよりも視聴者の方々の“VRへの敷居”が高いのかなと感じました。「特別な機械が必要なのかな」とか「VRのヘッドセットが必要なのかな」という部分のコミュニケーションをもっととる必要があったと思います。

――VRイベントはPCやスマホでも視聴できるのですが、それがなかなか浸透しませんね。

仲尾氏:そうですね。そこはこちらがしっかりとお伝えできていない部分ではあるのですが。ただ、体験して下さった方々からは「面白かった!」という声を頂いているので、次の機会があればパワーアップした姿をお見せできればと思っています。

――実際、VRで代替できそうな範囲はどの程度なのでしょうか?音楽ライブにせよゲームイベントにせよ、オフラインイベントに参加していたファンにとっては、会場でコンテンツを観ることが本質ではなく、その道中で作品について語り合うなど、旅行としての価値もあったように思えます。

仲尾氏:VRにも多くの可能性はあると思いますが、会場に行くという体験まで含めてリプレイス(置き換える)できるかというとまだ難しいのかと思います。ただ、非日常感というか、みんなで観てる感、同じチームをみんなで応援するといった体験は、VRで実現できるのかなと思います。

LJLの運営においても、今回はVRでしたが、他の視聴体験も試していきたいと考えています。

◆変わらないポリシー「世界一プレイヤーを大事にするゲーム会社」



――これまでも様々な方法でファンを楽しませてきたライアットには、コロナ禍での対応やエンタメとしての成長の面で、世界中から注目が集まっているかと思います。ちなみに、ライアット内では何をもって“大衆化した“という、目標数値のようなものはあるのでしょうか?

仲尾氏:明確な数字についてはあってもお伝えすることはできませんが、2016年に国内リーグを公式化して5シーズン目になり、我々としてはできることをやってきた意識があります。ただし、我々としてはまだまだ先を見ているので、現状に満足しているということはありません。もっと多くの方に楽しんでもらえること、世代を超えて楽しんでもらえることを常に考えています。特にここ2年ぐらいの成長スピードは凄いので、この成長を続けていきたいと思っています。

――競技シーンの興行化という点では、LoLは国内eスポーツを牽引している存在かと思います。何が要因となっているのでしょうか?

仲尾氏:ライアットが、プレイヤーの皆さんがどうやったら楽しめるかを最優先で考えてきたからだと思います。「世界一プレイヤーを大事にするゲーム会社」は会社のポリシーなので、それを重要視してきました。設立当初と比べるとLoL以外のゲームタイトルが増えるなど会社は大きくなってきましたが、「まずはファンに楽しんでもらう」という考え方は今でも変わっていません。今後もファンの方々に「面白かったよ」と言ってもらえることを原動力にしてやっていきます。

――実際、ライアットはかなりの頻度でゲームのバランス調整をしていますね。

仲尾氏:頻繁なバランス調整はLoLの魅力のひとつでもあります。今年のWorldsも驚くようなバンピックがあるかもしれないですね。

◆eスポーツファンではなく、各ゲームのファンがいる



――イベントがオンライン主体になったことで、従来のような大きな会場を借りての複合型のe-Sportsイベントを開くことが難しくなったという指摘もあります。ライアットゲームズのように複数ジャンルでのゲーム(『VALORANT』『レジェンド・オブ・ルーンテラ』)を展開されている企業としては、今後のプロモーション方法としてどのような打ち手を考えてらっしゃいますか?

仲尾氏:私たちとしては各タイトルを複合型で売り出すことはそこまで考えていません。それぞれのタイトルでゲーム性、e-Sportsとしての魅せ方は違ってくるので、分けて考えるべきだと思っています。

――すごくライアットらしくて素敵な考え方です!現状、メディアの中には“e-Sports“という枠組みでコンテンツ展開しているものも多く、ジャンルやタイトル混合型であるがゆえに、ファンにとって受け取り辛いメディア作りになっている部分もあるので、お話を聞いていて私たちも反省しなければならないと感じました。

仲尾氏:e-Sportsカテゴリとして盛り上がるのはライアットとしても大歓迎なのですが、やっぱり各ゲームの特色やブランディングは慎重に考えてやるべきだと思います。ジャンルが異なるとゲームの世界観やファンの属性も異なってくるので、それぞれの世界観やファンを大切にしつつ各タイトルを成長させていきたいです。

――本日はありがとうございます。メディア側としても考えるべきことが多いと感じ、勉強になりました。WCSについても楽しく観させて頂きます!

仲尾氏:私たちも、コロナ禍でオフラインの場が減る中、メディアさんとどのように協力していけるか日々考えていますので、ご意見など頂き少しずつ解決していければと思います。また、今回のWCSについては様々な意味で挑戦をしているので、皆さん暖かい目で見守って頂き、また存分に楽しんで頂ければと思います!
《OGA@Game*Spark》

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