11月2日から3日にわたって行われた「BlizzCon 2018」。Blizzard Entertainmentが開催するこの毎年恒例のイベントでは、『World of Warcraft』や『オーバーウォッチ』などの新コンテンツが年々発表されています。しかし『Diablo』シリーズにおいては、2012年に『Diablo III』が発表されてから6年が経過。その後も拡張コンテンツなどが配信されてはいるものの、「新作」にまつわるビッグニュースは届いていませんでした。そんな『Diablo』のハードコアなファンたちは、「BlizzCon 2018」での『Diablo』パネルに、これまで以上の期待を抱いていたご様子。もしかしたら『Diablo IV』の発表が来るのでは……と、続編を熱望する声もありました。注目が集まる中で発表されたのは、シリーズ初のモバイルゲーム『Diablo Immortal』。NetEaseとの協力のもとで『Diablo II』と『Diablo III』の間の物語を描く、シリーズ新作です。『Diablo Immortal』は、いったいどういうゲームになるのか?『Diablo』というシリーズは、果たしてモバイルでもその魅力を発揮できるのか?それらの疑問を投げかけるために、Game*Sparkは『Diablo Immortal』の開発チームにインタビューを実施しました。――まずは自己紹介からお願いします。Kris Zierhut氏(最上部写真・左):『Diablo Immortal』でシニアデザイナーを務めているKris Zierhutです。Matthew Berger氏(同写真・右):クエスト、ストーリー、トーンなどを担当しているシニアデザイナーのMatthew Bergerです。――ニンテンドースイッチ版の『Diablo III』に続いて『Diablo Immortal』が発表されたことで、更にユーザー層が広がりそうです。ライトゲーマーもターゲットにしているようですね。Berger氏:これまでの作品と同様の『Diablo』らしいゲームプレイを体験していただきたいと考えて作っています。モバイルというプラットフォームで出すことにより、より新しくて広いユーザー層に届くと思っています。Zierhut氏:Blizzardは、常にできるだけ多くのユーザーにプレイしていただけるように尽くしています。ですから、他のゲームでもシステム要件を可能な限り低くしようとしています。それに、皆さんはスマートフォンをお持ちでしょうし、スマートフォン向けならば『Diablo』をより多くの人に届けられますからね。とは言え、このゲームの難易度は高くなる予定です。挑戦的な局面を乗り越えたいというプレイヤーも、カジュアルに遊びたいプレイヤーも楽しむことができます。『Diablo III』と同じように。――モバイルというプラットフォームに移ると、PCや家庭用ゲーム機にはない制限や、ハードルが生まれたりしますか。例えば、デバイスが発熱すること、バッテリー寿命、出現できるモンスターの数の制限が予想されますが、それらに対する取り組みについてお聞かせください。Berger氏:それに関しては、二つの答えがあります。まず一つ目としては、「とにかくゲームプレイ面で妥協はしたくない」ということ。これは本物の『Diablo』シリーズ作品です。毎回、『Diablo』シリーズの新作を出すときは、そのゲームの内容が『Diablo』らしさを保っている最高の体験になるように注力します。コンソール版『Diablo III』でもそうでしたが、新しいデバイスと関わるときは、そのデバイスにふさわしい変更が必要であれば取り入れるようにしています。Berger氏:また、アジア圏の方々はご存知だと思いますけれど、近年ではスマートフォンのスペックがとても成長していますので、この点においては(技術的に)特に妥協する必要はないかと思っています。「スマホだから出現モンスターの数を減らさなきゃいけない」というより、「スマホのスクリーンにおいて最適な出現モンスター数はどれくらいか」という、バランスをとることが重要かと思っています。Zierhut氏:どんなデバイスであっても、とにかく『Diablo』というゲームは「悪魔の群衆と戦うこと」がテーマなので、それが失われたら『Diablo』ではなくなります。――「本物の『Diablo』体験をスマホでも」ということですが、今までのゲーム性を維持しつつ、スマホならではの価値、新しいプレイスタイルやメリットを生み出せましたか。Berger氏:やはり、最も魅力的なのは「スクリーン全体がタッチ操作に対応している」ということだと思います。動きながらでも簡単に敵を狙って攻撃できますし、これはPC版ではできなかったことです。敵から逃げつつターゲッティングしやすくなったのは、今回のモバイル版ならではのいいところだと思います。Berger氏:それに、スマートフォンでリリースすることは『Diablo』シリーズにとっても素晴らしい機会だと思います。ここに新たな『Diablo』ユニバースが生まれることでしょう。今後の『Diablo』のシリーズ作品にも、こういった最適な要素を提供したいと考えています。――『Diablo』というシリーズには、モンスターと戦うことのみならず、アイテム収集にハマるファンも大勢いますね。そのあたりのシステムは『Diablo Immortal』ではどうなるのでしょう。Zierhut氏:もちろん、戦利品を集めること(Loot)は『Diablo』のキモのひとつです。私としては、プレイスタイルに大きく影響する『Diablo III』のレジェンダリーアイテムが非常に楽しかったです。それらを組み合わせて新しくて豊かなビルドが作れましたね。もちろん、同様のゲームプレイが今回の『Diablo Immortal』にも収録されています。コンテンツがどんどんアップデートされるにつれ、新しいレジェンダリーアイテムも追加されていくので、そちらも楽しみにしていただければ。――フルタッチスクリーンの魅力について触れられていましたが、一部のPCゲーマーは「画面サイズの小ささ」に心配があるようです。スマートフォンとタブレット、開発者としてはどちらのデバイスでどのように遊ぶよう考えているのでしょうか。Berger氏:スマートフォンをターゲットに開発していますが、もちろんタブレットでもプレイできますよ、手の中でプレイできるのが好きなので、個人的にはスマートフォンでプレイしたいです。プレイヤーの好みに応じて遊んでいただければと思ってます。Zierhut氏:スマートフォンの画面をテレビに映してプレイする人も出てくるかもしれませんね。プレイの仕方がたくさんありますが、どんな仕方でもプレイ感がいい。それが狙いです。――ところで、「モバイル向けゲーム」となると、ビジネスモデルが気になります。『Diablo Immortal』は、一度払って購入する「買い切り型」か、あるいはFree-to-Play(基本プレイ無料)で一部の追加コンテンツを購入していく形か、どちらになるのでしょう。Berger氏:残念ながら、現状で発表できることはないです。私たちは今、『Diablo』として素晴らしいゲームになるよう開発することに集中していて、それらの質問については今後お答えできるようになると思います。しかし、今作はBlizzardの『Diablo』シリーズのひとつですし、他の作品と同じ感覚のゲームになります。Zierhut氏:とにかくゲームプレイを優先しています。それ以外については、ゲームプレイ面が実現されてからですね。――モバイルゲームは基本的にオンライン対応です。オフラインモードありますか。Berger氏:ありません。――中国のNetEaseと提携しているということですが、このようなコラボレーションはBlizzardとしては初めてだと思います。共同開発はどのように進んでいますか。Zierhut氏:Blizzardは、開発においてはとにかく楽しめる素晴らしいゲームを作るための経験も知見もたくさんあります。一方で、NetEaseはモバイルゲームのノウハウを持っています。お互いの長所をあわせれば、最高のモバイルゲームが生み出せます。今回は一つのチームとして、そのビジョンを実現しようとしています。――プレイスタイルは「ユーザーの好きなように」という話でしたが、サードパーティー製コントローラーを利用したプレイはできますか。Berger氏:コントローラー対応のプランはありません。というのも、モバイル用ということで、タッチスクリーンをフルに活かしたゲームデザインなのです。タッチ操作ではキャラクターを動かしながらモンスターを狙うことができますが、コントローラーでのプレイではその点を活かせません。Zierhut氏:モバイルのために作られたゲームなので、モバイルでしかできないことを実現しようとしています。――「『Diablo Immortal』はNetEaseから去年配信されたゲームに少し似ている」という話がネットで噂になっています。『Diablo Immortal』は、まずはNetEaseのテクノロジーをベースにしつつ、Blizzardがそれを更に『Diablo』的に磨き上げた、というような開発体制だったのでしょうか。Berger氏:ゲームエンジンについては現段階でお話できないのですが、このゲームは『Diablo Immortal』チームによってゼロから作られたものです。アーティストやデザイナーが一丸となって開発しています。UIが似ていることに関しては、ゲームのタイプによるものです。例えば、三人称視点のアクションゲームであれば、コントローラーのレイアウトやHUDの位置はほぼ同じでしょう。それと同じです。Zierhut氏:最終的には、本当にBlizzardらしく洗練されたゲームになっていくと思います。Berger氏:究極的に言えば、やはり本作はBlizzardの名がつく作品なので、品質を徹底して誇りを持ってリリースできるゲームにしていくつもりです。――最後の質問となりますが、『Diablo Immortal』はe-Sportsシーンを視野に入れていますか。例えば、PvPモードのようなものは用意されているのでしょうか。Zierhut氏:プレイヤー同士の対戦要素については、私たちもとても注目しているのですが、システム的にどうなるかまだわからないです。リリースまでにどのような形になるのか、そういった点をとても重要に考えています。とは言え、真剣にどういった仕組みになるか考えてはいます。Berger氏:形はまだわからないですが、e-Sports的なタイトルにはならないと思います。そういう競技性を盛り上げていくには、適切なゲームを選ぶ必要がありますし。まだ案を練っているところですが、『Diablo Immortal』はおそらくe-Sports的に適切ではないゲームと思います。――ありがとうございました。取材協力:Blizzard Entertainment
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