部活から生まれたコンテンツ!?「バーチャルリアリティの未来へ」を振り返って・・・黒川文雄「エンタメ創世記」第37回 | GameBusiness.jp

部活から生まれたコンテンツ!?「バーチャルリアリティの未来へ」を振り返って・・・黒川文雄「エンタメ創世記」第37回

去る、11月12日、デジタルハリウッド大学、御茶ノ水ソラシティ、駿河台ホールには150人ほどのお客様を迎えることができました。

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去る、11月12日、デジタルハリウッド大学、御茶ノ水ソラシティ、駿河台ホールには150人ほどのお客様を迎えることができました。
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去る、11月12日、デジタルハリウッド大学、御茶ノ水ソラシティ、駿河台ホールには150人ほどのお客様を迎えることができました。

私が開催する勉強会「黒川塾」の開催でした。

実に、前回、7月に開催してから4ヶ月の時間が経過してしまいました。この間にも様々なテーマで黒川塾の開催を検討していました。夏季商戦を経て、今年の振り返りと、年末への展望をはかる、「東京ゲームショウ」のタイミングでも、なかなかこれと言ったテーマに絞り込むことができませんでした。「規模よりも価値」というポリシーで運営を行っているイベントが黒川塾ですので、無理やりなテーマで開催することは本意ではありませんでした。

その後、5月にGameBusiness.jpで取材と寄稿したプロジェクトモーフィアスに再び触れる機会がありました。あるコンテンツをフックにしたイベントでの企画展示の提案を行う機会があり、「Project Morpheus」(プロジェクトモーフィアス)や「Oculus Rift」(オキュラス・リフト)というバーチャルリアリティ・デバイスとコンテンツへの思いを新たにしたことが今回の黒川塾のテーマ「バーチャルリアリティの未来へ」のヒントになりました。

レポート記事



そこから登壇メンバーの組成ですが、ゲストメンバーは、結果として、奇跡に近い組み合わせを実現することができました。ソニー・コンピュータエンタテインメント ワールドワイド・スタジオ プレジデントである吉田修平氏、バンダイナムコゲームスの「鉄拳」チームの原田勝弘氏、そして、オキュラスの伝師GOROmanこと、エクシヴィの近藤義仁氏が、バーチャルリアリティの未来について語り合うことができました。

VR普及のきっかけになったのは、従来は大企業レベルでないと実現できなかったハードウェアやソフトウェアやネレッジが一般化したこと、さらにはゲームエンジンの進化と浸透が促進し、それらが安価で導入できるようになったことが大きな要因です。またデバイス自体もオキュラスをはじめ、スマフォンを活用した簡易なもの(「GearVR」など)まで、アイディアでカバーできるような環境が生まれてきたことも大きな要素といえるようです。

なかでも話題は原田氏がプロデュースを行った『サマーレッスン』に集中しました。原田氏が注目すべき言葉を我々に提示してくれました。非常にシンプルな言葉ですが、それは「一般化」という言葉でした。

原田氏曰く、バーチャルリアリティの進歩に必要なものは、技術や映像だけでなく、「一般化」がなされなければ意味がないということを強く訴求しました。つまり簡単に言えば、友達の会話、会社の世間話のなかに自然と口の端に乗ってくるようなものにならなければいけないということです。

おそらく、「AKB48」とか「妖怪ウォッチ」などのように世間一般の認識と同一レベルに達しないとブレイクスルーしないということを意味しているのではなかと思います。そのために必要なモノ、コト、情報、映像は何か?ということを元にして、今回の『サマーレッスン』のコンセプトを熟成したと説明をしてくれました。

一方、近藤さんの誰もやろうとしないことを自ら率先してチャレンジするという姿勢は、「そこに山があるから登る」という孤高のクライマー(登山者)のようなスピリットで、『Miku Miku Akushu』(ミクミク握手)のようなテーマは斬新で素晴らしいものがあります。ただし、一般の人には理解されることがなかなか難しい、それでも、そういう人がいないと新しい礎は築くことができないということは明白で、おそらく孤高のクライマーと一般化の融合や溶融が新しい時代を生んでゆくのかもしれません。

原田氏の『サマーレッスン』のアプローチは、女子高生とコミュニケーション。誰にでも理解できるもの、話題にできるものを選択した結果そうなったとのことです。また人間と人間のコミュニケーションの距離に由来するものもあるという。ものの本によれば「対人距離」とは、人間がもっている他人との距離意識のことをいうようです。エオドワード・ホール氏と西出和彦氏の二説があるようですが、いずれも「密接距離」「個人距離」など相手との距離によって、その関係性が変わるという理論があります。その距離感をうまく演出したものが、『サマーレッスン』には活用されているようです。SCEがプロデュースした『The Deep』も同じように、サメとの距離感や閉塞された空間絶妙のバランスを演出しています。

さて、その話題の『サマーレッスン』ですが、実は社内(バンダイナムコゲームス)では、なかなか理解がされず、原田氏の話によれば鵜之澤副社長からは「原田、部活で作ってくれ・・・笑」といわれたとのころです。それは、原田氏なりの一流のジョークだと思いますが、コンテンツの内容が、なかなか理解されなかったことがあったのかもしれません。とは言うものの、粛々と開発を続け、発表をしたところ、今度は押しとどめることができないほどのムーブメントになってしまい、あまりの話題性に東京ゲームショウでの展示も、十分な台数や展示ができないということで延期になり、今月末、改めて発表会を行うことになりました。

「部活」で作ったものがすでに大きな話題を呼び、業界内はもちろん、異業種からの協業の申し入れがあるといいます。かつて、プレイステーション(1)の導入初期の市場を活性化し、斬新なアイディアや技術でゲームというエンタテインメントを活性化したのも、ある意味で言えば大手パブリッシャーというよりも、異業種参入、小規模なパブリッシャーが中心だったと思います。ガラケーやスマフォンのコンテンツでも同様の事例がたくさんあります。「部活」といわずとも新しい発想や座組みのなかで「VR」の未来は360度の方向性の可能性があると思います。

さて、みなさんも「VRの部活」始めてみませんか?

■著者紹介

黒川文雄
くろかわ・ふみお 1960年、東京都生まれ。音楽ビジネス、ギャガにて映画・映像ビジネス、セガ、デジキューブ、コナミDE、にてゲームソフトビジネス、デックス、NHNjapanにてオンラインゲームコンテンツ、そしてブシロードにてカードゲームビジネスなどエンタテインメントビジネスとコンテンツの表と裏を知りつくすメディアコンテンツ研究家。コラム執筆家。黒川メディアコンテンツ研究所・所長。黒川塾主宰。

現在は、インディーズゲーム「モンケン」、東映アニメーションのスマートフォン向けゲーム「円環のパンデミカ」を手掛ける、また全日空公式映像ソフト「ANA747 FOREVER」を製作。
「円環のパンデミカ」公式サイト

ツイッターアカウント ku6kawa230
ブログ「黒川文雄の『帰ってきた!大江戸デジタル走査線』
ニコニコチャンネル 黒川塾ブロマガ」も更新中。
《黒川文雄》

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