家庭用ゲームとVRコンテンツの臨界点【Re:エンタメ創世記】 | GameBusiness.jp

家庭用ゲームとVRコンテンツの臨界点【Re:エンタメ創世記】

ゲーム開発 バーチャルリアリティ

家庭用ゲームとVRコンテンツの臨界点【Re:エンタメ創世記】
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■シリコンバレーの空気感

3月29日から31日までカリフォルニア州サンノゼ市にてSVVR2017というイベントに出展と見学をしてきました。SVVRはSilicon Valley Virtual Reality(シリコンバレー・バーチャルリアリティ)の略で、コンシューマ向けのVR系コンテンツやオキュラス、PSVR、その他HMD(ヘッドマウントディスプレイ)を対象に開発を行う開発者や開発会社、スタートアップ企業が一堂に集って展示を行い、VR系のナレッジの共有セミナーなどを行うことを主としたものです。

今回はSVVR事務局と日本側の世話人の努力により日本ブースの開設が実現し、その展示、体験実施、セミナー聴講などを目的に出張してきました。

サンノゼはサンフランシスコから60キロくらいの場所に位置し、乾いた空気感と穏やかな町として有名です。ちなみにサンフランシスコとサンノゼの途中には、アップルコンピュータ本社があるパロアルト市があり、スタンフォード大学、ロッキードマーチンなどがあります。おそらく、砂漠地帯に由来する落ち着いた気候がビジネスや研究を展開するのに適しているということでしょう。

■VRに足りない欠片(ピース)とは…

SVVRですが、当初は東京ゲームショウやサンフランシスコで例年開催されるGDC(ゲームデベロッパーズカンファレンス)のような多くの参加者を想像していましたが、比較的余裕をもって会場内を見学し体験することができる展示会でした。東京ゲームショウのように試遊に2時間待ちなどのものはなく、ブースに行けばすぐに体験できるものや、商談ができるもので、非常に有意義なものだったと感じました。

今回、SVVRに参加した理由は、現在私がアドバイザーを務めているVAQSO VR(バクソーVR)という世界最小の臭覚デバイスの展示と体験を一人でも多くの人に知ってもらうためでした。VAQSO VRは
今年1月に創業したばかりのスタートアップ企業で、短期間にも関わらず、その発想の独自性とデバイスの他社にない独創性が評価を受けています。



VAQSO VRに関して少しだけ触れますが、現在のVRシーンに足りない何かを付加してくれる可能性のあるデバイスだと考えています。もちろんVR向けのキラーコンテンツやキラーエクスペリエンス(体験)が必要なことは言うまでもありませんが、よりリアルにその体験を増幅させる可能性がVAQSO VRにはあると思います。人間の五感のうち、視覚、聴覚、触覚、まではすでに実現ができていると思いますが、あとの味覚と嗅覚は密接に連動していると考えています。その臭覚部分を補填し、増幅することにより、VR体験はさらに完成度を増すのでは無いかと考えています。そこに無いものがあるように感じるという部分で臭覚はVRにおいてプラスになるものと考えています。

もちろんその実現はVAQSO VRでなくも良いと考えていますが、人間の五感をいかに疑似的に欺くことができるが今後の必要なピース(欠片)であると思います。

■展示のなかで感じたVRエッセンスの拡張

今回会場で多くの種類のVRコンテンツが出展されていました。

その中で目立った出展コンテンツがあったのは、多人数のフリーローム(自由に動くことができる)タイプのシューティングゲームです。現在、日本国内で稼働している事例で言えば、セガがお台場ジョイポリスで展開する「レーテンシー・ゼロ」をイメージしていただければ良いと思います。

もうひとつ私が気になったマシンは、360度の人間のスキャンとボディのモデリングを行うマシンでした。これ自体は別段、新規性のあるものではありません。すでにこのタイプのマシンは稼働しており、3Dプリンターと組み合わせることで自身のフィギュアなどを作ることも容易なことになっています。私自身が感じたこれらのマシンでは(出展されていたのはArtec3Dという会社のもの)、アタマのテッペンからつま先(靴の裏側)まで正確なデータを記録することができます。




また、Wolf3Dという会社のスキャンシステムも非常に感度が高く、このような精巧な3Dヘッドモデルの生成が可能です。

上記のArtec3Dがリアルだとすると、Wolf3Dのモデリングはゲーム寄りのCGライクな精密なポリゴン計算構築とテクスチャーに依るもので、よりゲーム的なエッセンスを感じるものになっています。

もう説明する必要もないと思いますが、これらの技術的な要素やデータをゲーム内でスムーズなかたちで転用すること、展開できることが次のゲームシーンにおけるVR的なエッセンスになるのではないかと考えました。

■シネマティックゲームのVR拡張の未来形

おそらく、この先、家庭や限られたアトラクション空間で遊ぶゲームに関して言えば、このような技術が応用されることで新しいエンタテインメントの世界や未来が拓けるのではないかということを感じています。

すでに、PCゲームではMOD(モッド・モディフィケーションの略)と言うかたちでユーザーが作成したカスタムマップ、新規アイテム、ゲーム内のテクスチャー交換、モデルデータの差し替えなども上級者レベルの知識と技術があれば展開可能になっており、それ自体は別段珍しいものではないと言えます。

しかし、それらが一般的なユーザーのレベルまで拡がるにはまだ時間がかかり、技術的な側面が必要だと思われます。それらを促進するための技術として上記のようなテクノロジーが進んで行くことで、ゲームの新しい遊び方やコミュニケーションの在り方が生まれるのではないでしょうか……。

昨今、ゲーム開発レベルが向上し、ゲームそのものの映像や世界観が映画的なものも数多く存在し、そのほとんどがオープンワールドとなっています。

PlayStation4のコンテンツでは『Horizon Zero Dawn』(ホライゾン・ゼロ・ドーン)や『Watch Dogs 2』(ウォッチドッグス2)、任天堂からはSwitch用コンテンツの『ゼルダの伝説 ブレス・オブ・ファイア』などがそれにあたると思います。

それらのコンテンツのなかに、自分のモデリングが居たら楽しくプレイすることができるのではないでしょうか。ただ、自分を出さずにあくまでもゲームはゲームとして、従来通り与えられたアバターや主人公でプレイすることが良いというプレイヤーもいることでしょう。そういう選択肢があることが重要ではないかと思います。少なくとも、今あるゲームの可能性や拡張性が市場やプレイヤーに示せればよいのではないでしょうか。それが魅力になれば業界全体にとってプラスに作用することになるでしょう。

そして、それらのゲームの世界観にVRダイブ・インすることができれば家庭に居ながらにしてアトラクションレベルのプレイ体験が得られるのではないでしょうか。

私はこれらのVR的なアバターやモデリングを見て感じながらひとつの作品を思い出しました。それは2013年に公開された映画「her/世界でひとつの彼女」(スパイク・ジョーンズ監督・脚本)です。

人工知能OSに恋をする主人公セオドアの物語ですが、劇中に近未来のゲームを遊んでいるシーンが登場します。目の前に疑似的なスクリーン上のものがあり、VR的な操作で、主人公がそれを手で動かすことで遊ぶことができるものです。それを実現してくれる技術がVR的なキャラクター・モデリングや、ゲーム内でのアバターではないでしょうか。

おそらく、我々の未来のゲームは自身のアバター、自身の世界観、自身の遊びたい方法で体験することができるのではないか……そんなことをSVVRでの見学と体験をもってして感じました。皆さんが考えるVRの未来への一考になれば幸いです。
《黒川文雄》

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