主要SNSの月次動向を知る・・・「データでみるゲーム産業のいま」第18回 | GameBusiness.jp

主要SNSの月次動向を知る・・・「データでみるゲーム産業のいま」第18回

既にご存知の通り、先週はソーシャルゲーム市場にとって非常に大きな動きがあった一週間でした。現在のソーシャルゲームの課金システムをある意味で象徴しているとも言える「コンプリートガチャ(通称:コンプガチャ)」について、消費者庁が近く「景表法上の違反行為に

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既にご存知の通り、先週はソーシャルゲーム市場にとって非常に大きな動きがあった一週間でした。現在のソーシャルゲームの課金システムをある意味で象徴しているとも言える「コンプリートガチャ(通称:コンプガチャ)」について、消費者庁が近く「景表法上の違反行為に
  • 既にご存知の通り、先週はソーシャルゲーム市場にとって非常に大きな動きがあった一週間でした。現在のソーシャルゲームの課金システムをある意味で象徴しているとも言える「コンプリートガチャ(通称:コンプガチャ)」について、消費者庁が近く「景表法上の違反行為に
  • 既にご存知の通り、先週はソーシャルゲーム市場にとって非常に大きな動きがあった一週間でした。現在のソーシャルゲームの課金システムをある意味で象徴しているとも言える「コンプリートガチャ(通称:コンプガチャ)」について、消費者庁が近く「景表法上の違反行為に
既にご存知の通り、先週はソーシャルゲーム市場にとって非常に大きな動きがあった一週間でした。現在のソーシャルゲームの課金システムをある意味で象徴しているとも言える「コンプリートガチャ(通称:コンプガチャ)」について、消費者庁が近く「景表法上の違反行為に抵触する疑義がある」と各社に通知する方針を固めたという新聞報道に端を発したものが、またたく間にSNSプラットフォームホルダー主要各社がこの「コンプガチャ」を今月末で全面廃止することを決定するという動きにまで発展しました。「しました」と過去形で書きましたが、これで終わりということでは決してなく、現実にはこれを契機にソーシャルゲーム市場が新たなフェーズに入っていく可能性が高いでしょう。そういった意味では、今回の一連の動きはその分水嶺となる極めて重要な出来事であると言えます。

当社が毎月発行している『Monthlyゲームマーケット・トレンドレポート』も最新号で発行開始からちょうど半年が経過しました。ソーシャルゲーム市場にとって大きな出来事があった節目の週であるということもあり、今回は調査開始からこれまでの主要SNSの動きを各種指標により振り返り、ここでご紹介いたします。

【図1】は昨年11月から今年3月までの主要SNS(Mobage、GREE、ハンゲーム、mixi、Facebook、Google+、アメーバピグ)のMAU(ゲームコンテンツプレイヤー)と課金率の推移をまとめたものです。このように、毎月の調査結果をトラッキングした結果、単月では見えなかったユーザー動向トレンドを捉えることができました。
 ※注:SNSのユーザー数データは第2号から調査を開始したため、グラフは5か月間のデータになっています。

[MAU]
◇大規模グループ(300〜400万人)としてMobage/GREE/mixi、中規模グループ(100〜200万人)としてはハンゲーム/アメーバピグ/Facebook。Google+は今のところゲームMAUが30万人に満たず極めて小規模。
◇12月はソーシャルゲームのユーザー数もパッケージゲームと同じように平月より増えることが確認できた。増加が目立つのはMobage、GREEといった“ゲーム系”ではなく、mixi、Facebook、アメーバピグの“コミュニティ系”SNS。
◇今年に入ってからmixiのゲームユーザー減少がやや目立つ。直近の3月では、それまで3位だったGREEがmixiを抜き、Mobageに次ぐ2位に浮上。

[課金率]
◇GREE、Mobageの2大ゲーム系SNSの課金率が高い。特にGREEはこの5ヶ月間で5%以上課金率が上昇した。Mobageもここ2ヶ月は大きく上昇している。
◇アメーバピグとハンゲームは10-15%、mixiとFacebookは5-10%のレンジで課金率が比較的安定している。
◇Google+は5か月間で課金率が大きく上昇。但し、上記の通りまだMAUの規模が極めて限定的なので引き続き動向を追いかけた上で判断したい。

【図2】はこの中で最新の3月データに課金情報(ARPPU)を加えグラフ化したものです。先ほど【図1】で確認した傾向がさらに分かりやすく表れています。MAUと課金率をセットにした補助線(円弧の点線)をつけると、全体で3つのグループに分けることができます。[グループA]としてはMobage、GREEのゲーム系SNSのビッグ2。[グループB]はmixi、アメーバピグ、ハンゲーム。[グループC]はGoogle+、Facebook。境界線上にあるGoogle+はユーザー規模やARPPUが小さいことを考えるとこちら(グループC)に入れる方が妥当でしょう。

こうしてみると、ゲームアプリ以外も含めたSNS全体ではなく、あくまでゲームユーザーということになると、やはりMobageとGREEの強さが際立ちます。ようやく国内でも普及が本格化しつつあるFacebookや新興勢力であるGoogle+の2つの外資系メジャーSNSは、ゲームユーザー規模、課金率ともにまだまだこれからという印象は拭えません。ゲームコンテンツのラインナップの充実度ではどうしても他のSNS、特にゲーム系SNSに比べると見劣りしてしまうこと、またそのコンテンツも海外制作タイトルを単純ローカライズしたものも少なくないといった要因も関係しているのかも知れません。ビジネスの効率化という観点からすると、コンテンツを供給する側(パブリッシャー各社)としては非常に悩ましいところでしょうが、このあたりはMobageやGREEの海外進出、逆にFacebookやGoogle+の国内におけるゲームユーザーの規模推移を両面で見ながらラインナップ編成を進めるしかないでしょう。

以上、当社の調査データを元にこれまでの各SNSのユーザー動向を振り返りました。繰り返しになりますが、冒頭の「コンプガチャ」に関する今回の動きが、今後ソーシャルゲーム市場にどのような影響をもたらすのか、引き続き注視してまいります。一部のマスコミでは過熱報道とも思える極端な論調が目立つ一方、当事者である供給側(SNS運営各社やパブリッシャー)からは今回の措置がビジネスに与えるインパクトは極めて軽微であるという発表がなされるなど、やや先行きが不透明ですが、当社としては主観に基づいた恣意的なものではなく、あくまで調査データに基づいた客観的かつ適正な情報提供をしてまいります。

ゲームエイジ総研
『Monthlyゲームマーケット・トレンドレポート』 発行人 光井 誠一

[追記]
今回の「コンプガチャ」に関するものはもちろん、当社ではソーシャルゲーム市場に関するスポット調査を随時お引き受けしています。お問い合わせは下記リンクからどうぞ。

調査スキームについて
本ページ掲載のデータは、約2万サンプルを対象とした大規模インターネット調査の調査結果を元に、社会調査(訪問調査/毎月実施/1,200サンプル)をベースに構築したウェイトバック値(補正係数)により拡大集計したものです。この手法により、ネットバイアスを排除したユーザープロフィールの実像を推計することが可能となっています。なお、調査手法その他詳細につきましては、ゲームエイジ総研のHPにてご確認ください。
《光井誠一》

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