Scaleformの活用でゲーム制作が変わった、『エルシャダイ』の開発にフォーカス | GameBusiness.jp

Scaleformの活用でゲーム制作が変わった、『エルシャダイ』の開発にフォーカス

『El Shaddai: Ascension of the Metatron』(エルシャダイ)は、UTV Ignition Gamesが2011年4月28日にPS3/Xbox360で発売したアクションゲーム。その独特の世界観はトレイラー公開時からネットで話題を呼び、ファン制作の動画が多数ネット公開されたり、「そんな装備で大

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『El Shaddai: Ascension of the Metatron』(エルシャダイ)は、UTV Ignition Gamesが2011年4月28日にPS3/Xbox360で発売したアクションゲーム。その独特の世界観はトレイラー公開時からネットで話題を呼び、ファン制作の動画が多数ネット公開されたり、「そんな装備で大
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『El Shaddai: Ascension of the Metatron』(エルシャダイ)は、UTV Ignition Gamesが2011年4月28日にPS3/Xbox360で発売したアクションゲーム。その独特の世界観はトレイラー公開時からネットで話題を呼び、ファン制作の動画が多数ネット公開されたり、「そんな装備で大丈夫か?」という台詞がネット流行語大賞にも選ばれるほどの社会現象となりました。

発売前の話題が大きかった本作ですが、ゲーム開発という側面で見ると、外資パブリッシャーの日本スタジオによる制作であること、5つのミドルウェアを駆使した開発であることなど注目すべき点が多数あります。GameBusiness.jpではScaleformを展開するオートデスクさんと共に、西新宿にあるIgnitionEntertainmentの新オフィスに話を聞きに行って来ました。



■日本のクリエイターと作品作りがしたい


織田氏

中村氏
今回取材に答えてくれたのはIgnition Entertainment統括プロデューサーの織田崋丞氏、開発マネージャーの中村克也氏です。

Ignition Entertainmentは英国本社の会社で、その親会社はインドのメディア大手UTVグループです。そのまた大株主はディズニーという関係があります。UTVは2004年にIgnitionEntertainmentを買収。その後、日本法人も設立されました。

日本法人の設立後、国内タイトルの買い付け、海外でのパブリッシングを主な業務としていた同社。JAPANスタジオの設立は「Ignitionの前社長の強い意向があった」(織田氏)そうです。日本のクリエイターと良質な作品を作りたいという思いで、そのトップとして竹下和広氏(現社長)が発起人として立つ。その後、カプコンで活躍した竹安佐和記氏に出会いスタジオを設立、そこからゲームの開発が始まったそうです。

竹安氏や『エルシャダイ』のプロデューサーだった木村氏は、カプコン(そしてクローバースタジオ)で『大神』などの開発に携わったメンバーであり、そして織田氏も「バイオハザード」開発に関わっていたなど、JAPANスタジオにはそうした面々が多く揃いました。内部のスタッフだけで100名余り、外部スタッフを含めれば130名にもなる大規模なチームが作られました。中村氏も別業界から開発に加わり、メインプログラマとして活躍することになります。

■新たな神話を

『エルシャダイ』という企画自体は「エノク書」という神話を元にして欲しいというリクエストが英国本社からあり、そこに竹安氏のビジョンが重なり生まれていったものだそうです。竹安氏はカプコンで『デビル メイ クライ』や『大神』といった作品を手掛けてきたことから、これらを超える新しい形の神話の表現を生み出したいという思いがあったようです。

ビジュアルやストーリーについてはかなり初期の段階から固まったものがあった一方で、ゲームデザインについてはかなりの試行錯誤があったそうです。「『God of War』のようなアクションというイメージはありましたが、きちんと落ち着いたのは開発のかなり後期になってからです」(織田氏)。個々のアイデアは沢山あったものの、それを統合して面白い物にするのは苦労したそうです。「ひたすらクラッシュ&ビルドで、そういう意味では制作スタイルはカプコン風だったかもしれません(笑)」(織田氏)。

■5つのミドルウェアのロゴが並ぶオープニング

ゲームをプレイした方はお気づきでしょうが、本作には様々なミドルウェアが使用されています。ゲームエンジンはEmergentの「Gamebryo Lightspeed」、UIにはオートデスクの「Scaleform」、アニメーションにはNaturalMotionの「Morpheme」、物理エンジンにはNVIDIAの「PhysX」、動画再生にはCRI・ミドルウェアの「CRI Movie」。日本国内の開発でここまでミドルウェアを駆使した開発はそうないはずです。


「我々は1から開発スタジオを立ち上げる必要があったので、なるべく外部に任せられるものは任せようと思ったんです」と織田氏は理由を語ります。また、マルチプラットフォームを前提にすることも採用を後押ししたようです。

ただしミドルウェアの採用にはサポートが鍵になります。「ほとんどのミドルウェアは中身がブラックボックスなので慣れるまで時間がかかります。

様々なミドルウェアを採用したことで苦労したのはやはりメモリ関係のようです。「各ミドルウェアがどのくらいのメモリを使用するかは使ってみないと分からない点もあるため、泣く泣く一部の表現を落としたこともありました」(中村氏)。現世代機の開発ではゲームをパーツ毎に制作して最後に合わせるという形のワークフローが多く、『エルシャダイ』も同様ですが、開発途中で試作で組み上げる工程も求められるのかもしれません。

開発スタッフの内訳を聞いたところ、プログラマが30名、アニメーターが15名、モデラーが6名、背景デザイナが10名、UI関係が3名、カットシーンが10名、プランナーが6名、などといった構成。これにミドルウェアが加わり、何倍もの威力を発揮したということになります。

■Scaleformの採用でUIワークフローが変わった

UIは「Scaleform」を採用しました(バージョンは3.1.8)。ScaleformはAdobe Flashで制作したSWFファイルを家庭用ゲーム機で動作させるためのミドルウェアです。「UIやメニューも含めてゲーム全体で『エルシャダイ』の世界観を貫きたいと思いました。背景などと同様にUIも”変わり続ける絵”というものを実現したかったのです。そうしたUIにはScaleformが必要でした」(織田氏)。

ScaleformはFlashで制作を行えることから、非常に自由度高くUIを構築することができました。


名台詞。字幕はScaleformを使用



メインメニューやコンフィグ画面なども当然Scaleformを使用



2週目から登場するHudにもScaleformを使用


さらにワークフローを変える効果があったそうです。

「これまでのUI制作は、UI担当のデザイナーとプログラマーが付きっきりで見た目と動作の調整を繰り返すという作業でした。それが、制作自体がFlashで完結するようになるので途中にプログラマーが介在しなくて済むようになります。Flashデザイナーが完成させたファイルを、最後にプログラマーが組み込むだけです。この効率化は非常に大きかったですね」(中村氏)

また、デザイナーとプログラマーの作業が完全に分かれたものになるので、作業を外部に委託するといったことも容易になります。

加えて、Flashデザイナーが社内に居ない、というのはゲーム業界では良く聞かれる話です。その点に関しては「必要な方は外部でお願いできる方を探しました。今回お願いしたFlashデザイナーさんもゲーム業界の方ではありません。金額もプログラマーと比べると安く済みます」(織田氏)とのこと。

採用箇所はUIだけではありません。オープニングムービーに相当する三百年の遍歴では背景に1枚の板ポリゴンを用意して、その上にScaleform経由でCRI Movieを再生し、手前でイーノックを操作できる遊びを入れてあります。また、ゲーム序盤のアザゼル登場シーンでのハエ演出も全面にアルファムービーを再生しています。


イーノックのタワー探索の長旅が描かれた三百年の遍歴で活用



ゲーム序盤のアザゼル登場シーンでのハエ演出で活用


加えて、Scaleformはフォントワークスと提携をしていて、同社とライセンスを交わしていれば、ベクターフォントをそのままScaleformを使用してゲーム中で利用し、滑らかなフォントを容易に実現できます。「綺麗なフォントを表示するのはそれだけでも大変な作業なんです。このことだけでも採用した価値はあったと思います」(中村氏)。

ただし「今回は初めて利用したということもあって、手探り状態で基本的な機能しか利用できていませんでしたが、次のタイトルでも是非採用してもっと活用できればと思っています」(中村氏)とのことでした。

北米で7月に発売、その後も欧州での発売を控えた本作。ローカライズについても聞きました。

「残念ながら今回はScaleformの言語切り替え機能は使っていません。実は採用する前から、本社との関係もあって言語の機能を作りこんでいたんです。ただ、メニューをFlashで作れた事から、急遽欧州言語にローカライズが決まった際にもとても楽でした。ドイツ語なんか単語が凄く長くなっちゃうんで」(中村氏)。

言語的には日本語のほか、EFIGSと呼ばれる、英語、フランス語、イタリア語、ドイツ語、スペイン語に対応しているとのこと。欧米での結果も楽しみです。

最後にサポートに関しては、「開発時点では(オートデスクがScaleformを買収する以前で)サポートサイトを見ると英語では活発にサポートやディスカッションが行われているのに日本語でのサポートは余り行われていませんでした」(中村氏)とのこと。しかし、オートデスクに移管されることでこの問題点は解消されました。シニアソフトウェアデベロッパーの梅澤孝司氏がプロフェッショナルとして専任でScaleformのサポートを行うほか、複数名でバックアップ体制も取られます。今後は同社が提供する他のミドルウェアやツールとの連携も考えられるでしょう。

また中村氏は「他のデベロッパーの使い方も知れると良かった」と情報不足を語っていました。ドキュメントやフォーラムは揃っているものの、生の声を聞きたいというリクエストです。この点についても、オートデスクでは製品を採用しているユーザー企業を集めて小規模なユーザー会のようなものや、イベントに合わせて会合などを実施していて、Scaleformなどのゲーム系のミドルウェアでも検討していくとのことでした。

6月30日に大手町サンケイプラザで開催されるGame Tools & Middleware Forum 2011でも事例紹介としてScaleformでゲームUIを開発中のトイロジックの担当者を交えて、「Scaleform によるフレキシブルなユーザインターフェイスの構築 〜 (株)トイロジック様のユーザ事例のご紹介 〜」と題した講演が実施される予定。こうした情報発信も強化されていく予定です。

■終わりに

最後にJAPANスタジオの次回作については「色々な計画をしています。JAPANスタジオ自体は一旦規模を縮小したのですが、外部パートナーさんとの協業の可能性も考えながら、新しい作品をどんどん作っていきたいという気持ちを持っています。厳しい状況ではありますが、日本から『エルシャダイ』のような作品をまた贈り出せればと思います」(織田氏)との回答でした。

その内容に注目が集まった『エルシャダイ』ですが、スタジオ自体の設立から開発までも非常に興味深いものでした。新しいスタジオであるという点がアグレッシブな5つのミドルウェアの採用で、純粋に効率的な開発を目指せた要因ではあると思いますが、この思い切りは他のメーカーでも見習えるポイントがありそうです。


ありがとうございました。左から中村氏、広報の上西氏、織田氏


(C)2011 Ignition Entertainment Ltd. All Rights Reserved.

Scaleform公式サイト
http://jp.scaleform.com/gfx
《土本学》

メディア大好き人間です 土本学

1984年5月、山口県生まれ。幼稚園からプログラムを書きはじめ、楽しさに没頭。フリーソフトを何本か制作。その後、インターネットにどっぷりハマり、幾つかのサイトを立ち上げる。高校時代に立ち上げたゲーム情報サイト「インサイド」を株式会社IRIコマース&テクノロジー(現イード)に売却し、入社する。ゲームやアニメ等のメディア運営、クロスワードアプリ開発、サイト立ち上げ、サイト買収等に携わり、現在はメディア事業の統括。

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