※注意※
本記事では、成人向けゲームパブリッシャーへのインタビューをお届けします。直接的な画像や言葉は含まれませんが、ご注意ください。
Steamやitch.io、Patreon、そして決済事業者をめぐる動きによって、成人向けゲームを取り巻く環境は大きく揺れています。ゲームそのものが削除されるかどうかだけでなく、検索やストア上で見つけてもらえるのか、収益化の手段を維持できるのか、プラットフォームのルールが突然変わったときに開発者はどう備えるべきなのか。成人向けゲーム市場では、いま流通と発見可能性をめぐる問題が改めて問われています。
そうした中で注目したいのが、キプロスを拠点に成人向けゲームの開発・パブリッシングを手がけるSatyr Gamesです。2018年に開発スタジオとして始まった同社は、現在では自社タイトルの制作に加え、外部開発者の作品も支援するパブリッシャーとして事業を広げています。

本稿ではSatyr Gamesに、成人向けゲームをどのように捉えているのか、成人向け要素はゲームデザインの中でどんな役割を果たすのか、Steamやitch.ioをめぐるプラットフォームリスクをどう見ているのか、そして日本の成人向けゲーム文化や日本市場をどのように見ているのかについて訊きました。

今後12か月で12本リリース予定
――まず、Satyr Gamesの現在の事業について教えてください。Satyr Gamesは開発者でありパブリッシャーでもありますが、実際にはどのような制作・販売体制になっているのでしょうか。
Satyr Games:Satyr Gamesは、キプロスを拠点に成人向けゲームを開発・販売している会社です。もともとは2018年に開発スタジオとして始まりましたが、現在は自社タイトルを作るだけでなく、外部開発者の作品も支援するパブリッシャーとしての役割を広げているところです。
現在、今後12か月ほどでリリースを予定しているゲームが約12本あります。そのうち7本が自社タイトル、5本がサードパーティタイトルです。この割合は、私たちが開発とパブリッシングの両方に取り組んでいることをよく表しています。
開発面では、自社タイトルを国際的なチームで制作しています。フリーランス、コミッションベースの専門家、そして増えつつあるフルタイムメンバーが関わっており、プロジェクトごとに体制は異なります。通常は、プログラマー、ライター、アーティスト、アニメーター、プロジェクトマネージャー、あるいはメイン開発者がチームに入ります。
メイン開発者は、そのゲームのクリエイティブ面を主導し、チームをまとめ、プロジェクトが正しい方向に進むよう管理する役割です。そのため、私たちのプロジェクトマネージャーはゲームの利益に応じた取り分も持っています。
パブリッシング面では、自社ゲームと外部開発者の両方を支援しています。Satyr Gamesの大きな目標のひとつは、世界中の才能ある成人向けゲーム開発者と協力することです。彼らは優れたゲームを作る力を持っていますが、マーケティングや販売、作品を成長させるための経験・リソース・知識を十分に持っているとは限りません。私たちはそこを支えたいと考えています。
現在のパブリッシング体制はまだ比較的コンパクトですが、少しずつ明確な形になってきています。私とCEO/創設者のJimが、パブリッシングとマーケティング全般を主導しています。そのほかに、Steamコミュニティ管理、プレイテスト、ローカライズ、技術的なアップロード、ビルド管理、UIサポート、Steam、GOG、itch.ioなど各プラットフォームへの準備を担当するメンバーが3名います。
つまりSatyr Gamesは、従来型の開発者であり、成人向けゲームレーベルであり、同時にパブリッシングパートナーでもあります。自社ゲームを作りながら、ほかの開発者がよりプロフェッショナルな形で作品を市場に届ける手助けもしているのです。
――Satyr Gamesはキプロスを拠点としながら、世界中の開発者やクリエイターと仕事をしています。成人向けゲーム分野において、国際的なチームで制作する強みと難しさは何でしょうか。
Satyr Games:大きな強みのひとつは、才能にアクセスしやすいことです。成人向けゲームは世界的なニッチ市場で、優れたクリエイター、アーティスト、ライター、アニメーター、開発者たちは、ひとつの国や従来のゲーム産業の中心地に集まっているわけではありません。
国際的に仕事をすることで、プロジェクトごとのニーズに合わせてチームを組むことができます。さまざまなジャンル、ファンタジー、アートスタイル、そしてプレイヤーの期待を理解している人たちと協力できるのは大きいです。
創造面でも助けになります。成人向けゲームは、かなり具体的な観客に向けて作られることが多い分野です。異なる国や背景を持つ人たちが関わることで、物語、ユーモア、ロマンス、ファンタジー、性、プレイヤーの期待について、より広い視点を得られます。
成人向けゲームは、ひとつのジャンルでも、ひとつの客層でもありません。ビジュアルノベル、RPG、ホラーゲーム、デートシム、サンドボックス、ロマンスストーリーなど、いろいろな形があります。
一方で、難しいのはやはり調整です。異なるタイムゾーン、文化、言語をまたいで仕事をするには、コミュニケーションをかなり明確にする必要があります。日々のやり取りの多くはDiscordで行われるため、文章で伝える力、きちんとしたドキュメント、明確な責任範囲、そして自分の担当部分に責任を持てる人が欠かせません。
もうひとつの課題は、一貫性です。チームがフリーランスや専門家を中心に構成されることも多いため、ゲーム全体がひとつの作品としてまとまるように、しっかりした制作体制が必要になります。アート、文章、アニメーション、UI、ゲームプレイシステム、成人向けコンテンツのすべてが、同じビジョンの一部として感じられなければなりません。そこで、メイン開発者、プロジェクトマネージャー、パブリッシングチームの役割がとても重要になります。
とはいえ全体としては、国際的であることは弱みよりも強みです。成人向けゲームはもともとコミュニティ主導で、世界的につながってきた分野です。この働き方は、私たちの領域にはとても自然なものだと感じています。大事なのは、その柔軟さと、よりプロフェッショナルなパブリッシング体制を組み合わせることです。それがSatyr Gamesの目指している形です。
――成人向けゲームはしばしばひとつのカテゴリとして語られますが、実際にはビジュアルノベル、RPG、ホラー、経営シムなど、さまざまなジャンルがあります。Satyr Gamesは“成人向けゲーム”をどのように定義していますか。
Satyr Games:これは、この分野でよくある誤解のひとつです。成人向けゲームはひとつのジャンルのように語られがちですが、実際にはそうではありません。
私たちにとって成人向けゲームとは、特定のゲーム形式を指す言葉ではありません。ビジュアルノベルでも、RPGでも、ホラーでも、経営シムでも、デートシムでも、ストラテジーでも、サンドボックスでもあり得ます。場合によっては、アクションゲームに近いものもあります。
大事なのは、成熟したテーマ、性、ヌード、エロティックなファンタジー、あるいは明示的なコンテンツが、ゲーム体験の一部になっていることです。
だから私たちは、成人向け要素を“ジャンル”というより、いろいろなジャンルに重ねられる“レイヤー”のように考えています。ホラーやロマンス、コメディ、暴力表現がさまざまなゲームの形を変えるのと同じように、成人向けテーマもまた、作品の目的に応じていろいろなゲームを形作ることができます。
プレイヤーもひとつではありません。物語やロマンスを求める人もいれば、ファンタジーや逃避を求める人もいます。ゲームシステムを重視する人もいれば、キャラクターや感情的な選択を重視する人もいる。特定のフェティッシュやテーマを求める人もいます。
つまり成人向けゲームは、ひとつのジャンルでも、ひとつの客層でもありません。かなり多様な欲求に応えられる表現だと考えています。
――ゲームデザインにおいて、成人向け要素はどのような役割を果たすのでしょうか。たとえば報酬、物語表現、キャラクター描写、プレイヤー選択などとして機能するのでしょうか。
Satyr Games:成人向け要素の役割は、ゲームによって大きく変わります。
あるゲームでは、報酬として機能します。たとえば、ミニゲームをクリアしたり、キャラクターとの関係を進めたり、特定の選択をしたり、ある節目に到達したりすることで、シーンが解放されるような構造です。これは非常によくある形で、プレイヤーが「自分の行動によって意味のある進行があった」と感じられる場合には、とても効果的です。
ただし、成人向けコンテンツは報酬である必要だけはありません。より物語主導のゲームでは、成人向け要素が物語そのものの一部になることもあります。性は、キャラクター同士の関係性、力関係、親密さ、堕落、ロマンス、脆さ、誘惑、あるいは個人的な変化を示すことができます。
その意味では、成人向けシーンはほかのゲームにおけるドラマチックなシーンと同じように機能します。物語を前に進め、キャラクターがどのように変化しているかを示し、プレイヤーの選択に感情的な重みを与えることができるのです。
プレイヤーの選択も非常に重要です。成人向けゲームでは、選択は物語だけでなく、プレイヤーがどのようなファンタジーを体験したいかも形作ります。異なるルート、関係性、フェティッシュ、ロマンスの道筋、道徳的な判断は、プレイヤーに「この物語は自分のものだ」と感じさせます。このインタラクティブ性こそが、成人向けゲームを受動的な成人向けメディアと分けるものです。
つまり成人向け要素は、報酬にもなりますし、物語の道具にもなります。キャラクターを描く瞬間にも、関係性の節目にも、プレイヤー選択の表現にもなります。場合によっては、ゲームの中心的なメカニクスになることもあります。
優れた成人向けゲームは、その成人向けコンテンツがなぜそこにあるのか、そしてゲーム体験全体とどのようにつながっているのかを理解しています。
――性的コンテンツと、ゲーム全体の娯楽性とのバランスについてはどのように考えていますか。
Satyr Games:強い成人向けゲームは、性的コンテンツだけに頼ることはできません。もちろん成人向け要素は重要です。ただ、それは楽しく、没入できて、時間を使う価値のあるゲームの中に存在している必要があります。
ビジュアルノベルであれば、それは強い文章、面白いキャラクター、ロマンス、緊張感、ミステリー、ユーモア、ドラマ、意味のある選択かもしれません。性的コンテンツは報酬構造の一部になり得ますが、プレイヤーには、そのシーンの周囲にある物語やキャラクターにも関心を持ってほしいのです。
ほかのジャンルでは、バランスはまた違ってきます。たとえば私たちのIPである『Parasite Black』は、ダークファンタジーの成人向けRPGですが、その魅力は明示的なコンテンツだけではありません。独自の世界、ロア、種族、勢力、対立、キャラクター、長期的な物語があります。
性的コンテンツはその世界の一部です。しかし本作を愛してくれているプレイヤーは、雰囲気やファンタジー設定、キャラクター同士の関係性、没入感にも反応しています。言ってみれば「ゲーム・オブ・スローンズ」のようなものです。
私たちの考え方はシンプルです。性的コンテンツは、プレイヤーが成人向けゲームに来る理由のひとつかもしれません。しかし、それだけがプレイヤーが残る理由にはなりません。優れた成人向けゲームは、成人向けシーンそのものを超えて、ファンタジー、感情、進行、選択、世界観、娯楽性を提供します。
――開発やパブリッシングの視点から見て、“成人向けゲームは低労力のポルノにすぎない”という見方について、最も誤解されている点は何だと思いますか。
Satyr Games:私たちは、その考え方にはまったく同意できません。最大の誤解は、これらがあくまでゲームであるという点が忘れられがちなことです。
良い成人向けゲームには、文章、アートディレクション、アニメーション、プログラミング、UI、サウンド、音楽、ペーシング、制作管理、テスト、ローカライズ、マーケティング、コミュニティ管理、パブリッシング戦略が必要です。
たとえば、強い成人向けビジュアルノベルを作りたいなら、プレイヤーが関心を持てるキャラクターやストーリーラインを構築できる才能あるライターが必要です。魅力的なシーンを作れるアーティストやアニメーターも必要です。ゲームにアイデンティティを持たせる明確なクリエイティブディレクションも必要です。プロジェクトを実際に完成させるための制作計画も必要になります。
そして、たとえ良いゲームであっても、プレイヤーに発見されなければ失敗します。だからパブリッシング支援も重要です。
パブリッシングの視点では、成人向けゲームはインディーゲームと同じ課題の多くに直面しています。Steam戦略、ストアページの最適化、ウィッシュリスト、トレイラー、コミュニティ投稿、ローカライズ、ローンチタイミング、プラットフォーム管理、クリエイターへのアウトリーチなどは、通常のインディーゲームと同じように必要です。
ただし成人向けゲームには、さらに難しい層が加わります。より大きなスティグマ、プラットフォーム上の制限、決済上の懸念、見つけてもらいにくさ、限られたメディア露出といった問題です。
ですから、成人向けゲームが自動的に“低労力”であるという見方は、単純に間違っています。低労力な成人向けゲームは存在します。しかしそれは、どのジャンルにも低労力なゲームが存在するのと同じです。成功する成人向けゲームには、技術、制作、観客理解、長期的なパブリッシング作業の組み合わせが必要です。
決済事業者をめぐる業界の変化、どう影響?
――Steam、itch.io、Patreon、そして決済事業者をめぐる近年の状況は、Satyr Gamesの戦略にどのような影響を与えましたか。
Satyr Games:Satyr Gamesにとって最大の影響は、私たちのゲームが特定の禁止措置を受けたことではありません。より大きいのは、成人向けゲーム分野全体に広がった不確実性です。
成人向けゲームの開発者やパブリッシャーは長年、Steam、Patreon、itch.ioなどの外部プラットフォームを通じて、プレイヤーに作品を届け、コミュニティを築き、収益を得てきました。これらのプラットフォームは今でも非常に重要です。私たちは、そこから離れようとしているわけではありません。
ただ、最近の状況によって、私たちのビジネスが依存しているインフラを、私たち自身が完全にはコントロールしていないことがはっきりしました。
その結果、プラットフォームリスクは私たちの戦略において、より大きな要素になっています。今では、それぞれのプラットフォームをどう使うべきか、そのプラットフォームがどんな役割を持つのか、そして可視性、決済、ルールが突然変わった場合に何が起きるのかを、より慎重に考えるようになりました。
itch.ioは良い例です。同プラットフォームには成人向けゲームの強い観客層があります。しかし最近の状況以降、有料成人向けゲームは以前と同じようにはインデックスされていません。ゲームがインデックスされない場合、技術的にはプラットフォーム上に存在していても、プレイヤーが簡単に見つけることはできません。
そのため、itch.ioへの向き合い方は変わりました。主に収益化の場として扱うのではなく、発見やコミュニティ形成のためのツールとして見るようになっています。数エピソードやデモを無料で公開し、それによってプレイヤーに届き、興味を持った人たちをSteam、Patreon、あるいはより効果的に収益化できるほかの場所へ導くことができます。
つまり戦略は、ひとつのプラットフォームに頼るのではなく、各ゲームを中心にしたエコシステムを築く方向に変わっています。

――この状況を受けて、販売プラットフォーム、マーケティング、コミュニティ運営、収益化に対する考え方で、最も変わった点は何でしょうか。
Satyr Games:最大の変化は、独立性についてより真剣に考えるようになったことです。
Steam、Patreon、itch.io、GOG、Discordなどにはそれぞれ強みがあり、私たちは今後もそれらを必要としています。ただ同時に、観客との直接的な関係をより強く持つ必要があります。
それは、自分たちで所有できるコミュニティ、直接流入、メーリングリスト、Discord、パブリッシャーブランド、自社ゲーム間のクロスプロモーション、そしてSatyr Gamesとプレイヤーの関係が完全には第三者に管理されないチャンネルを持つということです。
マーケティングの視点では、ゲームが存在していることと同じくらい、プレイヤーに見つけてもらえることが重要です。ゲームが完全に禁止されなくても、見つけにくくなり、推薦されにくくなり、クリエイターが取り上げにくくなり、収益化しにくくなれば、大きな影響があります。
パブリッシングの視点でも、プラットフォームごとの役割をより慎重に考える必要があります。Steamはゲームの主要な商業ストアフロントになるかもしれません。Patreonは継続的なコミュニティ支援やエピソード型開発に向いているかもしれません。itch.ioは無料デモ、発見、観客形成に向いているかもしれません。GOGはもうひとつの重要な販売プラットフォームになり得ます。Discordは長期的なコミュニティの信頼を築く場所です。
それぞれのプラットフォームには、異なる目的があります。
目標は、主要プラットフォームを捨てることではありません。ひとつのプラットフォーム、決済事業者、外部インフラパートナーの突然の決定によって、ゲームやスタジオが完全に不安定化しないようにすることです。
――リスクは直接的な禁止だけでなく、ルールが突然変わるかもしれないという不確実性にもあるとのことでした。そのような不確実性は、開発計画や投資判断にどのような影響を与えますか。
Satyr Games:不確実性は、計画のほぼすべてに影響します。
成人向けゲームを開発・販売する場合、「このゲームは良いものか?」だけでなく、「このゲームはどこに置けるのか?」「プレイヤーはどうやって見つけるのか?」「安全に収益化できるのか?」「プラットフォームがルールを変えたらどうなるのか?」「決済事業者が圧力をかけたらどうなるのか?」「ゲームは許可されているが、隠されてしまったらどうなるのか?」といったことまで考えなければなりません。
それはリスクの評価方法を変えます。プラットフォーム戦略、リリース時期、マーケティング計画、コミュニティ形成、そして特定のプロジェクトにどれだけ投資できるかにも影響します。
開発者が何年もかけてゲームを作っている場合や、パブリッシャーがマーケティング、ローカライズ、制作、プラットフォーム支援に投資している場合、突然のルール変更は現実的なビジネスリスクになります。
また、より多くの代替計画も必要になります。代替プラットフォーム、直接的な観客チャンネル、コミュニティの維持、そしてひとつのルートが弱くなったときに各ゲームがどう生き残るかを、より早い段階で考えなければなりません。
従来のインディーゲームにとって最大の課題は、混雑した市場の中で目立つことかもしれません。成人向けゲームにとってもそれは同じです。ただし、さらにもうひとつの層があります。市場そのもののルールが、完全には予測できない形で変わる可能性があるのです。
だから成人向けゲーム業界での議論は、今や「どこでゲームを売るのか」だけではありません。合法的な創作物が、外部企業によって可視性、収益化、商業的成立性を左右される状態に完全には依存しない、より安定した持続可能なエコシステムをどう築くかという問題になっています。
――決済事業者がプラットフォームに圧力をかけ、合法的なコンテンツの商業流通を制限し得るとすれば、それは成人向けゲーム業界を超えた問題だと感じます。
Satyr Games:はい、間違いなくそうです。現在圧力を受けているのは成人向けゲームはかもしれませんが、問題としては成人向けゲームだけのものにとどまりません。
もし決済事業者が、合法的な創作物が商業的に成立するかどうかに間接的な影響を与えられるとすれば、問題はより大きくなります。どのようなゲーム、物語、アートが観客に届くことを許されるのか。それを誰が決めるのか、という問題です。
これは、誰かが個人的に成人向けゲームを好きか嫌いかという話だけではありません。創造表現に対する金融インフラの力の問題です。
今日の焦点は成人向けゲームかもしれません。しかし明日には、別の種類の議論を呼ぶ作品、政治的な作品、芸術的な作品、文化的に居心地の悪い作品が対象になるかもしれません。いったんその前例ができてしまえば、どこに線が引かれるのか、誰がその線を決めるのか、クリエイターがどのように計画すればよいのかは分からなくなります。
もちろん、プラットフォームにはルールが必要です。すべてのストアフロントには、自分たちが何を販売するかを定義する権利があります。しかし、外部からの金融的圧力が、合法的なコンテンツの流通、発見、収益化を形作り始めるなら、それはより広い文化的・業界的な問題になります。
私たちが懸念しているのは、すべてのプラットフォームがあらゆる種類のコンテンツを扱わなければならないということではありません。合法的な創作物が、流通や決済を取り巻くインフラが脆弱である、あるいは圧力を受けやすいという理由で、商業的に不可能になってしまうことを懸念しているのです。
――成人向けゲーム開発者やパブリッシャーにとって、“プラットフォーム上に存在を許されること”と“商業的に成立すること”は別の問題だと思います。その違いを詳しく教えてください。
Satyr Games:はい。これは最も重要な点のひとつです。
プラットフォーム上に存在を許されるというのは、単にゲームが削除されていないという意味です。しかし、それはプレイヤーがそのゲームを見つけられること、クリエイターがそのゲームを取り上げられること、あるいはゲームが生き残るのに十分な収益を生み出せることを意味しません。
商業的に成立するには、見つけてもらえることが必要です。ゲームが検索から隠され、発見セクションから除外され、推薦から外され、インデックスされず、特定の決済手段から制限され、宣伝しにくくなれば、技術的にはまだ利用可能であっても、実際には販売が非常に難しくなります。
開発者やパブリッシャーにとって、この違いはとても大きいです。ゲームの開発には数か月から数年かかります。アーティスト、ライター、プログラマー、アニメーター、テスター、ローカライズ、マーケティング、コミュニティ作業が必要です。もしゲームが存在を許されていても、プレイヤーが簡単に見つけられないのであれば、そのプロジェクトは商業的に失敗する可能性があります。
だからこそ、見つけてもらいやすさは非常に重要です。プラットフォームは決済システムであるだけでなく、発見システムでもあります。プレイヤーはそこで閲覧し、検索し、ウィッシュリストに入れ、フォローし、何を遊ぶか決めます。成人向けゲームが存在していても見えないのであれば、「許可されている」だけでは十分ではありません。
だから私たちは、議論は単に禁止についてだけであるべきではないと考えています。完全な禁止は最も分かりやすい制限ですが、可視性の低下もまた非常に大きなダメージになります。成人向けゲームが商業的に生き残れるかどうかは、プラットフォームにアクセスできるかだけではなく、その種のコンテンツを探している観客に届く現実的な機会があるかにもかかっています。
――“ゲームが禁止されていなくても、プレイヤーが見つけられなければ売れない”という考え方は非常に重要に感じます。成人向けゲームの発見可能性の問題は、通常のインディーゲームとどのように異なるのでしょうか。
Satyr Games:すべてのインディーゲームには、見つけてもらう難しさがあります。Steam、itch.io、GOGなどのプラットフォームは非常に混雑しており、目立つことは誰にとっても簡単ではありません。
成人向けゲームの場合の違いは、発見の問題が単なる競争だけではないことです。アクセス、フィルター、地域制限、プラットフォームルール、ユーザー設定、検索での表示、決済インフラの問題でもあります。
たとえばSteamでは、成人向けコンテンツは成熟コンテンツ設定や年齢ゲートの影響を受けます。つまり、潜在的な観客は通常のインディーゲームよりも最初から狭くなります。プレイヤーは適切な設定を有効にしている必要があり、成人向けコンテンツを閲覧することに抵抗がなく、自分からその種のゲームを探す必要があります。ほかのゲームと競争する前の段階で、すでに制限された発見環境の中にいるのです。
地域制限もあります。国によっては、現地法、年齢レーティング要件、プラットフォームルール、あるいはパブリッシャー側の制限によって、成人向けゲームへのアクセスが難しかったり、不可能だったりします。ドイツは分かりやすい例のひとつです。Steamではドイツの顧客にゲームを表示するために有効な年齢レーティングが必要で、成人専用コンテンツはこれまでも追加のアクセス問題に直面してきました。
ほかの国でも、明示的コンテンツに関する規制がより厳しい場合、ゲームごとに制限されることがあります。そのため成人向けゲームでは、マーケティングを始める前の段階で、可視性が大きく下がる、あるいは利用できない市場が存在します。
また、成人向けゲームは外部の発見チャンネルも少ないです。通常のインディーゲームであれば、メインストリームのメディア、YouTubeクリエイター、TikTok、ソーシャルメディア広告、フェスティバルでの露出、一般的なゲームコミュニティに頼りやすいです。成人向けゲームは、コンテンツが制限されていたり、クリエイターが収益化を心配していたり、プラットフォームが明示的な素材の宣伝を許可していなかったりするため、同じようには使えません。
だから課題は、単に「どうやって注目されるか」ではありません。「そもそも、どこで見える状態にしてもらえるのか」でもあります。これが、成人向けゲームにとって発見の問題を、通常のインディータイトルよりも深い戦略的課題にしているのです。
――有料成人向けゲームは現在itch.ioでインデックスされていないとのことでした。これは実際の売上やユーザー獲得にどの程度影響しますか。
Satyr Games:大きな影響があります。インデックスは、プラットフォームを発見エンジンとして機能させるものだからです。
ゲームがインデックスされていなければ、技術的にはプラットフォーム上に存在していても、検索結果、閲覧ページ、推薦エリアには表示されません。つまり、プレイヤーが自然にそのゲームを見つける可能性は大きく下がります。トラフィックを得る唯一の方法は、プラットフォーム外部からプレイヤーを送ることになります。
Satyr Gamesにとって、itch.ioはまだ主要な収益チャンネルではありませんでした。そのため、既存の売上への直接的な影響は限定的です。私たちは、そこでのプレゼンスを作り始めたばかりでした。
しかし、多くの成人向けゲームクリエイターにとって、itch.ioは歴史的に重要なプラットフォームでした。特にインディーゲームと成人向けゲームの強い観客を持っていたからです。そのような開発者にとって、見つけてもらえる機会を失うことは大きなダメージになります。
重要なのは、itch.ioに存在していることと、itch.io上で発見可能であることは同じではないという点です。有料成人向けゲームがインデックスされないのであれば、itch.ioは成人向け開発者にとって直接的な販売プラットフォームとしては弱くなります。プラットフォームが、新しいプレイヤーにそのゲームを見つけさせる手助けをしなくなるからです。
――その状況を受けて、itch.ioを主な収益化プラットフォームではなく、コミュニティ形成やトラフィック獲得のための場として使う戦略に変わったとのことでした。詳しく教えてください。
Satyr Games:現在の状況を受けて、私たちはitch.ioを違う形で考えています。
有料成人向けゲームがプラットフォーム内で見つけられにくい、あるいはほとんど見つけられないのであれば、itch.ioを主な直接収益チャンネルとして扱う意味は薄れます。代わりに、私たちはitch.ioをファネルの入口として使うことができます。つまり、プレイヤーがゲームの無料サンプルを発見し、数エピソードを試し、その後プロジェクトを別の場所でフォローするかどうかを決めるための場所です。
たとえば、完全な有料成人向けゲームをアップロードしてitch.ioから直接売上が生まれることを期待するのではなく、無料エピソード、無料デモ、初期コンテンツをアップロードできます。これによりゲームへのアクセスがしやすくなり、プレイヤーは低いハードルで試すことができます。そこから、興味を持ったプレイヤーをSteam、Patreon、GOG、あるいはゲームをフォローしたり、ウィッシュリストに入れたり、支援したり、購入したりできるほかのチャンネルへ導けます。
つまりitch.ioの役割が変わるのです。即時の収益ではなく、発見、サンプリング、コミュニティ形成、トラフィック生成の場になります。
これは、プラットフォームリスクがパブリッシング戦略をどう変えるかの良い例です。私たちは「ゲームを取り巻くより広いエコシステムの中で、それぞれのプラットフォームはどの役割を果たすべきか」と考えています。Steamは主要な商業ストアフロントかもしれません。Patreonは継続的な開発を支える場所かもしれません。Discordはコミュニティを築く場所かもしれません。GOGは追加の販売チャンネルになり得ます。itch.ioは、プレイヤーがゲームを発見し、試すための場所になるかもしれません。
また、各プラットフォームをファネルの各段階に結びつけることにも役立ちます。Steamは、発見から販売まで、かなり広いファネル全体を支えることができます。一方、現在のitch.ioは発見、場合によっては関心の段階により近く、そこで旅路が止まる形になっています。
このようなプラットフォームごとの戦略は、成人向けゲームにとってますます重要になっています。ひとつのプラットフォーム、ひとつのトラフィック源に頼ることは、ますますリスクが高くなっているからです。
Satyr Gamesの目指すところは
――Satyr Gamesは成人向けゲーム分野で、より確立されたパブリッシャーになることを目指しています。2026年において、プロフェッショナルな成人向けゲームパブリッシャーに必要なものは何でしょうか。
Satyr Games:まず必要なのは、市場を理解することです。成人向けゲームは、従来のインディーゲームとまったく同じようにパブリッシングされるわけではありません。各プラットフォームが異なる役割を持っているからです。
Steamは主要な商業ストアフロントになるかもしれません。Patreonは継続的な開発とコミュニティによる収益化を支えるかもしれません。itch.ioは発見やサンプリングの場として機能しやすいかもしれません。GOGは追加の販売チャンネルになり得ます。Discordはコミュニティにとって重要です。Redditやほかのソーシャルプラットフォームは認知拡大に役立ちますが、それぞれルール、制限、観客の期待が異なります。
だから、プロフェッショナルな成人向けゲームパブリッシャーは、これらのチャンネルがどのように連携するのかを理解する必要があります。単にゲームをアップロードし、誰かが見つけてくれることを期待するだけではありません。各タイトルを中心に、発見、コミュニティ、ウィッシュリスト、収益化、コミュニケーション、アップデート、プレイヤーの信頼、長期的なサポートを含む、ひとつのエコシステムを築くことが必要です。
次に必要なのは、構造です。きちんと規模を拡大するには、明確な役割、強い内部ワークフロー、各自が自分の責任を理解していることが欠かせません。パブリッシング方針、Steam管理、コミュニティ管理、ローカライズ、技術的なアップロード、ビルドテスト、マーケティング、クリエイターへのアウトリーチ、プラットフォーム戦略、プレイヤーフィードバックなどです。これらの責任が整理されていなければ、複数のゲームを同時に管理することは非常に難しくなります。
Satyr Gamesは今、まさにその段階に移行しています。私たちは、自社タイトルとサードパーティタイトルの両方をより効率的かつ生産的に支援できる基盤を作ろうとしています。より良いシステム、より明確なワークフロー、チーム間のより強いコミュニケーション、より多くの開発者を支えられるパブリッシング体制を整えることです。
技術も、その議論の一部になっています。多くの小規模チームと同じように、AIや自動化が内部ワークフローをどう助けられるかを検討しています。創造的な方向性を置き換えるつもりはありませんが、制作やパブリッシングをより効率的にする方法としては考えています。
たとえば、アセット整理、計画支援、マーケティングカレンダーの下書き、反復的な制作作業の補助などは、慎重に使えば有用です。規模を拡大しようとする小さなチームにとって、運用効率は非常に重要です。
しかし最終的に、プロフェッショナルなパブリッシングは人に帰着します。観客を理解し、ゲームを尊重し、開発者を正しく支援し、プレイヤーと長期的な関係を築くことです。
――成人向けゲーム開発者には、ゲーム開発だけでなく、コンプライアンス、決済、プラットフォームポリシー、コミュニティ管理に関する専門知識も求められているように見えます。この分野で特に重要なスキルや知識は何でしょうか。
Satyr Games:成人向けゲームのパブリッシングでは、細部への注意が非常に重要です。各プラットフォームには、それぞれ独自のルールや敏感な点があるからです。
通常のインディーパブリッシャーでも、Steam、ストアページ、ウィッシュリスト、トレイラー、ローンチタイミング、ローカライズ、価格設定、割引、コミュニティ投稿、クリエイターへのアウトリーチを理解する必要があります。成人向けゲームにも、それらはすべて必要です。
ただし、その上にさらにプラットフォームポリシー、年齢制限、コンテンツルール、決済上の懸念、発見上の制限、成人向けコンテンツにまつわるスティグマが加わります。
Redditは良い例です。成人向けコンテンツが許可されているコミュニティは多くありますが、サブレディットごとにルールは異なります。リンクを許可している場所もあれば、そうでない場所もあります。特定の形式でのみ宣伝を許可している場所もあります。AIコンテンツを許可しない場所もあります。特定のタイトル構造を求める場所もあります。非常に特定のファンタジーやコミュニティに焦点を当てている場所もあります。
これらのルールを理解していなければ、時間を無駄にしたり、投稿が削除されたり、観客の中での評判を傷つけたりする可能性があります。
同じことはほかのプラットフォームにも当てはまります。Steam、Patreon、itch.io、GOG、Discord、X、Reddit、YouTube、クリエイタープラットフォームには、それぞれ異なる期待があります。そして、それらのルールは変わることもあります。だから常に情報を追い続ける必要があります。
最近では、多くの成人向けクリエイターやパブリッシャーが、プラットフォームがセンシティブなコンテンツをどう扱うか、何を公開表示できるか、何を制限する必要があるか、収益化がどう扱われるかに、より注意を払うようになっています。PatreonやXも、成人向けコンテンツに対するアプローチを最近変更しています。
そのため最も重要なスキルは、組織化、細部への注意、プラットフォーム知識、適応力、そして粘り強さです。ルールに従えるだけの構造を持ち、ルールが変わったときに適応できる柔軟性を持ち、うまくいかないときにも続けられる粘り強さが必要です。
コミュニティ理解も欠かせません。成人向けゲームは、非常に具体的な観客、ファンタジー、期待を中心に作られることが多いです。プレイヤーをひとつの一般的な観客として扱うのではなく、敬意を持って正直にコミュニケーションする方法を理解する必要があります。
要するに、成人向けゲームのパブリッシングには本物のゲームパブリッシング知識が必要です。それに加えて、プラットフォームリスク、コミュニティ行動、コンテンツポリシー、決済インフラ、観客との信頼に対する強い理解も求められます。その組み合わせこそが、この分野を難しくし、同時に非常に面白いものにしています。
――サードパーティ開発者を支援する際、Satyr Gamesが最も価値を提供できる部分はどこだと思いますか。
Satyr Games:私たちがサードパーティ開発者に提供できる大きな強みのひとつは、すでに観客、信頼性、実績を持っているエコシステムへのアクセスです。
私たちの主要なPatreonチャンネル全体では、現在約3万7,000人のメンバーがいます。また『My Bimbo Dream』や『Parasite Black』といった既存タイトルもあります。さらに、Porn Games subredditには約50,000人、Naughty Gamesには約15,000人のメンバーがいるコミュニティチャンネルも運営しています。
つまり、開発者がSatyr Gamesに参加すると、既存の成人向けゲーム観客、認知されたパブリッシングレーベル、Steamでのクロスプロモーション機会、そしてプロジェクトに応じたハンズオンまたはハンズオフの支援を得られます。
私たちは通常、ゲームを作ることには非常に優れているものの、そのゲームを適切にマーケティングし、販売し、成長させるための経験、リソース、構造を持っていない開発者を探しています。
そこに私たちが価値を提供できます。成人向けゲームのパブリッシングには、多くのプラットフォームに関する知識が必要です。そして各プラットフォームは異なる役割を果たします。
Steamは通常、主要な商業ストアフロントです。Patreonは、開発を支え、制作中に忠実なコミュニティを築くことに役立ちます。itch.ioは発見やサンプリングの場として機能します。GOGは追加の販売チャンネルになり得ます。Discord、Reddit、F95、ソーシャルメディア、クリエイターへのアウトリーチにも、それぞれ異なる機能があります。
私たちの役割の一部は、開発者がそれらのプラットフォームをどのように連携させるかを理解できるよう支援することです。どこで認知を築くのか、どこでコミュニティを育てるのか、どこで収益化するのか、そしてゲームとその観客に合った形でどうコミュニケーションするのかということです。
その中でも、Satyr Gamesが特に大きく支援できる領域のひとつがSteamです。
Steamは、多くの成人向けゲームにとって、リリース時に今も最も重要な収益源です。サードパーティタイトルがSatyr Gamesに参加すると、そのゲームは単に助言を受けるだけではありません。Satyr GamesのSteamエコシステムの一部になります。つまり、私たちのパブリッシャーページ、既存の観客、そしてゲーム同士をつなぐ「More from this Creator」セクションにアクセスできるのです。
私たちのデータでは、Steamページへのトラフィックの非常に大きな割合、50%以上がSatyr Gamesのエコシステム内から来ています。特にパブリッシャーページや「More from this Creator」からの流入です。これは非常に強力です。カタログ内の各ゲームが、ほかのゲームを助けることができるからです。
私たちはこれをフライホイールのように考えています。あるSatyr Games作品が、デモ公開、Steam Next Fest、ローンチ割引、Daily Deal、大型アップデートなどによって注目を集めると、そのゲームはトラフィックを受け取る存在になります。そのトラフィックの一部は、Steam内部の仕組みを通じて、パブリッシャーページやほかのSatyr Games作品へ移動します。それが、カタログ全体の可視性やウィッシュリスト増加を助けます。
小規模な開発者にとって、これを単独で実現するのは非常に困難です。初めて、あるいは2本目のゲームをパブリッシャーなしでリリースする場合、通常は既存のトラフィックネットワーク、ブランドの信頼性、クロスプロモーション構造を持っていません。Satyr Gamesのもとでは、開発者は私たちがすでに築いている観客の恩恵を受けられます。
実際、Satyr Gamesに参加した一部のサードパーティ開発者では、Steamのトラフィックや日々のウィッシュリスト数の基準値が大きく改善しました。場合によっては、日々のウィッシュリスト数の基準値が2倍、あるいは3倍になりました。強い日次基準値と、マーケティング施策によるウィッシュリストのスパイクが組み合わさると、ローンチ前のウィッシュリスト数に大きな違いが生まれます。
つまり私たちの価値は、パブリッシング知識、プラットフォーム戦略、ブランドの信頼性、Steamエコシステムのトラフィック、マーケティング支援、そして成人向けゲーム市場での実践的な経験の組み合わせです。
もちろん、翻訳・ローカライズ、GUI最適化、バナー、ロゴ、トレイラーなどのマーケティング素材の制作、ソーシャルメディア運用など、サードパーティゲームのほかのニーズも支援します。必要に応じて、開発面を手伝う場合もあります。これはケースバイケースです。
成人向けゲームの“品質”とは
――『My Bimbo Dream: Kingpin』について、同種のゲームの中で上位1%の品質を目指しているとお話しされていました。その“品質”をどのように定義していますか。どのような基準を用いているのでしょうか。
Satyr Games:上位1%を目指すというとき、それはそのタイプの成人向けゲームにおける品質への私たちの内部的な野心を指しています。単にコンテンツがどれだけ明示的かという話ではありません。体験全体の話です。
『My Bimbo Dream: Kingpin』において、品質とはいくつかの要素が一緒に機能することを意味します。

まず、ビジュアルの品質です。レンダー、アニメーション、キャラクターモデル、環境、シーン構成、全体のプレゼンテーションの品質です。成人向けゲームは非常に視覚的なメディアなので、第一印象はとても重要です。
次に、文章と物語の品質です。強い成人向けゲームには、プレイヤーが関心を持てるキャラクター、興味を持ち続けられるストーリー、進行感が必要です。プレイヤーが世界やキャラクターに関心を持たず、単に成人向けシーンから次の成人向けシーンへクリックしているだけなら、体験は弱くなります。
3つ目は、ファンタジーの届け方です。成人向けゲームが成功するのは、特定のファンタジーを明確に理解し、それを探索する自由をプレイヤーに与えるからです。つまり、フェティッシュ、選択肢、ルート、キャラクターの関係性が一貫している必要があります。プレイヤーは、ゲームがどのようなファンタジーを提供しているのかを理解しており、それに意味のある形で関われると感じるべきです。
4つ目は、制作の一貫性です。高品質な成人向けゲームには、良いペーシング、磨かれたUI、明確な進行、安定したビルド、強いアートディレクション、満足感のある十分なコンテンツが必要です。ばらばらのシーンの集まりのように感じられてはいけません。明確なクリエイティブディレクションを持つ、完成した製品のように感じられる必要があります。
最後に、プレイヤーの選択と結果です。特に成人向けビジュアルノベルや物語主導の成人向けゲームでは、プレイヤーは自分の判断に意味があると感じたいものです。ルート、関係性、フェティッシュ、結末は、プレイヤーが自分自身のファンタジーを形作っていると感じられるものであるべきです。
つまり品質とは、ビジュアル、アニメーション、文章、キャラクター描写、ファンタジー、プレイヤー選択、技術的な磨き込み、全体の方向性の組み合わせです。成人向けコンテンツは当然重要ですが、優れた成人向けゲームは、その周囲にあるすべてが強いからこそ成功します。
――成人向けゲームは空想のものである一方で、同時にプラットフォームのルールや社会的な見方とも向き合う必要があります。表現の自由と責任のバランスについて、どのように考えていますか。
Satyr Games:私たちは、その両方が重要だと考えています。
成人向けゲームは正当な創造表現の形です。大人がファンタジー、欲望、アイデンティティ、関係性、力関係、ロマンス、ユーモア、ドラマ、性を、インタラクティブな物語や遊びを通じて探求できるものです。そこには文化的な価値があると思いますし、成人向けゲームがほかのゲームやエンターテインメントよりも自動的に価値の低いものとして扱われるべきではないと考えています。
同時に、成人向けコンテンツである以上、その提示や配信には明確な責任があります。プラットフォームには、強い年齢ゲートや成熟コンテンツシステムがあるべきです。成人向けゲームは、その種のコンテンツを見たいと選んだ大人に表示されるべきであり、若い観客や関わりたくない人々に表示されるべきではありません。
また、コンテンツには境界も必要です。私たちにとっての基礎は、ゲームが成人キャラクターを扱ったファンタジーとして作られることです。そして私たちは、未成年や非同意の性的コンテンツを含むテーマには関心がありません。これは創造的な立場であると同時に、パブリッシング上の責任でもあります。
ですから私たちは、「どこでも何でも許されるべきだ」と考えているわけではありません。バランスとは、合法的な成人向け創作物が存在し、適切な観客に届くことができる一方で、プラットフォームやパブリッシャーも年齢アクセス、コンテンツルール、プレイヤーの信頼を真剣に扱うことだと考えています。
――プラットフォームごとに許容される表現や審査基準が異なる場合、開発段階から内容を調整することはありますか。
Satyr Games:一般的には、プラットフォームの期待を早い段階から考えるようにしています。ただし、ゲームが創造的に妥協しているように感じられたり、拒否されることへの恐れだけを中心に設計されているように感じられたりすることは望んでいません。
成人向けゲームを許可している主要プラットフォームの多くは、特定のコンテンツに関して大まかに似たレッドラインを持っています。そのため、プロジェクトの初期段階から、商業的に成立し得る境界内で作られるようにしています。つまり、年齢、同意、提示の仕方、プラットフォームルール、ゲームの説明や提出方法について慎重に考えるということです。
プラットフォーム間でより違いが出るのは、主に見せ方です。ストアページ、タグ、スクリーンショット、公開素材、そして見つけてもらいやすさの部分です。したがって調整は、ゲームの中核を変えることよりも、ゲームを各プラットフォームでどのようにパッケージし、説明し、配信するかに関することが多いです。
たとえばSteam、Patreon、itch.io、GOG、Discord、Reddit、ソーシャルプラットフォームはそれぞれ、公開で何を表示できるか、何をゲートで制限する必要があるか、どのような言葉を使えるか、成人向けコンテンツをどのようにラベル付けすべきかについて異なる基準を持っています。プロフェッショナルな成人向けゲームパブリッシャーは、それらの違いを理解し、準備する必要があります。
ですから、はい、プラットフォームルールは計画プロセスの一部です。しかし私たちの目標は、すべてのプラットフォームの好みに合わせて創造的ビジョンを絶えず変えることではありません。明確なアイデンティティを持つゲームを作り、それを責任ある形でパブリッシングすることです。
――成人向けゲームにおいて、観客との信頼はどのように時間をかけて築かれるのでしょうか。
Satyr Games:信頼は、一貫性、コミュニケーション、品質によって築かれます。
成人向けゲームは、非常に距離の近いコミュニティを持つことが多いです。そのためプレイヤーは、開発者がそこにいて、反応してくれることを期待します。私たちにとってそれは、Steam、Patreon、Discord、ソーシャルメディア、その他のコミュニティチャンネルを通じてフィードバックを聞くことを意味します。
プレイヤーはバグを報告し、改善を提案し、物語上の判断に反応し、キャラクターについて語り、何がうまく機能し、何が機能していないのかを教えてくれます。
そのフィードバックは価値があります。初期ビルドやアップデートが、特定のシーン、キャラクター関係、ルート、選択について強いコミュニティの反応を引き起こすこともあります。そのような場合、私たちはフィードバックを真剣に受け止め、内部で分析し、改善や作り直しが必要かどうかを判断します。
同時に、信頼とはすべてのコメントに盲目的に従うことではありません。特に成人向けゲームでは、プレイヤーごとに求めるファンタジーや結末が非常に異なります。すべての人を満足させることはできません。大切なのは、慎重に耳を傾け、観客を尊重し、意味がある場合には改善しながら、ゲームの創造的な方向性も守ることです。
透明性も非常に重要です。遅延、技術的な問題、計画変更がある場合、正直に、早めに伝えれば、プレイヤーは多くの場合より理解を示してくれます。もちろん失望する人はいるかもしれませんが、コアコミュニティは率直さを評価する傾向があります。
最後に、品質が信頼を築きます。すべてのアップデートでゲームが改善されている、チームが細部を大切にしている、プロジェクトが明確なビジョンを持って前進している。そうプレイヤーが感じれば、長期的に残ってくれる可能性は高くなります。
ゲームというメディアの可能性
――成人向けゲームは、大人がファンタジー、欲望、アイデンティティ、性をインタラクティブフィクションや遊びを通じて探索できる、プライベートで低リスクな空間を提供できるとお話しされていました。その点で、ゲームというメディアならではの可能性をどのように見ていますか。
Satyr Games:ゲームはインタラクティブであるという点で特別です。プレイヤーは選択をし、ルートを探索し、関係性を形作り、自分がどのようなファンタジーに関わりたいかを決めています。
そのため成人向けゲームは、より受動的な成人向けメディアとは大きく異なります。もちろんエロティックなコンテンツを提供することもできますが、よりゆっくりとした、物語主導の体験も作れます。プレイヤーはキャラクターに感情移入し、ロマンスを追い、特定のファンタジーを探索し、自分が何に興味を持っているのかを明らかにする選択をするかもしれません。
同意する大人にとって、それは欲望、アイデンティティ、性、ファンタジーを探索するための、プライベートで低リスクな空間になり得ます。プレイヤーは、これまで考えたことのなかったテーマに関わり、自分が何を好きか、何を好きではないかを発見し、それをフィクションの安全性の中で行うことができます。
中には、パートナーと一緒にこれらのゲームを遊び、ファンタジーや好みについて、より遊び心があり、プレッシャーの少ない形で話すためのきっかけにする人もいるかもしれません。
これは、成人向けゲームがスティグマやリスクだけで語られるべきではないと私たちが考える理由のひとつです。このメディアにはポジティブな側面もあります。最良の場合、成人向けゲームは、ファンタジー、物語、インタラクティブ性、親密さ、ユーモア、ロマンス、プレイヤーの主体性を、従来のゲームや受動的な成人向けメディアにはあまりない形で組み合わせることができます。
もちろん、これはコンテンツが責任を持って作られ、大人向けであるという前提があって最もうまく機能します。しかしその文脈において、成人向けゲームは探索、表現、娯楽のための意味のある空間を提供できるのです。
パブリッシャーが気をつけるべきポイント、そして日本のエロゲー文化
――同時に、成人向けコンテンツを扱う開発者・パブリッシャーとして、特に気をつけている倫理的・実務的な点はありますか。
Satyr Games:はい、もちろんです。成人向けコンテンツを扱う場合、創造の自由と責任の両方を真剣に受け止める必要があります。
第一に年齢です。私たちのゲームは大人向けに作られています。成人向けコンテンツは明確にラベル付けされ、適切に年齢制限され、その種のコンテンツに関わることを選んだ人にだけ表示されるべきだと考えています。これは非常に重要です。
第二に境界です。私たちにとっての基礎は、成人キャラクターとファンタジーを中心としたコンテンツです。私たちは、未成年や非同意の性的行為を含むコンテンツには関心がありません。
成人向けゲームは、多くの異なるファンタジー、フェティッシュ、関係性、力関係を探索できます。ただし、どのようなコンテンツを作り、販売したいのかについて、明確な創造的・倫理的境界が必要です。
第三に、プレイヤーへの透明性です。成人向けゲームは非常に特定のテーマやファンタジーを含むことが多いため、プレイヤーは自分がどのような体験に入ろうとしているのかを明確に理解できるべきです。適切なタグ、説明、必要に応じたコンテンツ警告、ゲームの性質に関する正直なコミュニケーションが必要です。プレイヤーは大人であり、自分で選択できますが、その選択は正しい情報に基づいてできるべきです。
また、コミュニティ管理に関する実務的な責任もあります。成人向けゲームは非常に熱心なコミュニティを生むことがあるため、適切にモデレーションし、フィードバックに耳を傾け、コミュニケーションが敬意あるものに保たれるようにすることが重要です。
最後に、成人向けコンテンツを近道として扱わないよう注意しています。目標は、人々をショックに陥れたり、明示的なシーンだけに頼ったりすることではありません。コンテンツはファンタジー、キャラクター、世界、あるいはプレイヤー体験に役立つ必要があります。それもまた、このメディアを真剣に扱うことの一部です。
――日本には長い“エロゲー”文化があります。海外の成人向けゲーム開発者の視点から見て、日本の成人向けゲーム文化はどのように映っていますか。
Satyr Games:私たちの視点から見ると、日本の成人向けゲーム文化は非常に重要であり、大きな敬意に値します。
日本には、特にエロゲー、美少女ゲーム、デートシム、ビジュアルノベルを通じて、成人向けゲームにおける最も長く、最も影響力のある伝統のひとつがあります。日本国外の多くの人々にとって、日本の成人向けゲームは、成人向けインタラクティブストーリーテリングが何であり得るかを定義するものでした。
それは、キャラクター主導で、感情的で、ロマンティックで、エロティックで、奇妙で、実験的で、ときに物語面で非常に野心的なものです。
興味深いのは、日本の成人向けゲームには非常に強いアイデンティティがあることです。アートスタイル、キャラクターの類型、ペーシング、ロマンス、ユーモア、フェティッシュ、感情のトーンは、多くの西洋成人向けゲームとはかなり違って感じられます。その違いには価値があります。
成人向けゲームが、視覚面だけでなく、物語、キャラクター関係、プレイヤーのファンタジー、親密さの描き方においても、どれほど文化によって形作られるかを示しているからです。
私たちは、日本の成人向けゲームを外側から完全に理解しているとは考えていません。それは独自の歴史、期待、観客を持つ、非常に深い文化です。しかし海外の開発者・パブリッシャーとして、日本の成人向けゲーム文化を世界で最も重要な成人向けゲームの伝統のひとつとして見ています。
――Satyr Gamesは日本のプレイヤーや日本市場に関心がありますか。
Satyr Games:はい、非常に関心があります。
日本は、長い成人向けゲーム文化を持っているという意味でも、日本のプレイヤーが成人向けゲームを単なる明示的なコンテンツ以上のものとして理解しているという意味でも、私たちにとってとても興味深い市場です。成人向けゲームは、物語であり、世界であり、関係性であり、ファンタジーであり、長期的なキャラクター体験にもなり得ます。
私たちのゲームの中には、特に『Risky Business』や『Unbreakable Love』のように、アニメ風あるいはヘンタイ風のビジュアル方向性を持つタイトルがあります。これらは、日本的な成人向けゲームを楽しむプレイヤーには、より自然に理解される可能性があると感じています。
また将来的には、より多くの2Dやアニメ風の成人向けゲームを制作・パブリッシングすることにも関心があります。
とはいえ、日本のプレイヤーに正しく届くには、単にゲームをオンラインに置くだけでは不十分だと理解しています。ローカライズ、文化理解、プラットフォーム選択、コミュニティの期待、コミュニケーションはすべて重要です。私たちは日本市場に敬意と忍耐を持って向き合い、日本のプレイヤーが海外成人向けゲームに何を求めているのかを学びたいと考えています。
――日本の読者にとって、現在の海外成人向けゲーム市場はまだあまり知られていません。特に何を理解してほしいですか。
Satyr Games:日本の読者には、海外成人向けゲーム市場には、このメディアの品質を高めようとしている情熱的な開発者が多くいることを理解してほしいです。
西洋の成人向けゲーム空間は、日本のものとは異なります。アートスタイルはしばしば異なり、西洋の観客は3D、リアル、あるいはセミリアルなビジュアルに強く反応することが多いです。一方で、日本のプレイヤーは2Dアニメやビジュアルノベルの伝統により親しんでいるかもしれません。
しかし違いはアートスタイルだけではありません。文章、ユーモア、関係性、フェティッシュ、ペーシング、ファンタジーの種類にも文化的な違いが見られます。
だからこそ、この分野は面白いのです。日本の成人向けゲームと西洋の成人向けゲームは、どちらも性的コンテンツを含むかもしれません。しかし、異なる創造的・文化的背景から生まれているため、まったく異なる感触を持つことがあります。

日本の成人向けゲーム文化と海外成人向けゲーム市場の間には、より多くの交流の機会があると思います。多くの西洋プレイヤーが日本のエロゲーやビジュアルノベルを発見し、愛してきたのと同じように、より多くの日本のプレイヤーが海外の開発者たちが作っているものに興味を持ってくれることを願っています。
私たちは日本の成人向けゲームを置き換えたり、模倣したりしようとしているわけではありません。この分野に別の視点を加えたいのです。私たちの目標は、強いファンタジー、強いキャラクター、没入できる世界、高い制作価値を持つ成人向けゲームを作り、このメディアを愛する観客同士の間に、より多くの橋を架けることです。
――Satyr Gamesは今後12か月で12本のリリースを予定しているとのことでした。どのようなラインナップを目指しているのでしょうか。
Satyr Games:現在、今後12か月ほどで約12本のリリースを予定しています。もちろん、正確な数は開発スケジュールによって変わる可能性があります。現在の計画では、約7本が自社タイトル、5本がサードパーティタイトルです。
私たちが作ろうとしているラインナップは、意図的に多様なものです。成人向けゲーム市場の大きな部分は物語主導の体験を中心としているため、成人向けビジュアルノベルや選択主導のナラティブゲームはいくつかあります。それらの多くでは、NTR、NTS、ハーレム、忠誠、堕落、覗き、露出、嫉妬、ロマンスなど、さまざまなファンタジーや関係性を探求します。
しかし、Satyr Gamesをひとつのスタイルの成人向けゲームに限定したくはありません。私たちのラインナップには、異なるアートスタイル、異なる制作規模、異なるジャンルが含まれています。3D成人向けビジュアルノベル、2D/アニメ風タイトル、小規模な実験的プロジェクト、大規模な長期タイトル、そしてクリックゲームやRPGのように、従来のビジュアルノベル構造を超えるゲームもあります。
また、一部ではすでにゲームの枠を越えた展開も見ています。たとえば現在、私たちの成熟したダークファンタジーRPG『Parasite Black』をもとにした漫画シリーズを開発しています。『Parasite Black』には豊かな世界、ロア、勢力、キャラクター、神話があります。そのため、このIPを別の形式で探求する余地が自然にあります。観客が良い反応を示してくれれば、将来的にはこうした展開をさらに探っていきたいです。
この多様性は私たちにとって重要です。先ほど述べたように、成人向けゲームはひとつのジャンルではありません。プレイヤーによって求めるファンタジー、メカニクス、物語の深さは異なります。長い物語と複雑なキャラクターを求める人もいれば、より直接的なファンタジーを求める人もいます。強いゲームプレイシステムを求める人もいれば、特定のアートスタイルやフェティッシュを求める人もいます。
私たちの目標は、明確な品質基準とビジョンを保ちながら、成人向けゲームの観客のさまざまな部分に応えられるカタログを作ることです。
長期的には、Satyr Gamesが、強いファンタジー、明確な観客、そして価値のあるものを作る才能と意志を持つチームが存在する限り、多様な成人向けゲームを支援できるパブリッシャーとして認識されることを望んでいます。
――今後、成人向けゲーム市場はどのように変化していくと思いますか。より大きく成長するのでしょうか、それともプラットフォームリスクによって細分化していくのでしょうか。
Satyr Games:その両方が同時に起こる可能性があると思います。
一方では、成人向けゲーム市場は成長を続けると予想しています。需要は明確にありますし、成人向けゲームの観客はここ数年でより可視化されてきました。特にSteam、Patreon、itch.io、Discordコミュニティ、クリエイターエコシステムを通じてそうなっています。成人向けゲームがビジュアルノベル、RPG、経営ゲーム、ファンタジーゲーム、ホラーゲーム、ロマンスストーリーなどになり得ることを発見するプレイヤーも増えています。
AIや新しい制作ツールも、おそらく市場を変えるでしょう。小規模チームでもより多くのコンテンツを作り、より速く動き、以前より大きなプロジェクトに挑戦できるようになっています。それは市場により多くのゲームをもたらすでしょう。

しかし同時に競争も激しくなり、品質はさらに重要になります。これまで以上に成人向けゲームが増えるなら、プレイヤーが特定のタイトルに関心を持つには、より強い理由が必要になります。アートディレクション、文章、ファンタジー、磨き込み、コミュニティ、パブリッシャーへの信頼が非常に重要になります。
同時に、プラットフォームリスクは市場をより細分化する可能性があります。Steam、itch.io、Patreon、GOG、決済事業者がルールを変更し、成人向けゲームを売りにくく、あるいは見つけにくくする場合、開発者やパブリッシャーは代替ルートを見つける必要があります。それは、直接的なコミュニティ、自社プラットフォーム、メーリングリスト、Discord、直接流入、成人向け専門ストアフロント、あるいはほかの収益化手段により注力することを意味するかもしれません。
プレイヤーがこうした体験を求める限り、開発者は彼らに届く方法を見つけるでしょう。しかし、開発者とプレイヤーを結ぶ道筋は変わるかもしれません。主要プラットフォームが成人向けゲームに開かれたままであれば、市場はより構造的かつプロフェッショナルに成長し続けることができます。もしプラットフォームリスクが高まれば、市場は成長し続けるかもしれませんが、より細分化され、より複雑になり、小規模開発者にとって生き残りにくくなるかもしれません。
Satyr Gamesにとって、だからこそ私たちは個々のゲームだけでなく、より強いパブリッシングエコシステムを築こうとしています。現在存在するプラットフォームを使いながら、より強いコミュニティ、より強いブランド認知、プレイヤーとのより直接的な関係を作ることで、成人向けゲーム市場が今後どのような形になっても備えられるようにしたいのです。
――成人向けゲーム開発者やパブリッシャーが、今後より安定して活動していくためには、業界全体でどのような変化が必要だと思いますか。
Satyr Games:成人向けゲーム業界に最も必要なのは、安定性と明確さです。
開発者やパブリッシャーは、自分たちが大人向けの合法的なコンテンツを作り、プラットフォームルールに従い、適切な年齢ゲートを使い、責任ある形で運営しているなら、不明確な外部圧力によって一夜にしてビジネスが不安定化することはないと知る必要があります。
これは、すべてのプラットフォームがあらゆる種類のコンテンツを受け入れなければならないという意味ではありません。プラットフォームには常にルールがあり、それは普通のことです。しかし、そのルールは明確で、一貫していて、透明で、開発者が計画を立てられる形で適用される必要があります。
開発者が数か月、あるいは数年をかけてゲームを作っている場合や、パブリッシャーが制作、ローカライズ、マーケティング、コミュニティに投資している場合、そのゲームを取り巻く商業インフラが明日も存在しているという、ある程度の確信が必要です。
決済事業者は、この議論の大きな部分を占めています。金融インフラが、合法的な創作物が商業的に存在できるかどうかを間接的に決められるのであれば、成人向けゲームはより大きな問題の最初の例にすぎません。問題は、誰が市場へのアクセスを実際にコントロールしているのかということになります。クリエイターなのか、プレイヤーなのか、プラットフォームなのか、それとも金融仲介者なのか。
将来的に、業界にはいくつかのものが必要だと思います。より明確なプラットフォームポリシー、ルール変更時のより良いコミュニケーション、より強い異議申し立てプロセス、合法的な成人向けコンテンツと協力する意思のある決済ソリューション、そして年齢ゲートやコンテンツラベル付けのためのより良いシステムです。
成人向けゲームは、未成年の観客や見たくない人々から守られるべきです。しかし同時に、それを積極的に探している大人にとっては、発見可能で商業的に成立するものであるべきです。
成人向けゲーム開発者やパブリッシャー側にも責任があります。この分野をより真剣に受け止めてもらいたいなら、私たち自身もプロフェッショナルに運営する必要があります。明確なコミュニケーション、責任あるコンテンツ境界、適切なタグ付け、良いコミュニティ管理、より高い制作基準、そして観客へのより大きな敬意が必要です。
つまり、未来はプラットフォームの変化だけに依存するものではありません。成人向けゲーム業界自身も改善を続ける必要があります。
――最後に、Satyr Gamesは今後どのような会社になりたいと考えていますか。
Satyr Games:私たちは、Satyr Gamesを成人向けゲーム分野における世界有数の開発者兼パブリッシャーのひとつにしたいと考えています。
開発面では、品質の基準を高める自社タイトルを作り続けたいです。より良い物語、より強いキャラクター、より良いアニメーション、より良いアートディレクション、より意味のある選択、より没入できる世界、より磨かれたプレイヤー体験を目指しています。私たちは学び続け、改善を続け、成人向けゲームが何になり得るかを押し広げていきたいです。
パブリッシング面では、世界中の才能ある開発者にとっての居場所になりたいと考えています。この分野には、強いアイデア、強い芸術的才能、本物の情熱を持つクリエイターがたくさんいます。しかし彼らは、自分たちのゲームに成功の機会を与えるために必要なパブリッシング知識、マーケティング構造、Steam戦略、コミュニティツール、プラットフォーム経験を持っていない場合があります。そこにSatyr Gamesが価値を提供したいのです。
私たちの目標は、彼らの創造的ビジョンと、私たちのパブリッシング経験、観客、プラットフォーム知識、マーケティングエコシステムを組み合わせ、それらのゲームがより多くのプレイヤーに届き、ふさわしい注目を得られるようにすることです。
また、実験もしたいです。商業的に何が機能するのかを理解し、すでに存在する観客に応えることには常に価値があります。しかし私たちは、新しい形式、異なるジャンル、異なるアートスタイル、異なる物語表現、ファンタジーやプレイヤー選択の新しい届け方も探求したいです。うまくいく実験もあれば、そうでない実験もあるでしょう。しかしそれは、この分野が前に進む方法の一部です。
また、私たちはすでに個々のゲームを超えたことも考え始めています。たとえば『Parasite Black』では、ゲームの世界をもとにした漫画シリーズを開発しています。これは、私たちがいくつかのプロジェクトをどのように考えているかを示す例です。単なる成人向けゲームとしてだけでなく、観客が反応してくれれば、さまざまな方向へ広がり得る世界やIPとして考えているのです。
長期的には、Satyr Gamesが成人向けゲーム分野のプロフェッショナル化に貢献した会社として知られることを望んでいます。開発者を支援し、プレイヤーを尊重し、強いコミュニティを築き、成人向けゲームの品質を押し上げ続けるパブリッシャーでありたいです。
――最後に、日本のプレイヤーに向けてメッセージをお願いします。
Satyr Games:まず、このように成人向けゲームの世界について深く掘り下げる機会をいただき、興味深い質問を用意してくださったことに感謝しています。
これらの質問に答えることで、私たち自身も、自分たちがなぜこの仕事をしているのか、この分野が持ち得る文化的な意味、そしてSatyr Gamesがその成長を助けるうえでどのような役割を果たせるのかを、改めて深く考える機会になりました。
結局のところ、私たちはエンターテインメントのビジネスにいます。私たちの主な目標は、人々に喜びをもたらし、逃げ込める世界を提供し、つながることのできるファンタジー、物語、キャラクターを届けることです。
そして日本のプレイヤーに対して特にお伝えしたいのは、私たちは日本の成人向けゲーム文化に大きな敬意を抱いているということです。Satyr Gamesが、そこに何か違った、しかし同じように情熱的なものを提供できることを願っています。強いファンタジー、記憶に残るキャラクター、没入できる世界、そしてこのメディアへの本物の愛を持って作られた成人向けゲームを届けていきたいです。
――ありがとうございました。








