アメリカのメディア大手ワーナー・ブラザース・ディスカバリー(以下、WBD)は、同社全体および一部事業に対して、事業の売却を検討していることを発表しました。
ワーナーが事業売却を検討―“2社分割”や全体での買収など、複数の選択肢を模索
WBDは2022年の4月に、ワーナーメディアとディスカバリーが合併して設立された会社。映画事業をはじめ、「CNN」「HBO」などのケーブルテレビやストリーミング配信など、複数のメディアにわたってコンテンツを提供しています。
一方、視聴率の低下やNetflixの台頭などもあり、業績としては苦戦を強いられています。2025年の6月には「映画・動画配信」を担当する会社と、「ケーブルテレビ事業」を担当する会社の2社に事業を分割・再編する方針であることが発表されていました。
そんななか、WBDは21日に取締役会が“株主価値を最大化するための戦略的な選択肢の検討”を開始したと発表。複数の企業からの関心や提案を受けており、前述の“2社分割”構想の継続や会社全体での取引、ワーナーとディスカバリーの個別事業の売却など、あらゆる選択を検討している段階にあるといいます。
今回の発表に際して、WBDのCEOであるDavid Zaslav氏は、進化を続けるメディア業界において「スタジオ事業のリーダーシップ回復、HBO Maxのグローバル展開の拡大など、戦略的な取り組みを推進することで、ビジネスを成功に導くための重要な前進を続けています。」とコメント。同氏は2社の事業を分割する準備を進めることが、会社にとって“最善の道”であったと確信していると付け加えています。
現在さまざまな企業からの買収提案が寄せられており、ロイターによるとパラマウント・スカイダンスが提示した600億ドルの買収案は拒否されたと報じられています。
苦境のなか組織再編が行われた「ゲーム部門」にも影響が?

ワーナー・ブラザースといえば、ゲーム部門での組織再編が行われたことが2025年の6月にも報じられています。組織再編ではスタジオ責任者のバイスプレジデント昇格をはじめ、「ハリー・ポッター」や「ゲーム・オブ・スローンズ」、『モータルコンバット』にDCユニバース関連など、複数のチームでIPを管理していく体制が明らかとなりました。
主要スタジオの閉鎖や社長の退任など苦境のなか移行した新体制ですが、今回の買収によってゲーム部門にどのような影響が及ぶのか、さらなる体制の変更があるのかなどにも注目です。