Steamなどでの成人向けゲーム削除に励む団体、“運動”の意義を語る―「例えそれが法的に合法でも批難する」と主張 | GameBusiness.jp

Steamなどでの成人向けゲーム削除に励む団体、“運動”の意義を語る―「例えそれが法的に合法でも批難する」と主張

「Collective Shout」はコンテンツの合法・非合法に関係なく、女性の尊厳を傷つけるものには反対していくとのこと。

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Steamなどでの成人向けゲーム削除に励む団体、“運動”の意義を語る―「例えそれが法的に合法でも批難する」と主張
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削除された『村祀り桃色紀行 さかざ村の淫祀り』

IT系情報サイト「TweakTown」は、“暴力的なポルノ作品”で利益を得ていると非難する書面、および1週間にわたる苦情の電話をかけるキャンペーンを、VisaやMastercard、PayPalなどに対し実施した団体「Collective Shout」へのメールインタビューを行いました。

例えそれが法的に合法でも批難する

決済代行業者MastercardやVisaの要請により、ゲーム配信プラットフォームのitch.ioとSteamにて、成人向け(Adult-Only)コンテンツの大量削除や検索への非表示が実施された件は、Game*Spark読者の記憶にも新しいかと思われます。

その後、一部の無料タイトルに関してはサイト上に復活するなど緩和も見られますが、アダルトゲームの配信における検閲と消費者の選択権を巡る激しい論争を引き起こしたこの一件の裏に、オーストラリアを拠点とする団体「Collective Shout」が関わっていることは、多くのメディアで報じられました。





Collective Shoutは「女性を性的に描写する映画や書籍、音楽の公開に抗議する」という団体ですが、一部メディアでは「反ポルノ団体」とも呼ばれています。

公式サイトの「レイプ、性的拷問、近親相姦を題材としたゲームの排除を目指す当キャンペーンの沿革」では、itch.ioに対し、女性に対する暴力と虐待を常態化しているとして、レイプや近親相姦を題材としたゲームを削除するよう要請したこと、Steamに関しては何か月も返答がなかったため、決済代行業者に連絡を取ったと表明しています。

TweakTownは、そんな同団体のキャンペーンマネージャー・Caitlin Roper氏へのメールインタビューを実施。その全文を公開しています。

インタビューによれば、団体活動の主軸は女性や少女の性的対象化と搾取との闘いに焦点を当てており、例えそれが法的に合法なものであっても「女性や少女に対する対象化や虐待的な描写を非難します。合法性が決定的な要素ではない」とし、「女性や少女の地位を損ない、彼女たちを物扱いし人間性を否定するコンテンツには、合法か違法かを問わず反対する」スタンスとのこと。

現実の性的搾取コンテンツと、ゲームにおける性的・虐待的な“ファンタジー”表現の区別という問いには、「Steamでレイプや近親相姦タグの付いたコンテンツを精査しましたが、いわゆるBDSM(双方合意のSMなどの暴力的プレイ)なものは見つからなかった。すべてが非合意の性的暴力表現であり、ポルノの常套句とも言える“嫌よ嫌よも好きのうち”で女性が楽しんでいるというものだった」と述べ、問題視した一部ゲームの中には、「自身の15年間の活動の中で最悪なものもあった」とも回答。虐待を美化することが深刻な害を及ぼすと回答しています。

「レイプゲームを擁護する男たちは現実でも加害者だ」

また、Roper氏は「レイプゲームを擁護する男性たちの多くが、女性に対する暴力犯罪を犯しているのは明らかだ」とも発言。

これは先述の決済代行業者を通じた配信プラットフォームへの圧力が明らかになると、Collective Shoutのメンバーに対するレイプや殺害をほのめかす脅迫、個人情報の漏洩、メンバーの顔写真を使ったポルノ画像の作成と拡散といった嫌がらせ行為が行われたことを受けたもので、「彼らはまさに今、私たちに暴力を振るっているからです。フィクションやゲームに限ったことではない」とコメントしています。

殺人やその他犯罪行為が行われるゲームも削除すべきか?あるいは同様の映画・漫画・書籍にも同じ基準で決済できないようにすべきか?という問いには、Collective Shoutは女性の地位や人間性を守ることに重点を置いており、それを傷つけるコンテンツは合法であろうと反対し声を上げるという回答を繰り返し、明言は避けています。

最後にRoper氏は「Steamとitch.ioがプラットフォームを適切にモデレーションしていれば、ゲームを削除する必要はなかった」とし、「レイプゲームを悪用しそこから利益を得ていることを知りながらプラットフォーム上で決済処理を行わないよう、決済処理業者に求め続ける姿勢は変わりません」と述べています。


《稲川ゆき@Game*Spark》

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