
先日の突然のガイドライン改定よりたびたび話題となっている、業界最大手ゲーム配信プラットフォームSteamにおける「成人向け(Adult-Only、日本でいうアダルトゲーム、あるいは美少女ゲーム)」の排除。すでに日本産のタイトルを含め影響を受けたパブリッシャーや開発者も出ているこの問題について、運営であるValveがその口を開きました。
これは、先日Steamにおける配信ガイドラインが改定され「Steamの決済代行業者、関連するネットワーク、銀行、またはネットワークプロバイダーが定めるルールや基準に違反する可能性のあるコンテンツ。特に、特定の種類の成人向けコンテンツ」の配信をNGとするとされ、その後日本産タイトルを含め様々なタイトルの配信が突然終了した状況を受けてのものです。
Valveの語る「原因」
弊誌取材に対しValveは、下記のように返答を行いました。
We were recently notified that certain games on Steam may violate the rules and standards set forth by our payment processors and their related card networks and banks. As a result, we are retiring those games from being sold on the Steam Store, because loss of payment methods would prevent customers from being able to purchase other titles and game content on Steam.
We are directly notifying developers of these games, and issuing app credits should they have another game they’d like to distribute on Steam in the future.
先日、Steamにある特定のタイトルが、決済代行業者やそれに関連したカード関連会社や銀行が敷く基準に違反していると判明しました。結果として、Steamが顧客に提供できる支払い方法を失わないため、我々はそれらのゲームの販売を終了せざるをえない状況となってしまいました。
そのため、対象となるゲームの開発者には直接連絡をし、次回Steamでゲームを出す際のアプリクレジット(通常、日本円にして約1万円ほどの一時預かり金を提出するともらえる、Steamでゲームを出すために必要な課金通貨)を提供するなどの措置を行っています。
結果として、今まで日本でも広く問題視がされてきた、クレジットカード決済代行業者などの関与が明確になった形です。なお、同様の回答は海外メディアにも行われているようです。
Steamの成人向け表現については事前の審査が年々厳しくなっている(パッチ式であっても審査が数か月単位に及ぶことも)ことが知られているなか、ガイドライン違反のタイトルにアプリクレジットなどの提供は通常はされておらず、今回の対応にはValve側も必ずしも乗り気であったのか、という点について疑問符が付く形です。記事執筆時点でも、SteamではValveの審査と承認を要する新たな成人向けタイトルの新規リリースやストアページ公開は日々続いています。

まだ収まる気配なし
Valveの説明に該当すると思しきタイトルの「パージ」は続いており、先日には新たに各種のF&Cレッドゾーンレーベルのタイトル(これらはSteamでは日本語非対応として、日本語音声の英語版が配信されていました)や『満車率300%』など、日本のタイトルも引き続き販売終了しました。
Steamは、日本国内では一般向けゲームについて絶対的なシェアを持っていることが知られていますが、海外では成人向けタイトルについても同様です。また、最もユーザーフレンドリーといわれるDRM機能などをはじめ、機能面では他の追従を許しません。
そんななか、一部のパブリッシャー・デベロッパーらがゲームタイトルから、過激であったり規制に引っかかると判断される語句やストア上のスクリーンショットなどを削除するなどの動きも出ていますが、それが何らかの効果を及ぼすかについては定かではありません。まだまだ混乱は続きそうです。