富士スピードウェイと中部テレコミュニケーション(ctc)は12月26日、レーシングシミュレーターとプロドライバーによるドライビングアドバイスを組み合わせた実証実験を開始した。
実証実験は2026年3月31日までの予定で、富士スピードウェイのピットビル2階にあるライセンス会員専用ラウンジ内で実施される。対象は富士スピードウェイのドライビングライセンス会員で、レーシングシミュレーターを使って同サーキットのコースをバーチャル走行しながら、プロドライバーから直接アドバイスを受けることができる。
今回の取り組みは、富士スピードウェイのライセンス会員の顧客満足度を高めることが目的だ。ctcはこれまで培ったeスポーツイベント運営のノウハウを活かし、全体企画設計やシミュレーターの設置、ドライビングデータの分析を担当する。富士スピードウェイは会員へのシミュレーター運転機会の提供をはじめ、全体プロモーションやドライビングアドバイスを行う。
これまでサーキットで0.1秒でも速いタイムを目指すには、実際のコースでの練習が必須だった。そのため車体の部品消耗によるコストや、ドライバーの事故・怪我のリスクは避けられなかった。両社はより安全かつ効率的にドライビング技術を向上させたいという思いから、今回の実証実験を開始することとなった。
使用するレーシングシミュレーターは、プロドライバーも認めるほどリアルな体験ができ、実際のコースで走行しているかのような感覚を味わえる。これにより、コストやリスクを抑えつつトレーニングを行うことが可能だ。
シミュレーターでは、実車走行では危険や困難を伴う精密なコーナーワークの練習が安全に行える。また高速走行時に実車では実現しにくい詳細なアドバイスをプロドライバーから受けることができる。これによりドライビング技術の向上やラップタイムの短縮を目指すことが可能となる。
実車走行では回数を重ねるほど車体や部品の消耗が発生したり、高速運転による事故の危険性が増すこともある。しかしシミュレーターであればこうしたリスクを伴わずに繰り返し効果的なトレーニングを積むことができる。
今回の実証実験の成果を踏まえ、両社はレーシングシミュレーターとドライビングアドバイスイベントの定常化を目指す。利用者のさらなるドライビングテクニックの改善・向上を目指せる環境を整備していく方針だ。
将来的には利用者が自宅でレーシングシミュレーションを行い、プロドライバーから遠隔でアドバイスを受けられる環境の構築を目指している。またシミュレーターでの個々のドライビングデータを収集・分析し、AI活用によるドライビングアドバイス支援や新たなビジネスモデルを構築し、自動車産業のマーケット活性化につなげる未来を目指す。
ctcはeスポーツ運営のノウハウを活用し、社会課題の解決にも取り組んでいきたいと考えている。自動車業界には現在、少子高齢化や若者の車離れなどによる自動車利用人口の減少という課題がある。ctcはeスポーツを入り口として車への関心を高め、運転の楽しさを心から実感してもらうことで、これらの課題解決に貢献していく。
今後もctcは、eスポーツとリアルモータースポーツのつながり創出により、いつもの暮らしに新しい出会いと新しい「いつも」をつなげていく。







