VTuberプロジェクト「にじさんじ」を運営するANYCOLORが好スタートを切りました。
2024年4月期第1四半期（2023年5月1日～2023年7月31日）の売上高が前年同期比50.9%増の89億4,700万円、営業利益が同90.5%増の40億4,300万円となりました。
第1四半期は主力となるグッズ販売などのコマースが好調で、国内事業が全体の業績をけん引。特にChroNoiRやVOLTACTIONなどのVTuberユニットのアニバーサリーグッズが人気を獲得しています。
上半期は4周年記念ライブイベントのBlu-rayや「にじさんじ甲子園」の関連グッズの収益貢献に期待ができます。課題となるNIJISANJI ENを伸ばすことができれば、大躍進できるでしょう。
営業利益率を9.4ポイントも改善
ANYCOLORは2024年4月期通期（2023年5月1日～2024年4月30日）の売上高を330億円と予想。第1四半期の進捗率は27.1%に達しています。
※決算説明資料より
なお前期の売上高は、期首予想において上限を210億円としていたのに対し、第1四半期の売上高は59億3,100万円で、期首予想に対する進捗率は28.2%でした。
また2023年4月期通期の売上高は、期首予想の上限を20.7%上回る253億4,200万円で着地をしています。
2024年4月期第1四半期の売上進捗率（27.1%）は、前期の期首予想に対する第1四半期の進捗（28.1%）に近く、今期の業績も上振れる可能性は十分にあります。
更に注目したいのは本業で稼ぐ力を表す営業利益率が大幅に改善されている点。営業利益率は35.8%から45.2%へと9.4ポイントも伸びています。
純利益率も24.7%から31.3%へと6.6ポイント改善されました。もし、2024年4月期の売上高が予想を上回る勢いで着地し、利益率も大きく変化しなかったと仮定するのであれば、営業利益と純利益の上積みにも期待ができます。
ANYCOLORの株価は、決算発表前の9月14日の終値が3,455円でしたが、9月15日には一時20.1%高い4,150円をつけました。PERは23.9倍から26.8倍まで上がっています。PERは株価を1株当たりの当期純利益（予想）で割って算出するもので、株価の割高・割安を判断する指標の一つ。仮に通期の純利益が上方修正されると、（PERは変化せずに）株価が上昇することがあります。
ANYCOLORは8月に入ってからPERが20倍近くで推移していました。PERが押し上げられていることからも、「今の水準は割安である（今期の純利益はもっと出るはずだ）」と判断されている材料の一つと見ることができるでしょう。
「にじさんじ」のファン層は男性から女性へと変化
2024年4月期第1四半期の売上高を大きく引き上げた事業がコマースです。ANYCOLORの業績を支える重要な事業でありながら近年は停滞が鮮明になっていたコマースですが、第1四半期の売上高は48億6,100万円で、前年同期間比で2.1倍に伸長しました。
※決算説明資料より
2024年4月期第1四半期はユニット展開が奏功しており、「ChroNoiR5周年記念グッズ」、「ROF-MAO四神モチーフグッズ」、「VOLTACTION1周年記念グッズ」が業績に貢献しました。この3組のユニットを見ると明らかですが、にじさんじのファン層は大きく変化しています。男性から女性が中心となったのです。
「にじさんじオフィシャルストア」でのコンテンツ購入や、「にじさんじFAN CLUB」への加入、イベントチケット購入で利用するアカウントサービス「ANYCOLOR ID」の男女別の比率を見ると、2022年の女性比率は38%でしたが、2023年は65%となって完全に逆転しました。
※決算説明資料より
ROF-MAOの結成日が2021年10月21日、VOLTACTIONが2022年7月13日。この2組が女性の若年層の開拓に成功したのは間違いありません。そして、この層によるグッズの購入が業績を底上げしました。
