【時系列まとめ】実に1年以上の議論が続くマイクロソフトのアクティビジョン・ブリザード買収騒動…各国政府の動向や『CoD』の行方や如何に | GameBusiness.jp

【時系列まとめ】実に1年以上の議論が続くマイクロソフトのアクティビジョン・ブリザード買収騒動…各国政府の動向や『CoD』の行方や如何に

本件のこれまでの主な出来事について、過去に取り上げた記事から一度整理し、現在までの経緯をまとめます。

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【時系列まとめ】実に1年以上の議論が続くマイクロソフトのアクティビジョン・ブリザード買収騒動…各国政府の動向や『CoD』の行方や如何に
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2022年明けの突然の買収完了報告から現在まで、業界を騒がせるマイクロソフト(以下MS)によるアクティビジョン・ブリザード(以下AB)買収騒動。各国での調査やライバル企業であるソニーとの攻防などその話題は多岐に渡り、全容を把握するのが難しく感じられるかとも多いのではないでしょうか?

この記事では、本件のこれまでの主な出来事について過去に取り上げた記事から一度整理し、現在までの経緯をまとめていきたいと思います。

2022年1月突然の買収発表



始まりは2022年1月18日、MSからの突然の買収合意発表が業界を大きく賑わせました。本件買収についてのAB社CEOが応じたインタビューでは、他社との競争激化の中人材確保に苦慮していることを理由としたほか、ビッグタイトルの延期性的不祥事の影響も議論されていました。



これに対して最も早い反応を示したのはアメリカ政府で、米連邦取引委員会は18日中に本買収が慎重な検討を要する物と声明を出しました。また、株価の値動きにも本件が与えた衝撃の大きさが見て取れます。



一方でMS側の対応も早く、21日にはソニーと話し合いの場を設け、お互いに既存契約の遵守と今後のPSにおける『CoD』タイトル提供の継続に、両社が前向きであるといった確認を行ったことを業界に示しています。



また、2月9日には任天堂プラットフォームへのABタイトル提供へ意欲的であると発表し、規制の流れに対し牽制を行っているようにも見えました。



4月28日にはAB社の株主総会にて98%以上の賛成を得て買収が承認され、買収がさらに現実味を増します。

かつてない大規模買収に政府、業界から懸念



しかし、8月9日に明かされたブラジルとの審議でのやり取りで独占に当たる取引ではないかとの論点が提起されたのを皮切りに、11月9日には米英欧それぞれの独占禁止法当局も調査中との報道やEUからの正式な調査開始の発表など、買収への疑念も直接的な形で浮き彫りとなり始めます。



また、ソニー側もこの時点で提示された契約内容では不十分と難色を示します。



さらにMS内部関係者からも、買収の破談が懸念されているとの報道もありました。

当初よりの『CoD』継続提供の意思に10年との期間を明示



これを受けてか、MS側は具体的に10年という数字を出して『CoD』販売継続契約を締結する意思を11月11日にソニー側へ持ち掛けていたことを明かしたのを始めに、各社プラットフォームに向けてアピールします。



任天堂とはこの時点で、コミットメントまで取り付けていました。



なお、Steamは自社に対する同様のコミットメントのオファーに対し、「必要なし」と印象的なコメントを残しています。

払拭しきれない懸念。FTCは提訴に踏み切る



そんな中、ついに米連邦取引委員会(FTC)が12月8日付でに本件買収阻止に向け提訴します。



年が明けて2023年1月4日には買収契約期限を超える日程を含む調査スケジュールを公開するなど、予定通りの契約ができない可能性が高まりを見せ、GoogleやNVIDIAといった関連大手企業も懸念を表明します。



更に2月9日には英競争・市場庁(CMA)も、取引がゲーム市場での競争を脅かすという暫定的な調査結果を発表しました。

任天堂との法的拘束力のある契約締結



状況が厳しくなる中、2月21日にMSは兼ねてよりアピールしていた『CoD』の10年継続契約を、任天堂と遂に締結したことを発表。



それに引き続きNVIDIAのクラウドゲーミングサービスに対しても、Xbox PCのゲームを10年間提供する契約を結んだと明かします。



また、欧州に向けて2月22日に行われたMSによる記者会見では、自社の業界におけるシェアやこれら契約の存在を根拠に、自らに独占の意思がないことも示していました。

各国政府の目も緩和方向?日本では問題なしとの判断





これらの行動が功を奏したのか、EUで買収を承認する見込みとの報道が3月3日になされ、CMAはMSに好意的な6つの開発スタジオの意見書を公開するなど、追い風が吹き始めます。





一方でソニーは、FTCからMSからの内部文書公開要求に応じるよう指摘が入るなど逆境に立ちながらも、CMAに対してあくまでも契約の破棄を求める声明を送るなど、反対の姿勢を崩しません。



そのころMS側は、さらに日本やウクライナのクラウドゲームサービスに対しても10年のタイトル提供契約、パートナーシップの締結を3月14日、15日と立て続けに発表しながら、CMAに対しては10年契約の根拠等を示した補足の声明を通知するなど、精力的に活動を続けていました。



先日、CMAは肯定的な暫定調査結果を3月24日付で発行。クラウドゲーム市場における懸念から調査続行を示しながらも、マイクロソフトが独占で得る利益は少ないと態度を改めています。



そして3月28日には日本でも、本件についての公正取引委員会の審査結果が公表。独禁法上問題なしとの判断が示されています。

現時点でわかる各国動向

以上のように、直近では日本でMSの日本における市場規模から問題ないと判断が下された本件買収ですが、改めて他国の動向についてもわかる範囲でまとめておきましょう。

まずEUでは、いち早く正式な調査発表が為されながらもその後の報道は少なく、MSがEU向けに記者会見を行ったことや関係筋からの情報により、承認の見通しとの報道に留まっています。

一方で、イギリスではCMAを通して積極的に調査の様子が発表され、次世代コンソールの発売が2028年以降となるなどのこぼれ話を含む多くの情報を得られました。当初は買収に対し懐疑的であったCMAでしたが、現在では独占で得る利益は少ないとの立場を示しています。

米国FTCは昨年末の時点で本件について提訴の形を取り、今も議論が続けられている様ですが、ソニーに対してもMSからの召喚状取り消し請求を却下するなど厳しい態度を見せるほか、合衆国議会員から日本市場におけるソニーのシェアの高さを問題視する声が上がるなど、思わぬ方向からの批判も見られています。

結局『CoD』はどうなるの?

実に一年以上に渡る議論が継続中の本件買収。筆者の見解ですが、買収がまとまりそうな方向に流れがある印象を受ける一方、業界大手のソニーや米国の姿勢などまだ解決すべき項目は残っているのも確かです。

そして私たち消費者が気になるのは、『CoD』をはじめとするABタイトルが今後マイクロソフト以外のプラットフォームでも発売されるかどうかでしょう。MSは議論の当初から他プラットフォームへ『CoD』提供を続ける契約締結の意思を示していますが、現時点では概ねどの企業とも10年間の提示、締結を行っています。一方で他IPについてはあまり言及がないなどの不安点もあり、ゲーマーとしては事が落ち着くその瞬間まで注視が必要に思えます。


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《焦生肉@Game*Spark》

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