サイコロアクションADV『ロスト・イン・ランダム』―自分の居場所をまだ見つけられていない、大人になりたての人たちに届けたい【開発者インタビュー】 | GameBusiness.jp

サイコロアクションADV『ロスト・イン・ランダム』―自分の居場所をまだ見つけられていない、大人になりたての人たちに届けたい【開発者インタビュー】

スウェーデン産のダークなサイコロアドベンチャー!かなりの長文で答えていただきました。

ゲーム開発 インディー
サイコロアクションADV『ロスト・イン・ランダム』―自分の居場所をまだ見つけられていない、大人になりたての人たちに届けたい【開発者インタビュー】
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気になる新作インディーゲームの開発者にインタビューする本企画。今回は、Zoink GamesとThunderful開発、PS5/PS4/XSX/Xbox One/PC/スイッチ向けに9月10日にリリースされたサイコロアクションアドベンチャー『ロスト・イン・ランダム(Lost in Random)』開発者へのミニインタビューをお届けします。

本作は、すべての人の未来がサイコロの目で決定されるダークな王国が舞台のアクションアドベンチャー。プレイヤーは少女グースーとなり、相棒のダイシーとともに姉のキースーを救う旅に出ます。レビューでも高評価を獲得しています。日本語にも対応済み。

『ロスト・イン・ランダム』は、3,100円で配信中(Steam)


――まずは自己紹介をお願いします。一番好きなゲームは何ですか?

Olov Redmalm氏(以下Olov)皆さん、こんにちは!本作のクリエイティブ・ディレクターとリード・ライターを担当したOlov Redmalmです。ゲーム開発をしていない時は、ひっそりと自分のマンガプロジェクトを進めたり、瞑想したり、「スター・ウォーズ」を観たり、時にはそのすべてを同時にしています。あと、変な声や音を出すのが好きなので、これを読んでいる方の中には、すでに本作の中で私に出会っている人もいるかもしれません。私たちのスタジオはZoink Gamesと言い、スウェーデンの暗く、けれど素敵な街ヨーテボリを拠点としています!

私が一番好きなゲームの一つが『Baldur’s Gate 1(と2)』です。初めてプレイしたRPGで、その規模の大きさに度肝を抜かれました。探索しがいのある壮大な物語ですし、なんとゲームの世界の中で自分自身の物語を作らなくてはいけないのです!『Baldur’s Gate』やそのキャラクターたちが言っていることを理解するため、英語を猛勉強しました。今でも時々プレイし、新しいクラスや新しい冒険を楽しんでいますよ。

さて、それでは本作についてお話させてください。簡単に言うと、本作はランダムと呼ばれる豪華なゴシックおとぎ話王国を舞台にしたアクションアドベンチャーで、グースーと言う名の女の子がすごい力を持つ、生きているサイコロダイシーと友達になると言うものです。2人(?)は共に自分探しをしつつ、危険で巨大なボードゲームに夢中の狂った女王に捕まったグースーの姉、キースー救出のため旅立ちます。グースーはこのボードゲームに挑戦しなければならず、ダイシーを振り、様々な力を解放します。ダイシーの出目は、周りにある巨大ボードゲームの駒にも影響を与えるのです!

姉を助ける旅の途中、グースーとダイシーは多くの奇妙でランダムなキャラクターたちやクリーチャーたちと出会います。フレンドリーなのもいれば、もちろんすごく意地悪なやつも登場します…。女王と悪のサイコロに支配された世界で、姉を助ける旅の途中、彼らを時には助け、時には対峙することとなるのです。

――本作の開発はなぜ始まったのですか?

Olov明るくカラフルな『Ghost Giant』の開発も終盤になると、私たちは次のプロジェクトはダークなものにしたいと思いました。昔話のような、ダークなおとぎ話を自分たちでも作ってみたいと思ったのです。そして、私たちはこれまでのゲーム開発で学んだすべてを注ぎ込み、これを今までで一番大きなプロジェクトにしようと思いました。『Stick it to The Man!』のユーモア、『Ghost Giant』の感情に訴えかけるストーリーテリング、そしてEA Originalsのタイトルである『Fe』のミステリーさとダークさを混ぜ合わせています。

Zoinkはアートに力を入れている開発スタジオですので、私たちはいつも、ゲームの舞台や雰囲気の絵を描くことからプロジェクトが始まります。まず、数人のアーティストたちが集まり、新旧問わないおとぎ話からインスパイアされたキャラクターたちや場所の絵を描き始めました。私たちは様々な資料やライカ作品、そしてショーン・タンの作品から雰囲気や影の描き方を学びました。感情を出さない奇妙で不思議なクリーチャーたちは、スタジオジブリ作品を参考にしています。

また、私たちは「不思議の国のアリス」のような、細かな説明はないものの、主人公が出会うあらゆるキャラクターにユニークな物語があるいうおとぎ話も参考にしています。本作には、自分の肋骨の中に子供を閉じ込めるダークなモンスターや、第二人格が帽子の中から出てくる市長や、手足の生えたサイコロなんかが登場します。どれも見た目でプレイヤーが衝撃を受けたり、不思議な気持ちになってもらい、物語の中に足を踏み入れているような感覚になってもらうためです!これらのアイデアは通常、絵を描くことから始まり、それにストーリーをつけていきます。絵が私たちを旅に導き、そこにあるコンセプトを見つけ出してみようと思わせてくれるのです。

開発の一番最初の段階から、本作の主人公はダークなおとぎ話の世界でいなくなってしまった姉を探す少女でした。しかし、もちろんあるとても大きなものが欠けていました…ゲームプレイです。ある時、私たちは女の子とサイコロが巨大なボードゲームの世界にいるという絵を見つけました。するとすぐに、全員の頭からアイデアが溢れ出してきたのです。そこからすべてが、まるで雪玉が大きくなるかのように、ランダムの世界と生きたサイコロが生まれました!その時、私たちはこのゲームを作らなければいけないと確信したのです。

――本作の特徴を教えてください。

Olovぱっと見、本作の舞台はとてもありがちなものです。サイコロ、巨大なテーブルトップゲーム、そしてランダム性と言うテーマで形作られたゴシック調のおとぎ話の世界です。物語は、ダイシーと言う生きたサイコロの仲間と共に、悪い女王から姉を助ける少女グースー、と言うものになっています。

ボードゲームにおいて、サイコロというのは最も象徴的なものの一つです。それを生きたキャラクターにし、巨大なボードゲームを中心に世界を作り、とても衝撃的でユニークな世界観を表現しました。開発チームも、サイコロが影響を及ぼす巨大ボードゲームバトルから、キャラクターたちに影響を与えるランダム性というテーマまで、サイコロと言うものからアイデアを膨らませ、出来上がったものすべてにとても満足しています。本作では、ストーリーとゲームプレイが本当に一つなのです。

本作のゲームプレイにおける一番の目玉は、巨大なボードゲームアリーナにおけるサイコロバトルです。アリーナにおいて、主人公の相棒であり生きてるサイコロのダイシーは、グースーの武器となります。彼女はダイシーを振ることで新しい力を解放し、周りの巨大な駒に影響を与えるのです。とても小さいというスケール感から、不可能にも思える巨大な女王の手先を倒す時のパワフルな感覚まで、とても力を入れました。どの戦いも小さく弱々しいところから始まりますが、サイコロを振るたび、彼女は徐々に力強くなっていくのです。自分の身も守ることができない子供でありながら、自信と力をつけ先に進んでいくことで、スーパーヒーローになるという感覚を本作で表現したいと思いました!

また、「あ、僕の番か」という、あのボードゲームをプレイしている時のあの感覚を、リアルタイムのアクションとバトルで再現しようと試みています。

ランダム要素というのは他のほぼすべてのゲームにもあります。しかし、本作ほどそれに真剣に立ち向かっている作品はほとんどないのではないでしょうか。ダイスを振るという行為は見えないところで行われているわけではありません。まさに、ここで、この世界で、サイコロを自分の手で振る主人公の目の前で起きているのです。

本作のストーリーのコアとなるのは、不確実性(ランダム性)の恐怖との対峙です。誰もが人生の中に不確実性を持っており、できる時にはなんとかそれをコントロールしようとし、あらゆるものは変化するという現実をなんとか先延ばしにしようとします。私には不安がちな友人、同僚、大切な人がたくさんいますので、これを本作のストーリーにおいて、一歩踏み込んでみようと思いました。コントロールを失う恐怖と、それに立ち向かうということです。

本作の舞台であるランダムは、世界ではありますが、一つの巨大なキャラクターとも言えます。様々な面を持った人間のようなものです。時には風変わりでカオスな見た目ですが、道に迷ってしまったような悲しみも抱えていますし、もしかしたらずっと道に迷い続けているのかもしれません。こう言った考え方が、本作のキャラクターたちやストーリーの描写に繋がっています。

私たちはこのビジョンを実現するため、Ryan North(訳注:本作のストーリー担当。「アドベンチャータイム」などの作者)と密に連携を取りながらストーリーを作り上げました。Ryanとは『Stick it to The Man!』と『Flipping Death』でも一緒に仕事をしましたので、彼ならこれらのキャラクターたちに息を吹き込むことができるとわかっていたのです!

――本作はどんな人にプレイしてもらいたいですか?

Olov本作は、「ほぼ」家族の誰でも楽しめるゲームです!怖すぎませんし、子供でも遊べるフレンドリーさもありますし、ダークなテーマは大人の方にも気に入っていただけるでしょう。今、私の兄が子供と一緒に本作を遊んでいるのですが、とても楽しんでくれているようです!

個人的にではありますが、本作は、この広く、不確実性が多く、時には恐ろしい世界において、自分の居場所をまだ見つけることができていない、大人になりたての人たちにお届けしたいと思っています。グースーの冒険によって勇気づけられ、人生における不確実性の中で、奇妙な安らぎを得ることができる人がいたら、本当に嬉しいです。私も若い頃、ダイシーみたいな相棒が欲しかったですね!

――本作が影響を受けた作品はありますか?

Olov新旧問わず、様々なクレイアニメとおとぎ話を研究しました。開発メンバーの多くは「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」のファンですが、他にもジブリ作品、ライカ作品、そしてペンデルトン・ウォードの「オーバー・ザ・ガーデンウォール」が大好きで、特に「オーバー・ザ・ガーデンウォール」はファンタジーの世界で2人の子供が戦い、彷徨い、冒険するという、本作と同じ構造になっています。本作のストーリーは、ただグースーが姉を探す、と言うものではありません。旅の途中で出会い、助ける、魂のストーリーでもあるのです。おとぎ話のクリーチャーたちが生まれたその世界を探索する感覚を感じてもらいたいと思いましたので、グースーが目的地に着くまでの道中で、多くの奇妙な物語に出会うこととなるのです。

私個人はかなりの「スター・ウォーズ」オタクでして、その雰囲気やテーマの多様性に夢中になっています。本作の作曲家であるBlake Robinsonと一緒に仕事をしている時、私は音楽の雰囲気を伝えるため、ジョン・ウィリアムズ(訳注:「スター・ウォーズ」シリーズや多くのスピルバーグ作品の作曲家)の作品を例にして説明していました。街や荒野を探索するシーンでは、奇妙ではっきりとしたメロディと楽器を使用し、グースー、キースー、そして女王のシーンではより壮大な音楽となっています。

ランダムの世界での他のシーンについては、19世紀の作曲家グスタフ・マーラーの作品を参考にしました。まるで人間の気分のように、夢のようなフォークミュージックと壮大なオーケストラミュージックの間をダンスするように移り変わるのが特徴です。Blakeの作る音楽は、ウィリアムズのものやマーラーのものに似ていると、私は思いました。キャラクターのテーマを繰り返し、時折互いを「ゲスト出演」させるという手法です。本作では、音楽もビジュアルや会話と同様、本作のストーリーを紡ぎ出しているのです!

――新型コロナウイルスによる開発への影響はありましたか?

Olovある意味、驚くほど上手くいきました。テクニカル・ディレクターであるJohan Fröhlanderが本当に素早く調整をしてくれたので、全員が自宅から安全に開発作業をすることができたのです。

しかし一方で、問題はコミュニケーションでした。より具体的に言うと、オンラインコールを通してアイデアや解決策を説明するのが大変だったのです。個人の机まで行き、直接問題を話し合うのとは大きく違いました。また、それぞれが現在何の作業をしているのかチラッと見て確認することができなかったのもつらかったです。同僚の机の横を通り過ぎる際に、めちゃくちゃクールな3Dキャラクターモデルを発見する、なんて言うのこそ、チームで開発する醍醐味でもありますので。

これら悪い面を補うため、私たちは互いに自分たちの成果をスクリーンショットに取り、シェアすることとしました。プログラミングコードからカットシーン、作った背景など、あらゆるものです。また、仕事の後のパーティーもDiscord上で何度も開催しました。オンラインで繋がりながら、一緒にお酒を飲んだりゲームをしたりしたのです。

しかしディレクターとしては、もちろん一人一人の開発者と顔を合わせ、体全体を使って自分のビジョンを説明する方が好きですね。

――本作の配信や収益化はしても大丈夫ですか?

Olovもちろんです!やっちゃってください!私たちのゲームに興味を持ってくれる人がいるのは嬉しいですし、配信者の方たちがいなければ本作のことを知っていただくこともほとんどできないでしょう!口コミが続編の種になるのです…。

――最後に日本の読者にメッセージをお願いします。

Olov日本の多くの方に本作を楽しんでいただけているようで、とても嬉しく思っています。私たちのスタジオだけでなく、私の国(スウェーデン)も日本の物語や文化から多大な影響を受けており、それらを私たちスカンジナビアのものとミックスさせるのが、私たちは大好きです。

また、私たちの会社はBergsalaという企業が保有しているのですが、この企業はヨーロッパに初めて任天堂製品を輸入した会社の一つでもあります。ですので、私たちが日本に「輸出」すると言うのは素晴らしいことだと思います!まるで完全な円になっているようですよね。

ぜひSNSでフィードバックを共有いただけると嬉しいですし、将来、もっと奇妙な世界に皆さんをまたご招待できればと思っています!もしまだ本作をプレイしていないようでしたら、ぜひランダムの世界への門をくぐってみていただけると嬉しいです。

――ありがとうございました。

◆「注目インディーミニ問答」について
本連載は、リリース直後インディーデベロッパーメールで作品についてインタビューする連載企画です。定期的な連載にするため質問はフォーマット化し、なるべく多くのデベロッパーの声を届けることを目標としています。既に500を超える他のインタビュー記事もあわせてお楽しみください。
《Chandler@Game*Spark》

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