【e-Sportsの裏側】e-Sportsに関わる全てのインフラを提供したい。JCGが目指す運営会社のあり方について訊いた | GameBusiness.jp

【e-Sportsの裏側】e-Sportsに関わる全てのインフラを提供したい。JCGが目指す運営会社のあり方について訊いた

老舗e-Sports運営会社JCGの代表取締役 松本順一氏にインタビューを実施。JCGの成り立ち、業界の変容、e-Sportsの未来についてお話を伺いました。

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e-Sportsに携わる「人」にフォーカスを当てて、これからのe-Sportsシーンを担うキーパーソンをインタビュー形式で紹介していく【e-Sportsの裏側】。前回の連載ではTwitterのゲーム コンテンツパートナーシップを率いるリシ・チャダ(Rishi Chadha)氏にインタビューを実施。Twitter社が考えるe-Sportsへの取り組みについてお話いただきました。

第29回目となる今回は、老舗e-Sports運営会社JCGの代表取締役 松本順一氏にインタビューを実施。JCGの成り立ち、業界の変容、e-Sportsの未来についてお話を伺いました。




――松本さんの自己紹介をお願いします。

松本 順一氏(以下、敬称略)アメリカの大学に入学して、4年半在学して卒業しました。卒業後はインターネットのエンジニアとして通信会社に入社したのがキャリアスタートです。そこで開発から運営、品質管理の部署など色々体験しました。当時はインターネット自体がコミュニティドリブンで、大学や学術機関の相互通信でスタートしたんですよね。そこからコミュニティでルールを作り発展しました。

私もコミュニティに入っていて、会社とは別の時間で、新しい技術やコミュニティで行うイベントの運営スタッフとして活動するなど、インターネットのコミュニティが活性化していた状況に末端ながら関われました。これはコミュニティが世界を動かすというものを体で感じられた時代でもありました。

その後、会社が始めたオンライン動画配信サービスの会社に、ネットワーク設計のプロジェクトマネージャーとして入りました。自社でサーバをずらっと並べているようなところで、ネットワークトラフィックの設計やコストの抑え方などに携わりました。


それから外資系の日本支社に入り、検証や試験を得意とする会社で働き、入社時とは異なるインターネット系の企業に転職して3年ぐらいトラフィックコントロールを担当しました。ゲーマーにとってどうやったらインターネットの利用を快適にできるか、コストを抑えて快適性を上げるのかといったインフラの設計に携わりましたね。このあたりからゲームのコミュニティを立ち上げ始めたんです。

最初は『Age of Empire III』のゲームコミュニティを立ち上げ、ゲームイベントをやりながら、見に来てくれる人が楽しんで、またやろうねと言いつつ、自分も楽しいというのを繰り返していました。当時は10時出社、23時退社で24時に自宅に着き、2~3時までコミュニティの運営や次の大会のルール決めなどをする生活をしていました。また、LANパーティを始めるなど、自分が主導してゲームのコミュニティを活性化することを楽しんでいた時期でした。

そうしているうちにさまざまな企業さんから、「うちの製品をプレゼントするので、コミュニティを盛り上げて下さい」とか「20~30万円提供します」というようなお話をいただいて、ニーズがあるんだなと感じ始めました。2013年1月には、私が運営している『Age of Empires III』『Starcraft 2』『League of Legends』のコアなコミュニティの人から、「うちの会社の社長がe-Sportsをやりがたってるから、ぜひ話を聞いてくれ」と言われて、お会いしたのがマイルストーンという会社でした。

社長は台湾の方で、2012年に台湾が『League of Legends』の世界大会で優勝してすごい盛り上がった状況を見られて、「これは絶対日本に来るから、一緒に盛り上げないか?」とお誘いをいただきました。それをキッカケにマイルストーンに入社して、会社のいち事業として立ち上げたのが2013年になります。

――その時から、名前はJCGだったのですか?

松本はい、当初から名前はJapan Competitive Gaming(JCG)で決めていました。当時の社長は理解があり、私がコミュニティとして運営してきたサイトやドメインを会社が全部買い取る形で、個人の活動だった成果をすべて清算してもらえました。組織も売上も目処が立たない状況にもかかわらず、事業としてきっちりとやるという裁量を与えられてとてもやりやすかったです。

あとは、マイルストーン社自体がPCおよび関連機材の卸売業だったため、初期に長期間協賛いただいたMSI様をはじめとするPCメーカーを紹介してもらいました。ペーペーな状態ながらスポンサーを得て大会を実施、ゲームパブリッシャーさんとの関係を作りつつコミュニティ活性化を行い、徐々に事業として規模を大きくしていったのが2017年ぐらいまでの流れです。

2016年末ぐらいからは、会社として次のフェーズを検討していました。会社を大きくするために、事業の譲渡を考えていたんです。その時いくつかの会社から手を上げていただきましたが、最終的にビットキャッシュと譲渡が成立したのが2017年5月のことでした。そこから紆余曲折を経て、ビットキャッシュからも独立し、今に至ります。

―――なかなかにハードなキャリアですね。さまざまな経験をされていますが、JCGではどのように生かされていますか?


松本JCGの強みにゲーム大会の品質があります。例えば通信環境について。昔は、家では簡単にゲーム大会ができるけど、オンラインでやると通信ができない、ログインができないということが結構あったんですよ。しかし、私はネットワークエンジニアのキャリアがあるので、ネットワーク設計が自分でできたり、遅延の仕組みや解決する方法を知っています。

留学経験で身についた英語も役に立っています。海外シーンを追いかけたり、ESL(ドイツ:エレクトロニック・スポーツ・リーグ)とアライアンス・パートナーシップを結んだりできましたね。海外の主要なe-Sports業界の要人と、直接コミュニケーションができるのは、非常にプラスだったのかなと思います。

――「ゲームで食っていくんだ」という意識はキャリアの最初からあったのでしょうか?

松本いや、なかったですね。コミュニティは趣味でやってました。始めたきっかけは、ゲーマーとして『Age of Empires』を競技的にプレイしていて、日本の大規模大会ではTOP3に入る程にはやっていたんです。ただ、自分が出る大会がないから自分で主催してやってみた、配信がないから自分でやってみた。そうしたら楽しくなってきたので続けたと。

その時に、SANKOさんや現在JeSUに加入している方などが、私の運営しているゲームイベントにご協力いただいて、ビジネスとしてe-Sportsに取り組むところを目の当たりにしました。でも、自分の生活や職業、人生をかけるとは思っていませんでした。

こうして会社でのエンジニアとしての仕事と、ゲームコミュニティ運営の生活に疲れ始めた2013年1月頃、マイルストーンの社長と話しました。先にお話した通り、結構なハードな生活を送っており、二足のわらじも限界だったので、思い切ってe-Sportsの業界にチャレンジしようと決断したのが「その瞬間」でした。それまでは、考えてはいましたが正直実行に移す勇気がありませんでした。

――その瞬間は怖くなかったのですか?

松本0から始めるわけではなく、何千人ものコミュニティを運営してきた実績をビジネスの領域に広げていくので、配信技術もあり、番組やイベントのやり方も分かっている自負がありました。また、スタートを切るうえでのアイディアは溢れるほどあったので、専業にすれば全部できるぞという気持ちもありました。今振り返ると全くの素人知識でしたれど、まだ市場ができていない状況だったので、そのレベルでも許される時期ではありました。

――ビジネスとしてスケールできる道筋は、なんとなく見えていたということでしょうか?

松本当時はあくまで担当者のひとりだったので、ビジネスモデルはよくあるスポンサービジネスとしか考えてなかったですが、人を集めてコミュニティを作って育てるという道筋は見えていました。ただ、興行というe-Sportsの伸ばし方には疑問を抱いていて、今でも私個人には向いていないと思っています。

エンタメの世界で生きていたわけではなく、理系というところもあるかもしれませんが、物販などの興行に必要な要素を一切知らなかったため、とにかくインフラを作りたいと思っていました。e-Sportsが広がった時に使うインフラとして作ることで、事業にしようと思っていたんですよね。利用者が増えたら、そのインフラでビジネスとして成功するモデルを作ろうと思って始めました。

――改めてになりますが、JCGについて簡単に教えて下さい


松本一番の事業は、JCGというブランドで行うオンライン・オフライン大会を実施です。また私たちはホワイトラベルと言っていますが、JCGという名前を出さず、企業さんが自身の名前を冠するイベントの裏方として運営もしています。具体的には、東京ゲームショウの出展のお手伝いですね。

あとはe-Sportsに関するコンサルティングで、ビジネスモデルに関しての助言もあれば、ゲーム開発のロードマップとして、e-Sports化する時の方法や年間プランをお手伝いすることもあります。他には、スタジオレンタルと動画制作があります。

――JCGが運営する一番大きな大会はなんですか?

松本参加人数でいうと『シャドウバース』です。のべ1万4000人以上参加できるオンライン大会「Shadowverse World Grandprix(WGP)」を2週間かけて実施しました。すでに3回実施しており、毎回スケールアップしていますが、3回目となる2019年では、海外からも参加が可能な大会として行いました。日程的に短いので、パスポートの登録を条件にしたのですが、パスポートの写真をアップロードするのでセキュリティ面も重要ですし、1回に3700人ぐらいが参加できる仕組みと運用体制を作るのも重要です。

JCGはインフラを作りたいとお伝えしましたが、3700人がオンラインで参加できる仕組みを設計してJCGのウェブサイトに反映しているんです。運営や必要なシステムをデザインして、ウェブシステムを作り、当日はスムーズに大会運営をするというのは、大会全体の知識と経験がないと難しい。そういったウェブシステムから大会までを自社で設計をできることが、私たちの強みであり特徴です。


視聴者数やインフルエンス力としては『Rainbow Six Siege』がメインです。このタイトルはすごく特徴的で、2015年12月の発売初月における販売本数が3万本だったにもかかわらず、現在は150万本以上売れています。また、現在オンラインのアクティブユーザーが日本だけで50万人います。初月は数万本だったタイトルが、発売から4年経って国内でミリオンを超えるというのは、私は聞いたことがありません。JCG側から色々と提案したこともありますが、提案を受け入れてくれたユービーアイソフトジャパンの担当者には感謝していますし、ユービーアイソフト本社で、日本の取り組みや成功が評価されたという話を聞いていて、とても嬉しい気持ちになります。

――現在、大会や支援で力を入れているものはなんでしょうか?

松本色々やっていますが、『PUBG MOBILE』は企業対抗戦を2回やらせてもらっています。社名を背負うだけじゃなくて、イベント用にTシャツを作ってきて「宣伝を兼ねて着てきました!」という方もいました。企業交流をしつつ、大会としてガチで戦うこともできているので良い形だったなと思います。

――企業対抗戦には私たちも出場したりしますが、Game*Sparkの前編集長からは「メディアとして出るなら結果を残せ」とずっと言われていました(笑)


松本そういう方は多いと思います。そんなにコストをかけてやれませんが、参加者の皆さんは声を出してプレイされていたので、楽しくやりつつもかなり白熱していると感じました。

別の大会のエピソードとしては、先日『フォートナイト』のオフラインイベントを実施しました。『フォートナイト』ではゲーム内に観戦モードがないため、99人のプレイヤーと運営ひとりで行い、99人分の画面をスイッチャーに入れて、誰が生き残っても必ずカメラで押さえられるシステムを組みました。とにかくユーザーさんに「ビクトリーロイヤル(ゲーム内の勝利の瞬間)を必ず映すんだ」という気持ちでやっていました。それぞれのゲームタイトルにちゃんと向き合って運営していくというのは常に考えています。

――2019年12月にビットキャッシュから独立し、資金調達も行っていると思いますが、どのような用途に使われていますか?

松本元々JCGという会社がどこを目指しているかというと、e-Sportsに関わるものを全て自分たちで提供したいと思っています。大会のプロモーションやウェブシステムといった入り口、オンライン・オフライン大会の運営と配信、クリエイティブと動画編集、そして終了後のレポーティング。こうした全てのものを、JCGという会社1社でできるレベルに持っていきたいと思っています。

e-Sportsをやりたいと思った時に、JCGがワンストップで提供できる。これこそ私が考える「e-Sportsのインフラを提供する」ということです。ある意味尖ってはいませんが、全てをできる会社はうち以外にないと思っています。また、世界的なe-Sportsイベントで使われている機材を導入して、大会にふさわしい演出ができるようにしたり、大会運営システムの開発を進めてタイトルごとに独自のカスタマイズを施していたりと、幅広い用途で調達した資金を活用しています。

──タイトルごとの独自のカスタマイズについて、具体的な例を教えていただけますか?


松本『シャドウバース』ですと、JCGオンライン大会サイトにはデッキ登録機能あり、大会参加時に自分のデッキを事前登録するシステムを用意しています。バトルロイヤル系で言えば、100人の登録と順位の入力が可能で、上位4人が次のトーナメントに進めるといったシステムのウェブサイトを作っています。

『World of Tanks』では、対戦で使用する戦車を両チームが事前に登録しておき、同時に見せて、そこからさらに3台ずつ追加で登録するといったシステムもあります。運営スタッフとプレイヤーがチャットを開いて行うこともできますが、このやり取りを大会システムに実装し、参加者の時間を節約しています。それがインフラであり、質の高い大会だと考えています。

──カスタマイズ性の高いシステムを作られているんですね。

松本こうしたシステムはe-Sports以外にも使えるかなと思って、次の展開は考えています。他にも大会運営のマニュアルを複数タイトルで共通化できるようなツールも持っていたり、大会運営プロセスもある程度共通化しています。予算や規模に合わせて、リッチにもシンプルにもできるようになっていますね。ただ、コストは非常にかかっています。

さらに、元々4つ持っていたスタジオに加えて、新たに5つ増設をして運営しています。オンライン予選をしっかりやったうえで、オフライン決勝で注目度や選手のモチベーションを爆発させるというモデルがベストだと思っているので、「JCGはオンライン大会を並行してたくさん実施できないとダメだよね」に行き着いたためです。オフライン大会は半年や1年に1回でも、オンライン大会は常時開催されていることでプレイヤーはモチベーションを保てますし、コミュニティも継続できます。

また、会社としての規模、人数も増やしていきたいですね。今は大体50人程度ですが、倍ぐらいには増やしてサービス開発も考えています。

――国内のe-Sportsシーンについてはどう感じていますか?

松本2017年あたりはすごくふわふわしていたと思います。私も2017年にビットキャッシュに買収されて取締役になるまでは経営者ではなかったので、売上利益は立てていましたが、いち社員としてゲームのイベントをやっていたため、「e-Sportsでビジネスをしなければならないけど、全力でこのまま進めていけば良いのか確信が持てない」と考えていました。同じような意見の方も多かったと思います。

2019年に代表取締役になって感じたことは、難しいなと。元々会社が持っていた事業に対してe-Sportsで生まれるシナジーを使い、e-Sports業界へ進出して成功する例はたくさん出てきました。e-Sports自体の注目度も上がりバズワードにもなりましたが、世の中でビジネスとしてようやく目処が付き始めたとも言えると思います。ただ、新規参入を考えている人たちは、現時点で実績の積み上げがないため、ビジネスモデルを考えて実践し、成功例を作るのが大変だと思っています。

そのため、今成功している会社は2パターンしかないと感じています。ひとつは、2~3年継続してビジネスモデルを作った会社やチームです。そして、既存事業とのシナジーを見つけて参入してきた会社やチームです。後発企業も既存事業をベースにすれば軌道に乗れる会社も多いかと思いますが、どの事業とシナジーがあるか探しているところかなと。こうした会社が多数参入することで、今後e-Sportsバブルみたいな状態になっていくとは思います。

――e-Sportsを新規事業に……という会社も増えていますね

松本ビジネスとして勝てているのは、元々持っているアドバンテージをe-Sportsに活かせている会社だけですよね。例えばイベントが得意だからe-Sportsイベントを実施したり、グッズ制作が得意だからe-Sports関連グッズを作るというのもそうだと思います。

――今のe-Sportsの状況は松本さんから見てどうですか?

松本状況としては良い感じで、追い風がすごく吹いていると思います。過去は弊社指定で話がいただけたものが、今ではすごいコンペになっている。2~3年前は両手で数えられるぐらいの会社しかやっていなかったものが、今はものすごい数になっているというという印象ですね。そこから成長して生き残るために頑張るしかないです。

――e-Sportsの市場規模としてはどうでしょう?

松本どこを市場として見るかですが、例えば2019年の東京ゲームショウではe-Sportsという単語を聞かないところはなかった。そのため、e-Sportsにちょっとでも関わっているブースの費用をざっと考えても20~30億円はいくと思うんですよ。そういったイベントを市場としてカウントするのであれば、現在の指標よりもっと増加していると思います。

2018年のe-Sports市場は、制作費用を市場規模に入れず、スポンサー収入やチケット・グッズ販売だけで算出されたのが40~50億ぐらいでした。経済産業省が主催している検討会では、周辺領域を広げ、ゲームファンのe-Sports参加率を上げていくことで3000億円規模まで伸びしろがあると発表しています。現在の市場規模では魅力が薄いe-Sportsの市場が大きくなるのはこれからですし、ビジネスモデルの変革も必ずついてきます。

――純粋なe-Sportsの会社じゃなくても参入してくる可能性はまだまだあるということですね

松本現在進行形で入り続けています。ただ、音楽ライブをやっている会社さんのe-Sportsライブは成功している事例が少ないなど、やはりビジネスモデルに差があると思います。ゲーム会社がプロモーションを兼ねて参加費無料でやっているe-Sports大会が、他社でやると参加費に5000円かかり、しかも無料イベントの方がクオリティが高いということも起きています。現状、興行としてはなかなか成立しないので難しいですね。

――それでも可能性はまだまだあるということですね

松本そうですね。あとは日本では全く見られないモデルとして、海外の『Overwatch』や『Call of Duty』のリーグで、参加費を1チームあたり数十億円を集めて運営するというものがあります。ヨーロッパでは参加費が2000万円というものもあり、この規模になるとゲームが好きなチームが参加するのではなく、企業がe-Sportsリーグに参加する形になります。当時は画期的で新しい可能性でした。運営側は参加チームに対してインフラやトレーニングなど、ノウハウの提供は必ずしていると思います。そうでなければ高額な参加費を払う理由にはなりませんし。

――JCGとして、新しい取り組みなどは行っていますか?

松本JCGは今オンラインで大会運営を行っていて、ユーザーフレンドリーだという評価をいただいています。例えば、参加者を募集して前日に締め切りますが、当日に来ない人もいるため補欠枠を作っておくんですね。事前登録は100%当選、補欠は抽選という形でやっていますが、これをウェブシステムでやっているのはうちだけだと思います。

私は参加者の待ち時間を減らすということもクオリティだと考えています。そのため、チェックインというシステムを導入。直前に参加表明した人のみでトーナメントを行えるようにして、欠席した人の分の枠を埋め、人数をきっちり揃えて大会を運営できるようにしています。


こうした仕組みは、別のジャンルに当てはめても活用できると考えています。高校野球では出場チームと選手の名前、ポジションを高校野球連盟が集めていると思うんですが、e-Sportsの大会サイトってそういうものが当たり前にあるんですよ。プレイヤー単位で出場履歴も表示できます。このシステムは、他のスポーツにも活かせると思っています。

JCGの大会ウェブシステムは、「これを剣道でやりたいです!」と言われても、すぐにシステムを剣道向けに作れてしまうんですよね。勝った方が次の対戦相手と戦う、ジグザグに進んでいくのもすぐに作れます。今後はそういったシステムを売り込んで行きたいなと思っています。

――最後に読者に対してメッセージをお願いします

松本e-Sportsはプレイする人を大切にしたいと思っています。事業的に観客を大事にするという側面はありますが、JCGはe-Sportsをプレイする人たちにとても魅力的なサービスを提供する組織・会社でありたいと思っています。ぜひ、興味があるタイトルはプレイしてください。

B2B向けでは、特にゲーム会社はそうですが、e-Sportsというものは呼び水にはなるものの、継続して成長させるにはただ実施するだけでは足りません。潜在的ファンの中には現在あまりゲームをプレイしていないという方も少なくはありません。e-Sports大会が楽しいから観戦を続けるという方々はいらっしゃいますが、人数的には少数で、そういった人たちだけを取り込んでも本当のコミュニティの形成・継続にはなりません。

e-Sportsを多くの人たちが支持するエンターテイメントにするのであれば、実際にゲームをプレイしたくなり、プレイをし続けたくなる仕組みを作ることも検討してください。実際に『Rainbow Six Siege』では、そのストーリーを作って、初心者が毎月楽しく参加できる大会を作りました。チームを作ってチャレンジしようという大会も1年通してずっと続けています。中級者、上級者向けなどの大会もあり、その先にプロリーグがあります。ピラミッドを作るには土台から増やさないと成長していきません。

告知を頑張ってもe-Sportsを楽しむ仲間はなかなか増えませんが、JCGでは増やすお手伝いをすることができます。困ったことがあれば、お気軽にご連絡ください。

――ありがとうございました




老舗e-Sports会社として着実に歩を進めているJCG。ゲーム領域だけでなく新たな領域にも力を入れていくということで、JCGの今後に注目です。
《森元行@Game*Spark》

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