ミヌ氏はこれまでの経験を振り返り、彼の定義する「ゲームデザイン」を明かします。ミヌ氏は「ゲームデザイン」という言葉自体を「Shape the game(ゲームを形作る)」と呼んでいて、ゲームデザインは「ドキュメンテーション(書類などから情報を整理していく)」のではなく、「スケッチ」と「クリエイティブ」が重要と考えています。先述したように、EAヘルシンキのスタジオではすべてのスタッフが「ゲームデザイナー的なマインド」で開発に携わり、集められたアイデアをピックアップ&ブラッシュアップして決断まで進みます。そして、決定されたアイデアはチームに属するメンバーがアラインしていきます。
この「Shape the game」はプレイヤーがゲームを遊ぶ過程をスケッチするもので、「ユーザーはどうしてこの要素を5年間も楽しみ続けることになるのか」といった疑問に答えられるよう努力を重ねていきます。そこで重要となるのは「文化」。スタジオやゲーム、ターゲットにどのような文化があるかによってゲームデザイン方法論は変わり、プロジェクトの進め方も大きく違ってきます。
彼にとっての「ゲームデザイン」とは、ユーザーが1ヶ月~半年、あるいは1年、さらに長ければ5年という期間にわたってどう遊んでいくかを見渡す長い旅の計画でもあり、単に「自分がやりたいアイデア」を型に嵌めて定義づけるものではありません。スタッフひとりひとりがアイデアを出して、それを全員で共有し、アライメントして具現化していくことが彼にとっての「ゲームデザイン」を進めるプロセス。もちろんこのプロセスがすべての作品や開発チーム、スタッフひとりひとりに合致するとは限りませんが、そういったケースにおいて都度異なるアプローチを選んでいくことさえも、「Shape the game」というフローの中にあるひとつの要素と言えるでしょう。
《Game*Spark》