『ブルアカ』リリースまでの2年間、3D背景は少人数で作られていた…作業簡略化のための「目的の明確化」が語られる【NDC25】 | GameBusiness.jp

『ブルアカ』リリースまでの2年間、3D背景は少人数で作られていた…作業簡略化のための「目的の明確化」が語られる【NDC25】

講演「『ブルーアーカイブ』 2.5人の3D背景担当者でどのようにローンチできたのか」の模様をお届けします。

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『ブルアカ』リリースまでの2年間、3D背景は少人数で作られていた…作業簡略化のための「目的の明確化」が語られる【NDC25】
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ネクソンは、2025年6月24日から26日にかけて「Nexon Developers Conference 2025(NDC)」を韓国にて開催しました。NDCは『メイプルストーリー』『ブルーアーカイブ』『デイヴ・ザ・ダイバー』などを手掛けるネクソングループをはじめとして、第一線の開発者らが集まり知識の共有を図るカンファレンスです。

本稿ではチェ・ジンウ氏によるカンファレンス「『ブルーアーカイブ』 2.5人の3D背景担当者でどのようにローンチできたのか」の模様をお伝えしていきます。

◆目的を明確化することで作業の効率も上がる…少人数で3D背景が作られた『ブルアカ』の透明感ある世界

このセッションでは『ブルーアーカイブ』の3D背景制作チームが、リリース前の2年間、2.5人(一時期、3人体制になったりしたため)という少人数で開発されたということを踏まえ、いかにして作業を行えば効率的かつ効果的に開発を進められるか、ということが語られました。

プレゼンの始まりでは「初期作業人数の少なさ」が理由で本セッションを打診されたとユーモラスをまじえて経緯を描きますが、チェ・ジンウ氏は重要なこととして「他の開発チームと比較するために用意した資料ではない」ということ、さらには「適切な勤務時間を守りながら開発した」とブラックな環境ではなかったことを特に強調し、笑いを誘いました。また、現在は5名にまで増えたといいます。

次に行われたのは同チームの成果物の紹介。シャーレで見慣れた背景などの制作過程の一部が公開されます。一見して3Dと思えない、多くの物が作られたことが明かされました。たとえば作中のコンビニを作る作業では、そのコンセプトから最後までをこなし作業物でありつつも経験になったとします。これらの時期に作られた背景は、初期のPVに多く使用されたと同氏は語ります。

さらに『ブルーアーカイブ』おなじみの「カフェ」システムも紹介されました。こちらはユーザーにカスタマイズ要素がある箇所とあって、開発者として自らの作ったものでアイディアが練られ、想定外のインテリアも誕生していることを嬉しく思うと紹介されました。

プレゼンは本格的な技術においての話に移行し始め、まずはゲーム開発において背景が成す役割や開発リソースについて言及されました。たとえば3D背景は、作業工数の多さから再生成に多大なリソースがかかります。プランニングからリリースまで、与えられた要件を正確に認識し、的確に制作していかなければならないということです。

『ブルーアーカイブ』は生活感(可愛らしい少女たちが銃撃戦を繰り広げながらも、そのすぐ後にパフェを食べていそうな透明感ある日常)を基軸にした作品。背景にてそれらを表現しつつ、『ブルーアーカイブ』ならではの突拍子のない魅力も描きたかったと言います。その中で工夫を凝らしつつ、リリースまでの2年間、2.5名で開発していくために立てた戦略において重要だったのは、目的を明確にしたことによる作業効率化だったと述べられました。

チェ・ジンウ氏らが手掛けた3D背景には、ゲームのバトルにおけるマップも含まれています。その中で、『ブルーアーカイブ』の3D背景は戦闘エリアも兼ねるため、中央の描写を少なくできたことも「目的を明確にした効率化」の恩恵だと言います。

“集中的に描く部分を選択し、逆にプレイ中にノイズとなる要素は減らす”ことによって、オブジェクトや質感においての作業量を調整。「プレイアブルの向上」を明確化していくことで、コストと目的が一致した工程になったとのこと。この“書き込みすぎない”という点は、『ブルーアーカイブ』がモバイル端末でプレイされるためという理由もあったようです。

途中では「『ブルーアーカイブ』にも優れたリーダーが多く登場する」として「マコト」をピックアップ。

こうしてチェ・ジンウ氏は、明確化した目的へアプローチする過程で、必要なものと必要でないものを選別し、作業の短縮に成功していったといいます。本来であれば書き込むことが好きだとしつつも「3D背景がゲームに寄与する役割として必要であるという点と、そうでない点」を重視し、工夫を凝らしていったとのことです。

作業効率化や背景のクオリティアップに寄与した具体的な技術としては、「Substance Designer」の使用が挙げられました。これは、たとえば『ブルーアーカイブ』におけるアスファルトの“描画濃度が濃い”箇所を効率的に描画できるソフトウェアです。

しかし、この問題点は専門に扱えるスタッフが少ないということらしく、慣れてしまえば3D背景制作における効率アップに寄与しますが、その導入においての難しさがあります。そこで本セッションでは基本的なチュートリアルまでもが実施されていきました。

このように本セッションでは、3D背景に留まらないプランニングの重要性が語られていきました。ゲームの開発体制は担当とする箇所、開発人数によって大きく変わりますが、少人数で開発しているクリエイターには大きく参考になる内容でしょう。

ちなみに、セッションでは「全ては紹介できませんが、私たちが手掛けた背景の全てはここで観られます」と『ブルーアーカイブ』が紹介されました。『ブルーアーカイブ』の3D背景を手掛けたことがきっかけでセッションしているので、かなり何かが逆転しているような感じもしますが……。チェ・ジンウ氏の3D背景が気になった方は、ぜひ『ブルーアーカイブ』をDLしてみてはどうでしょうか。


《高村 響@Game*Spark》

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