『エースコンバット7』VRモード発売後インタビュー!何故メビウス1は再び最前線へ復帰したのか? 5ページ目 | GameBusiness.jp

『エースコンバット7』VRモード発売後インタビュー!何故メビウス1は再び最前線へ復帰したのか?

『エースコンバット7 スカイズ・アンノウン(ACE COMBAT 7: SKIES UNKNOWN)』のVRモードディレクター夛湖久治氏とリードVRエンジニアの山本治由氏、そしてVRモードプロデューサーの玉置絢氏にインタビューしました。

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『エースコンバット7』VRモード発売後インタビュー!何故メビウス1は再び最前線へ復帰したのか?
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――まさに『エースコンバット7』VRモードは、人の縁が沢山組み合わさった上で完成した作品でもあるのですね!お時間が少なくなってきたところで、UE4での開発など技術面でお聞ききしたいことも多々ありますが、ここで聞いておかなければならないと思うのが「難易度」に関してです。VRミッションの、特にミッション2でいきなり難易度が急上昇したように思えます。難易度の調整はどのようにやられたのでしょうか?

玉置氏 「オペレーション・カティーナ」の件もあって、基本的にはメビウス1や『エースコンバット04』の続きという立ち位置で言ったら、あまり手応えがなさ過ぎるまま終わってはいけないという側面があって。序盤の難易度のまま終わってしまっては空振りした感じになってしまうので、ちゃんと『エースコンバット』の歴代作品が好きな人でも手応えがあると思わせなければいけなかった。そのところを「どうやって体験させるのか?」というところが結構重要だったんですよね。

そのため、最初からの課題として「1から20ぐらいまでのミッションがある『エースコンバット』のフォーマットを、「3ミッションでまとめる時に難易度曲線をどうするべきか?」というのがあって、VRミッション2あたりは「普通の『エースコンバット』だと中盤ぐらいの難易度だよね」という設計をしたんです。

ただVRモードに対するお客様の期待が高まるにつれ、VRミッション1は『エースコンバット』をプレイした事が無い人でもクリアまで楽しめて、そこからやる気になっていただき、「VRミッション2が難しくても……」というふうに頑張れるようになっていないとダメだと思いました。そのために、VRミッション1の難易度をより下げたんです。つまり、VRミッション1の難易度を下げて敵を倒しやすくした結果、VRミッション2との難易度差が大きくなったと。


ただそこに対応してミッション2はフェイズ制になっています。複数パートに分かれていると思いますが、そのように分けたのは急上昇する難易度に耐えうるためです。お客様がプレイするイメージとして、「ここまで今日は来れたけれど、ここから先に行くにはもっと考えなきゃいけない」という想定があり、そこから考えて、今のような多段フェイズ式のVRミッション2を作りました。

一方で、腕前によっては、ミッション2の最後の最後で急に壁に当たったように見える方もいらっしゃるのかなと思います。そこは「難易度を変えてチャレンジしてみてください」というべきか、またはアーケードゲームの2面みたいな立ち位置だと思っていただければ幸いです。元々ミッション2でチャレンジが求められるという、なんとなくアーケードライクな考え方をしていました。

――アーケードSTGでよくある「2面でプレイヤーを殺しにやってくる」っというやつですね

夛湖氏 ガンSTGゲームでも良くあるパターンですね。あの赤服の敵は必ず命中させてくる(※筆者補足、この場合は恐らく『タイムクライシス』)。

玉置氏 夛湖さんは何ならUGSFの人だからシューティングゲームとは切っても切れない人ですし、山本さんは個人的な趣味で縦STGがとても好きなんですよね。山本さんは仕事でストレス溜まりすぎるとSTGを始めるという(笑)

(開発内で)シューターが多かったというのもあって、結構そういう発想でVRミッション2は、壁ではあるんだけれど、壁があっても我慢してチャレンジする気になるものを作ろう!と頑張りました。そこを突破することで晴れてメビウス1になれますが、VRミッション3では「ただゲームが上手いという意味のメビウス1」ではなくて「VRですら乗り切る英雄像」を見せてもらいたかったからゴースト隊がいます。

夛湖氏 玉置と話していたのは、「ミッション内には3フェイズ(フェイズとは、1ミッションの中にある小さなゲームの単位)ありますが、フェイズ1つが、キャンペーンのほぼ1ミッションのような難易度付けでやっていきましょう」という作り方でした。

あとはこれに、私がアーケード出身というのもありますが、ミッションごとに上げるのは平坦な上昇でしかないので「所々に歪な難易度の山をつけてあげるほうが楽しくなってくるよ」と話をしました。今回3ミッションですが、あれを4~5ミッションやっているとかなり辛かったのではないかと思いますね。なので、密度の濃いゲーム体験とVR体験の両方を提供しなければいけませんでした。


玉置氏 そういう所はアーケードゲームの大師匠である夛湖さんに何も言うことはありませんでした。お任せできる安心感が凄かったです。

夛湖氏 これを全部クリアすれば「空戦もやった、陸上攻撃もやった、敵航空勢力大集団も倒した、敵エース部隊も倒した、『エースコンバット』としての体験を全部クリアした。もう俺はこれでメビウス1って呼ばれてもいいよね」と。

玉置氏 メビウス1ってやっぱり孤高の存在なので、お客様に対して「こんなメビウス1像を見せて欲しくなかった」と言われないように、というのを気にして作り込んだというところです。

夛湖氏 お客様がVRミッションを一通り遊んで、そう結論付けてくれれば、VRモードは成功です。あとはゆっくりとVRエアショーや、フリーフライトで遊覧飛行をしてメビウス1の休日を楽しんでいただければと思います(笑)。

――ありがとうございます。あの難易度やミッション構成はメビウス1になることを想定してのものだったのですね。次は時間的に最後の質問です。これはVRモードをプレイした1プレイヤーとシリーズファンとしての質問になってしまうのですが、後々になってVRモードが独立し、設定資料集「ACES at WAR HISTORY 2019」にも記載がないので仮称としますが「第二次自由エルジア蜂起」が最初から結末までVRゲームとして描かれる可能性というのはあるのでしょうか?やはり『5』のアーケードモードで自由エルジアが一度壊滅まで描かれた所を考えるとどうしても気になってしまうのです

玉置氏 現状2つあって、まず『エースコンバット』のストレンジリアル世界の歴史として、そこが語られるかどうかは、今のところは空白である事が重要だと思います。皆さんがその空白に気づいて語っていただけていることは本当に嬉しいことですし、そこに関して想像の余地があるということが『エースコンバット』らしいのではないでしょうか。

少なくとも、私が好きな『エースコンバット』の姿はそういう感じです。私自身が学生時代からのファンという身で、当時から前後どうなったのかを考えてネットで議論する事が好きだったので。そして、「将来語られることがあるかどうか」に関しては……本作『7』で、『5』と『3』の間が語られたように、描かれる可能性はあるとは思います。ただ、どういう形で語られるのは、まだわからないというところです。

ただ「VRモードが今後どうなるのか?」という所から言えば、発売前からお話しているように、「『エースコンバット』がどのような可能性を秘めているのか?」というのを検証しプレゼンテーションを行い、お客様の反応をお聞きして「どういう風なものか?」を決めていくという状態です。VRモードというものがどういった形で今後『エースコンバット』と絡んでいくべきか。今は良い反応を多く頂けているところですが……。


今後も是非、ネット上や色々なところで「『エースコンバット』のVRはこうあるべきだ。なぜこうしないのか?」というのも含めて、声を頂ければそれが道しるべとなりますし、お客様が求め、我々が見たいストレンジリアル世界やパイロット体験というのが得られるのではないかと思います。それが『エースコンバット7』の形で出るのかそうじゃないのかは、わからないです。ただ我々は死んでいないですから! 「皆、末永くいきましょう!」というところです。

夛湖氏 完全主観視点の『エースコンバット』というものは今まで無かったと思います。この『エースコンバット』に未来を感じて頂けているのかまだわかりません。今までの『エースコンバット』は、お話を客観的に見られて、ストーリーや主人公以外の大きなドラマも楽しめるゲームだと思います。が、VRは体験すると分かるのですが「自分」だけの視点なんですよね。そうなると、裏でうごめく大きな野望や暗躍といったドラマが今度は見えにくくなります。そういった『エースコンバット』がお客様的に「有り」なのか「無し」なのか、私としてはそこを問いかけているつもりです。

玉置氏 当事者感が増すとやっぱり、本物の人間と同じになっていくので、既存のTV画面のゲームほど多くのことを知ることは出来ません。その中でストーリーテリングとしての『エースコンバット』の魅力をどう生かして行くか?ということについて、皆様がどうお考えなのかをもっと知りたいですね。色々なお声を頂ければと思います。

――長時間貴重なお話ありがとうございました。今後のシリーズ展開にも期待しています!



以上が今回の発売後インタビューです。また玉置氏は最後に、初めてPS VRで遊ぶ前にはPS VRの注意書きをちゃんと読んだ上で、しっかりと頭に装着し、時たま休憩を取りつつ、PS VRの締め付けにも気をつけ、安定した場所で、病気やお酒を飲んだ状態でなく、健康的に遊んで欲しいと話しました(また、疲れた状態なら負担の少ないVRエアショーや『サマーレッスン』を遊んで欲しいとのこと)。

『エースコンバット7 スカイズ・アンノウン』はPS4/Xbox One/PC(Steam)を対象に発売中。今後はシーズンパスの配信を控えており、3つのミッションと3つのオリジナル機体を初夏から6回に分けてリリースする予定です。なおVRモードはPS4版のみに収録されています。本インタビューは、先日掲載したTXMセッションレポート「『エースコンバット7』VR開発TXMセッションレポ―VRは『ギャラクシアン3』から始まる約30年の挑戦」を相互に補完する内容が含まれていますので、こちらもあわせてお読みください。

《G.Suzuki@Game*Spark》

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