『エースコンバット7』VRモード発売後インタビュー!何故メビウス1は再び最前線へ復帰したのか? 2ページ目 | GameBusiness.jp

『エースコンバット7』VRモード発売後インタビュー!何故メビウス1は再び最前線へ復帰したのか?

『エースコンバット7 スカイズ・アンノウン(ACE COMBAT 7: SKIES UNKNOWN)』のVRモードディレクター夛湖久治氏とリードVRエンジニアの山本治由氏、そしてVRモードプロデューサーの玉置絢氏にインタビューしました。

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『エースコンバット7』VRモード発売後インタビュー!何故メビウス1は再び最前線へ復帰したのか?
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■VRミッション3登場のゴースト隊開発秘話


――そういうことでエキスパート操作のみだったのですね。先ほどVRモードミッション3の名前を出しましたが、その最後に出てくる自由エルジア特殊部隊「ゴースト」の動きを見ていると上下にループを繰り返している機体や、プレイヤーから離れようとする機体など、まるで『パックマン』のおばけ(アカベエ、ピンキー、アオスケ、グズタ)のようにそれぞれマニューバが違うようにも見えてきます。各機の動きが異なるように設計しているのでしょうか?

夛湖氏 そのように設計していますね。残っている敵の機数によって変えています。4機いるのですけれど、基本目の前を飛行している機体がいます。ステルス機(Su-57)なので、後ろに回ってしまうと完全に見えなくなってしまうんです。全機レーダーから見えない状態にしてもいいのですけれど、今度はプレイヤーが索敵するために頭を見渡してしまいます。これ自体はいいのですけれど、やり過ぎると酔ってしまうのです。そのため「目の前に一機ターゲットがいます→それを追いかけて行きます→他の機体が後ろに回ってきます」というのを交互に繰り返しています。

玉置氏 ゴースト部隊の強さを決めるのはかなり大変でしたね。

夛湖氏 かなり大変でした……

玉置氏 最初は「キャンペーンモード側から一番強いAIを貰ってきて終わりでいいかな」みたいな感じでした。『エースコンバット』全体の歴史で見たら「エース部隊欲しいよね」というのはわかりますし。でもそれは『エースコンバットZERO』の影響が大きいからなんです。「『ZERO』の影響があって敵エース部隊欲しいよね」というはよく分かるのですが、メビウス1にとってのエース部隊は黄色中隊なんですよね。そう考えたら……ちょっと……、ゴースト部隊の強さは全盛期の黄色中隊ほどではないと思いますが「メビウス1が相手して相応しいぐらいでないといけない」と。

ゴースト隊は「ただ動きが凄い」だけじゃなくて、少し変わった能力があります。プレイヤーの皆さん(メビウス1)は実際に出来上がったミッション3でVRを駆使した戦闘をご体験いただけたと思うのですが、あんな感じで、ステルス性を活かした動きをしないとダメだ、ということがわかってきたんです。そこからは夛湖さんが超大変だったんじゃないかなと(笑)


夛湖氏 最初はチーム内でも「難しい……難しいよ……、こんなの倒せるか!」と言われていました…。もともと、チーム内の知見として「見渡してそのターゲットを追いかける」というのがゲームとして面白いし、実際に見渡すことで酔いが軽減出来る事がわかっていました。なので最初はとにかく後ろに回る、背後に付く、避ける、という「見つからないか、やられるか」という仕様でした。だけど結局、これは場合によっては「初見殺し」になってしまい、醒めるのでは……と山本さんに言われた記憶がありますね。

「攻略も何もあったものじゃ無い!」となったので、少しづつ変えていきました。先程申し上げた、わかりやすい基準となる1機はいつつも、他はステルスを活かした動きをする、という方向性にシフトしていったのが最終的に落ち着いた形です。

玉置氏 VR体験として魅せる相応しい動きと、メビウス1の前に立ちはだかる4機として相応しい格があることがなかなか両立しないんで、結局そこを両立させるのが大変でした(笑)

夛湖氏 常に4機が目の前に見えていたらステルスではないですしね。(笑)

玉置氏 でもそうしないとVR的な体験にもならないので…、というのが大変でしたね。

――どうりで強くて難しかったわけなんですね。本当にゴースト戦は強かったです

夛湖氏 純粋に強いAIを搭載して、その上で、さらに定期的なタイミングで左右後ろに移動してしまうので、首を回して探さなければならない……というのをやることでVRらしさと最終ボスの風格を出しています。でもやり過ぎると酔いすぎるので、適度なタイミングで動かすように気をつけています。

山本氏 デバッグ中も思いましたが、ゴースト隊の4機を全部を落としたら「ふぅ……やったー!」と、一息つく感じがありました(笑)

玉置氏 あそこが一番の盛り上がりというか、筋肉が一番緊張するところですね。

夛湖氏 そういえばあそこ(最終戦)は最初、曲が無かったのに入れたりしましたよね。

玉置氏 最初は無音だったんですよ、あのシーンって。

――無音だったんですか!?

玉置氏 敵を全員倒して「上だ!」っていうシーンがありますよね。あの後ずっと無音で、環境音と警告音だけで戦うという「本当に本物の戦場(空戦)ってこんな感じ」っていう。でも、余りにも相手がエース部隊として手応えがありすぎて「これ曲がないと頑張って最後まで出来ない!」と(笑)。皆が頑張れるように曲を付けようとなって「こういうときの曲と言えば!」というので、サウンドチームやナラティブディレクターの糸見功補さんの意見を聞きながら『5』アーケードモード最終戦の曲「Do or Die」アレンジを持ってきました。

夛湖氏 最後の最後でアレンジ曲を作って貰いましたよね。

玉置氏 本当にありがとうございます! という感じですね本当に。『エースコンバット』ってそういうの多いですよね。全部出来たかなと思ったら「あともうちょっと」って言って、終わったはずの仕事が復活するっていう、「もう1曲作ってゴメン!」って(笑)

夛湖氏 クオリティ上げることに最高パフォーマンスを出すという、本当にこだわりのあるチームでしたね。


玉置氏 ある意味、ブランドディレクター以下のスタッフみんな含めて、一番「諦めがついている」チームです。お客様の求めている期待に応えるクオリティで出そうと思ったら「そういう事が起こるよね」っていう諦め(笑)

夛湖氏 山本さんと何度も「(まだプロジェクトは)終わってないので、ワンチャンやりますか!」と、何度も「ワンチャン」が(笑)

玉置氏 山本さんの良いところは諦めの悪さで、ため息つきながらも「やる?」ってやってくれるところですね(笑)

夛湖氏 「今だったら…!」みたいなのも多かった(笑)

山本氏 「今ならねじ込める…!」って(笑)でも、ねじ込むとシワ寄せというか、そこにその機能が入ると思わなかったセクションの人から「ここに音付けないとダメじゃん…」となって、結局みんな大変になっていって…(笑)

夛湖氏 それでクォリティのスパイラルが上がっていくっていう(笑)本当にVRモードはチームに恵まれましたね。

玉置氏 『エースコンバット』チーム特有なんですが、開発末期になってくると余りにも作り込みすぎて「逆に何が面白くなるのか分からなくなってきた」ってなってくるんですよ。この現象は前から経験上知っていて、『インフィニティ』とか過去の『エースコンバット』チームでも毎回ありますし、自分が言ってた事もあります(笑)今回のVRでも、本編でもそうだったと思うのですけれど、その言葉が出ると「あ、そろそろ完成のタイミングだな」と思えるんですよ。「何が面白いんだっけ?」って言い出すと本当にやりきったというか、全てをやったから出てくるっていう(笑)

――まるで『エースコンバット』シリーズ恒例「MISSION UPDATE」の連続みたいですね!


玉置氏 そう!あれに慣れているからかもしれない!終わったと思ったらスグにAWACSが警告音を出してくるからかもしれないですね(笑)

夛湖氏 最初のミッションオブジェクティブは最終目標ではないみたいな(笑)

玉置氏 だから私の仕事とかは最初のブリーフィングみたいですね。「○○の可能性もあるから、○○の装備も準備しておきましょう」って話すのが私の役割で、その後どういう敵がでてくるかは本当にわからなくて(笑)

次ページ: VR酔い対策で重要なのは「視線誘導」と「興奮」、そしてあと1つは?
《G.Suzuki@Game*Spark》

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