日本製ゲームの再起を描いたドキュメンタリー「Ebb and Flow」制作者に訊く―インディーゲーム業界の動向も【BitSummit Vol.6】 | GameBusiness.jp

日本製ゲームの再起を描いたドキュメンタリー「Ebb and Flow」制作者に訊く―インディーゲーム業界の動向も【BitSummit Vol.6】

日本のゲーム業界の再起を描いたドキュメンタリー映像「Ebb and Flow」のディレクターであるAnne Ferrero氏とAlex Zabava氏にインタビューを敢行しました。

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日本製ゲームの再起を描いたドキュメンタリー「Ebb and Flow」制作者に訊く―インディーゲーム業界の動向も【BitSummit Vol.6】
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2016年頃から、これまで海外に後れを取っていた日本のコンシューマーゲーム業界が勢いを取り戻し、『人喰いの大鷲トリコ』や『ニーア オートマタ』、『モンスターハンター:ワールド』をはじめとした国内作品が世界で注目されるようになりました。

日本を題材にしたドキュメンタリー映像を制作するArchipelは、そんな日本のコンシューマーゲーム業界の動向を追ったドキュメンタリー映像「Ebb and Flow」を手掛けました。この映像は、公開から数日しか経っていませんが国内外から多くの反響が寄せられています。

そこで当編集部は、「BitSummit Vol.6」開催中、本作のディレクターであるAnne Ferrero氏とAlex Zabava氏にインタビューを敢行。また、日本のインディーゲーム業界について取材したドキュメンタリー映画「Branching Paths」の監督でもあるAnne氏には、近年の業界の動向や今回の「BitSummit Vol.6」などについても訊いています。

■インディーゲームについて訊く



――前回の「Branching Paths」の反応はどうでしたか?

Anne Ferrero氏(以下:Ferrero氏):配信先のSteamでは、世界中のユーザーから多くの反応をいただきました。インディーゲーム業界の規模が小さい国の方々が共感してくれましたし、日本のインディーゲームについて多くの人々が知ってくれたと思います。

また、日本のインディーゲーム業界からは、貴重な資料になる映像だと評価をいただきました。「Branching Paths」を観てインディーゲームを作ろうと勇気を持った人もいて嬉しかったです。ゲームの専門学校では、教材として学生にみせているそうです。

「Branching Paths」に出演したクリエイターからは、「映像を通じて自分のゲームを発信できて嬉しい」という声がありましたね。

――最近、日本のインディーゲーム業界について変化はありましたか?

Ferrero氏:今回の「BitSummit Vol.6」でいえば、出展されているゲームのレベルや完成度が高くなった印象を受けました。インディーデベロッパーのブースはもちろん、任天堂をはじめとしたパブリッシャーのブースの規模も大きくなりましたね。

日本のインディーゲーム業界だけではなく、「BitSummit」というイベント自体も成長しているように感じられました。

Anne Ferrero氏

――「インディーゲーム」という言葉が多く使われはじめた時「ゲームを区別するこの言葉は本当に必要なのだろうか?」という問題提起が一部で行われました。今ではインディーゲーム全体のレベルが上がり、SNSによって優秀な作品が注目されやすくなり、AAAタイトルとインディーゲームを区別せずに楽しんでいるゲームユーザーが多くなった印象があります。ゲームユーザーから見て、その境が曖昧になった「インディーゲーム」という言葉には、どのような含蓄があるのでしょうか。

Ferrero氏:インディーゲームという言葉には、「少人数でもこんなに面白いゲームが作れる!」という未来のクリエイターに向けてのメッセージが含まれていると思います。また、好きな作品がインディーゲームだとわかると、ゲームユーザーはその制作者を応援したいという気持ちになるのではないでしょうか。

――「Branching Paths」の続編を制作する予定はありますか?

Ferrero氏:未定です。ただ今後、日本のインディーゲーム業界に何かしらの変化があったら制作したいと思っています。

■「Ebb and Flow」について訊く


Alex Zabava氏

――なぜ「Ebb and Flow」を制作しようと思ったのですか?

Alex Zabava氏(以下:Zabava氏):2016年頃から「日本から面白いゲームが続々登場しているな」と個人的に思っていましたし、やはり制作チーム全体も「日本のコンシューマーゲーム業界に変化が訪れているのではないか」という考えを持っていました。そこで日本を代表するゲームクリエイターの皆さんにお話を伺う事にしたのです。

以前は「toco toco TV」という名前で日本のドキュメンタリー映像を配信していたのですが、今後は日本のカルチャーに特化したコンテンツを配信していこうという事で、フランス語で「列島」を意味する「Archipel」に改名しました。

今回の映像は、そのコンテンツの第一弾として配信されたもので、タイトルの「Ebb and Flow」とは、英語で潮の満ち引き、「干満」を意味する言葉です。これまでの日本のコンシューマーゲーム業界が過渡期を経て、再び盛り上がってきた様子を表しています。

――これからの日本のゲーム業界に期待する事は何ですか?

Zabava氏:2016年、2017年は世界で大きく人気を博した日本製ゲームが登場しましたし、2018年上半期には『モンスターハンター:ワールド』が世界中でヒットしました。ゲームユーザーのひとりとしても、この映像の制作者としても、今の盛り上がりが続いてほしいと思っています。

――ゲームクリエイターの皆さんを取材して感じた事はありますか?

Ferrero氏:取材したゲームクリエイターの中には、開発期間が長いゲームを手掛けている人達もいて、彼らのこれまでの努力が見事に実ったのには勇気を貰いました。

Zabava氏:ゲームクリエイターの人達は、それぞれがはっきりとしたアイデンティティを持っていました。その個性的なゲームクリエイターたちが作り上げたゲームの数々が、同じ時期にリリースされて、それが今の結果に繋がったというのは面白いと感じましたね。

――取材した中で一番印象に残ったゲームクリエイターを教えてください。

Zabava氏:水口哲也さんですね。他のゲームクリエイターと接点はあるはずなのですが、今の状況を一番実感されていなかったのでとても驚きました。

――「Ebb and Flow」を観た人、これから観る人にコメントをいただけますか?

Zabava氏:YouTubeで公開されている動画はコメントを残す事ができるので「Ebb and Flow」を観た人のリアクションが欲しいですね。また、この映像を通じて日本人のクリエイティビティを学べるので、観ていない人は観てくださると。

Ferrero氏:まだ公開されてから数日しか経っていませんが、世界中の人から「日本のゲームクリエイターの考え方はこうなんだ」というコメントをいただいています。世界のデベロッパーやゲームユーザーにその違いを実感させるのが一つの目的でしたので良かったです。

また、「Ebb and Flow」のテーマはゲームに限らず、アニメなどの日本のコンテンツを作ってる企業にも共通点があると思うので、ゲームに興味が無くても「日本のコンテンツがどうやって海外に広がっているのか」に興味がありましたら是非観てください。

――ありがとうございました。

《真ゲマ@Game*Spark》

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