東京ゲームショウ+VR+インディーズ=未来・・・黒川文雄「エンタメ創世記」第46回 | GameBusiness.jp

東京ゲームショウ+VR+インディーズ=未来・・・黒川文雄「エンタメ創世記」第46回

9月17日、東京ゲームショウ2015(以下TGS)開催から約3週間が過ぎました。喧騒冷めやらぬというタイミングですが、今回のTGSは、アジア地区における、そのブランディングを確立した年だったと言えるのかもしれません。

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9月17日の東京ゲームショウ2015(以下TGS)開催から約3週間が過ぎました。喧騒冷めやらぬというタイミングですが、今回のTGSは、アジア地区における、そのブランディングを確立した年だったと言えるのかもしれません。

CESAの発表によれば、今年度は37の国と地域から、前年比15%増、過去最多の480の企業と団体が出展しました。その内訳は、国内234社、海外246社、今後もその傾向は加速するのではないかと思います。

TGSは長年、家庭用ゲームの展示会として展開してきましたが、家庭用ゲームの出荷の伸び悩みやそもそものハードウェアの稼働率などを考えるとダウントレンドになると思われがちですが、入場動員者数は増加傾向にあり、17日から21日までの4日間で、約26万8400人が来場したという実績が出ました。

これはTGS史上2番目の動員となり、プレイステーション4が公開された2013年の約27万人に迫る数値となりました。今後はさらに中国を中心にアジア勢(アジア製)のコンテンツやトレンドが加速することでTGSだけでなくコンテンツのトレンドも変化していくことでしょう。かつて40年ほど前に、アメリカで生まれたビデオゲーム産業に日本で多くの会社がエントリーした姿にダブらせてしまうのはノスタルジーだけではないでしょう。

そして、TGSで大きな話題になったテーマはバーチャルリアリティ(以下VR)です。TGS開催直前に「Project Morpheus (プロジェクトモーフィアス)」と呼ばれていたSCEのVRデバイスの正式名称「PlayStation VR」になったという発表がなされたことにより盛り上がりに拍車をかけました。


SCE「PlayStation VR」ブースにて『KITCHEN』体験中


実際にSCEブースでの「PlayStation VR」体験は事前予約でフルブッキングでしたし、一般入場日も開催から5分で当日分の予約が終わってしまったと聞きました。こちらに対しての未来感や期待感も大きなものでした。

私自身も、PlayStation VRの『アクエリオン・EVOL』、『JOYSOUND VR』、『サマーレッスン』、『SEGA feat. HATSUNE MIKU Project VR Tech DEMO』、『真・三國無双7 VR DEMO』を体験しました。そして以前から体験してみたかったカプコン・プロデュースの技術デモと言われている『KITCHEN(キッチン)』のVR体験は、デジタルお化け屋敷さながらのホラー色満載、別格の体験でした。

また、もう一方のVRの雄、Oculusの台頭も見逃せません。ソニーコンピュータエンタテインメント(以下SCE)の吉田修平氏曰く「Oculusとプロジェクトモーフィアスは『共闘関係』にある」という名言がありますが、Oculus が果たしているVRの一般化への貢献度は非常に高いと言えます。また個人的にはプロダクションI.Gブースでの『攻殻機動隊 新劇場版 VIRTUAL REALITY DIVER』の予告編の素晴らしさには驚きを隠しえませんでした。今後、VRハードが一般化してゆくなかでは描画や演出の素晴らしさが差別化の大きなポイントになることを感じさせるデモンストレーション映像でした。

インディーストリームにて自らプロモーションに周るSCEJAプレジデント盛田氏


そしてコンテンツを支える面ではインディーズ系クリエイターの活躍も注目です。SCEが支援するインディーズ・ブースでの熱気溢れる展示や活動も新しいコンテンツを提案してくれました。かつてプレイステーション(初代機)がロンチされた頃、新しいクリエイターが台頭した「PSドリーム」に匹敵するムーブメントと勢いを感じています。

わくわくするような未来は過去にあるというのが私の持論です。VRで自分が生まれた頃の街の様子や自分の過去に戻ったりすることができるのではないでしょうか。もしくはもっと太古に遡って恐竜や原子の時代を体験できる可能性もあります。未来と呼ばれていたものは気が付くと日常になっていることも多々あります。

未来は身近に、アジアに、VRに、インディーズに・・・今年のTGSは、そんな未来を過去から感じることのできるイベントだったと思います。

■著者紹介

黒川文雄

くろかわ・ふみお 1960年、東京都生まれ。音楽ビジネス、ギャガにて映画・映像ビジネス、セガ、デジキューブ、コナミDE、にてゲームソフトビジネス、デックス、NHNjapanにてオンラインゲームコンテンツ、そしてブシロードにてカードゲームビジネスなどエンタテインメントビジネスとコンテンツの表と裏を知りつくすメディアコンテンツ研究家。コラム執筆家。アドバイザー・顧問。黒川メディアコンテンツ研究所・所長。黒川塾主宰。「ANA747 FOREVER」「ATARI GAME OVER」(映像作品)「アルテイル」「円環のパンデミカ」他コンテンツプロデュース作多数。
《黒川文雄》

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