【CEDEC 2015】アセット最適化ミドルウェアを中核とした最新パイプラインとは? Simplygon × Telltale Gamesの事例に学ぶ | GameBusiness.jp

【CEDEC 2015】アセット最適化ミドルウェアを中核とした最新パイプラインとは? Simplygon × Telltale Gamesの事例に学ぶ

ゲーム開発 ミドルウェア

【CEDEC 2015】アセット最適化ミドルウェアを中核とした最新パイプラインとは? Simplygon × Telltale Gamesの事例に学ぶ
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現代のゲーム開発は物量との戦いです。もっとも数年前までは、単純にハイエンド化するゲーム機の流れの中で、1つのプロジェクトのアセット量が増加していくことを意味していました。しかし今日ではそこに、マルチプラットフォーム&マルチランゲージによるセイムシップ(世界同時リリース)が加わろうとしています。

この背景にあるのがパッケージからF2Pへのビジネスモデルの移行です。F2Pで収益化を最大化させるには、できるだけたくさんのプラットフォームにゲームをリリースしたほうが良いからです。

もっとも、これを手作業で実施するのはさすがに無理があります。最初にハイエンド機種に向けてグラフィックアセットを作成し、下位のプラットフォーム向けに次から次へと最適化。アセットをゲームエンジンに組み込んでビルドし、品質管理を行うサイクルを構築できれば、開発効率は劇的に向上するでしょう。

ポイントはグラフィックアセットの自動最適化ツールをプロダクトパイプラインに統合し、品質管理を繰り返す点にあります。それを可能にするのが「Simplygon」であり、DCCツールのオプション機能などではない……。Simplygon社のSamuel Rantaeskola氏と、ゲーム『Game of Thrones』などで知られるTelltale GamesのZac Litton氏は、CEDEC2015の講演「最新のアセットパイプラインの構築について~Telltale Gamesの事例を交えて~」で、このように強調しました。

高品質なアドベンチャーゲームを8種類のプラットフォームに同時展開



日本ではなじみの薄いTelltale Gamesですが、欧米では良質なアドベンチャーゲームを量産する独立系パブリッシャーとして高い評価を受けています。本社はサンフランシスコのベイエリアにあり、社員数は300名以上。「CGムービーなどを多用したリッチなグラフィック」「既存IPの活用」「徹底したマルチプラットフォーム戦略」などを特徴としています。

昨今では『Minecraft』の世界観でオリジナルストーリーが展開する『Minecraft: Story Mode』を発表し、大きな注目を集めました(2015年内発売予定)。ビジネスモデルはいずれもF2Pで、無料の第1話と有料の追加シナリオという形式が主流。『Minecraft』では、Android・iOS・Windows・OS X・PS3・PS4・Wii U・Xbox 360・Xbox One向けという壮大なプラットフォーム展開を発表しています。

「弊社では年間に5本のエピソードから構成されるシナリオを3本、8種類のプラットフォーム向けに配信しています。これは180個のビルドを出荷し、120個のアセットパッケージを作り出し、9千回以上のビルド作業をこなすという意味になります。各々のビルドには2万個のアセットがあり、年間では1億8千個にのぼります。しかも、これらには修正パッチなどは含まれていません」(Litton氏)。

もっとも、同社も以前は手作業による最適化に留まっていました。転記となったのが2014年の11月から12月にかけて同時期にリリースされた『Tales from the Borderlands』と『Game of Thrones』です。アプリの出荷が3週間後に迫る中、今までのやり方に限界があると悟った開発チームは、たまたま地元サンフランシスコで開催されていたSimplygonのカンファレンスに参加し、導入を決断。パイプラインとの統合はわずか2日で終了したと言います。

納品まで3週間という危機をSimplygonで解決



まずテストを兼ねてアセットの最適化を行った開発チーム。結果は上々で、これだけで機種によっては、フレームあたり10~20%の描画速度改善が見られました。ただし、暗所でテクスチャーがつぶれてしまったり、メッシュの継ぎ目が破綻してしまった部分もあったとのこと。またキャラクターで体にくらべて頭部の最適化が今ひとつという傾向も見られました。

そこで翌週、さっそくSimplygonに連絡を取り、サポートを受けることにしました。また、まだ開催が続いていたカンファレンスに再び足を運び、ボーンの重み付けや安定化のためのTIPSなどについてノウハウを取得。コンテンツのタイプごとに最適なチューニングを学ぶことで、成果物のクオリティが急速に向上しました。こうして、わずか2週間で全プラットフォームの最適化を終了し、リリースに間に合ったのです。

Litton氏はその後もSimplygonを用いた最適化について研究開発を続け、さらなる開発効率化を進めていると言います。手作業によるバグフィックスを一切行わず、すべてチューニングの精度向上ですませているという説明もありました。またSimplygonではメッシュにタグ付けを行うことで、最適化の重み付けなどを設定できますが、これもアーティストではなく、最適化だけを行う専門職がいるそうです。

スマホ市場がコンソール市場にとってかわりつつある日本では、ここまで大規模なマルチプラットフォーム展開を行う機会は少ないのかもしれません。しかし「最初にハイエンドなアセットを作り、最適化からビルドそして品質管理までを一気通貫でおこなう」という同社のプロダクトパイプラインは、スマホといえどもハイエンド化する流れの中で、大きな参考になりそうです。その中核にあるのがSimplygonのようなアセット最適化ミドルウェアであることは、言うまでもないでしょう。
《小野憲史》

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