漫画界の巨匠、里中満智子氏がゲーム開発者に語った日本のクリエイティブの背景 | GameBusiness.jp

漫画界の巨匠、里中満智子氏がゲーム開発者に語った日本のクリエイティブの背景

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KANSAI CEDECの基調講演で、大阪芸術大学キャラクター造形学科長もつとめる漫画家の里中満智子氏が登壇し、「キャラクター造形とデジタルエンターテイメントについて」と題して講演しました。里中氏は日本人の文化的特性や自身のストーリーテリング論などについてユーモ
  • KANSAI CEDECの基調講演で、大阪芸術大学キャラクター造形学科長もつとめる漫画家の里中満智子氏が登壇し、「キャラクター造形とデジタルエンターテイメントについて」と題して講演しました。里中氏は日本人の文化的特性や自身のストーリーテリング論などについてユーモ
  • KANSAI CEDECの基調講演で、大阪芸術大学キャラクター造形学科長もつとめる漫画家の里中満智子氏が登壇し、「キャラクター造形とデジタルエンターテイメントについて」と題して講演しました。里中氏は日本人の文化的特性や自身のストーリーテリング論などについてユーモ
  • KANSAI CEDECの基調講演で、大阪芸術大学キャラクター造形学科長もつとめる漫画家の里中満智子氏が登壇し、「キャラクター造形とデジタルエンターテイメントについて」と題して講演しました。里中氏は日本人の文化的特性や自身のストーリーテリング論などについてユーモ
  • KANSAI CEDECの基調講演で、大阪芸術大学キャラクター造形学科長もつとめる漫画家の里中満智子氏が登壇し、「キャラクター造形とデジタルエンターテイメントについて」と題して講演しました。里中氏は日本人の文化的特性や自身のストーリーテリング論などについてユーモ
  • KANSAI CEDECの基調講演で、大阪芸術大学キャラクター造形学科長もつとめる漫画家の里中満智子氏が登壇し、「キャラクター造形とデジタルエンターテイメントについて」と題して講演しました。里中氏は日本人の文化的特性や自身のストーリーテリング論などについてユーモ
KANSAI CEDECの基調講演で、大阪芸術大学キャラクター造形学科長もつとめる漫画家の里中満智子氏が登壇し、「キャラクター造形とデジタルエンターテイメントについて」と題して講演しました。里中氏は日本人の文化的特性や自身のストーリーテリング論などについてユーモアを交えて語り、聴衆を魅了しました。

漫画家の里中満智子氏


高校生でデビュー後、代表作『アリエスの乙女たち』『天井の虹』をはじめとして、漫画界の第一線で活躍し続けてきた里中氏。一方で公益社団法人日本漫画家協会常務理事、マンガジャパン代表、NPOアジアMANGAサミット運営本部代表など社会活動にも積極的で、外務省国際漫画賞審査委員長をはじめ、文化人・学識経験者としても幅広く活動を続けられています。

そうした経験から諸外国との漫画における文化比較について考えさせられることも多いという里中氏。講演は日本の漫画の特徴からスタートし、ストーリー性とオリジナリティの重視があげられました。「読者は絵柄もさることながら、キャラクターは誰なのか、何をしようとするのか、という点に目が行きます。そのため自然と日本の漫画家は絵描きである前に、脚本家であろうとします。ドラマを一人で描きたいという欲求が日本の漫画家の根底にあります。ここが大きな特徴です」。

実際、漫画家仲間と「漫画家になれなかったら、何になりたかったか」という話をしても、一番多い回答が映画監督で、次が脚本家や小説家。画家になりたいという声は、ほとんど上がらないそうです。

里中氏は海外の大学で漫画家を養成するコースを見学すると、絵の勉強は熱心だが、脚本術などはほとんど教えないことに、驚かされるといいます(最近は徐々に変わってきたとのことですが)。また男女の違いがほとんどない業界である点も特徴とのこと。以前ベルギーの国立漫画博物館を視察した際に、「漫画は高度なユーモア精神と社会風刺と芸術性がなければ描けないので、女性には務まらない」と解説され、非常に驚いたと振り返りました。これには万葉集から続く、日本の文学界の伝統があると説明します。万葉集は性別や身分、政治信条などの区別なく、作品さえ優れていれば分け立てなく収録されている点が最大の特徴だとしました。

オリジナリティの尊重について、中国の書家と対談した時のエピソードも披露されました。中国では未だに王羲之(4世紀・東晋の政治家・書家)の影響が絶大で、「王羲之そっくりに書くことが優れた書の条件である」という考え方が一般的なのだそうです。ところが日本では自由奔放な書が芸術として評価されており、来日して驚いたとのこと。同じようなことは絵画でも言えるそうです。これらは日本では当たり前すぎて誰も気に留めないが、日本文化の特徴の一つではないかとされました。



「漫画界でいえば手塚治虫と、その次の世代についても同じことが言えます」。手塚治虫の最大の功績は、それまで芝居中継のようだった漫画のコマ割りに対して、映画的な構図を持ち込んだ点にあります。「それまでは定点カメラでしたが、手塚治虫は手持ちカメラを多用して、キャラクターに近寄ったり、俯瞰でとらえたり、キャラクターと一緒に舞台の上をかけまわったりしました」

しかし手塚治虫に憧れて漫画家になった次の世代は、それを当たり前のこととして受け止め、そこに自分なりの創意工夫を付加していきます。里中氏が上げたのは『あしたのジョー』などで知られるちばてつや氏で、構図はそこまで派手ではないが、人物造形や人物設定を掘り下げていったのが最大の特徴でした。当初、少女漫画家としてデビューしたちばてつや氏。幼少期に初期作品群にふれて、里中氏は「ちば氏が女性に違いない」と確信したといいます。ステレオタイプの少女像にあふれていた当時の少女漫画界で、唯一といっていいほど女性の内面や気持ちが真に迫っており、リアルだったというのです。

ドラマ論についても解説がありました。高校生でデビュー後、アイディアを求めて図書館でギリシア戯曲集を手に取ったところ、子どもの頃に読んだジュブナイル版との違いに驚かされたという里中氏。あらすじは同じでも、キャラクターの描き方などで、まったく違う内容のものになっていたのです。同じ頃に見た映画『ウエスト・サイド物語』も同様でした。『ロミオとジュリエット』が下敷きで、あらすじは平板でも、思わず夢中になってしまったとのこと。この二つの経験から、キャラクターの見せ方をはじめとした、演出の重要性について開眼したといいます。

里中氏は漫画を植物にたとえて説明しました。木は重力にさからって上に伸び、枝を広げて葉を茂らせます。漫画でいうならストーリーが幹で、木が高く生長するほど大長編となります。枝が細かいエピソードで、葉の一枚一枚がキャラクター。上空から見ると葉のすべてに日光が当たるように、木は自然と成長していきます。この葉に日光が当たることで、幹は根から水分を吸い上げ、さらに高く成長していけるのです。漫画も同じように、物語の構成を考えることも重要だが、それ以上に各々のキャラクターの行動原理をきちんと突き詰めて考えることが、ドラマ性を高める上で重要だと指摘しました。

「ドラマの語源は古代ギリシア語で『のっぴきならない事態』のことです。ドラマはあらすじではありません。コトを動かす人(キャラクター)の気持ちがあって、ストーリーがドラマチックになっていきます」

そのうえで漫画とゲームは違うと前置きしつつ、ゲームを遊ぶのは人なので、ゲームのキャラクター造形についても、しっかりとした深みを持たせて欲しいといいます。「そのキャラクターの背景はどうで、どういう気持ちでここにいて、何のために意地をはって戦おうとするのか、そしてその結果何が起きるのか。そうした、ちゃんとした人生観がないと、ただ戦っても盛り上がらないと思うんです」。その上で漫画やアニメを見て、なぜこのシーンが心を打つのか、なぜこのキャラクターが格好いいと思うのか、分析して役立てて欲しいと呼びかけました。
《小野憲史》

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