ガンホー、ミクシィ、クルーズらが語るクラウドの活用〜「AWS Summit Tokyo 2014」レポート | GameBusiness.jp

ガンホー、ミクシィ、クルーズらが語るクラウドの活用〜「AWS Summit Tokyo 2014」レポート

アマゾンが展開するクラウドサービス、Amazon Web Services。クラウド市場のナンバーワンサービスとしてオンプレミスからクラウドへの移行を強力に推し進める原動力にもなっています。先般開催された「AWS Summit Tokyo 2014」ではゲーム関連企業も登壇し、クラウドの「

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アマゾンが展開するクラウドサービス、Amazon Web Services。クラウド市場のナンバーワンサービスとしてオンプレミスからクラウドへの移行を強力に推し進める原動力にもなっています。先般開催された「AWS Summit Tokyo 2014」ではゲーム関連企業も登壇し、クラウドの「
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アマゾンが展開するクラウドサービス、Amazon Web Services。クラウド市場のナンバーワンサービスとしてオンプレミスからクラウドへの移行を強力に推し進める原動力にもなっています。先般開催された「AWS Summit Tokyo 2014」ではゲーム関連企業も登壇し、クラウドの「現場」を紹介しました。



◆数字から見るAWSの運用とビッグデータのビジュアライゼーション


14:20からは、アイレット株式会社のエバンジェリスト、吉田真吾氏が登壇。AWS特化後の成長と、「AWSを活用した経営データの見える化、攻めのビッグデータ活用を進めるべき理由、ビッグデータ活用にどのような課題があり、どう解決すべきなのか」の具体的な事例などを踏まえて解説されました。



アイレット株式会社は、「APN プレミアコンサルティングパートナー」である 「cloudpack」(事業名)を展開する企業。EC2やS3を始め、AWSを利用する際の運用・保守の代行サービスを提供しており、1000台規模のAWSサーバーを運用して20名ほどのエンジニアが監視しています。「APN プレミアコンサルティングパートナー」は、世界中で22社、日本国内では野村総研と「cloudpack」だけが取得しており、その事からも同社の技術力がうかがえます。

クラウドサービスの客層については「中小企業の方が決算が早くて導入は早いと思っていたが、ありがたい事に中小から大企業まで万遍なくスタートしている」との事で、確かに大企業の展開が早いのは意外です。また、事例として金融系のiPhoneアプリや、大阪観光局などの公共系からも引き合いが増えていると吉田氏は述べました。

web系のシステムから、情報系、基幹系と幅広く利用されているCloudpack。「システム別には、webが91%。内33%がソーシャルゲームやメディアサイトで、圧倒的にwebが多い。ソーシャルゲームやメディアサイトのお客様は、AWSの特徴であるアジリティやスケーラビリティと非常に相性がいいので、AWSを積極的に活用している」との事。昨年より引き合いが多くなっている残りの9%は、基幹系が1%で情報系が8%。吉田氏は「今後この二つが延びるのではないか」と語りました。



ビッグデータのビジュアライゼーションに関しては、まず「データを集める、発生源が異なりデータの形式が違ったりするものを、いかに効率よく収集するか?」がネック。これに対応するため、データ収集にはFLYDATAを使用しています。FLYDATAとはシリコンバレーの藤川幸一氏がスタートアップさせたサービスで、エージェントをサーバーにインストールするだけで簡単に導入ができるもの。AWSやその他クラウドの上に入れると、発生源の散在するデータの収集が容易になり、ビッグデータの可視化にもつながります。




また、収集したデータは「誰が、何を、どう見るか?」が大切で、経営者と現場を分けて考える必用がある、と吉田氏。まず、現場には新サービスとして「WADANCE」を発表。これは様々なKPIを提供、コンポーネントも全て一つ一つ設計されたもので、複数の数値を俯瞰できるため、指標全体の数値をカバーしてサマリーを見る事ができるというもの。ものすごく乱暴かつ簡単に言えば「ビッグデータをビジュアル化して、俯瞰して見られる」もので、セッション時には公式サイトもなければアナウンスもなく、当日の朝に会場へ持ってきた、というほど直近の新サービスでした。



続いて、経営者向けの見える化のツールとして「WADANCE」ではデータが多すぎるため、経営の状況をマクロサイズで俯瞰できるサービス「Solid Air」を紹介しました。すでに提供中のものですが、中長期に渡ってビッグデータを可視化して扱えるため、「世界のどこでどんな変異が起きているか」が感覚的に理解できるツールと言えます。

これからの「情報」はビッグデータを活用するためにデータを俯瞰的に眺めて、世界の綻びや隆起のようなものを探る。そのうねりをどれだけ感覚的に掴めるか、それをどれだけ具体的なものに落とし込めるかがポイントになってきそうです。

◆モバイルゲームの全世界オンライン対戦を実現する方法を考察する


15:20からは、田沢知志氏(クルーズ株式会社SAP事業本部VENUS&ZEUS部ディレクター)を招き、「全世界配信ネイティブゲームをクラウド(LAMP環境)で運用する際の事例とノウハウ」が詳細な実例を交えて解説されました。




クラウド導入の一般的な考慮点としては、これまでオンプレミスで培ってきたノウハウをベースに、AWSのクラウドで構成。インスタンスはwebとcacheとDB。基本的にはEC2のインスタンスを使用していて、その上にミドルウェアを展開しているとの事。インスタンスタイプは3ヶ月ないし6ヶ月スパンで新しくなるし性能も向上、料金も安くなりコストパフォーマンスは三割増しでの向上を実感しているそう。タイプは定期的に変更し、現時点のインスタンスはweb系だとM3で、m3.xlargeもしくはm3.2xlargeを使用。CacheとDBはメモリが必要になるのでR3のr3.xlargeかr3.2xlargeをメインで使用していました。



ベンチマークにおけるリージョンの選択はUSイーストをメインに、インスタンスは前述のものを使用。重要指標として、DBはストレージIOPS、もしくはqueries/s、Cacheに関してはrequests/sで、webはCPU Load Averageとユーザー使用率を。田沢氏は過去にも自分で行なうベンチマークの大切さを説いていたため、変更がなくとも常にデータ収集を行なうべきなのでしょうね。

CROOZでは、まずインスタンスを一つ作り、webもCacheもDBも水平的にスケールアウトしていくやり方をとっているそう。これは構成済みのイメージ(AMI)から新しいインスタンスを機動していく形で、CacheとDBはアプリケーションに応じ分解していくとの事。まず基本から固めていって、そこから順次拡張させていく方法でした。

次にキャパシティの考慮点。「極端にプログラムが酷くなければCPU負荷はない」としながらも、実際に運用した結果のボトルネックは、CacheとDBのレスポンス遅延がサービスダウンの要因であるとの事。Webに関してはローカルポートの不足が一番のネックで、対策としてローカルポートを増やしたり、tcpのtime_wait数をいかに少なくするか調整したりしているそうです。

コスト問題では、「インフラ部分はいかにコストを下げてパフォーマンスを上げるかが命題です」と田沢氏。氏の示した1インスタンスあたりのMaxDAUを想定したコストの算出方法は次の通り。(参考値) Web(m3.2xlarge)が60,000DAU、DB(r3.2xlarge IOPS4K)が120,000DAU、Cache(r3.large)が180,000DAU(ここから必要インスタンス数を算出し、月額コストを毎月収支予測で出す)。目標は月額売上の3%未満にインフラコストを抑える事。自社の指標を元に費用対効果を計り、適正なコストを洗い出す事が導入のポイントと言えそう。

またリソース配信について「リソースCDNにはCloudFrontを使用。USアジアヨーロッパの各拠点にロケーションがあり、オリジンサーバーはS3に格納しておけばいい。親和性があって運用しやすい。標準でリポート、解析の機能もついているので、リージョン毎のリクエスト数がどれだけあるか、DLのトラフィックが一日単位で見られる。現状、数百TBのDL配信で実際に利用している」と語り、CloudFrontに関してもリザーブドプランがあるため、三割から四割コストが安くなるそうです。使用状況にもよりますが、上手く適合する企業にとってはかなりのコスト削減につながるのではないでしょうか。

また、クラウドストレージの特性を考えるとバッファプールサイズにDBが乗っていればI/Oが問題になる事はなく、オンメモリであれば数千IOPSで済む。むしろQPSがアップアップなので、定期的にシャーディングやパーティショニングを臨機応変に行なう事が肝要なようです。Percona Server5.5系を使用したDBのベンチマークでは、IOPSを4000にまで上げれば同スペックのSSD(物理)と同等の結果を弾き出しました。また、キャッシュもIOPSではなくRPSが問題視されていました。

オンラインゲームの設計のステップアップという考え方については、レイテンシーをいかに短縮化させるかが全てであり、そのための方法が説明されました。プロトコルはJavaのGlassFishを使用。プラス、スケールアウトはredisのpub/sub機能を使用しつつも、今後はHTTP/2も視野に入れて検証を進めていくとの事。徐々に拡大させていくというリージョンは、現在基本的に全てUSイースト。これを三段階に分けて進めていき、最終的には世界の各リージョンにアプリケーションやキャッシュ/DB、edgeサーバーを配置(含むDBノード)。キャッシュ/DBも同期させ、Route53の機能で最短のedgeサーバーへアクセスしてリージョン間はDirect Connectで接続。レイテンシーは500msから1秒程度を目指していくそうです。





「弊社はオンプレのノウハウ知識を元に組み立てているので、クラウドはクラウドをベースにした設計運営に変えていく必要がある」と田沢氏。PaaSの機能を積極的に取り入れて、また、BaaS系の機能も取り入れていきたいとの事。「ヒット予測が難しいモバイルアプリの配信に対して柔軟な設計が必要」とも語りました。

ここまで実例とベンチマークの結果を交えて解説を続けてきた田沢氏は、最後に「今後AWSへ期待する事」として「無停止でのインスタンスタイプの変更。RDS関連で、PerconaやMariaDBのサポート・クラスタ化・ELBサポート、親アカウントからダイレクトに子アカウント操作ができる、リージョン間のDirect Connectの無償化」で締めくくりました。



◆スマホゲームを支えるインフラ運用


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16:20からは、岩田容賢氏(ガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社開発本部 担当部長)と菊池貴則氏(ガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社システム・CS本部:部長代理)ニ方によるセッション。「数百台規模のオンプレ環境をすでに持っていたのになぜAWSを採用したのか、また利用拡大していくとともにコストをどのように管理していったのか?」を中心に、独自の切り口とコミカルな展開で場内を沸かせました。




同社の設立は1998年。2002年に現在の社名に商号変更後から数えて12年めで、スマホ向けのタイトルをAWSで運用しています。主たるゲームは言わずと知れた『パズルアンドドラゴンズ』通称パズドラ。当セッションでは、「利用しているサービスの概要」「スマホタイトルを開発運用するまでの事」と「サービスインした後の話」、そして「コスト管理とまとめ」を進めていきます。

最初から「弊社タイトルでAWSをどのように運用しているか参考にしたいとお集まりの方々には先にお詫びします」とスライドに表示させると、続くのは「実際ごくごく普通の事しかしてません!!!」との事。うん、筆者も在職中にこのような形でプレゼン資料をこしらえた事があります。もちろんその後、上司にこってりと叱られました。「ここ学校じゃねえぞ」って。企業性でしょうか、羨ましいです。



その次に表示されたスライドには、「AWSは、当たり前の事を、当たり前に最適化して運営すれば国内最大のユーザー数も受け止められるサービスである、という事だけ、Amazonの営業の方に代わってご紹介しようと思います」と、これまたフランクな展開。

実のところ、開発運用に関する実際のプログラムやアプリ開発の運営中のノウハウというのは社内にあるが、インフラ運用はAmazonに頼っている、というのが実状なのだそう。楽に言えば、『パズドラ』のような3000万人近いユーザーを抱えるゲームも受け入れて、安定したサービスを提供する事が可能なサービスがAWSだ、と言う事です。

また、現在利用している普通のサービスの他に、最近気になっているサービス「AWS Cloud Trail」のβ版が始まっていて、エンジニア自身の作業履歴やコンプライアンス準拠に対応できるのではないかとの期待から、社内で利用していく予定があるそうです。

ここで気になるのは、『ラグナロクオンライン』の経験を持ち、最大1000台のサーバーを運用してオンプレ環境の整っていた同社が、なぜAWSを使い始めたのか? というところ。これは『パズドラ』の4ヶ月前に『ケリ姫クエスト』という通信環境を必要としないゲームをリリースした際、短期間で10万、200万とDL数が増えていった事が切掛けになりました。もしこんな状況が、オンラインタイトルで起きたら……とてもじゃないが同じサービスの運用は難しいと考え、ユーザー数の増加により、切り替えたというのが実状のようです。

同社がAWSに切り替えた際のポイントとして、大きな理由が三つあります。一つめは、「インフラ部隊との連携が不要」だという事。「成否も分からないプロジェクトで極々少数体制で開発していたので、プロジェクトとしても開発期間はできるだけ短くしたかった」と菊池氏。従来のオンプレだと、サーバー構築をインフラ部隊に投げた後、早くて一日普通であれば二、三日かかる。しかしAWSを利用しておけば、開発が自分達のタイミングで好きなだけ構築できるので、開発期間を短くして効率的に開発するためにAWSを選んだそう。

もう一つは、サービス終了時のリスクヘッジ。ソーシャルゲームが群雄割拠している時代に、自分達の「面白い」がユーザーに受け入れられるかどうかが分からず不安だったため。AWSにしておけば資産として残らないし、経理的に消却しなくてもいい。費用で落とせる上に固定資産税がかからないというところで、簡単に管理ができるところ。

最後の一つは拡張性。すでに終了した同社のゲームで、サービスイン直後にユーザーが殺到、急いでメーカーと調整してサーバーを一週間で40台調達したという「事件」がありました。対処はできましたが、それでもユーザー獲得の機会損失や、殺到による予期しない不具合が発生したそうです。AWSを使用していればすぐに対応できた事であるため、リスク軽減のためにも重要なポイントだと言えます。

結論として、AWSがスマートフォンゲームにおけるサードプラットフォームとしては最適ではないか? という事でAWS採用の流れとなりました。
菊池氏からは、サーバーAPI設計について気をつけた事として、無駄に暗号化しない、SSL通信しない、無駄な通信をしない(高速回線のない時代だったため、必用最低限の通信で遊んでもらう)、データの保持場所は気をつけて設計した、などが示されました。

お気に入りのサービス「AWS Enterprise Support」についても言及し、その理由として挙げられたのが「24h365d15分応対」「テクニカルアカウントマネージャーがつく」「定期コストレビュー」の3つ。エブリデイエブリタイム稼働のサービスではこれらが非常に役に立つので、「皆さん是非AWS Enterprise Supportの契約をしましょう!」という文言のスライドが会場に映しだされました。





また、EC2リザーブドインスタンスを契約している同社は、その利点についても言及。リザーブドインスタンスとは、簡単に言うと「ちょっと高めのお金を払っていくつかのメリットを受けつつも、最終的には4割減のコストになるよ」というもの。不要になれば販売もできますし、あるタイトルで使わなくなったら他のタイトルで使えばいいため、ガンホーではこのリザーブドインスタンス契約を勧めていました。ちなみに、同社のパターンだと契約6ヶ月以降になると元が取れてしまうそうです。他方、「c3.xlargeは二つに分割して適用する事ができる! だが逆はできない」と小ネタも披露した両氏は、最後にAWSに望むいくつかの事柄と、「感動と楽しい経験を提供する」同社の理念実現のため、AWSと共にやって行きたいと締めくくりました。





◆ゲームプラットフォーマーのクラウド活用法


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17:20から行われたのは、小野篤司氏(株式会社DeNAシステム本部IT基盤部部長)、梶原大輔氏(グリー株式会社執行役員インフラストラクチャ本部長)、清水勲氏(株式会社ミクシィクロスファンクション本部システム統括室第2グループリーダー)の三名によるパネルディスカッション。進行は安川 健太氏(アマゾンデータサービスジャパン株式会社技術本部ソリューションアーキテクト)です。
「日々進化し続けるソーシャルゲームを支えていくために、クラウドをどう活用していくべきか?」をテーマに、各社のAWSの利用事例を紹介しつつ話を進めました。




―――AWSクラウドを使い始めたきっかけは?

小野:2010年の4、5月頃でした。Facebookにゲームを出すために利用しました。AWSを選んだのには二つ理由があり、一つは「主なマーケットが海外だった」という事。もう一つはスケールアウト、そこのキャパシティです。ゲームは出してみないと分からないところがあるので、オンプレミスでは追い付かないだろうというのが使い始めた発端ですね。



梶原:CloudFrontを使い始めたのが最初の切掛けです。更新のタイミングでコストや品質を毎年見直していて、伸びでCloudFrontを選びました。IaaSの部分のAWSとしては、今年値下げがあった時にコストを見直してみたところ、まあそれでもまだオンプレの方が安かったんですが、Amazonの経営哲学と言うか「利益は後で、マーケットの反応なども後回し、長期的に利益を出して行こう。直近の黒字化ではなくまずは投資に回して行こう」というスタンスを感じたので、今後さらにコストが下がるのではないかという期待も含めてですね。今は新規のゲーム用にAWSの準備をしているところです。



清水:当社はオンプレミスでずっとやって来ました。近頃では「SNS以外の部分で新しいサービスを生み出そう」という動きが活発になってきていまして、正直なところ、そういった新規サービスが成功するかどうか分からないため「最適なインフラ」としての選択です。オンプレミスでも大丈夫だとは考えたのですが、リスクを考えるとDBやパブリッククラウドを選択するのが必然かな……と。その流れでモンストを始めゲームにDBを使うのが当然でしょ? といったところです。




―――それでは、各社の感じる、考える「クラウドの利点」とはどんなところでしょう?

小野:コンポーネントを一つのプログラムとして扱えるというところ運用効率をよくできる可能性もありますし、パブリックなクラウドというわけではなく、プライベートなクラウドで組んでもいいかも知れないんですけど、AWSさんなどはそういった部分が機能的に充実していますから、そういったところが一番のメリットですね。今後はクラウドに力を入れる業者が増えて価格競争も進むと思うので、これから先はコストに対しても期待しています。

梶原:AWSに限って言えば、インフラの用語が共通語になった事が大きいかな、と思っています。これまでの、例えばRubyやPHPなどプログラム言語勉強会みたいなところでの「苦労話を共有化」が、EC2などのツールに対する共通の話題でコミュニケーションが取れるようになった。これにより情報がどんどん出てくるようになりました。また、あまりいい話ではありませんが、「大本営」の障害情報が出てこない時に、「今サーバー落ちてるよね」などといった話がtwitterなどですぐに確認できる点もいいですね。

清水:クラウドという範囲で言うと、パブリックもプライベートもあると思っていまして、弊社で言うとOpenStackをプライベートクラウドとして使っている部分があります。先ほどの新規事業というのも、一部はプライベートクラウドを使用していますし、そこで、スピード感が求められている案件だとやはりクラウドがベスト。OpenStack やAWSを使っていて思うのが、APIが共通化されていたりして、同じような扱いができる、そういった部分でも、クラウドを使うと言うのが利点だと思っています。パブリックで言うと、海外でやりたい時にはクラウド以外の選択肢がありませんからね。

―――オンプレミスとのハイブリッドという戦略性についてお尋ねします。

清水:データセンターとAWSを太めの回線でつないでいます。データセンター自体はmixiの運用でサーバーも多くありますし、サーバーも回線もあり、これを活用しない手はないと。一気に捨てる選択肢はないので、そこを上手く活用しながらもAWSも活用するという手段をとる。というのがあります。突発的な負荷に対し物理サーバー増設などは現実的ではないので。弊社の構成だとレイテンシーは問題ないです。

梶原:僕らはまだ検証段階です。ただ、検証に共用線を使ってしまったため、他社要因でレイテンシーが高くなってしまうという問題にあたってしまって、今は専用線で再挑戦しようとしています。用途は、既存のゲームインフラのスケールアップ部分をやっています。小野:専用線接続などはしていませんが、使いどころを勘案しました。当面はパブリッククラウドへ全面的に移行するのは可能性が低く、使いどころとしてはハイブリッドで使う事になると思います。使う時にダイレクトコネクトでつないで、そこの構成はデータセンターを複数持つ構成と変わりませんからレイテンシーなどを気にする必要もありません。弊社は拠点をいくつか持っていて、それに新しく加わるような形になります。徐々にコスト面などでメリットが出てくれば、パブリックな比重が増えていくでしょう。



―――海外展開の活用状況や今後の方針などを聞かせてください。

小野:海外で展開する場合だと選択肢がない状況かなって思っています。独立したサービスを各大陸でやるには最適ですね。弊社ですとモバゲーを日本で展開しつつ北米でもやっているんですが、そちらは別のプラットフォームとして運用していて基本的には連動していないんです。だから、AWSの北米のどこかのリージョンを使うというのは有効な使い方でしょう。弊社は今のところ有効に使用できていますが、マスターのデータがどこかに集まっていないと駄目という場合、AWSさんのリージョン間の連携はインターネット通信ですので、他社と比べてもっと頑張ってもらえるといいですね。

梶原:USでやっているものに関しては、100%AWSでやらせてもらっています。海外展開に関してはAWSを使っていくというのはありますし、AWSでの展開が難しい国ではCDNの力を使ってレイテンシーを下げるのが方針ですね。

清水:会社としてのサービスは海外があまりなくて、これからは『モンスターストライク』で海外展開というのもプレスで発表しています。まず第一弾として台湾で『モンスターストライク』をやって、その次、今後はどこにいくのか分かっていない部分もある上で、「海外で行なうサービスにはAWS以外の選択肢がない」という感じですね。一方、リージョンの限られているところではどうするのかって疑問もあります。しかし、基本的にはリージョンの近いところがあるようなので、そちらを活用していきたいと思います。

―――中国での展開はどうですか?

小野:中国はどうしたもんかと考えていました。他のリージョンと同じサービス品質であれば是非使いたいなと。期待しています。

梶原:CDN経由でまずは展開させるかなっていうのが僕達の方針です。

清水:ちょっと言い難いですね(笑) ただ、サービスは発表しています。共用って形なんですかね? あまり余計な事を言うと怒られそうなので、後はノーコメントで(笑)

―――最後に、クラウドへの期待をお尋ねします。

小野:ある程度のオンプレ規模を持っている会社からすると、現状コストの恩恵がありません。ですから、コストが下がる事を期待します。また、様々なベンダーと連携して、もっと色々なサービスを展開していって欲しいと思います。もっと便利なコンポーネントを増やして欲しい。

梶原:OpenStackを使い始めたんですが、AWSとAPIが違いすぎるので、そこを共通化を希望します。AWSさんは今後も成長していくと思うんですが、競合の会社も頑張って価格を下げて欲しいですね。それが一番の期待です(笑)

清水:機能的な話になりますが、世の中的にdockerコンテナの機運があるんですけれども、ただdockerを使えるだけだと何も面白くはない。dockerとコンテナとの親和性を高めていくといいですね。クラウドには、単純にインスタンスではなくて、コンテナって体で色々できるようになればいいなって思います。


余談ですが、この『モンスターストライク』の画は、今セッションのために新規に書き起こしたとの事。意気込みを感じますね。モンストユーザーの中には、この画像を待ち受け画像などに使いたい人も多いのでは?

《平工泰久》

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