【Unite Japan 2014】ネイティブ初挑戦で大ヒット、『ACR DRIFT』のクルーズが紹介した「魔法の杖」とは? | GameBusiness.jp

【Unite Japan 2014】ネイティブ初挑戦で大ヒット、『ACR DRIFT』のクルーズが紹介した「魔法の杖」とは?

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Unite Japan 2014で3月7日、クルーズの蛭田健司氏と鈴木優一氏が「全世界135カ国に配信したレーシングゲーム『ACR DRIFT』の制作秘話と技術基盤の構築について」と題して講演しました。その本質は「やるべきことをきちんとやる」という、非常にシンプルなものでした。
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Unite Japan 2014で3月7日、クルーズの蛭田健司氏と鈴木優一氏が「全世界135カ国に配信したレーシングゲーム『ACR DRIFT』の制作秘話と技術基盤の構築について」と題して講演しました。その本質は「やるべきことをきちんとやる」という、非常にシンプルなものでした。

『ACR DRIFT』はフリックだけで誰でも簡単に豪快なドリフトが決められる、スマホ向けのネイティブレースゲームです。世界中のスポーツカー50車種以上が実車で搭乗し、ロサンゼルスや香港など世界の主要都市を舞台に白熱のレースバトルが楽しめます。総計22億通り以上のカスタマイズも魅力の一つ。さらにリアルタイムのオンライン対戦もアップデート予定としています。

すでに135カ国にApp Storeで同時配信され、そのうち50カ国でゲーム部門1位。88カ国でレースゲーム部門1位。135カ国すべてでベストニューゲームを獲得。欧州を中心に13カ国でメインバナーに掲示されるという快挙を打ち立てました。

レーシングゲーム『ACR DRIFT』135カ国にApp Storeで同時配信


しかし驚くべきことに、本作は同社にとって初めてのネイティブアプリでした。しかも初めてのUnity採用事例で、初めての海外向け戦略タイトルで、初めてのレースゲーム。にもかかわらず、立ち上げ当初は本格的なゲーム開発経験者が蛭田氏以外にいなかったのです。一方で開発期間は約10ヶ月と、驚くべき成果を収めたプロジェクトでした。もちろん、内作タイトルです。

結局、蛭田氏は「人材採用」「人材教育」「企画」「開発」「海外対応」と、ゼロからプロジェクトを進めざるを得ませんでした。人材採用では会社ウェブサイトの改良から手をつけることに。面接の質問や評価基準の標準化なども行いました。人材育成ではOJTとスクラムによる短期間・高頻度指導を徹底。特に人材採用は「どんなに忙しくても手を抜かない」ことが大事だと言います。

企画面ではレースゲーム初挑戦ということもあり、当初は直線のみのドラッグレースでした。しかし単純すぎるということで、フリックによる自由走行に挑戦。蛭田氏が自らプロトタイプをプログラミングし、かなり手応えを感じるものができましたが、今度はカジュアルユーザー向けではないと判断されました。

最終的に車線に沿って走行し、フリックのタイミングだけでドリフトできる現行案に帰着。もっともベストラップを刻むためにはフレーム単位での見極めが必要で、間口の広さと奥の深さを両立できたと言います。そしてリアルタイム対戦にも挑戦と、技術的課題も追求されました。

またシェーダーを自社開発し、豪華さや格好良さを徹底追求。エンジン音も実車サンプリングを組み合わせるなど、凝った内容となっています。その背景にあるのが同社のクオリティを重視する姿勢で、コンソールゲームの人気IPと比較されることも多いとか。しかし蛭田氏は「五感に訴える部分はこだわりぬくのが重要で、文化や民族は関係ない」と強調しました。

なお、これには真似ゲーが横行するスマホアプリの中で、技術的に飛び抜けることで参入障壁を作る狙いもあるとのこと。また、こうした挑戦を許す経営陣のバックアップも大きかったと語りました。

「開発が煮詰まっていた時、社長発案の『ピクニック』がありました。『失敗を恐れず挑戦して欲しい』と声をかけられ、開発チームの雰囲気がぐっとよくなりました」

10ヶ月で全てをやる必要があった企画内容の変遷
グラフィック/サウンドの視点から経営陣の視点から


蛭田氏は成功の秘訣は「成功するまで挑戦しつづけること」だといいます。また子どもの頃に小児ぜんそくを患い、外で思いっきり遊べなかったので、ゲームに救われた経験も大きいとコメント。現場の開発スタッフに感謝を示しつつも、今後も世界一のゲームを作るべく挑戦していきたいと抱負を語りました。

このプロジェクトを裏方としてバックアップしたのが、鈴木氏が率いる技術統括本部です。今でこそUnityを軸とした独自フレームワーク「Native Vinus」を保守運用している同社ですが、Unityに触りはじめたのは2012年の年末から。社員有志による勉強会から始まりました。その後、試験導入を経て本格導入、そしてUnity統括部が発足し、現在に至ります。

導入の決め手はシンプルで「もっとも優れたラピッドデベロップメントツールだから」というものでした。アセットストアをはじめ、開発部品が整備されており、ネイティブアプリの開発経験のない同社でも、比較的容易にキャッチアップすることが可能。蛭田氏も「正直Unityがなかったら、我々の成功はなかった」というほどです。

Unityを選定した理由Unityを選定した理由


もっとも鈴木氏は自由度が高い開発ができる反面、統制が取りにくい部分もあるとして、生産性の向上と開発標準化の両立が課題にあがったと語りました。そこで進められたのが、Nativeの固有部分を隠蔽化してしまい、開発者にプロダクト開発のみに専念できる環境を用意すること。これが現在も続く「Native Vinus」のコンセプトとなっています。

同社では蛭田氏が率いるSAP事業本部と、鈴木氏が率いる技術統括本部の二本立てでゲームが開発されています。技術開発本部には「Team Vienus」が存在し、その下に「Native Freamworkグループ」「Web Freamworkグループ」「開発支援グループ」というサブグループが存在。各グループが個々のコンテンツ開発に技術支援を行うスタイルをとっています。



また、これらとは別にサーバインフラなどを司る「Team Zeus」が存在します。現在は物理サーバが中心ですが、今後はリアルタイムオンライン対戦で飛躍的に増加するサーバ容量に対して、クラウドサーバの導入も検討していきたいと説明されました。

「やるべきことをきちんとやる」ことがいかに難しいかは、多くのゲーム開発者が日々感じていることではないでしょうか。しかし、それなくしてはUnityの高性能さも活かせない。逆にその姿勢があれば、Unityを活かしてネイティブアプリ未経験のチームでも、世界でヒットするアプリが作れる・・・。さまざまな意味で示唆に富むセッションだったといえるでしょう。
《小野憲史》

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