家庭用ゲーム機とソーシャルゲームの重複をデータで知る・・・「データでみるゲーム産業のいま」第12回 | GameBusiness.jp

家庭用ゲーム機とソーシャルゲームの重複をデータで知る・・・「データでみるゲーム産業のいま」第12回

今週から、ご紹介するデータを2月度のものに切り替えます。

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さて、今回はゲーム専用機ユーザーとソーシャルゲームユーザーの関わりについて考察いたします。

言うまでもなく、ゲーム市場はこれまで家庭用ゲーム機(ゲーム専用機)を中心に回ってきました。そこへ、ここ数年成長著しいソーシャルゲーム市場が加わり、マーケット全体はこれまでにも増して多様化しつつあります。

今回の市場の変化が今までの変化と異なるのは、それが必ずしも技術の進化と連動していないという点です。今までのゲーム市場の変化は、8bitから16bitへ、2D表現(背景+スプライト)から3D表現(ポリゴン)へ、ナローバンドからブロードバンドへ、など何らかの技術革新を伴っていました。しかし、現在起きているパラダイムシフトは、これらとは全く異質のものです。最近のソーシャルゲーム市場の急激な成長は、技術ではなくユーザー自身のプレイスタイルそのものを変化させました。これは、言うなれば“マインド・イノベーション”とでも呼ぶべきものでしょうか。

そこで、今回は既存市場(ゲーム専用機)と新規市場(ソーシャルゲーム)のユーザーがどれくらい重複しており、どのような特性を備えているのかというテーマにアプローチいたします。

【図1】は、ゲーム専用機ユーザー(家庭用ゲーム機を1台以上所有しており、いつでもプレイできる状態にあるユーザー)が、主要SNSをどれくらいアカウント登録しており、またそこでゲームコンテンツをプレイしているかをまとめたグラフです。グラフの各構成要素は以下の通りです。
・棒グラフ:長(薄い青)・・・SNSの登録ユーザー全体
・棒グラフ:中(薄い赤)・・・(上記のうち)ゲーム専用機を持っているSNS登録ユーザー数
・棒グラフ:短(濃い赤)・・・(上記のうち)2月にそのSNS上で何らかのゲームコンテンツをプレイしたユーザー数
・折れ線グラフ:黄色・・・SNS登録者数全体に占める、ゲーム専用機ユーザーの比率
・折れ線グラフ:緑・・・2月にそのSNS上で何らかのゲームコンテンツをプレイしたユーザーの比率

ゲーム専用機ユーザーにおけるSNS登録ユーザーの規模が一番多いのは、mixiの514万人です。以下、Facebook(353万人)、Mobage(328万人)と続きます。この序列自体は、SNS登録ユーザー数全体(一番長い棒グラフ)でも基本的には同じです。それぞれのSNSで若干のばらつきはあるものの、ゲーム専用機所有率(黄色の折れ線グラフ)は概ね30-50%といったところです。この序列が大きく崩れるのが、「ゲームMAU(一番短い棒グラフ)」と「ゲーム利用率(緑の折れ線グラフ)」です。2月度のMAUが一番多かったのはMobageの301万人です。mixi(218万人)とGREE(216万人)がほぼ同じ規模でそれに続きます。ゲーム利用率はMobage、ハンゲーム、GREEのゲーム系SNSがいずれも90%前後と非常に高い数値を示し、その他のSNSを大きく引き離しています。

このように、ゲーム専用機ユーザーであっても、それぞれのSNSに登録する際、それが“ゲーム系SNS”と“コミュニティ系SNS”とでは、その目的に明確な違いがあることが分かりました。

次に【図2】をご覧ください。これは、ゲーム専用機ユーザーの中でもっとも専用機ユーザーらしいユーザー特性を持っているであろうPS3と、SNSの中でゲームユーザー規模が最も大きいMobageのユーザークロスデータです。この2つのプラットフォームは、Mobage(408万人)、PS3(345万人)のうち、54万人のユーザーを共有しています。今回は、このうち「重複ユーザー」と「PS3のみユーザー」を年齢別のゲーム関与度(IPS)という視点で比較します。

右サイドの「PSのみユーザー」は、40歳くらいまではIPS構成にそれほど明確な違いは見られません。あえて言えば若年ユーザーの方がほんの少しだけイノベーティブな傾向が強いようにも見えます。それに対し、左サイドの「重複ユーザー」は、全体に非常にイノベーティブ傾向が強い上に、若年ユーザーになるほどそれがさらに強まる傾向が明確に出ています。つまり、ゲーム専用機ユーザーであっても、それと同時にソーシャルゲームを志向するユーザーは、全体的に生活の中にゲームが深く結びついており、また若年ユーザーほどその度合いが強い、具体的に言えば、そのニーズ(ゲームに求めるベネフィット)やプレイシーンに応じてゲーム専用機とソーシャルゲームを使い分けている可能性が高いと考えられます。

このように、市場トレンドの変化を多角的に考察することが非常に重要であり、その結果ターゲットユーザーに対し画一的ではなくきめ細かいアプローチをするための示唆が得られることも少なくありません。

ゲームエイジ総研
『Monthlyゲームマーケット・トレンドレポート』 発行人 光井誠一

調査スキームについて
本ページ掲載のデータは、約2万サンプルを対象とした大規模インターネット調査の調査結果を元に、社会調査(訪問調査/毎月実施/1,200サンプル)をベースに構築したウェイトバック値(補正係数)により拡大集計したものです。この手法により、ネットバイアスを排除したユーザープロフィールの実像を推計することが可能となっています。なお、調査手法その他詳細につきましては、ゲームエイジ総研のHPにてご確認ください。
《光井誠一》

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