スマホ向けソーシャルゲームの海外展開事例、ポットタップ道村氏が語る〜IGDA日本 SIG-Glocalization | GameBusiness.jp

スマホ向けソーシャルゲームの海外展開事例、ポットタップ道村氏が語る〜IGDA日本 SIG-Glocalization

IGDA日本グローカリゼーション部会(SIG-Glocalization)は21日、第7回セミナー「モバイル向けソーシャルゲームの海外展開」を開催しました。

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IGDA日本グローカリゼーション部会(SIG-Glocalization)は21日、第7回セミナー「モバイル向けソーシャルゲームの海外展開」を開催しました。
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IGDA日本グローカリゼーション部会(SIG-Glocalization)は21日、第7回セミナー「モバイル向けソーシャルゲームの海外展開」を開催しました。

第一部では『Twinkle Bar』『CordeMania』をiPhoneアプリで展開中のポットタップ社長・道村弥生さんが「スマートフォン向けソーシャルゲームの成功と失敗」と題して講演。第二部では開発中の『プーペdeファッション(仮)』の海外展開をテーマに、グループディスカッションが行われました。

■業績から見るモバイル向けソーシャルアプリの今

ソーシャルゲームのブラウザ対応が多い中、いち早くネイティブアプリに特化してリリースを続けるポットタップ。これまでにmixiモバイル『星空バータウン』をiPhone向けに移植した『Twinkle Bar』と、同じくGREE『コーデマニア』を移植した『CordeMania』という、2つのソーシャルゲームをリリースしています。

これまでの売上げでは、『Twinkle Bar』が8万ダウンロード、アクティブ率6%、課金率1.5%、ARPPU(有料会員あたりの売上げ)600円で、平均売上げが1日4万5千円。これに対して『CordeMania』では、10万ダウンロード、アクティブ率16%、課金率2%、ARPPU500円、1日当たりの売上げが16万円となっています。

ここから成功の指針として、「アクティブ率20%、課金率2%」のラインが示されました。この場合、5万ダウンロードで月間300万円、30万ダウンロードで月間1800万円の売上げが見込めます(ARPPUが500円の場合)。これがアクティブ率30%、課金率4%では、それぞれ900万円、5400万円の売上げ見込みに。ここまでくると国内トップセールス3位圏内に入ると言います。

もっとも『Twinkle Bar』『CordeMania』ともに、開発を通して反省点が見られたのも事実。大きく「通信の重さと量」「プラットフォームがない場合のソーシャル性」「更新性の悪さ」の3点が課題だったといいます。

まず通信面では、フィーチャーフォンでのソーシャルゲーム開発と同じく、サーバ側で何度も処理する設計を踏襲した結果、ネイティブのスマートフォンアプリにもかかわらず、操作性が悪くなってしまった点がありました。同期性を意識しすぎてページ遷移ごとに通信を繰り返したり、通信時の待ち時間がストレスの温床になったとも言います。

この対策として、できるだけアプリ内で処理を行わせ、通信をまとめて行わせるようにすること。また通信時にはテキストやアニメーションなどを表示して、ユーザーのストレス度を下げる工夫が必要だとされました。

また本作はGREE、モバゲーといった、既存のソーシャルグラフを流用していない、アプリ単体でのソーシャルゲームとなっています。そのためゲーム初期は、コミュニケーションが発生しづらい問題点がありました。対策として「Facebookやtwitterなど、既存のSNSとの連携はできるだけ組み込むべき」だと語ります。

最後にAppStore特有の更新性の悪さ。1度アップデートすると、繁栄されるまで約2週間は見ておくべきで、リリース後2ヶ月程度の予定を加味した設計が必要なこと。同様にイベントの追加もしにくいので、イベント用の導線を確保したり、イベント追加後のデザインを考慮する必要もあるとしました。

同社ではこうした経験を踏まえて、『プーペdeファッション』(仮)と、『ANIMAL VILLAGE』(仮)の2作を秋に向けてリリース予定としています。前者はファッション中心のPC向けコミュニティサービス『プーペガール』のiPhone版。後者は動物たちの村を経営する「村系」ゲームです。開発費も一本当たり1000万円以下に抑えたいと言います。

■「作って、出した」だけでは難しかった海外展開

質疑応答では、海外展開の難しさについても触れられました。『Twinkle Bar』は英語版もリリースされていますが、売上げは日本とは比較にならないほど小さいとのこと。反省点としてマーケティングやプロモーションに関するノウハウがなく、「作って、出した」だけに留まってしまった点が上げられました。ローカライズについても、カクテルレシピやアラートなどのテキストを英語訳にするだけに留まったとのことです。

また「国内で効果的だったプロモーション方法」という質問では、リワード広告が上げられました。あるゲームの進行に不可欠なバーチャルアイテムを得るかわりに、広告をクリックしたり、広告主のアプリをダウンロードする、といった仕組みです。

逆にレビューサイトについては、「AppBank」以外は効果がなく、広告を打っても効果が乏しいとコメント。このほか「先行者利益の部分もあるが」と前置きしつつ、リリース前にtwitterやFacebookで開発状況を定期的にツイートしていった結果、数千人のフォロワーがつき、リリース直後に一斉にダウンロードしてもらえたと語られました。

このほか「女性向けアプリならではの企画」という質問に対しては、「一般的に女性はバトル物の仕様は嫌がる傾向にある」としつつも、最近は変わってきたのではないかとコメント。米国ランキングで無料アプリの1位を獲得したiPhoneアプリ『Top Girl』においても、ゲーム内で男の子を奪い合うような仕様が入っていると紹介されました。「男性向けと女性向けで、だんだん内容が近づいてきているのでは?」(道村さん)

他に議論が盛り上がったのが、スマートフォン移植時におけるUIの作り込みについて。フィーチャーフォンでは上から順番に重要な項目が並ぶのが普通だが、スマートフォンでは通常のゲームと同じように、UIがアイコンで平面に並ぶため、UI設計がまったく異なるとされました。

そのため『Twinkle Bar』では女性が手に持った時の感覚に合わせて、最も重要なアイコンが右下に配置されていると説明。一方会場からは「中央下がいい」「左下の方が良いのでは?」などの意見も見られました。もっとも「ユーザーの反応を見ながらアップデートできるのが、ソーシャルゲームの魅力」という意見に、一様にうなずいていました。

また開発中の『プーペdeファッション』(仮)では、将来的な仕様追加を見越して、あえてメイン画面のアイコン配置に、余裕を持たした設計になっていると解説されました。

■鋭いコメントが頻出したグループディスカッション

第二部のグループディスカッションでは、冒頭でプーペガール岡田寿代社長から、PC版『プーペーガール』の概要が紹介されました。『プーペガール』は2007年にサービスが開始されたコミュニティサービスで、プレイヤーは好きなファッションでアバターを着飾ることができます。

日本国内向けのサービスですが、登録ユーザー数は105万人を数え、そのうち46%が外国からのアクセスとのこと。国別ではアメリカが18%、ポルトガルが9%、以下台湾、シンガポール、スペインと世界各地にわたります。中でもロリータ系のファッションが海外ユーザーに人気が高いといいます。iPhone版ではPC版のユーザーをベースに、海外展開を通して、より多くのユーザーを獲得したいとしています。

グループディスカッションでは、数名単位でチームに分かれて、ローカライズに関するさまざまな議論が行われました。最後にチーム単位でアイディアをまとめて発表。以下に主なものを紹介します。

・日本人が海外向けにカルチャライズしても限界があるので、あえて言語ローカライズに留める。その上でファッション文化理解のためのヘルプ機能を充実。イベント的に各国仕様の内容を追加していく。

・日本は世界では「お洒落」の感覚が異なり、国によっては「お洒落の楽しみ方」を知らない恐れがある。そのため間口を広げる努力や、ゲームを通してセンスが身につくような作り方をしたほうがいい。

・自分のアバターの写真をプロフィール画面に設定できるなど、Facebookやtwitterなどとの連携を強化する。

・iPhone版ならではの差別化要因として、GPSと連動させて、その地域でなければ入手できないアイテムを登場させ、ユーザー間でのコミュニケーションを加速させる。

・世界の、どのようなUIリテラシーのユーザーでも遊んでもらえるように、頭部をタッチすれば髪型が変えられ、体をタッチすれば洋服が替えられるなど、UIをより直感的にする工夫を行う。

ゲーム業界では、こうした開発系のセミナーでグループディスカッションが行われる例は、ほとんどありません。結果的に「自社タイトル以外のゲームのアイディア出し」「周りはみな初めて会った人ばかり」「開発中のゲームがテーマ」と、異例ずくめのディスカッションとなりましたが、さすがに参加者はプロの開発者ばかり。鋭いコメントが連続していました。

グローカリゼーション部会では次回、『ローカリゼーションマップ講演会』を7月4日に予定しています。
《小野憲史》

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