
日本国内だけではなく世界中に広がるロボットもの、それがガンダムシリーズです。
そんな長く偉大なガンダムシリーズに新たな一員が加わることになりました。それが『GUNDAM ROGUE ORBIT』です。本作はアニメではなくゲームから初めて展開する、ガンダムシリーズの中でも異質の存在ということで、発表当時から話題となっています。
本記事ではこの話題作の制作に携わっているお二方へのインタビュー内容をお届けします。
世界中のゲームユーザーにガンダムゲームをもっと知って欲しい

今回インタビューを受けて頂いたのはプロデューサーの富山 勇也氏(画像右、以下富山氏)とディレクターの芹澤 義行氏(画像左、以下芹澤氏)です。

――本作は完全新規の世界観ということですが、どういった経緯でこの企画が生まれたのでしょうか。
富山氏:本作『GUNDAM ROGUEORBIT』は「国内のみならず世界中のゲームユーザーにガンダム作品を届ける」というミッションのもと、まずはバンダイナムコエンターテインメントで企画が始動し、異なるアプローチの新たな挑戦として、長期間にわたる技術検証と企画議論が重ねられました。様々な可能性を検討しながら試行錯誤を続けた結果、「ガンダム VS 地球外生命体」という新たなゲーム企画へたどり着きました。

――ワールドワイドを意識したことで、グラフィックもフォトリアルなものになったと。
富山氏:そこも 1 点ありまして、合わせてこれまでにない取り組みを通じて新しい表現を目指していこうという思いもあり、フォトリアルに挑戦しています。
芹澤氏:今回の RG project では新たにSFの世界観で描いているのですが、そこでやはり幅広く世界中のお客様に興味を持っていただきたいと思っておりますので、フォトリアルにしてそのSF特有のメカニックの質感であったり、デザインやキャラクターのコスチュームの質感などの表現は、フォトリアルなアートスタイルのほうが優れているという判断です。また、ガンダムゲームということだけでなく、SFのアクションゲームというところでも興味を持っていただくということを狙いとしています。

――本作が完全新規のプロジェクトというところで挑戦的な試みだなと思います。ガンダムのゲームというとシミュレーション等他のジャンルもあったと思うのですが、今回ハイスピードアクションという形式を採用した経緯をお伺いできますでしょうか。
富山氏:大きいところとしては、やはりより魅力的で高精細なアクションゲームとを好むお客様の層にアプローチしたいというがまず第一にありました。また、開発チーム含めスタジオにガンダムのゲームにたくさん携わってきたスタッフがおりますので、様々な技術検証や経緯を経て、その強みを活かす上でもこのジャンルを選定しました。
芹澤氏:プレイヤーが操作するガンダムと対峙するアポカリプスという、「巨大な強大な敵とのバトル」という設定を活かすにあたり、やはりアクションゲームがいちばん手応えがあったんです。いろいろ歴史があるガンダムゲームの中で、もちろん重量感のあるものも存在はしますが、今のアクションゲームと最近のガンダム作品を天秤にかけ、ハイスピード、機動性というところも重視してハイスピードアクションを選択しました。
※RG project :アニメーションとゲームなどの複数メディアで同一の世界観と歴史を共有し、異なる視点と距離感から物語を描く新たなガンダムのメディアミックスプロジェクト

――アクションゲームとして本作は近接武器が中心になっていますが、多くのガンダムシリーズでは遠距離武器を持っていることが多いと感じています。なぜ、近距離武器主体としたのでしょうか。また、今回のメイン機体であるガンダムヘリックスは外装が変えられますが、じゃあこのガンダムヘリックスはどういったものなのでしょうか。
富山氏:最初のご質問の「近距離でのバトルをメインにした」というところで言うと、やはり先ほども申し上げた「国内のみならず世界中のゲームユーザーにガンダム作品を届ける」というミッションからになります。そういった中で開発チームの強みである手触りの良い操作と緊張感のあるバトルを両立した、魅力的なアクションゲームを作り上げることを目指しています。
「本作におけるガンダムとは何か」はなかなか難しい質問ですが、そういったところも含めてゲームを遊んでいただいたときに本作の魅力を感じていただけるようになると思います。
芹澤氏:近接アクションをメインにしたというのも、アポカリプスという巨大な敵に対して部位を破壊したり、そういった手応えを重視したというところが一番大きいです。このゲームのコンセプトである「エースパイロット体験」を世界中のお客様に提供したいという思いがありました。その中で世界中のお客様へ「モビルスーツというものはこういうものだ」という表現には非常に重視しております。デッキに自分のガンダムヘリックスが立っていて、「あれに自分が乗り込むんだ」と。そして乗り込むと、乗り込むシーケンスというかハッチが開いてコクピットに乗って、そのコクピットの中に外部の映像が流れて、艦長やオペレーターから作戦の指示が与えられて、その次にカタパルトから出撃……という流れを体験していただきましたが、こういったところをゲームプレイで感じてもらえるような形で入れ込んでいます。
あとは人間ドラマの部分ですね。完全新作ということで、主人公のレクスがさまざまな人達と出会い、エースパイロットとして成長していくという姿を描くことで、こちらの面でも面白さを感じてもらえればと思っております。

――ワールドワイドに向けたロボットゲーム・ロボット作品ということで、海外では知性を持つ自律ロボットはキャラクターとして親しまれている一方で、乗り込み型のロボットっていうのは海外では売れづらいというジンクスがあるように感じます。ここに対しての今回のゲームでの勝算や魅力を伝えるためのと取り組みがあれば教えてください。
富山氏:今回体験いただいた中にもあるように、ゲームだからこそ自分がプレイヤーとなって作戦を聞いて自分で乗り込んで、そして出撃するときにも主人公の姿が少し映って……という体験で、しっかりと自分がパイロットとなって操縦しているという感覚というところはしっかりと感じてもらえるように、かなり注意をして開発を進めています。
開発中、バンダイナムコの海外チームも含めて意見を取り込む中で、それこそコクピットのシーンを加えたりだとか、人が乗り込むロボットというものになかなか関心がない海外の方にも「こういったエンターテインメントコンテンツがあるんだよ」というところをしっかりと感じ取ってもらえるように作っています。その部分はしっかり感じてもらえるゲームになっていると思いますし、新しい魅力としてこれから届けたい世界中のゲーマーにも感じてもらえると思っております。
芹澤氏:先ほどお話ししたガンプラであったり、最近ですと動画配信サービスを通じてガンダム作品はワールドワイドで広がっていますが、どれから参入したらいいか、どれから見始めたらいいかという非常に難しい課題とあると思っています。その中でしっかりとガンダムの良さを伝える一環として、ガンダムヘリックスに自分が乗り込んで戦場で自分がエースパイロットになるというカタルシスであったりとか、戦闘以外での人間ドラマ、葛藤や成長といったところをしっかり伝える機会を作れるのが本作ではないかと思っています。それを本作で表現することで、よりガンダムの良さ、ガンダムゲームののファンを世界中に作っていきたいと思っております。

――世界観の設定に神山監督が関わられているというお話がありました。具体的にどのような話し合いをして、神山監督はどのように考案されていったのでしょうか。
富山氏:本ゲームの神山監督への関わりについては、神山監督のアニメ『機動戦士ガンダムRG XARX-ZERO』シナリオ会議に開発メンバーが参加させていただき、一部のアートデザインなどもゲームと共有させていただいています。アニメの世界観の設定構築がなされたのち、ゲームスタッフ側へそれをご共有いただき、それを基礎に据えたうえで、ゲーム体験を最大化させるためにアニメ『ガンダムRG XARX-ZERO』で描かれる時代と本作『ROGUE ORBIT』で描かれる時代を分け、ゲーム用のシナリオへ我々で新たに落とし込んでいったという形になります。モビルスーツのデザインでは、腰のデザインの部分が実は共通の機構を持っていたり、そういった設定なども組み込まれていたりします。他にも、細かな要素としての連動した設定が入っています。
芹澤氏:どちらか一方を見たりプレイしないと楽しめないコンテンツにはしない、というところは非常に注意しています。僕はもう55歳で、1979年の第1回放送をリアルタイムで見た世代なんです。今回のRG projectの世界観は僕にとってすごく刺激的で、これをうまくゲームに落とし込んでいきたい、という思いがあります。
そのなかで、アポカリプスという地球外生命体との戦い、巨大な敵と対峙するアクションゲームとしての緊張感を描いています。世界観のリンク部分としては、アポカリプスがもたらした3つの福音――重力制御、超高圧推進、マテリアライズ――といったものを共通のワードとして使うことで、世界観の共通性を保っています。

――本作はハイスピードアクションというジャンルでの展開かと思います。ワールドワイドの層を狙っているというお話でしたが、どういった層、年齢層を想定されているのか、より詳しく教えて下さい。
富山氏:昨今、世界中の方々が日本のいわゆる爽快で手触りのよいアクションゲームに魅力を感じてくださる機会が、すごく増えていると思っています。そこはバンダイナムコスタジオを含めた日本の開発チームの強みでもあるので、その魅力を伸ばしていくという意味で、我々にしか作れない魅力的なものを作っていけると思っています。ガンダムシリーズのファンの方はもちろん、”ガンダム”を知らない人でも入ってこられるゲームとして魅力的だと思ってもらえるはずです。
グラフィックについてもフォトリアルに挑戦していて、これまでのガンダムゲームにはない非常に魅力のある見た目にできているのではないかと思っています。ちょっとした攻撃で開くメカの機構といった高精細な表現も含めて、これまでメカゲームを自分事だと思っていなかったお客様に、初めて手に取ってもらえるガンダムゲームになるのではないか。そういった方々に届けていきたいと思っています。
芹澤氏:トレンドというわけでもないかもしれませんが、高難易度の、差し合いのようなアクションゲームは数で言えば需要が多いと思います。ただ今回はそちらが主ではなく、『ガンダムシリーズ』のファンの方はもちろん、”ガンダム”を知らない人でも楽しめるところが主なので、多くの方に手に取って楽しんでいただきたい。そう考えて、気持ちよさを重視しました。


――ゲームボリュームについて伺います。想定されているプレイ時間、登場するモビルスーツの数や種類、敵アポカリプスの種類、武器やパーツ数などをお聞かせください。また、本作のハイスピードアクションについて、強みやこだわったポイントも伺えればと思います。
富山氏:まずボリューム周りですが、具体的なパーツ数や武器種の数は、これから順次情報を出させていただく予定です。現時点で登場しているものはあくまで一部、という形でお答えできればと思います。ゲームボリュームとしては、ストーリーをまっすぐ進めていくのであれば、おそらく20時間前後くらいになるのではないかと思っています。もちろん、いろいろな装備を試したり、自分好みの機体を作って試しながら進めていくと、人によって幅は出てくると思うのですが、およそそれくらいになる方が多いのではないでしょうか。
アクションのこだわりについては、ぜひディレクターのほうから。こだわりが炸裂すると思いますので(笑)。
芹澤氏:ハイスピードに寄せていけばいくほど、さすがにモビルスーツらしさが失われすぎるところもあるのかなと。ですので、触っていただいたアサルトソードの強攻撃であったり、ランスの一撃の重み、そのあとの硬直であったりと、重さのようなものは非常に重視しています。そういったものを入れていくと、重量感、モビルスーツらしさ、18メートルほどの巨大な人型兵器という表現はできるのですが、ハイスピードアクションを目指しているうえで、そこに寄せきるよりは気持ちよさを重視しました。たとえばタクティカルスキルは、あらゆる行動中にいつでも割り込めて隙を消せますし、ステップでも強攻撃の隙を消せます。「シフト」と呼ばれるカウンターアクションも、ゲージがあればいつでも使えます。
そうやって、ハイスピードでありながら重みがあり、重さによるリスクのある部分は自身の素早いアクションに切り替える。そういったところを意識して、ハイスピードアクションとモビルスーツの重量感の両方をうまくバランスを取って大事にしています。
富山氏:アクションのアニメーション周りについても、これまでガンダムのゲームに携わってきた開発チームの皆様の知見が込められています。これまでのガンダムゲームのさまざまな要素を楽しめるところが詰め込まれたアクションになっていると思います。

――動かした際やブーストした時にパーツが展開するところも、相当こだわられた部分でしょうか。
芹澤氏:はい。こちらはガンダムヘリックスですが、今日ご覧いただいた他の2系統の機体もすべて同じで、チャージ攻撃をするとスラスターが開いたりします。ゲームだからこそできる細かなメカらしさ、よりモビルスーツの解像度の高い表現に今回チャレンジしているところで、そこもこだわりのポイントです。
富山氏:ゲームだからこそできるさまざまな表現を、アートチームの皆様がふんだんに実現してくださっています。その魂をプラモデルにも込めていただいていて、ディテールについてこだわりのあるものになっているのではないかと思います。

――ガンダムは熱心なファンが多い作品だと思います。今回は世界観がガラリと変わった挑戦的な作品ですが、「ガンダムゲームとしてここだけは守ろう」と気をつけていた点、苦労した点をお聞かせください。
富山氏:今回公開させていただいた映像のなかではまだ伝えきれていない部分が正直あるのですが、アポカリプスという未知の存在との戦いを描くゲームでありながら、そのなかで描かれる人と人とのドラマが中心の話である、というところはしっかりと作り上げています。そこがブレないようにしている軸の部分です。
さまざまなキャラクターが登場する映像を公開していますが、それぞれがちゃんと背景を持っていて、主人公のレクスが中心となり、ガンダムヘリックスという特別なモビルスーツのパイロットとして活躍する。人と人との繋がりや、そこで描かれる思いを描いていく。そこはしっかりとブレないように作らせていただいています。
芹澤氏:デザイン的なところもそうですね。パッと見て「これはガンダムだ」とわかる記号的なものはしっかり残しつつ、デザイン的な魅力は損なわないよう意識しています。ディテールを細かくしたり、面ではなく流線型のボディで機体を表現しているのも、「ガンダムって人が乗り込んで戦う兵器なんだ、かっこいいな」と思っていただけるように気をつけています。
あとはやはり、自分が乗り込んで出撃するところ、そしてビームライフルですね。近接アクションがメインではあるのですが、チャージビームライフルでしっかり高ダメージも出せるようにしています。基本的には近接アクションで戦っていくところを意識しつつ、ビームライフルの要素は残す。そのなかでハイスピードアクションを実現できるように意識していました。

――RG projectとして展開されていくなかで、改めて本作の立ち位置を伺いたいです。また、海外を強く意識されているというお話でしたが、作品の中身以外の戦略的な部分では、どのように海外の方々に届けたいと考えていらっしゃいますか。
富山氏:RG projectの立ち位置についてですが、ゲームについては「国内のみならず世界中のゲームユーザーにガンダム作品を届ける」というのがミッションとなっています。そのために、これまであえて表現されていなかったところにも取り組んでいます。ゲームのほうでもフォトリアルの表現や、立ち向かう敵の表現も含めて、かなりさまざまなチャレンジをさせていただいています。
いずれも、ガンダムシリーズを知らない方々でも入っていける入り口にしていきたい。そこを目指して進めてきました。立ち位置としては、まさにそれを実施すべく、これまでの枠にとらわれない取り組みのなかで、ガンダムの魅力を知っていただくきっかけになるようにゲームを届けていく。それが我々に課せられた1つの大きなミッションかなと思っています。
芹澤氏:アニメがあってゲームがあって、ゲームの立ち位置としては完全に独立しているので、それぞれ楽しんでいただきたい、という立ち位置で作ってきました。
プラモデルは非常に好調で、ガンダムベースも各地に作られていますし、映像も動画配信サービスでより伸びていく。では、ゲームはどうなんだというところで、非常に後追いだと思っています。今回のタイトルで、ガンダムゲームというものが世界中に浸透していく口火を、まずは切れるといいなと思っています。


『GUNDAM ROGUE ORBIT』はPS5/XBOX Series X|S/Steam 向けで2027年3月5日(金)に発売予定です。
©SUNRISE
※画面は開発中のものです。







