“表現規制”はユーザーに何を強いるのか?『バイオハザード RE:4』で見る日本と海外のゴア表現【特集】 | GameBusiness.jp

“表現規制”はユーザーに何を強いるのか?『バイオハザード RE:4』で見る日本と海外のゴア表現【特集】

日本語ユーザーを悩ませる「表現規制」。『RE:4』の表現差異から感じた、ユーザー目線の感情を言語化します。

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“表現規制”はユーザーに何を強いるのか?『バイオハザード RE:4』で見る日本と海外のゴア表現【特集】
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ゲームだからこそ味わえる醍醐味のひとつに、「破壊」という概念が挙げられます。

たとえば、室内のオブジェクトを破壊したり、ゲームによっては建物自体を倒壊させたりすることも可能です。現実世界では推奨されない行為であるからこそ、バーチャルな世界でストレス解消の手段となり得るのが「破壊」という営みです。

そして、ゲーム内で破壊できるのは無機物だけではありません。表現によっては敵そのもの、つまりは「人体」がその対象となる場合があります。同時に、日本のユーザーにとってゴア表現は「規制対象」になり得る不安要素のひとつ、とも言い換えられるでしょう。

筆者が愛する『バイオハザード RE:4』も、例外ではありませんでした。

日本版『RE:4』のプレイ時間は250時間を超えており、20周クリアしてトロコンも完了済み。「遊び尽くした」と言っても過言ではない状況になってから約2年後に、海外版である『RESIDENT EVIL 4』を購入して再びプレイを開始します。理由は、大好きな作品だからこそ、表現規制のないゴア描写全開の本編も遊んでみたくなったからです。

日本版も頭部や四肢が欠損するなど、非常に「頑張ってくれている」のですが、結論から言うと、海外版の『RE:4』は爽快感が段違いでした。

海外版に慣れた状態で再び日本版をプレイしてみると「かなりマイルドになっているな」と感じます。この経験から、過去にさまざまなタイトルで経験してきた「ゲームの表現規制に対する不満」が、心の表層に再浮上してきたのです。

そこで本稿では『バイオハザード レクイエム』発売直前特集として、『RE:4』両バージョンにおける欠損描写の違いを解説しながら、プレイして実感した「表現による伝わり方の違い」をお伝えします。記事の後半では、いちゲームユーザーとして「表現規制を嫌だと感じる理由」と、表現の未来に対して思うことを言語化してみました。

過去に楽しみにしていたゲームの表現規制で苦い思いをしたり、購入を見送ったりした経験がある方もぜひご覧ください。

なお、今回のテーマの特性上、ショッキングな画像が続きます。お食事中の閲覧にも適しておりませんので、グロテスクなシーンが苦手な方は特にご注意ください。



各部位におけるゴア表現の比較

ここからは、『RE:4』の敵キャラクターであるガナードの欠損描写について、両バージョンでどのような違いがあるのかを細かく見ていきましょう。

ガナードとは、寄生体(プラーガ)に侵されてしまった元人間であり、主人公のレオンに向けて集団で襲いかかる敵キャラクターを指します。

日本版と海外版の表現の違いは、主に「頭部の欠損」「胴体の破壊描写」「欠損した部位(手足など)」「着弾箇所の表現」の4ポイント。海外版では、主人公・レオンの死亡演出にも違いがあるのですが、本稿では敵へ攻撃した際のリアクションに絞って解説します。

頭部:ヘッドショットで破片が飛ぶ

前提から言うと、日本版でもヘッドショットで頭部が欠損します。

日本語版でも頭部はしっかり消し飛ぶ

この点だけでも、リメイク前の『バイオハザード4』や『バイオハザード RE:2』における日本語版の規制から大きく変化しています。上記のタイトルは、ヘッドショットでクリティカルが発生しても頭部の形が保たれたままでした。

そして海外版では、頭部が欠損した瞬間に「破片が飛ぶ演出」があります。日本版は派手に血飛沫が舞うだけであるのに対して、海外版はポップコーンのように頭部が弾けるのです。

画面上部に見えるのが破壊された頭部の破片

言葉にするならば、日本版は「消し飛んだ」、海外版は「砕け散った」といった印象に。地味ですが、この演出があるのと無いのとではヘッドショットの爽快感に雲泥の差があります。料理で言う「最後の黒コショウ」の有無みたいなものです。

ちなみに、吹き飛んだ頭部の破片をライフルのスコープで覗いてみると、ひとつひとつがウネウネと脈動しているのが確認できます。「破片」だけに細かい演出。

よく見るとグネグネと脈動していました

日本版では散らばる破片が確認できなかったので、海外版からさりげなく規制された演出であることは間違いないでしょう。

この破片がウネウネしているということは、脳まで寄生体に侵されていることを意味します。黒幕の思うがままに動くガナードの思考停止状態を、ゴア表現からも読み取れる、といえば大げさでしょうか。

胴体:上下や左右に大破する

胴体に関しては、日本版と海外版で最も表現の差異が目立つ部分です。

日本版ではショットガンなどで胴体を撃つと、肩から先が砕け落ちます。欠損した腕の先端からは、よく見ると細い触手がうねうね。

海外版では同様の攻撃を行うと、敵の身体が上下に分割したり半身が大破したりと、かなり攻めたゴア描写が見られます。

「人間」でないことは火を見るよりも明らか
誰かと仲良く「はんぶんこ」できますね

砕けた身体の内部からは、日本版とは比にならないほどの寄生体が「こんにちは」しています。

日本版の表現だと、序盤の敵は「理性を失った人間」という印象に近いのですが、海外版をプレイすると「人の皮を被ったクリーチャー」という印象が強まります。海外版だとショットガンやマグナムを撃ったリアクションが強く感じられるため、緊迫した状況を打開する爽快感も格段に向上しています。

欠損部位:黒塗りにならない

トラバサミに捕まった哀れな下半身の一部

銃撃や爆撃によって粉砕された手足の一部は、日本版だと黒塗りの状態で地面に残されます。真っ黒に焦げたような見た目になることで視認性が下がり、グロテスクな印象はかなり緩和されていると言えるでしょう。

一方で、海外版だと砕けた手足が新鮮な状態で地面に放置されるため、肉や骨の断面が遠目からでも判別できます。

とれたてホヤホヤ

さらに海外版では砕けた胴体も大きな破片として残るため、レオンの立ち回り次第では凄惨な景色になることも。

砕けた胴体の破片が中々グロい

また、寄生体は強い光に弱く、日中は「首折れ」状態のガナードが襲いかかる場面が多々あります。
日本版は首の裂け目も黒塗りになっていますが、海外版では患部からピンク色の肉があらわに。生々しさが強い分、レオンへ向かってくる圧迫感もより強くなります。

キャンプ後の炭色
さらに高まる視覚的インパクト

弾痕:着弾箇所の色味が異なる

頭部や四肢の欠損ほど分かりやすい表現ではありませんが、銃弾が当たった箇所の表現も日本版と海外版で違いがあります。

日本語版は着弾箇所がぼかされているような見た目に
海外版は着弾箇所がくっきりと鮮明に

日本版では弾痕がややマイルドに表現されている一方で、海外版では破裂した筋繊維が見えるような表現が採用されています。欠損表現ほどの派手さはないものの、マシンピストルなど連射系の武器を使用した際の「蜂の巣感」は海外版に軍配が上がります。

ユーザーとして考える「表現規制に対する悔しさ」

『RE:4』のゴア表現の違いから、改めて「規制されて何が嫌なのだろう」と考えを巡らせてみました。

まず思い当たるのは、アクションの手触りに影響が出ているという点です。ショットガンを直撃させた敵の腕だけ取れるのか、胴体が割れるのかでインパクトの感じ方は当然変わるでしょう。ショットガンの威力の表現としても、後者の方がリアリティを感じます。

特にアクションゲームにおいて「ヒット感」は重要なので、手触りの違いは、「どれだけ長く遊んでいられるか」の中毒性に関わる大きな問題です。

また、規制によってはプレイ体験そのものに影響が出るケースも少なくありません。レオンのオリジンにあたる『RE:2』では、ゾンビが頭部欠損せず黒塗りになります。

頭を撃ってクリティカルが出た場合、海外版であれば花が咲いたように割れて倒れますが、日本版は頭の形が残るため、ちゃんと倒せたのかどうかが若干判別しにくくなるのです。さらに『RE:2』は、倒したはずのゾンビが起き上がってくることも多々あるため、頭部が残っていると色々と不便だったりもします。

そして何よりもユーザーとして残念なのが、クリエイターの本気のこだわりが伝わらなくなることです。

私は海外版『RE:4』の方が、ガナードが「寄生体に侵された元人間」であるとストレートに伝わってきました。大破した身体から寄生体が蠢いている描写は、非常にグロテスクであるからこそ「バイオホラー」というテーマが前面にに出ている印象でした。

こういったこだわりの表現の数々を削除したり、マイルドに修正しなければならない現状は、いちユーザーとしても簡単には納得できません。あくまでも推測に過ぎませんが、クリエイター側も納得できない部分があるのではないでしょうか。

そもそも規制内容が「ゲームによって差がありすぎる」

ユーザーの不満が出やすい理由として、「ゲームによって規制内容に差がある」という点も無視できません。

例えば、『The Last of Us Part II』では、頭部を含む四肢の欠損描写が全て規制されていました。こちらも日本語版をクリアしたあとに海外版を購入して遊び直しましたが、復讐劇としての緊迫感や、「人を殺める」というテーマの血生臭さがまるで違ったことを覚えています。

一方で、『Fallout 4』は日本版も無規制で販売されており、クリーチャーも人間も等しく四肢が欠損して、頭蓋や目玉などが地面に散らばったりします。さらに特定のスキルを取得すると胴体がバラバラに爆散するなど、「逆に何でこのまま発売できたんだ」とツッコまずにはいられませんでした。



さらに残念な例で言えば、過激なゴア描写によって日本版の発売が見送られたゲームなどもあります。

こういった曖昧な線引きによって、「あのゲームではOKなのに、こっちはなぜダメなんだ?」と不満が出るのは、作品を楽しみにしていたユーザーとして当然の心理だと言えます。

私はシンプルに「同じ値段を払っているのに」と損した気持ちになるので、ゲームの表現規制には反対の立場です。

また、日本におけるゲームの審査機構「CERO」の成り立ちや表現規制が行われている理由については、こちらの記事で詳しく解説されているので、興味のある方はぜひご覧ください。



『バイオハザード レクイエム』国内版の表現規制はどうなる?

『RE:4』ファンとして、当然気になるのはレオンが登場するシリーズ最新作『バイオハザード レクイエム』の表現規制です。

中西Dのインタビューによると「グローバル版と差がないわけではありませんが、体験できる内容に関しては、大きく遜色ないようになっている」とのことで、今回お伝えした『RE:4』の例のように、ゴア描写に多少の違いがあることは間違いないでしょう。



「バイオハザードショーケース」で公開されたプレイ映像を観る限りでは、ゾンビへのヘッドショットやトマホークの一撃で頭部が欠損する描写などが確認できました。

少し前の時代であれば、いかなる強攻撃を食らったとしても、ゾンビの頭は原型を留めたままだったかもしれません。CEROの審査基準が変更されたといった明確なソースはありませんが、過去のさまざまなゲームと、近年に発売されたゲームの規制状況を見ても「ある程度は緩和傾向にある」と言えるのではないでしょうか。それはつまり、クリエイターの表現を全力で楽しめる環境になりつつある、とも言い換えられます。

筆者は、『レクイエム』をどちらのバージョンを購入するのか検討している最中です。海外版をプレイしたい気持ちがある一方、本稿のように表現の違いを比較するのも意外と楽しいのです。めちゃくちゃポジティブに捉えると、日本版からの海外版は「味変」的に新鮮さを味わえるので、お財布に余裕があれば……!

総論:「グロいのが見たい」と言っていいじゃないか

表現規制に関する話題になると、「別にグロが見たいわけじゃないけど~」と前置きして意見するパターンをたまに見かけます。しかし筆者は、「グロいのが見たい」とストレートに言ったっていいじゃないか、と考えている人間です。

たとえば、心霊ホラーを観たい人は、不気味な幽霊の見た目にゾッとする体験を求めているわけじゃないですか。バイオホラーを遊びたい人は、グロテスクなクリーチャーと対峙する緊張感や、ショッキングな描写を求めているはず。そういった体験を求めているユーザーがいるからこそ、クリエイターはエンターテイメントの表現を通してニーズに応えるわけです。

確かに、あまり聞こえの良い要求ではないかもしれません。しかし、ユーザーにだってエンタメとして「見たいものは見たい」とはっきり声を上げる権利はある、と考えています。

クリエイターの表現には、何らかの意図や伝えたい意味が込められている。だからこそ、その表現が曲げられることなくユーザーへ届けられる時代が来ることを切に願います。

あなたは、ゲームの表現規制についてどのように感じていますか?


《とよしま@Game*Spark》

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